石井式合併処理浄化槽*(メーカーはネツコーのものです)

設置・管理体験談

 *合併処理浄化槽・・・トイレの汚水だけでなく、洗濯、風呂、台所などの生活排水全てを処理する浄化槽

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25.メーカーが愛媛県から撤退!(2000年1月5日記)
 愛媛県内に正規の手続きを経てネツコーの合併槽を設置するためには、ネツコーの代理店がなければならず、(社)愛媛県浄化槽管理センターに「製造業者登録」をする必要があることは先に書きました。これは工事業者の協力を得て、工事業者に「製造業者登録」もしてもらい、何とかクリアーして5基のネツコー式合併槽を設置することができました。この「製造業者登録」は5年毎に登録のし直しをすることになっており、1999年3月で期限切れになったため、工事業者から「浄化槽管理センターから登録更新の時期がきているという連絡があったけど、どうしますか?」という問い合わせがありました。5年間この合併槽の様子を観察してきて、価格や手間や設置者の意識を考えると、一般的な合併槽と比べそんなにメリットがあるとも思えなくなっていましたので、私自身にもこの合併槽を売り込む気はなくなっていたのですが、メーカーに「どうしますか?」と聞くと、「更新はストップということにして下さい。アフターケアーは引き続きやらせてもらいますから。」との返事でした。景気が悪いことも影響しているようでしたが、全国的にあまりうまくいっていない様子でした。
 というわけで、愛媛県内に代理店がなくなった今はネツコー式合併槽を設置することはできません。
 
 もともと浄化槽の保守点検業を始めたいと思って(これは自分の体調や登録制度の問題ですぐあきらめることになりましたが)取り組んできた石井式ネツコーの合併槽でしたが、“うまい話”にのせられた無防備さを反省するハメになってしまい、残念です。 ということで、これで体験談シリーズは終わります。

 今後このページには我が家のネツコー式合併槽の週毎の新しい水質状況を掲載します。興味のある方は引き続きアクセスしてください。

24.設置者側に問題がある場合も(1999年12月31日記)
 処理水質が悪化する原因は設置者側にある場合もあります。これまでに経験したトラブルで設置者側に問題があったケースは以下のとおり。
1.屋外にある蛇口の下がセメントで固めた洗い場の形になっているため、その排水管も合併槽につながっている家で、夏場小さい子供が水遊びをした後、蛇口を閉め忘れ流しっぱなしになっていたケースです。話を聞いたのはたまたま浄化槽の様子を見に行った時で、その時は浄化槽に変わった様子は見当たりませんでしたが、ばっ気槽に汚泥がいつもより多く流入した状態だったかも知れません。設置者はいちいち点検業者にこういう事情を話すわけではありませんから、点検時にいつもと様子が違っていても原因は分からないことになります。
2.ブロアーのコンセントがはずれていたケース。電気代がもったいないというので設置者がコンセントをはずすケースは時にあるそうですが、この場合はトイレの流し水が止まらなくなったので、設置者が地下水をくみ上げているポンプのコンセントをはずしたつもりで、間違ってトイレのブロアーをはずしたというケースです。業者が定期点検に行った時にはばっ気槽はひどい状態になっていて、大掃除が必要だったそうです。
3.使用人数が半年毎に変わる。1年のうち半分はお年寄りが同居するため、使用人数が3人から4人に増え
、その分ばっ気槽にも負担がかかり、それなりの管理が必要になります。良好な水質を維持しようと思えば、半年間はよりこまめな逆洗・汚泥返送が必要かも知れません。
4.流量調整装置の上部がナプキンのビニールシートで塞がれていたケース。浄化槽の様子を見に行くと、ナプキンに使われているビニールのシートが流量調整の上部にはりつき、たまたま下部の5ミリの穴も詰まっていたため、汚水がばっ気槽に移流不可の状態でした。何かの事情でナプキンが浄化槽に流れ込んだようです。
 このように設置者側の実にさまざまな事情で浄化槽にトラブルが発生することもあり、合併槽の処理水質は、合併槽の性能、管理の仕方、使用者の意識、使用実態、それぞれの地域の浄化槽管理体制など多くの要因に左右されるのが現実です。石井式タイプの合併槽と言えども例外ではありません!
 

23.ブロアー代も電気代も高い!(1999年12月23日記)
 石井式と呼ばれる合併槽は一般の合併槽より大きいため、ブロアーもそれなりに大きな容量のものになっています。一般的な5人槽では送風量60g/分のブロアーですが、ネツコーの場合80g/分のものがついています。容量が大きい分電気代も余分にかかりますし、性能の落ちたブロアーを新しいのに取り替える時も余分に費用がかかります。さらにネツコーの合併槽の場合、ばっ気槽のろ材がヤクルトの容器に似た構造で、そのため水がよりきれいになるというのが特徴の一つではあるのですが、管理上はろ材内部にたまった分解しきれない汚泥を除去するための逆洗という操作を行う時、たまっている汚泥の量によってはより強力なブロアーが必要になる場合があり我が家の合併槽の保守点検業者に言わせると、80g/分では弱く、100g/分のブロアーをつけていると管理もやりやすいそうです。ブロアーの寿命にはばらつきがあるそうですが、松山で設置したネツコー式合併槽についてきたブロアーの場合、これまでブロアーを交換した4基については2年〜3年で駄目になりました。新しいブロアーの値段は100g/分の容量で6万円かかり、これを3年で割ると1年に2万円のブロアー代です。浄化槽が大きく処理がうまくいくというのはいいのですが、その分維持費も余分にかかり、設置時の工事費ももちろん余分にかかっています。
 これまでで得た結論は、「処理水は維持管理をうまくするとほどほどにきれいになる(ピカピカきれいというわけではない)。高性能を実現するための維持管理にはかなり手間がかかる。設置時の工事費も維持管理費も高く、勿論浄化槽本体の価格も高い。地元の保守点検業者がこのタイプの合併槽の管理技術を持っているとは限らないので(むしろ持っていないのが普通)、自分で管理するという心構えがなければ、設置してもうまくいかない。」というものです。従って、今では特にこの浄化槽を他の人にすすめる理由はなくなりました。

