せっかく手に入れた夢のマイホームは実に快適で、健康的で・・・・でもいつ悪夢のような災害がやってくるとも限りません。世界有数の地震国の日本はにおいて、地震や台風に強い家を造ることは、絶対に忘れることの出来ない重要な性能です。
どの程度強く、どのぐらいバランスの良い構造であるか?これを客観的に評価するにあたっては、しっかりした根拠に基づいた計算を行い、数値で判断することが必要です。
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建物の、壁には構造的な分類上、『耐力壁』 と 『非耐力壁』 という2種類の壁があります。読んで字のごとく『耐力壁』とは外からの力に耐える壁のことで、地震や台風のときに建物が倒壊しないよう水平力に対してふんばってくれる重要な壁です。筋交いや構造用合板などを貼り付けた壁がこれにあたります。一方、『非耐力壁』とは単に部屋同士を仕切る壁のように、間取り上重要でも構造上は当てに出来ない壁のことを言います。実際には、非耐力壁でも多少は水平力に対して抵抗する力(耐力)はあるのですが、構造計算上、その耐力は無いものとみなしてます。また、幾ら構造用合板などで補強されていても、窓や開口になっている部分の壁は(現在のところ)非耐力壁の扱いとなり、強度を無視して考えます。(実際は、無視してはいけないという専門家の声もあるのも事実ですが・・)
耐力壁を構築するにあたり、そのやり方には色々な種類があり、どの程度、水平力に対して抵抗できるかが違ってきます。建築基準法で定められた、もしくは大臣が認可した軸組みの種類に応じて、0.5倍から5倍まで定められており、強い耐力を有する壁は倍率が高いことになります。例えば、3cm×9cmの断面を持った筋交いを斜めに1本入れた場合壁倍率は1.5倍、同じ物を交差させる形で2本筋交いを入れた場合は壁倍率3倍になります。SHS-3工法に用いられる面材のサーモプライは大臣の認定を受けており、壁倍率は2倍です。3cm×9cmの断面を持った筋交いをタスキに入れれば、2倍+3倍=5倍の壁倍率に設定することが出来ます。
構造上バランスの良い建物とはどういうことなのでしょう?単に壁倍率が何倍だから地震に強いといった単純なものではありません。例えば、下のイラストのような建物ですべての壁倍率が4倍あったとしましょう。敷地や間取りの関係で南面と東面に窓がたくさんあり、北面と西面には窓が無い状態です。つまり、南面と東面は耐力壁が非常に少ないので弱く、北面と西面には耐力壁が多く強いと言うことになります。これでは、壁倍率がたとえ4倍であっても大規模な地震などで大きな水平力を受けた場合、倒壊する恐れがあります。北面と西面はガチガチに強度を持ち、南面と東面はグラグラなので建物の北西の角付近を軸にして地震時にねじれる変形を起こしてしまいます。
このような場合、まず弱いほうの壁を最大限強度を持たせるような処置を講じ、壁倍率5倍まで引き上げます。次に、強すぎるほうの壁倍率を下げ、逆に強度を落としてあげることで建物全体のバランスを向上させることが出来ます。壁倍率何倍だから大丈夫!と言うのは一概に言えません。大切なのは計算に基づいてちゃんとバランスを計算したか?が最も重要になってきます。
特定の壁倍率しか設定できない工法と異なり、SHS−3工法はサーモプライ単体で壁倍率2倍、筋交いと併用することでさらに、3.5倍、5倍などの設定が出来ます。実際の設計にあわせて、軸組み計算を行い、窓の多い弱い面は壁倍率5倍を用いて頑丈に、窓の少ない面では、壁倍率を2倍にして強度を分散させるというように、必要に応じて任意に壁倍率を設定することで、建物の重心と剛芯の位置関係(偏芯率)を限りなくゼロ(理想)に近づけることが出来る工法です。
1階部分が無残に押し潰されている
その建物にどのくらいの耐力壁が必要なのかは建物の床面積とどの位風を受けやすいか(見付面積)によって決まります。また、必要壁量は建物の各階ごとに評価され、間口方向と桁行き方向の両方で基準をそれぞれ満たしていることが必要です。また、地盤の種別によっても割増される係数が異なっており、緻密で固い安定地盤(第1種地盤)の場合割増率1倍、軟弱な第3種地盤の場合割増率1.5倍、それらの中間として第2種地盤は割増率1.1倍という決め事があります。他にも、屋根に使用する材料によっても係数が異なり、重い材料のほうが当然不利なので耐力壁は多めに要求されることになります。積雪についての同様で、その地区の予想される最大積雪量によっても異なってきます。
こうした、様々な条件を考慮して計算した結果、この建物のこの階には耐力壁がどの位必要ですよ!という決まった値が算出されます。これが建築基準法で定められた『必要壁量』と呼ばれるものです。
この必要壁量は壁倍率とも密接な関係があり、例えば必要壁量が5000センチですよ!と言うことは壁倍率1倍の耐力壁で5000センチ=50mの長さが必要と言う意味です。壁倍率2倍ならば5000センチ÷2=25m必要、壁倍率5倍ならば、5000センチ÷5=10m必要と言うことになります。壁倍率が大きいほど必要とされる耐力壁の長さが短くて住むので、窓を多めに付ける事も可能です。間取りの制約も少なくてすむ場合が多いようです。逆に壁倍率が低いと、どうしてもあちこちたくさん耐力壁が必要になってしまうので窓をほしい位置につけることが出来なかったり、間取り上制限が出てきてしまう可能性があります。