《テーマいろいろ・パート2》

◎米
  近年では、8月末には、早場米と称して新米が市場に出荷されています。日本人に主食として欠かせないお米でありますが、過去には、豊作、不作の年が繰り返され内地米と食味が似ているアメリカからの輸入米にも人気がでてきているようです。いままで過剰生産、不作により幾多の出来事を乗り越え今日に至っています。長いあいだ主食であるがゆえに政府の管理化に置かれ保護政策から食管赤字を生みだしたり、世の中が安定してくると今日では自主流通米とし政府を通さずに販売できるようになってまいりました。豊作が続き、国民の主食の多様化により、米離れが進み過剰米を多く抱えるようになり減反制度が取られることとなったのです。その後冷害からの不作により平成5年の外米の緊急輸入備蓄米制度がありました。高度成長時代の昭和40年代に脚気の多発、飽食、ストレスの影響でしょうか、最近の健康志向で米飯学校給食が始まり、発芽玄米(発芽米)、ギャバ、米麹、米ぬか油、玄米胚芽油と健康によいといわれる成分が見直されています。色々と話題の多いその米について調べてみることと致しました。

  イネ科、原産地は、熱帯アジア、インド周辺といわれており栽培の日本の歴史は、紀元前1000年にもなるといわれ中国、朝鮮を経て伝来したものと思われます。
米をコメと呼ぶのは、米が弥生時代に日本に伝来される以前に、日本に全国的に自生していたイネ科の植物・マコモのコモから転化した説が有力ですが、中国ではマコモを菰(こ)や菰米(こべい)とも書き米の語源ともいわれます。こみ(小実)とか、こめ(小目)などという説もあります。米は、普通の人が食べるというより、儀式で多く使われる時代もあり、何か神聖なものがこめられたものといった意味も考えられ「こめ」という言葉は、籠める(つめる、入れる)という動作をあらわしたものではないか、という説が主流になっています。

  世界の米の生産量の多くがアジアで産出され主食として重要な位置を占めているのです。日本でも主食(ご飯85%)として主に用いられ、他に酒造(4%)、種子(1%)、加工食品(菓子、ビーフン、上新粉、白玉粉、餅、煎餅、八つ橋、五家宝、膨化米7%)、味噌、酢(1%)、飼料用に使われます。米ぬかが油脂、ビタミンB剤原料、漬物、飼料、肥料に当てられています。
 
  日本では、おおよそ4月下旬から5月上旬にかけて発芽力の強い種子(もみ)である比重の重いものを選んで消毒、水に浸し苗代にまきます。5月下旬から6月中旬までの梅雨の時期に本田に移植、田植えが行われるのです。8月に穂が出始め開花、結実し稲穂の垂れる高さ1mに達し受精し子房が肥大した頃の籾米(籾殻20%、玄米80%:糠8%〈胚芽3%〉、精白米92%)の収穫期は、二毛作もありますが一般に9月下旬から11月上旬刈り取りが行われその後1ヶ月ほど乾燥させ貯蔵には籾殻をつけたまま、または脱穀し玄米として保存されます。早いところでは9月より11月初旬には新米が出荷されています。玄米より糠の部分を取り除く割合によって歩留まりと称し玄米を100として7分づき米(糠を75%とって歩留まりは、94%)、5分づき米(半つき米、糠を50%とって歩留まりは、96%)、白米(糠を100%とって歩留まりは、92%)が得られ、酒造用の米は歩留まり75%jまで削られます。精白して食用とするようになったのは江戸時代以降といわれます。
 世界で小麦についで生産量があり栽培種は、1000種以上といわれており、大きくは、インデイカ米(インド型、細長くぱさぱさした感じ)、ジャポニカ米(日本型、小粒で丸みがあり粘っこい)の2種に分けられます。特殊米とし古代米(赤米、紫黒米)、低アミロース米(うるちとモチ米の中間種)、高アミロース米、低グルテリン米(タンパク質難消化性)、巨大胚芽米、低蛋白米(酒造、腎臓食用)があります。水稲(すいとう、栽培の98%)と、陸稲(りくとう、収穫量が少ない、栽培の2%)は、植物学上同一のものとされます。餅米(栽培の5%)と粳米(うるちまい、栽培の95%)との差は糖質、でん粉75%程度であるがアミロぺクチンの含有量が餅米(100%、もち、赤飯、おこわ)と、うるち米(80%、米飯、酒、味噌)で異なっているのです。