22.適切な清掃(汲み取り)のむつかしさ(1999年12月16日記)
 合併処理浄化槽の管理では、保守点検と同時に適切な清掃も必要です。松山市では補助金をもらって設置している家庭用の合併浄化槽は通常年1回の清掃が行われるしくみになっていて、設置してから1年経つと、清掃業者からその旨電話連絡があり、たいてい朝早く清掃に来ます。一般的な浄化槽の場合は嫌気第1槽(汚水が最初に流入するところ)を全量汲み取り、嫌気第2槽は適量汲み取りという指導になっていて、5人槽であれば約1.5立法メートルの汲み取り量となり、料金もそのように設定されています(銀行引き落とし前払いで、清掃料金は18900円)。
 ところがネツコーの合併槽の場合、構造上の違いから容量が大きいため通常の方法では汲み取り量が多くなり、清掃業者にしては割に合わないため、嫌気第1槽を全量引き抜かず料金に見合う量だけを引き抜きます。ネツコーの合併槽の場合、性能を維持するためには嫌気性の汚泥を残しておくのがいいので、全量引き抜きをしないこのやり方は偶然にもピッタリなのですが、清掃業者は嫌気第1槽の上澄みだけを引き抜き(作業がしやすいため)、年々底に沈んだ汚泥がたまり続けることになります。何年かするとそれこそ余分にお金を払って全量引き抜きせざるを得ない状況になる心配があります。そうならないようにしようと思えば、引き抜きの時に設置者自身がその場にいて、「攪拌してから引き抜いてください。」と言う以外にありません。つまり、合併槽の管理の仕方をそこまで意識してできる人でなければネツコーの合併槽を設置してもうまくいかないということです。そこまで自主管理意識の高い人がどのくらいいるかを考えると、皆無に近いのは明らかです。
 ちなみに我が家の場合、5人槽で2人使用のため、嫌気第1槽に流入する汚れの量が少なく、2年経っても嫌気状態にならず、処理が安定しない状態が続いています。槽が大きいため十分嫌気状態になるのに時間がかかるようで、設置当初は嫌気第1槽にきれいなスカムができて十分嫌気状態になるまでは汲み取りはしないほうがいいようです。
 こういうことも保守点検業者と清掃業者の間で連絡がうまくできていれば、それなりに適切な対処ができるのでしょうが、うわさでは松山あたりでは点検業者と清掃業者はなぜか仲が悪く、なかなかうまくいかないとのことです。困ったもんだ!
 

21.ばっ気槽が真っ黒でも点検結果は「異常ありません」(1999年12月8日記)
 我が家の合併槽は夏場の高温に弱いらしく、設置して1年目の夏も2年目の夏もばっ気槽がある日突然真っ黒になりました。何かの理由で生物膜がはく離(ろ材から剥がれ落ちること)したためです。ばっ気槽の水は真っ黒でも、浄化槽から流れ出す時には沈殿槽で沈殿してから出て行くので、処理水はほどほどにきれいにはなっているのですが、勿論その状態を放置していても元にもどるわけではないので、ばっ気槽がきれいになるように管理業者とともにいろいろな対策を施します。それはそれでいいのですが、保守点検の日にばっ気槽が真っ黒になっていても、保守点検記録票には「異常ありません」と記入しています。合併槽の状態としては明らかに「異常あり」なのになぜ「異常なし」なのか聞いてみたところ、流れ出す水がきれいであれば「異常なし」ということになるんだと言うことでした。‘結果よければすべてよし’ということのようでしたが、これでは点検結果票にばっ気槽にトラブルがあったことが記録されないし、結果がよいからといって放置しておくと、後で大変なことになるので、やはり記録票の下の方にある「所見及び管理者(設置者のこと)への連絡事項」の欄には‘ばっ気槽の生物膜剥離’と記入するのがまともな感覚ではないでしょうか。浄化槽から汚水が溢れ出しているとか、臭気が異常にしているとか以外の状態はすべて「異常ありません」で良いとする習慣(常識?)は浄化槽業界の体質をよく反映しているように思います。これでは公共下水道を進める側に対してあまり強いことも言えないね。
 

20.明らかにばっ気不足でも点検結果は「異常なし」(1999年11月11日記)
 8月に5人槽を設置、実使用人数2人、しかも昼間はほとんど留守にしている家での話しです。1年間は透視度に上がり下がりはあったものの、特に異常なく過ぎ、翌8月に1年目の清掃(汲み取り)も行い、そのまま冬の間浄化槽を見に行くこともなく過ごし、5月に行って見るとばっ気量(空気量)が異常に弱く、ばっ気槽の上部全面に白い水わたがびっしりついており、透視度は13cm。5月末が点検日になっていたため点検業者がどういう処置をしてくれるか見るため、そのまま何もせずその日は帰り、9月に行ってみるとばっ気はほとんど停止状態。このときは4〜5日前から実使用人数が一人になっていたためか、この状態でも透視度は20cm。ブロアーのフィルターが目詰まりしていたためと分かりましたが、点検業者は5月と7月には来て見たはずなのに、何をしてくれたのか、「異常なし」。10月には突然ばっ気槽が非常にきれいになっていたものの(9月末の点検で何か処置をしたためと思われますが)、11月には再び水わたが発生しており、そのままの状態で翌年の4月には汚泥返送バルブを開いても返送不可の状態になってしまいました。性能が低下したブロアーの力では引き上げることができないほど汚泥がばっ気槽底部にたまっていたようです。しかし処理水の透視度は11月からばっ気槽の大掃除をした5月まで50cm以上。理由ははっきりとは分かりませんが、使用頻度が低かったことと冬の間気温が低くそれなりに酸素が水に溶け込んだためかも。6月にはブロアーを交換し、送風量80g/秒のものから、点検業者との話し合いにより、100g/秒のものを6万円で取り付けました。これなら逆洗しながら汚泥返送もでき、「逆洗、ばっ気停止、汚泥沈殿(30分以上待つ)、返送」という手順を踏む(ブロアーの力が弱い場合はこの手順になり、最低でも1時間はかかる)のと比べ時間がかからないので、管理もし易いとのことでした(ということは、この手順に時間がかかり過ぎるので、これまでは逆洗や汚泥返送をしていなかったのでしょうか?)。最初のブロアーの寿命は2年10ヶ月、ブロアーも結構お金がかかるものだと実感しました。
 このケースの場合、処理水が基準をクリアーしていたので、他の部分の状態がどうであれ点検結果は「異常なし」となるんです、との業者の話しでしたが、我が家の浄化槽の場合、ばっ気槽が真っ黒になり、透視度が20cmをきっても「異常なし」と書いて帰ったので、点検結果票に「異常あり」と書いたら何か点検業者が非常に困ることになる事情でもあるんじゃないかと推測しています。

19.「消毒剤補充」と書いてあるのに補充されてない!(1999年11月4日記)
 ある時ふと思い立ち、日中ほとんど留守にしている友人宅に設置した合併槽のマンホールの蓋を保守点検業者がちゃんと開けているかどうかを次の方法でチェックしてみました。点検に来る前に消毒剤の残量(個数)を確認しておき、点検に来た直後また確認してみるという方法です。その結果、点検結果票には「消毒剤補充5個(数は正確ではありません)」と記されているにもかかわらず、現実には薬筒に入っている消毒剤の数は増えていませんでした! 消毒剤は次に点検に来る2ヶ月後まで間に合うほど充分入っていたため、補充なしでも不都合はありませんでしたが、補充もしていないのに補充したように点検結果票に記入するのは明らかにごまかしです。点検の結果「異常なし」とも記されていましたが、これでは蓋をあけずに点検結果票を書いたと思われても仕方ないよね。すぐ業者に電話すると、「確かに行って、防虫シート(蚊やハエの発生をおさえるためのシート状の揮発性防虫剤)を付けてきた」の一点張りで(沈殿分離槽には確かに防虫剤がぶら下がっていたのですが)、消毒剤のことに関しては何も言わず、結局うやむやになってしまいました。その後分かったことですが、この友人宅には点検業者の社員ではなく、実際には外部委託した個人の保守点検業者が点検に行っていたということです。こういう一匹狼のような点検業者の質に関しては「全く信用できない」というのが今の気持ちですが、そもそも設置者は保守点検契約を結んでいる業者が実際に一体どんな人を現場に送り込んでいるのかは知りようがないわけで、場合によっては管理士の資格をもっていない人が来ることもあります。浄化槽の管理業務は責任者が資格をもっていれば、その下で働いている人は必ずしも資格が必要ないというしくみになっているからです。点検結果票にはどんな場合も「異常なし」と書き込むのが当たり前のようで、この紙切れもほとんど信用できないと思っています。詳しい理由は次に書きます。
 

