◎下痢症の食事療法
 今の梅雨の時期、暑さに向かい食中毒になったりして、胃腸の調子に異常をきたす機会が多くなってまいりました。7月に胃腸の調子の不調を訴える人が一年のうちで最も多く発症しているのです。海外旅行者の半数が下痢をするともいい、海外へ、国内でも外出する機会が多いかと思いますが、なれない土地での飲食物に注意が必要です。
下痢は、体内に細菌、毒物が入ること、腸からの消化、吸収がスムーズいかなく糞便中の水分量が泥状(水分80〜90%)、水様便(水分90%以上)であることをいい急性下痢と慢性下痢があります。一般には、量、回数が増えることが多いですが回数が少ないこともあります。

 急性下痢の要因としてあげられるものは、感染症のものと非感染症のものとに分けられますが必ずしも厳密な区別とはなってません。主に大腸、小腸に炎症がある場合が多く臨床的症状につけられた名称で現在では、その原因となる病状の診断をするようになっています。原因がはっきりしない場合、発病初期段階では、対症療法がおこなわれます。
感染症の下痢として細菌、ウイルス、原虫による下痢があり感染性胃腸炎と呼ばれ、非感染性下痢とし重金属、薬物からの中毒、抗生物質による腸内細菌のアンバランス、放射線障害、寒冷、物理的刺激、食物の量、質的による暴飲暴食、アレルギー、ストレスなどによるものがあります。悪心、おう吐、急性腸炎を伴ない腹痛の程度は鈍痛(どんつう)、疝痛(せんつう:激しい痛み)とさまざまにあります。食欲不振、脱水より口渇、電解質(ナトリウム、カリウム、クロール)の喪失により倦怠感があり重症になると虚脱(きょだつ)の状態に陥ることもあります。発熱を伴なうこともあります。
 冬季に多い子どもの下痢としてロタウイルスRotavirusによる小児胃腸感染症が最近多くなっています。生後6ヶ月以上の乳幼児に発症がみられおう吐、下痢(乳白色すい様便)があり重症になると発熱、痙攣(けいれん)、脱水症状を起こします。小児は容易に脱水症状に陥りやすいので注意が必要でありまた精神的ストレスに対するケアも重要視されます。軽症の場合は、3〜7日で軽快に向かうといいますが幼稚園、保育園での集団発生することもあります。ときに乳糖不耐症になることもありそれに対応したミルクが必要です。脱水には特に注意が必要でミネラルウォターの薄めたものを与えるなどの対応が大切ですが様子を見て信頼できる医療機関に受診することをお勧めします。

小腸に働きに原因がある場合は、比較的軽いですが重症時には高熱がでます。大腸に原因がある場合には、発熱はあまりありませんが裏急後重(lりきゅうこうじょう:しぶり腹)という頻繁に便意をもよおしますが排便がないかあっても少ないことが続きます。粘液便、時には血液、膿が付着していることがあります。
 一般には、4、5日で回復に向かいますが2次感染予防に努め発症初期の適切な対応が望まれます。

長期にわたり下痢が続くものとして
吸収不良症候群
 何らかの原因によって小腸からの消化、吸収が阻害されうまくいかなくなって長期にわたり胃酸分泌不足、消化不良、水分吸収阻害(そがい)により下痢を起こし、栄養の確保ができない状態を総称して吸収不良症候群と呼んでいます。おもな要因に胃、小腸広範囲切除、消化管手術、乳糖不耐症、膵炎(消化液の分泌が阻害される)、閉塞性黄疸(胆汁分泌が阻害される)、糖、たん白質、脂質、ビタミン、ミネラル、水分の吸収不全があります。症状は、やせ、発疹、皮膚炎、眼精疲労、口内炎、口角炎、貧血、痙攣(けいれん)などがあり、やはり精密検査を行なった上で原因となる疾患を見極め治療方針を決めます。病状、症状をみながら非経口栄養法(成分栄養、濃厚流動食)から始められ絶食の期間を経て流動食からゆっくりと迅速に段階をへて量を増やし半流動食、固形食へと慎重に進めます。症状により抗菌剤、消化酵素剤が用いられます。標準体重、良好な栄養状態維持に努め少量で消化吸収のよい非経口栄養法と並行し普通流動食を取ることも重要です。初期に脂肪の吸収状態が悪いので中鎖脂肪酸(MCT)を用いることもあります。
 非経口栄養法でも最初は下痢しやすいですので少量を微温湯で希釈し徐々に慣らしながら量を増やし普通の状態の濃度にもっていくようにします。
乳糖不耐症では、少量ずつ飲む。ヨーグルト、低脂肪乳に変えたり、乳糖分解酵素の添加されているものを利用するようにします。

過敏性腸症候群
 精神的要因、ストレス、甲状腺機能亢進症などが影響すると思われ、腸管の緊張、運動亢進によるもので腸に特に明かにされる器質的な異常がなく副交感神経系に緊張状態が続き腸管にも影響を及ぼすのです。運動亢進により下痢、痙攣(けいれん)、収縮し便秘、また多くみられるパターンは下痢と便秘が交互に表れる場合です。
 下痢は、突然の腹痛から始まり粘液便とともに排泄されれば治まることもありますが時には症状が激しく何度も腹痛とともにトイレに駆け込むこともあります。胃にも影響を及ぼし食後すぐに排便をもよおすこともあります。
 薬物療法が行なわれることもありときには、ポリープ、がんの存在も考えられ精密検査を受けておく必要があります。食事療法は、一般に普通食としています。食物繊維の少ない食事は、便量が少なくなり腸管の緊張状態が続きます。便秘があるようでしたら繊維質を少し多めに取るようにした方がよいでしょう。水溶性食物繊維(ペクチン)は水に溶けて粘着性を持っていて水分を保水することから適度に利用できます。

炎症性腸疾患
 原因のはっきりしないものにクーロン病(消化管、腸管壁の潰瘍が外側まで進行していく)、潰瘍性大腸炎があります。原因が明らかになっているものには、アメーバ−赤痢、腸結核、大腸ガンなどがあり、どちらも頻繁に腹痛、下痢、粘液があり粘血便、発熱があることもあります。精密検査を行ない病名の確定がはかられ治療方針を決めます。栄養療法、抗菌剤が用いられます。

 食事療法は、発熱期、下痢をしている場合など絶対安静とし経過を見ながら慎重になるべく早く普通の食事がとれるよう、絶食期間を出来るだけ短くします。医療機関受診の初期には、非経口栄養療法をおこなうこともありますが、脱水症状(口渇、倦怠感、頭痛、めまい、おう吐、意識障害)が起こりやすく家庭では水分、薄めたスポーツドリンクもよく、電解質(ナトリウム、クロール、カリウム)の補給を充分におこない、なるべく早く病状、状態を見ながら水分、エネルギー、タンパク質、ビタミン、ミネラル類に配慮された消化、吸収のよい食事を順次増やしていきます。
食事を進めていくための要点、ポイントとし感染症と重複になりますが
 食料構成については、感染症の食事療法に記載してありますのでご覧下さい。流動食からの献立を順を追って紹介してあります。症状を確認しながら進めてください。
                                                流動食献立表へ            (初版2004.6.18 記載者:村上京子)    
                              
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