 栄養価は、精白米100gでエネルギー356kcal、水分15.5g、タンパク質6.1g、脂質0.9g、炭水化物77.1g、灰分0.4g、ナトリウム1mg、カリウム88mg、カルシュウム5mg、マグネシュウム23mg、リン94mg、0.8mg、亜鉛1.4mg、銅0.22mg、マンガン0.80mg、ビタミンA:(0)μg、ビタミンD:(0)、ビタミンE:0.2mg、ビタミンK:0μg、ビタミンB1:0.08mg、ビタミンB2:0.02mg、ナイアシン1.2mg、ビタミンB6:0.12mg、ビタミンB12:(0)μg、葉酸12μg、パントテン酸0.66mg、ビタミンC(0)mg、食物繊維0.5gを含みます。
精白米47gの米飯100gでの、タンパク質2.5%、炭水化物37.1%で、アミノ酸組成は、スレオニン、トリプトファン、リジン、含硫アミノ酸に欠ける(アミノ酸スコアでは、リジン、スレオニンが不足し65)が他の穀類と比較すると良好で日本人の貴重な蛋白源となっていました。最初のビタミンが、1910年鈴木梅太郎博士により米糠から発見されたビタミンB1(オリザニン)であることは有名です。ビタミンB1は、糠43%、胚芽24%、胚乳33%として含まれます。玄米と精白米を比較すると蛋白質1/3、脂質1/2、ミネラル、ビタミン類の多くが糠として取り除かれ、精白米ではでん粉質の含量が増加することになります。胚芽部分には栄養価値が高く胚芽を残して精白する方法が研究され東南アジア、中近東の原住民が常食としているパーボイルドライス、コンバーテッドライスは、籾米を蒸すので糠からのビタミンB類が胚乳に移る部分があるので白米にしてもビタミンB類の含量が多くなります。
2011年3月11日に発生した東日本大震災より福島第一原発の事故で長年に渡って放射性セシウムの米への取り込みが懸念される事態となってしまいました。放射性セシウムは、カリウムと似た性質があります。
 今まで飼料とし処分されてきた米糠、胚芽、そして新たに発芽のパワーが秘められる発芽玄米、ギャバ健康食品として登場しています。米の加工食品と共にその人気の秘密に迫ってみたいと思います。

強化米 きょうかまい
  日本では主に白米に水に難溶性のビタミンB1(Di-Benzoyl Thiamin:ジベンゾイルサイアミン)、グルタミン酸ナトリウム、酢酸などの溶液に漬け、中和し蒸気で加熱後乾燥させた米粒でビタミンB1を1gで1〜1.5mg程度含み精白米に混ぜ利用される。成人の所要量は、1日に1mg程度とで160g(200cc:1カップ)で1g使うことで賄(まかな)える。色が黄色にみえるのは、ビタミンB2によるものです。ほかにビタミンB2、カルシュウム、アミノ酸等の栄養成分を添加し強化したものがあります。

胚芽米 はいがまい
  胚芽米は、穀類の種子の発芽する際に必要な栄養素(蛋白質6.5g、脂質2.0g、灰分0.7g、ビタミンB1:0.23mg、B2:0.03mg、B6:0.22mg、E1.0mg、食物繊維1.3g/100g中)などの含有量が精白米(エネルギー356kcal、蛋白質6.1g、脂質0.9g、灰分0.4g、ビタミンB1:0.08mg、B2:0.02mg、B6:0.12mg、E0.2mg、食物繊維0.5g/100g中)に比較して多く、胚芽は、栄養価の高い部分です。胚芽米は、昭和2年に国民病と言われていた脚気の治療に利用するために採用された精米といわれます。昭和40年代に脚気が再発し出したのをきっかけとして今までの胚芽米に改良を加えて精白米に近い胚芽精米の開発がされたものです。
 その胚芽の部分をできるだけ残し精米したものが胚芽精米として胚芽米の過程を得て登場しているのです。昭和52年に当時の食糧庁がその規格を定めました。胚芽保有率(粒数)80%以上、胚芽重量2g以上/100g等とし、賞味期間は、夏場で冷暗所保存で半月、冬場は1ヶ月です。胚芽が籾殻の状態では、3%であるものを胚芽精米は、2%以上になるように定められています。洗米しなくていい様に除糠(じょこう)し不淘洗米(ふとうせんまい:といで洗う必要のない米)としていますが吸水が遅いので精白米の炊き方より少し異なります。