18.保守点検不足、ばっ気槽の水位が異常に上昇(1999年10月27日記)
 最初に保守点検業者の仕事ぶりに疑問を持ったのは、設置第一号、古茂田邸の浄化槽の場合でした。1994年9月に使用開始し、3ヶ月後に一時的に処理水の透視度が1mを超え、その後、浄化槽本体の製造ミス(オーバーフロー口の位置のミス。シリーズ11参照)が主原因(多分)で水質は悪化する一方になりました。翌年6月には透視度は20cmをきり、8月にはばっ気槽の水位が異常に上昇して、沈殿槽への水の流れがスムースに行われていないことが分かりました。古茂田さんが水中ポンプでばっ気槽の底の水を吸い上げるとヒメモノアラガイがびっしりくっついてきたそうです。ばっ槽の底に浄化しきれない汚れや貝が繁殖し、ばっ気槽と沈殿槽を分けている仕切り板の底部に開けられた移流口を塞いでいたため水の流れが悪くなりばっ気槽の水位が上昇するという事態になっていたことは確かです。古茂田さん宅では、1月〜6月の半年間はおじいちゃんが同居するため使用人数が3人から4人に増えるということ、設置当初は松山市が断水中(1994年11月25日まで)であったこと、オーバーフロー口の位置が正常でなかったこと、結果ヒメモノアラガイが繁殖していたなどの悪条件が重なっていたことも、移流口が詰まりやすい原因ではあったと思いますが、業者がネツコーの合併槽の構造や使用状況をきちんと把握して、処理水質が悪化した時に逆洗・汚泥返送をまじめにしていればここまでには至らなかったと、今になって思っています。その当時は石井式(ネツコーもこの一種)合併槽の場合、管理はそれほど問題にならないという思い込みがあったため、水質が悪化する一方なのに、点検業者は点検票にいつも「異常なし」と記入して帰るし、特に対策を講じようとしないことに不信感を抱いていたものの、具体的に保守点検作業の何が問題かを認識することができず、結局合併槽を設置して最初の1年間の立ちあがり(浄化槽内に繁殖するバクテリアの状態が安定し、処理が順調にいき始めること)を棒にふる結果となりました。年1回の清掃時期が近づいていたため、清掃日に点検業者にも来てもらい沈殿分離槽の清掃(汲み取り業者が行う)後にばっ気槽水を沈殿分離槽に移し、ばっ気槽をきれいに洗って詰まりを解消する作業をしてもらいました。一からの出直しです。(ちなみに、普段点検に来ていた人と清掃日に作業に来た人とは別で、この日の作業には「主任」と呼ばれるベテラン管理士が来ました。またこの作業のために別途費用がかかることはありません。)こちらから交渉しなければこの合併槽はその後どうなっていたのでしょうか?分かりませんが、業者の点検にはできるだけ立ち会って、一緒に浄化槽の中を覗いたほうが良さそうです。
 

17.4K業務、浄化槽の保守点検作業(1999年10月21日記)
 ずいぶん以前に3K(きつい、汚い、危険)の仕事が若者に嫌われるということが話題になった時代があります。ある保守点検業者の社長さんから、この業界は4K(きつい、汚い、危険、臭い)の職場で、小型の合併処理浄化槽が脚光を浴びているようにはカッコイイものではないと聞かされたことがあります。家庭用の小型合併処理浄化槽の場合、危険ということはほとんどありませんが、「孤独」で「暗い」作業であることは確かです。日中留守の家は多く、人けのないところで一人で浄化槽の蓋を開け、適当に(適切に?)作業をして用紙にチェックを入れ、それをポストに投げ込んで次の家に移動するわけですが、誰が見ているわけでもなく、適切に行った作業の評価がきちんと行われるわけでもなく、作業の結果が誰の目にも明らかな形で出てくるわけでもなく・・・。社会的な評価を得ている職種でもなく、まじめにやれば高収入が得られるというわけでもなく・・・。「金もうけ」しようと思えば1日に点検に回る家の数を増やすことが必要で、そのためには1基の浄化槽にかける時間を短くすればよく、誰も見ておらず、評価もされなければ、蓋を開けずに点検結果票に適当にチェックを入れても差し支えない、というチエが働くのも当然と言えば当然です。「窓際(車の)点検」という言葉が生まれるゆえんです。もちろん保守点検業務をしているすべての人がいいかげんな気持ちになるというわけではありませんが、保守点検業とは基本的にこうなりやすい職種であることを、合併浄化槽の管理の仕方を体験しながら実感しました。

16.その他、公的検査で指摘された問題点(1999年10月14日記)
 浄化槽法では、浄化槽設置後6〜8ヶ月に公的検査(俗に7条検査という)を受け、その後年1回の公的検査(11条検査)を受けなければいけないことになっています。ちなみに7条検査費用は6500円(浄化槽設置届を提出する時に徴収される)、11条検査は3000円です。(社)愛媛県浄化槽管理センターから検査に来て、改善を要求された浄化槽は設置した5基のうち2基。一つは「越流堰の水平が保たれていないため、塩素消毒が均一に行われていない」というもの。もう一つは、「ろ材を押さえているステンレス製の網が一部浮き上がっているため、ろ材が流出する可能性がある」ということでした。メーカーに来てもらい、越流堰の水平は、固定しているネジを緩めて調整したり、隙間を埋めて越流堰以外の部分から処理水が流出しないようにしてみたものの、やはり消毒槽底部の右半分は渇き気味(水が流れにくい)の状態でした。消毒槽底部が水平になっていないのかも知れませんが、あまりひどくはないため3年目の検査ではパスということになりました。ろ材の押さえは、本来網の自重でろ材(ヤクルト容器のような形をしたものがびっしりつまっている)を押さえている構造のところを針金で固定して浮きあがらないようにしました。どちらもあまり処理性能には関係ない程度のことではありましたが、浄化槽製造の仕事が丁寧ではなく、やはり製造現場の頼りなさをうかがわせるトラブルでした。ヤレヤレ!
 今回でメーカーに関係する浄化槽本体の問題点は終わります。次回から浄化槽の維持管理業者に関して、いくつか気が付いたことを書きます。 
 
15.越流堰横の仕切り板の高さが図面どおりになっていない!(1999年10月5日記)
 「越流堰」というのは、ばっ気槽で好気性バクテリアによって浄化された水が沈殿槽で細かい固形物(浮遊物質、専門用語では’SS’という)を沈殿、除去され、上澄み水が消毒槽に移流するところに設けられているギザギザの堰のことです(下の写真参照)。これは沈殿槽に浮いてくるスカム(いつも浮いてくるわけではなく、気温の低下によって窒素ガスが発生する時、ばっ気槽にSSがたまっていると浮いてきます。)が流出しにくいようにと設けられているものですが、越流堰の左右にも沈殿槽と消毒槽を分ける仕切り板(越流堰と直角についている。下の写真では越流堰の奥に見える。)がついています。この仕切り板も沈殿槽の左右端に浮いてくるスカムを流出させない役目を果たしていますが、武井邸に送られて来た槽の場合、この仕切り板の高さが消毒槽底部と同じレベル(!)になっていて、仕切り板の役目を果たせない状態でした。またまた製造現場での初歩的なミスです。設置後3ヶ月経ってこの欠陥に気づき、メーカーに修理(継ぎ足し)に来てもらいました。それにしても、実にさまざまな予想できない製造ミスがあることに、製造現場での浄化槽の知識のなさとメーカーのチェック体制のなさを痛感させられ、これが「石井式」として宣伝されている(「浄化槽革命」合同出版、P.175参照)ことはまじめな消費者を馬鹿にしたことではないかと、悩み深いものがあります。
 ギザギザの部分が越流堰。右上の部分が継ぎ足した部分。

 
14.ドラフトチューブが下がる!?(1999年9月30日記)
 石井式タイプの浄化槽はばっ気槽内での水の旋回と溶存酸素の供給を、ドラフトチューブという太いパイプを通じておこなっています(下の写真参照)。ばっ気槽内のろ材にまんべんなく処理すべき水を接触させることと、同時にろ材表面に繁殖しているバクテリアに酸素を供給し浄化を促進します。このドラフトチューブは、ばっ気を止めた時水面から8センチくらい上に突き出ているのが正常な状態です。ところが北村邸と武井邸の場合にはばっ気を止めてみると水面から1センチくらいしか上に出ていません(下の写真参照)。北村邸の場合、最初からこの状態だったのか使用している間に下がったのか分かりません。気がついた時にはこの状態でした。武井邸の場合は北村邸の例があったので、合併槽に水を張った時すぐ観察しておきましたが、その時は正常でした。しかし使用開始後2ヶ月で下がってしまいました。このドラフトチューブの高さが汚水処理にどう影響しているかは判断しかねますが、素人考えでは、水面からある程度上がっているほうが噴水の広がりが広く、それだけばっ気槽内での水の循環範囲も広く、酸素もよりすみずみまで供給できるのではないかと思います。メーカーに修理を頼むと、ペンチのようなものでドラフトチューブの端をはさんで引っ張りあげていましたが、残念ながら上がってきませんでした。このチューブは金属の輪で締め付けているだけなので、締め付けがゆるいと落ちるんだそうです。ひょっとしたら製造段階で上下を逆に取り付けたのかもしれない、とも漏らしていました! 結局この件は、処理への影響がはっきりしないのでどうしても修理しないといけないというものでもなく、そのままになっています。
   
  ばっ気中(水が噴水状態)               ばっ気停止中(ドラフトチューブ上端が水面から1センチしか出ていない)

13.流量調整装置が夏場頻繁に目詰まりする!(1999年9月23日記)
 この合併槽が高性能を維持する理由(特徴)の一つに、「流量調整装置」がついていることが挙げられていました。実際この装置が正常に機能している場合は、ばっ気槽への流入汚水量が平均化され処理がより安定して行われることは確かです。しかしこの流量調整装置の移流口の直径は5ミリで(11.オーバーフロー口の位置が図面と違う!の写真参照)、そのため流量調整の機能を果たすわけですが、またそのため目詰まりし易いという欠点もあることが分かりました。この穴が詰まると当然オーバーフローするため、処理性能にも影響します。メーカーから最初に受けた維持管理上の注意事項は、この流量調整装置を上から時々細い棒でつつき、つまりを解消してやりさえすればよい、というものでした。「日常の維持管理不要」という石井式の当初の宣伝文句が頭にこびりついていたため、この注意事項を鵜呑みにし、最初に設置した古茂田邸と松岡邸の場合、細い針金で時々(「時々」というのがどのくらいの頻度かも分からず適当にしていました)つついていたのですが、どうもピンときませんでした。よく観察していると、この装置の目詰まりは突然起こる場合も、少しづつ起こる場合もあることが分かり、装置底部の移流口の内外に少しづつ生物膜が付着して目詰まりを起こすこともあるのではないかと考えました。そのため装置の内部も掃除できるようなブラシを探し回り、細い試験管を洗浄する円錘形のブラシを見つけ、管理業者にもそれを渡し、以後それで掃除しています。こんな基本的な管理上のポイントも器具も設置後に設置者が見つけなければならないほど、この浄化槽に関する研究がされていなかったことは後で分かったことです。メーカーがこの状態では、当然管理業者はこの装置のしくみさえ分かってはいないようでした。
 さて、この流量調整装置がいったいどんな時、どのくらいの頻度で目詰まりするのかを知るのが次の問題でした。そのためには毎日浄化槽をあけて目詰まりしていないかどうかをチェックする必要がありました。1997年10月に自宅に設置し、本気で観察していると、信じられないくらい頻繁に目詰まりすることが分かりました。目詰まりする条件は、固液分離用バクテリアを投入した後や気温の上昇のようでした。そういう条件では流量調整装置がとりつけられている第2沈殿分離槽にスカムが浮いてくるため、そのスカムが5ミリの穴を塞いでしまうように、今のところ思われます。我が家の例では10月末に設置して最初にこの目詰まりを観察したのは翌年の5月8日(この年は5月の連休頃急に気温が上昇)、続いて5月26日、5月30日、6月9日、さらに完全に詰まってはいないけれど、ばっ気槽への移流が遅く詰まりつつある状態の時が6月14日、7月20日、9月5日。9月30日に管理業者が定期点検に来、真っ黒に嫌気状態になっていた(生物膜剥離を起こしていた)ばっ気槽の状態を改善する為バクテリアを投入した後、嫌気状態は1週間で改善されきれいになったものの、10月7日、8日、9日と続けて詰まり、さらに13日、19日と、浄化槽設置1年間で12回も詰まりました。この後冬の間は一度も詰まらず、翌年1999年の春3月13日にこの年最初の目詰まりを観察、その後5月21日,28日,30日、6月6日,11日,16日,19日,20日,22日,23日、7月1日,15日,25日、9月16日と詰まり、今日に至っています。愛媛県では2ヶ月に1度、全国的には3ヶ月に1度の業者による定期点検ではこの目詰まり対策をこまめに行うことができないのは明らかです。目詰まりをそのままにしておくと、「高性能」は保証されず、設置手続き上の苦労と高いお金を何のために払ったのか分からないということ以外に、次々と関連して問題が発生してきます。長所は欠点なり! 現在この問題の改善策を検討中。              つづく
 