発芽玄米 
 玄米は、白米に比べてビタミン、ミネラル、食物繊維が多く栄養価は高いのですが、ぽそぽそとして噛み応えがあり食感、食味、消化、吸収(精白米飯:タンパク質88.8%、脂質91.6%、玄米飯:タンパク質69.2%、脂質80.3%)が悪く敬遠されてきました。最近では発芽玄米は、玄米よりも更に有効成分を引き出すとし、発芽米と称して玄米を水につけて1mmにも満たないぐらいの発芽をさせその眠っていたエネルギー、栄養価を引き出した米が店頭に並ぶようになりました。以前から知られていましたが、保存状態がよくなく、カビの発生、取り扱いが不便な事もありあまり普及しませんでした。発育の為の養分が絡み合ってより有効な成分が見出されるというものです。発芽米からはギャバ(ガンマーアミノ酪酸)が、降圧作用に関係してきていることがわかっています。2001年より製品化にこぎつけ食味もよいというが白米に1/3程度混ぜたものの方が食べやすいとし又シリアル、クラッカー、発芽玄米パンの加工品も随時発売されています。市販の玄米の中には、食べやすく少し膨化、α化米とし食べやすく加工されているものもあるようです。家庭でも玄米を必要量の玄米を白米を炊く1日(24時間)以上前に吸水させ置くと発芽玄米ができますのでやってみてもいいですね。

ギャバ(GABA)

  動植物に含まれるアミノ酸です。玄米や雑穀の胚芽部分に多く含み発芽によって玄米の3倍、白米の10倍ともいわれます。グルタミン酸から生成される神経伝達物質であるギャバ(γーアミノ酪酸:アミノ酸)は、中性脂肪の抑制、高血圧予防、肌荒れ(しみ、しわ)、ストレスの改善、血流改善、脳細胞の代謝促進、更年期障害、老化防止によく身体の不調を整える作用があります。

米糠 こめぬか
  米糠は、玄米を精白米にするときに得られる米粒の外皮、粉砕物であり、精米の度合いによって米ぬかの成分が異なります。ビタミンB1(2mg/100g)、E、脂肪(15〜20%)、ミネラルを含んで漬物の糠床にも使われますが多くは、油脂原料、飼料にされていました。米糠に20%もの油がを含まれますがリパーゼ、オキシターゼを含み酸化されやすく、また精製されにくいのですが、日本で唯一の国産植物油として貴重な存在です。油の中のγーオリザノールが老化防止、精神安定に用いられ、そして美肌効果に役立つとし洗顔、洗髪用洗剤に利用されます。米糠に含まれるフイチンは、Ca,Mg塩のかたちで(7〜8%)含まれ他に豆類、フルーツ類にも含まれていますがビタミンD、Ca.Mgの吸収を妨げる有機リン酸化化合物とされています。人体では消化されずそのうえ、ほかの食品に含む鉄、Caと結合し不溶性にし利用されなくしてしまう性質を持っているのです。米糠の酸化は早いことから、加熱処理(リパーゼの破壊)を迅速に行い米糠油の製造が行われています。食用として精製(ろ過、脱酸、脱色、脱臭、脱ろう、加熱)されたものの不けん化物(ビタミンE、ステロールなど)は、3%程度と普通の植物油1%より多く胚芽部分に特に多く含まれます。口当たりがよいですが、加熱に弱く酸化されやすく大豆油と比べ多価不飽和脂肪酸(αーリノレン酸)が少なくなっています。

胚芽油 はいがあぶら

  おもに、米糠油、、コーンオイル、小麦胚芽油がありますが穀類の胚芽(種子中で米3%、とうもろこし10%、小麦2%)より搾油されます。いずれも精白米、コーンスターチ、小麦粉と共に得られ発芽のために大切な養分がたくさん詰まっているところで、特に抗酸化作用(油の安定性がある)のあるビタミンE、植物ステロール(血中コレステロール値を上昇させない)の含有量が多く健康食品としても使われます。