12.商品(合併浄化槽)の仕様表示シールが貼られていない!(1999年9月16日記)
 話しが前後しますが、ネツコーのミスでもう一つ書き忘れていたことがあります。松山市は補助金交付確定にあたって、申請された合併浄化槽が適正に設置されているかどうかを工事後チェックに来ますが、合併槽本体に貼りつけられていなければならない浄化槽の内容を表示するシールが貼られていないので、チェックができないと言われてしまいました。つまり、この合併槽は、メーカーはどこどこ、人槽は何人槽、BOD除去率は90%以上、容量は何m3などなどが記入されたシールがマンホールを開けた時、合併槽の内側に貼りつけられていて、その表示シールによって、この合併槽が申請書に記入されたものと間違いないことを市は確認できるわけですが、商品を販売する時の基本的な表示がなかったというわけです。メーカーに連絡して送ってもらい、自分で貼りつけ、松山市に連絡してまた見に来てもらいました。合併槽を実際に製造している下請け工場から直接出荷される製品のチェックが充分できていないか、全くしていないことを、ここでも感じました。こちらから訴えたことに対してはネツコーはそれなりに対処してはくれたものの、申し訳ないと感じている様子はそれほどなく、経営規模の小さな業者の手作りのため、大量生産の場合には起こりにくいミスが、メーカーの姿勢次第でかえって頻繁に起こる現実を認めざるを得ませんでした。(社)愛媛県浄化槽管理センターが、訳の分からないメーカーの新規参入に対し慎重であることを、理由がこういうことだけではないにしても、それなりに理解するハメになりました。    つづく
 
 

11.オーバーフロー口の位置が図面と違う!(1999年9月9日記)
 この浄化槽には「流量調整装置」がついていて、洗濯排水や風呂の排水が一度に大量に流入しても、ばっ気槽には少しづつ一定量しか移流しないようになっています。そのため処理水が安定してきれいになるというのが宣伝文句の一つであったわけですが、この流量調整装置の容量をオーバーして汚水が流入してきた時には、この装置の上部の開口からオーバーフローした汚水がばっ気槽に移流するしくみになっています。(「流量調整装置」は下の画像参照) さらにもう一つ直径3cmくらいのオーバーフロー口が第2沈殿分離槽とばっ気槽を分けている仕切り板にも開けられています。この位置は図面では流量調整装置の上端(開口部)と同じ高さになっていますが、古茂田邸の浄化槽の場合は、流量調整装置の上端より下に(!)位置していたのを、古茂田さんのご主人が見つけました。そもそも仕切り板にこういう穴が開いているということさえ、この時まで管理業者も私達も知りませんでしたが(この穴は非常に見にくい位置にあるため、その場所を知っていなければまず見ることはできません。)、それが本来の位置より低いところにあったため、第2沈殿分離槽の水位がそこまで上昇すると(本来オーバーフローする水位ではない)、第2沈殿分離槽の表面に浮いている汚れを吸い寄せるようにして、汚水がばっ気槽に移流していたことが分かりました。断水中にはおそらくしょっちゅうここから移流していたこと、さらに使用開始4ヶ月後の1月から、実使用人数が3人から4人へと増えていたことも重なって、ばっ気槽にはかなりの汚泥がたまってしまっていたようです。ネツコーに連絡し、担当の上野さんに来てもらって実態を見てもらい、穴をふさぐ栓を送ってもらって栓をしたのは6月30日、使用開始後9ヶ月も経ってからのことでした。              つづく
  
      ネツコーの流量調整装置       底部の移流口(径5mm)まずここから移流する。    上部のオーバーフロー口 
 
 
 

10.処理水が思うようにきれいにならない!(1999年9月2日記)
 蓋のトラブルを解決し、工事も順調に終え、工事終了後に市に提出する書類(1.実績報告書 2.収支決算書 3.工事費請求書コピー 4.浄化槽本体請求書コピー 5.チェックリスト 6.浄化槽維持管理契約書コピー 7.浄化槽法定検査依頼書コピー 8.工事工程写真 9.補助金交付請求書)を提出し、市の検査もOKとなり、やれやれやっと生活排水の処理が始まることになりました。松岡邸が1994年8月25日、古茂田邸が1994年9月14日に使用開始。ところがこの年は100年に1度確率という異常渇水のため松山市は7月26日から時間断水を決行中で、結局11月25日まで続きました。水の使用が決まった時間に集中したことは浄化槽にとっては良い条件ではありませんでした。バクテリアが十分繁殖するには半年くらいかかるとも聞いていたため、しばらく様子を見ていると、3ヶ月後にはどちらの浄化槽も透視度が50cm以上、時には100cmを超えるくらいきれいになり、その時は何の疑問もなくこれでこの状態が続くものとのん気に考えていたのでした。その頃は1〜3週間に一度くらい浄化槽の様子を見に行っていたのですが、古茂田邸の浄化槽は翌年の2月を過ぎて透視度は40cmくらいから少しづつ下がり始め、ヒメモノアラガイがばっ気槽に繁殖し、4月の半ばには20cm台となり、一向にきれいになる様子はありませんでした。管理業者は何ら心配している様子もなく、ヒメモノアラガイが発生するのは処理水がきれいな証拠だと言って、特に対策を講じることもありませんでした。「日常管理不要、高性能、透視度1m」という情報が強くインプットされていたため、管理が適切にできていないのではないかと思うこともなく、きれいにならない理由がわからず、古茂田さんのご主人と3人で浄化槽の蓋を開けては、頭を悩ませていたのを覚えています。そして6月頃に古茂田さんのご主人が浄化槽本体に、ある予想外の実態(欠陥)を見つけ出したのです!                       つづく

9.浄化槽の蓋が合わない!(1999年8月25日記)

 愛媛県浄化槽管理センターへの設置届と松山市への設置補助申請の手続きがやっと終わり、1994年6月いよいよ浄化槽本体を取り寄せることになりました。1基だけでは運賃が割高になるため、2基同時に送ってもらい、順次工事をしてもらうことにしました。早朝に到着したトラックから1基を古茂田邸におろし、もう1基を松岡邸に運びました。この時は丁度工事業者の工事スケジュールと浄化槽の運搬日が一致し、松岡邸にはすでに本体を埋設するための穴が掘削されていましたので、到着した浄化槽をそのまま穴の中に下ろし、一緒に運んできたマンホールの蓋を載せたところ、何と!隣り合った蓋の縁と縁が重なって、蓋ができないではありませんか!管理用のマンホールは4つ縦に並んでいるのですが、マンホールとマンホールの間の距離が短すぎて、蓋がオーバーラップしてしまう状態でした。この蓋はもともと浄化槽についている蓋ではなく、浄化槽の上を駐車場にできるように、耐荷重用の蓋を依頼していたのですが、ネツコーがどこかから取り寄せた蓋を、本体とうまく合致するかどうか確認せずに送ってきたというわけです。運搬業者からすぐメーカーに連絡してもらい、蓋は先に下ろした古茂田邸のも回収してもらい、一緒にそのまままた持って帰ってもらいました。
 後日相談の結果、結局蓋は工事業者に頼んで、浄化槽に合う蓋を探してもらい、工事業者経由で入手することになりました。ネツコーはそれまで耐荷重の蓋の必要な5人槽を販売したことがなかったということで、この浄化槽を販売していくことが残念ながら容易でないことは、察しがつきました。                           つづく
 

8.設置場所に関するトラブル(1999年8月16日記)
 
 松山でネツコーの合併槽を設置したのは、新築ではなくすべて改造(単独浄化槽から、または汲み取りトイレから合併槽への切替え)のケースでしたが、1軒はもともと単独槽を設置していた場所が家の裏手で、アクセス路が狭く工事のために必要なシャベルカーを入れたり、浄化槽本体を搬入することができない状況でした。配管をできるだけ短くするためには裏手に設置するのがベストでしたので、設置者は農地として利用されていた隣の敷地を、所有者の許可を得て通らせてもらうよう交渉し、その図面で設置届を提出していました。補助金の申請書類を提出し、「補助金交付決定通知書」も届き、浄化槽を送ってもらう段取りになったものの、いつまで経ってもネツコーから送ってきません。事情を聞くと、他の地域でまとまった注文が入ったらしく、製造が間に合わないので待ってくれということでした。仕方なく待っている間に、工事のために通らせてもらうようになっていた隣の土地の所有者が、数ヶ月待っても工事が始まらなかったため、待ちきれず作物を植え、その結果結局浄化槽の設置場所を玄関先にせざるを得なくなり、配管は長くなりその分工事費用も高くならざるを得ませんでした。(さらにこのケースでは問題になりませんでしたが、配管が長くなると、放流先の水位がより低いことが必要になってくるという問題が発生する場合もあります。)設置者は「メーカーが予定通り浄化槽を送って来なかったために工事費が10数万円高くなったのだから、その費用はメーカーで払うよう交渉してくれ。」と言われ交渉し、6万円の値引きで双方合意に至りました。
 このように改造の場合は設置場所が限られるため、工事のし易さ(シャベルカーの入り易さ)や設置者の希望する設置場所(臭いなどが発生した場合できるだけ害のない場所、目立たない場所)、配管の長さ(工事費をできるだけ安くするため短くしたい)敷地の広さなどを考慮して決めなければなりません。下水道のように敷地内の配管を本管に接続するだけという気楽さと違い、結局はどれかの条件を我慢してもらうというやっかいな問題を1軒1軒解決していくという作業が必要なことを認識させられました。                                        つづく

7.合併浄化槽への補助金申請書類作成過程で難儀したこと(1999年7月30日記)

 合併浄化槽への補助金を松山市に申請するにはさまざまな書類が必要なことは前回書きました。これらの書類を整えるためにはまた設置者、メーカー、工事業者の印鑑をもらったり、必要な書類を送ってもらったりしなければならないわけですが、ネツコーは合併浄化槽への補助金を申請する場合、メーカーとして提出する必要がある書類が何かを把握してはいなかったらしく、いちいち指示しない限り、一式送ってくるということはありませんでした。それも、ある時はすぐ送ってくるかと思えば、2回3回と催促しなければ送ってこない場合もあり、時には「今印刷にまわしているので、上がってくるまで待ってくれ」などという信じられない状況もありました。またある時は2種類の書類を請求したにもかかわらず、1種類しか送ってこなかったり、「見積書」に消費税が書きこまれていなかったため、数字が「収支予算書」と合わず、「消費税を書きこんで送ってくれ」と連絡すると、また届くまでに日数がかかるなど、事務処理の不手際にイライラすることが多くありました。ネツコーの合併浄化槽が補助金を受けて設置されるケースが異常に少ないことを感じました。
 また松山市が当初作成していた「小型合併処理浄化槽補助金申請手引書」には、その後必要になったと思われる「管理票」や「登録証」が記載されていなかったため、申請手続きに行って始めてそういう書類が必要なことを知らされるということもあり、またメーカーに書類の送付を依頼して送ってもらうのにまた1〜2ヶ月が過ぎて行くという感じで、浄化槽管理センターに提出した工事開始予定日はむなしく過ぎていくというありさまでした。
 (財)日本建築センターが出しているもので、浄化槽の構造を示す「工場生産浄化槽認定シート」というものがありますが、メーカーからこの書類を送ってきた時、書類のタイトルとなるべき「工場生産浄化槽認定シート 昭和55年建設省告示第1292号第1第四号による分離接触ばっ気方式」という文字が印刷されていないこともありました。メーカーに連絡すると、日本建築センターのミスだということで、印刷し直して再度送ってもらったこともありました。
 というわけで、補助金申請だけでも実にさまざまな予想外の細かい障害をクリアーしなければなりませんでした。この手続きは普通設置者本人に代わって代理店が行います。                          つづく
 

6.松山市への小型合併処理浄化槽設置補助申請(1999年7月23日記)

 (社)愛媛県浄化槽管理センターへ「浄化槽設置届出書」を展不書類一式と共に提出し、松山中央保健所長と松山市長名での設置を認める通知書が届き、浄化槽の設置工事を始めてもよい段取りになりました。次の手続きは、補助金を松山市に申請することです。担当窓口になっている環境管理課で必要な書類一式をもらいました。書類は浄化槽を設置する前に提出するものと、設置後に提出するものに分かれています。
 設置前に提出する書類は以下のとおり。
1、補助金交付申請書
2、「浄化槽設置届出書」のコピー
3、事業計画書
4、設置場所の付近見取り図
5、収支予算書
6、浄化槽の構造図(「工場生産浄化槽認定シート」)
7、配置配管図
8、「工事見積書」コピー
9、「浄化槽本体見積書」コピー
10、「工事請負契約書」コピー
11、合併処理浄化槽維持管理誓約書(設置後に維持管理をきちんと行い、付近や市の保健所に迷惑をかけないことを誓うもの)
12、保証登録証(設置しようとしている浄化槽の機能を全国浄化槽団体連合会が保証するため、設置しようとしている浄化槽が全浄連に登録されていることを証明する書類)
13、登録浄化槽管理票(C票)(管理票はA票、B票、C票が1セットになっていて、「浄化槽の登録番号」「登録年月日」「製造工場の場所と名前」「工事業者」など、浄化槽の本体管理に必要な情報を書きこみます。A票はメーカー、B票は設置者、C票は市町村がそれぞれ保管し、浄化槽に何か具合の悪いことがあった場合にすぐチェックできるようになっています。
14、「登録証」のコピー(「登録証」とは、全国合併処理浄化槽普及促進市町村協議会会長がメーカーに対して出している証書で、設置しようとしている浄化槽が国庫補助指針に適合する浄化槽として登録されていることを証明する書類。何でこんな書類まで必要なのかさっぱり分からん!
 さらに補助申請手続きを代理人が行う場合はこの書類、建物が共同所有になっている場合にはこの書類、建坪の広さに対して実使用人数が少なく、基準以下の大きさの浄化槽を設置する場合にはこの書類(人員緩和願は平成9年度以降は原則として必ず行う)、実使用人数を確認する為の住民票などなど、状況に応じてさまざまな書類を提出します。
                                                  つづく

5.浄化槽設置届出書及び添付書類の作成(1999年7月16日記)