  上新粉は、うるち米を水洗いし吸水、生乾きのものを粉にしたものでだんご、すあま、まんじゅうなどの和菓子に利用されます。
 白玉粉は、もち米を原料とし以前は、寒中に作られていたことから寒晒し粉ともいわれていた。現在は、餅米の砕け米を利用し水ひきを繰り返し乾燥させて製造されています。口触りが滑らかで餅菓子、お汁粉、ぎゅうひに用いられます。
米粉が1990年ごろから舌触りと滑らかさをだす微細製粉(60〜70ミクロン程度で一般的な小麦粉と同程度)技術が開発され、さらに小麦粉の値上がりで価格差も縮まってきていることから広がりを見せています。

米麹 こめこうじ
  
蒸した米に麹菌をよく混合、温度30度、湿度96%以上で胞子の発芽、繁殖させて製造されます。甘酒(老麹〈ひねこうじ〉として糖化の強いものを製造、菌糸を長くしたもの)、味醂、清酒(若麹〈わかこうじ〉で、うるち米、大粒の軟質米、精白度2割〈歩留まり70%〉で真っ白で固くて芳香の高いものを製造、白米18Lより32.4L)、焼酎、酢、味噌の原料とし利用されます。米麹を使って麹漬けの漬物として、べったら漬け(大根)、にしん漬けがあります。米麹にも含むコウジ酸は、細胞を活性化させ、抗菌、抗酸化作用が腸内細菌の環境を整えたり、育毛、養毛剤として、メラニン色素を抑制することから美容美白に化粧品としても使われましたが、コウジ酸そのものは、発ガン性が動物実験で肝臓がんの疑いが持たれ食品添加物として02.12月より使用禁止になりました。03.3月には、医薬部外品、化粧品への製造、輸入が禁止されました。酒、味噌に付いては、伝統的食品であり、その濃度が微量で急性・慢性毒性的に害を及ぼすものではないとしています。
 甘酒(粥と米麹同量)は、米(5分粥)を米麹のアミラーゼ(60度で10時間:指を入れて5秒)で分解、澱粉→デキストリン(部分的加水分解物)→麦芽糖→ブドウ糖まで分解、甘みを生じさせます。出来上ったものを加熱殺菌しておくと腐敗を遅らせることができ、麹菌からのαーアミラーゼ(でん粉分解酵素)により消化吸収のよい状態になります。
 清酒は、米麹、蒸し米、水を混合、乳酸、清酒酵母を加え、乳酸の酸性のもとで雑菌の侵入、汚染を防ぎながら麹の酵素により米の成分が分解され、酵母の栄養源が生成され清酒酵母の増殖を促し酒母のもろみとし、数回に分け仕込みが行われアルコール分18〜20%に熟成させ圧搾、低温殺菌の火入れがされ規格に合わせ調合、ろ過、火入れ、瓶詰めされ出荷されます。

  近年ブランド志向の強まりから、米の偽装表示が見うけられ品質表示基準(品名、原料玄米〈産地、品種、産年、使用割合〉、正味重量、精米年月日、販売者又は精米工場名)は、全ての販売業業者が守らなければなりません。表示が適切であるかどうか、表示と内容の一致について、認証機関、都道府県指定の組合で内容との一致の確認、検査がされます。平成13年(2001年)4月1日より認証(産地、品種、産年表示)、確認された袋詰精米は、任意表示で「JAS法に基づく表示」となりました。ですが偽装表示があとを絶たないようですね。新潟県産「こしひかり」と表示しながら実際には、半分以上を異なる産地、品種が混入されて摘発、公表がありました。早くも今年(2003年)は、特に米の不作から抜き打ち検査が10月より行なわれ30%にも及びこしひかりにほかの品種の米を混ぜていながら100%こしひかりとして販売されていることが報道されました。

 日本でも紀元前より栽培され、貴重な食糧の座を守ってきた米、現在でもその位置は、変わらないようです。精白する事により、失われた栄養素を他の色々の食品を組み合わせて取るか、玄米に近い形にして効率よく栄養素を取り入れるか主食だけで全ての栄養が満たされるわけではなくそれぞれの持つ食品の特性を知って食生活に生かして行くことが大切なことのように思うのです。  


   (初版03.10.18 更新2011.12.8 記載者:村上京子)



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