 (社)愛媛県浄化槽管理センターへのメーカー(代理店)登録を工事業者の協力により行い、ネツコーの合併処理浄化槽の設置届を提出できることになりました。この手続きには以下の書類を作成します。
1、浄化槽設置届出書
 この書類には設置者の住所氏名、浄化槽の名称や認定番号,型式,処理方式、建物の延べ面積、処理対象人員算定根拠、1日平均汚水量、除去率、放流先、工事業者名と登録番号、着工予定年月日、使用開始予定年月日などを書きこみます。この書類を作成するだけでも、設置者、メーカー、工事業者と話し合ったり、判をもらったり、書類を見せてもらったりとなかなか手間のかかる作業でした。例えば、着工予定年月日を決めるためには、工事業者の都合、メーカーの製造・運搬の都合、送ってきた浄化槽を置いておく場所の段取りなど話し合って決めなければならず、工事業者やメーカーの都合は間際にならないと確実なことは分からないため、だいたいで記入した予定日がその通りになったことは1度もありませんでした。この設置届には「浄化槽設置特別会費」というわけの分からない名目で、6000円支払います。
2、浄化槽維持管理契約書
 補助対象の合併処理浄化槽を設置する場合には、松山市を含む中予地区では浄化槽の管理は個別の管理業者に依頼するのではなく,書類上は「中予浄化槽管理共同組合」に依頼するしくみになっており、あらかじめこの組合に維持管理(保守点検および清掃)契約手続きをしておく必要があります。実際にはこの組合に入っている管理業者が管理に来ることになりますが、設置者が業者(建築会社であれメーカーであれ工事業者であれ)に浄化槽の設置を依頼すると、その業者と結びついた管理業者が設置者の意向に関係なく決まるため、設置者が管理業者を選ぶということはまずありません。ネツコーの場合、管理技術をもっている業者がいるわけでもないため、とりあえず工事業者と取引のある管理業者を紹介してもらいました。支払いは銀行引き落としの前払いで、途中で管理を断ったり支払いが滞ったりしないようになっています。ちなみにこの組合に支払う維持管理費は5人槽で年間40318円(保守点検料21418円、清掃料18900円)です。
3、誓約書
 設置した浄化槽の排水によって付近に苦情が生じないよう、設置者が責任をもって管理し、あるいは苦情処理を行うことを保健所長あてに誓約する書類。
4、浄化槽構造図
 メーカーが(財)日本建築センターからもらっている「工場生産浄化槽認定シート」を提出する。浄化槽の構造、型式,認定番号、寸法などが書きこまれている。
5、建物平面図
 延べ床面積が書きこまれていて、設置しようとしている浄化槽の人槽(大きさ)が正しいかどうかを確認する為のもの。
6、浄化槽配置・配管図
 敷地内のどこに浄化槽を設置し、どういう配管で汚水や処理水を流すかを書きこんだ図面。これは自分で(普通は手続きを代行する管理業者が)作成する。
7、付近見取り図
 住宅地図のコピーに設置場所を赤で印しをしたもの。
8、浄化槽法定検査依頼書
 浄化槽設置後6〜8ヶ月の間に、浄化槽法に基づいて行われる公的な検査(通称:七条検査)を依頼する書類。検査費用6500円。
9、設置届賦課金届出書
 ???何の書類だったか忘れた。1800円必要。この費用は通常設置届の手続きを代行する管理業者が負担。
10、保証登録証
 浄化槽設置届出書が受理され、「受理通知書」が届いた後、この書類を提出します。これは設置しようとしている浄化槽が小型合併処理浄化槽機能保証制度に基づいて登録されたものであることを証明するというもので、全国浄化槽団体連合会が出しています。設置者,工事業者,市町村がそれぞれ同じものを持っておくようになっていて、3000円を添えて提出します。工事がきちんと行われていないことが分かった場合に工事のやり直しをする時の保険になっているようです。
11、放流同意書
 この書類は提出する必要はありません。しかし、手続きを代行する管理業者は設置後のトラブルを避けるために地区の水利組合に「浄化槽設置許可申請書」を提出し、必要なお金を払って放流同意書を受け取っています。金額は地区によってさまざまですが、ちなみに我が家の場合は5人槽で5万円払いました。水利組合と喧嘩をするつもりなら払う必要のないお金です。

 以上の手続きは普通管理業者が代行するため、設置者は建物の図面を出し、手続きに必要なお金を払うだけで済みます(手続き代行料は無料)。印鑑は特別な姓でなければ、業者が一通りの印鑑はそろえている為、自分で押すこともありません。印鑑は全ての書類に同じものを押す必要があるため、業者にしてみれば新たに必要な書類が生じたとき、いちいち設置者に印鑑を押してもらいに行かなくてもいいし、保守点検が始まった時、保守点検結果票に設置者の印鑑を押してもらわなければなりませんが、留守の場合などいちいち印鑑だけ押してもらうためにまた足を運ぶ必要もないからです。
                                                             つづく

4.(社)愛媛県浄化槽管理センターへのメーカー(代理店)登録(1999年7月9日記)

 正規の手続きを経て補助金を受けて合併処理浄化槽を設置するためには、設置しようとしている浄化槽のメーカーが愛媛県浄化槽管理センターに製造業者として登録し、会員になっていなければなりません。新規に会員になるためには入会金や年会費を払うだけでなく、すでに登録している業者の推薦状(紹介状?)が必要だということで、行き詰まっていたところ、「工事業者に製造業者登録もしてもらったらどうですか。それならすでに管理センターの会員になっているので、入会金や推薦状は不要だし、製造業者としての会費だけで済みますから。」と管理センターから裏ワザを教えてもらい、管理センターからの声かけもあって、無事工事業者に協力してもらうことができました。メーカーとの交渉やトラブルが発生した時の対処など、代理店として実際にしなければならないことは武井が責任をもってしますからということで納得してもらいました。
 ちなみに管理センターへの入会金は10万円か15万円(忘れた)、製造業者としての会費は5年ごとの更新で23000円(5年分)、浄化槽管理センター松山支部の会員は、製造業者(代理店)が18業者、工事業者が116、保守点検業者が97、清掃業者は市町村毎に分かれていて、また松山市内も地区毎に業者が決まっていて、全部で19業者となっていました。(1994年当時)
 保守点検業者は数が多すぎて、保守点検料の値引きによる顧客の取り合いがあり、安くして点検の手抜きをする業者もいるため、これ以上増やさないようにしているということでしたが、ネツコーを設置してからの経験から、管理の質をいかに向上させるかは悩みの種ではないかと思えます。(維持管理についてはまた後で書きます。)        つづく
 

3.ネツコー工場見学(1999年7月2日記)

 浄化槽の設置届を出す準備を進めながら、これから設置しようとしている合併処理浄化槽が一体どんなところでどのように製造されているのか知りたく、またすでに設置されているネツコーの合併槽がどのくらいきれいな処理水を出しているのかも見てみたかったため、松山で最初にこの浄化槽を設置しようとしていた古茂田さんと2人で、1993年4月に工場見学に行きました。実際に製造しているのは強化プラスチック(FRP)でボートや漬物樽を作っている小さな下請け業者でした。工場は人家から離れた山の上にあり、製造方法は、浄化槽の型枠の上にシート上のグラスファイバーを有機溶剤で接着するという工程を4回繰り返すというやり方でした。一般的な浄化槽は型枠の上にFRPを吹き付けるというやり方で、価格を安くするために仕上がりが全体的に薄かったり、部分的に特に薄いところがあったりするとのネツコーの説明でした。しかし、揮発性の有機溶剤が労働者の健康に害を及ぼさないよう、工場には大きな換気扇設備があり、また工場が山の上にあるのも、揮発した溶剤が公害として住民に嫌がられるからだとのことでした。有機溶剤は電子部品工場から排出されたものが地下水汚染を引き起こし全国的に問題になった物質です。下水処理のためにはいろいろな観点から意味のある合併処理浄化槽も、製造現場では労働者にも環境にもそれなりに負担をかけていることを認識しました。
 工場見学の後、実際に設置されている家庭の浄化槽を二基見学させてもらいました。一つは設置後数年経過しているとのことでしたが、ばっ気槽上部に黒い汚泥が少し見えていたものの、透視度は1メートル以上ありました。清掃は設置してからまだ1度もしていないとの説明でした。もう一つは設置後1年以内(?)で、やっと処理が安定してきたところだったように記憶していますが、ここも透視度は1メートル以上ありました。
 後で分かったことですが、見学した浄化槽にはばっ気槽が二つありましたが、ネツコーが認定をとって厚生省補助制度の対象製品として販売し、松山に送られてきた槽はばっ気槽が一つになっていました。価格と処理性能のバランスをとって少しでも売れやすく(普及しやすく)したのでしょうが、見学時に構造上の差を説明しなかったネツコーは誠実さに欠けると感じたものです。勝手な推測ですが、メーカーにしてみれば、「石井式」なるものに取り組んではみたものの、当初宣伝されていたような「安くて性能抜群」とはいかず、価格を落とさなければ売れそうにないことが分かってきて、少し性能を落として安くし、販売競争で有利にしようと考えたのではないでしょうか。このこと自体は別に責められるべきことではありませんが、見学槽と販売槽の構造上の違いを黙っていたというのはいただけませんでした。                  つづく
 

2.メーカーとの交渉(1999年6月25日記)

 ネツコーの合併処理浄化槽を設置するためには、まずメーカーとの交渉が必要と考え、電話で設置したい旨を伝えました。担当の上野部長さんが、直接会って話しをしたいということで、1992年12月頃(はっきり覚えていない)来松し、その時設置を希望していた4人で会いました。細かい内容は忘れましたが、運搬方法や価格を聞き、「契約書」なるものに住所,氏名を書いたことは覚えています。あまりに性急な「契約書」へのサインでしたが、後に1名は他のメーカーの浄化槽を設置することになった時も、ネツコーからは何のクレームもありませんでしたから、とりあえず設置希望者の住所、氏名を知っておく、くらいのものだったようです。後で考えると「契約書」という、常識的にはきちんとした約束ごとの証明になるようなものの使い方が安易であったことは否めなかったと思います。ネツコーという会社の体質を表す最初の出来事でした。上野さんには、浄化槽設置後のさまざまなトラブルの対策および浄化槽の稼動状況を知ってもらうために、この時以降4度松山に足を運んでもらうことになりました。                                        つづく
 

1.はじめに(1999年6月18日記)

 今ではすっかり忘れ去られた感のある「石井式個人下水道(合併処理浄化槽)」ですが、10年ほど前には、処理水が非常に(ピカピカ)きれいになる浄化槽としてマスコミに大きく取り上げられ、生活排水浄化、河川浄化に関心をもつ多くの人が何とか自分の家に設置したいと思う状況が生まれていました。このページを読まれている方の中には今でも「石井式」に強い関心を持たれている方もおられることと思います。

一般の合併処理浄化槽と比べて、この「石井式」と呼ばれる浄化槽の特徴は

・ろ材(汚れを浄化する好気性バクテリアをその表面に繁殖させるため、ばっ気槽内に充填されている接触材)にヤクルトの空容器(またはそれに似たもの)をしようしている。
・流量調整装置(一度に大量の汚水が流入しても、ばっ気槽には少しずつしか汚水が入ってこないようにする装置)がついている。
・浄化槽の容量が同じ人槽でも他のタイプのものより大きい。(または、嫌気槽にろ材が充填されていない。一般の合併槽は全体の容量を小さくしたりするために、嫌気槽にもろ材が充填されている。設置場所が狭くても設置できるし、工事費や運搬費が安くなるなどのメリットがある。)

というものでした。これらの特徴のため、他の浄化槽と比べ処理水がBOD1ppmレベルにまできれいになり、透視度は1m以上であると宣伝されていました。合併処理浄化槽そのものの処理水の基準はBOD20ppm以下、透視度30cm以上ですから、この「石井式」がいかに高性能かわかります。

 さらにこの「石井式」は維持管理をほとんどしなくても、設置しさえすればいつまでもきれいな水が出るし、費用も安いという情報も流されていましたので、そんなに良いものならどんどん売れるはずだし、国も下水道整備だけに巨額の税金を使うのではなく、積極的にこの浄化槽の普及も進めるべきだという意見も盛りあがりを見せていました。

 しかし、現実にはこの「石井式」は建設省の認定を受けていませんでしたので、公的機関に設置届を出さずに勝手に設置する以外、設置することはできない状況でした。ましてや1987年度から始まった合併処理浄化槽設置への国の補助金制度を利用して設置することなどとてもできないという悩みもかかえていました。

 「石井式」への期待を高めるきっかけとなった「下水道革命」という本が出版されてしばらく立った1989年7月、その内容の真偽について技術的・専門的な視点も含めて、「月刊 水情報」誌上で1年半にわたってDEBATEが行われました。

 このDEBATEを読むうちに、「石井式」は宣伝されたほど理想的なものではないけれど、他の浄化槽より性能は良さそう、ということで、結局自分で設置してみることにしました。

 管理のノウハウも知っておきたいと思い、1991年には浄化槽管理士の資格もとり、また1992年度から松山市も合併処理浄化槽設置への補助制度を導入し、さらに同じ年に関西のネツコーという会社が「石井式タイプ」の浄化槽の建設省認定をとったという情報を得て、具体的に設置の手続きを始めました。

 このような経緯でネツコーの合併槽設置の動きを始め、現在までに松山市内に5基を設置しましたが、その間クリアーすべき難問が次から次へと発生し、何とか解決してきましたが、管理の点では今も悩みをかかえています。世間では「石井式」はすっかり忘れ去られた存在となり、他の地域での情報もほとんど入ってこなくなりました。

 また1999年4月からはネツコーの都合で松山ではこの浄化槽を設置することはできなくなりました。理由はこの連載のしかるべき時に書きます。

 というわけで「石井式タイプネツコー式」合併槽設置にあたって経験した問題点と感想を記録しておくことにしましたので、興味のある方はお読みください。

(注)「石井式タイプ」を製造しているメーカーはネツコーだけではなく、いろんなメーカーが少しづつ構造などが異なる「石井式」を製造しているようですが、詳しくは知りません。ここに書いてあるのはあくまでネツコーのケースです。
                                                        つづく