《テーマいろいろ・パート2》

◎冷凍食品
 食生活が豊かになって時期はずれのものでも冷凍技術、フリーズドライ製法、ハウス栽培技術の向上によって手軽に利用できるようになりました。冷凍食品が本格的に製造されるようになったのは、昭和34年(1959年)頃からといわれます。今回は、冷凍食品について製造の仕組み、どのようなものがあるのか、上手な使い方、知られていない食品添加物について調べてみることとしました。
食品衛生法では、「冷凍食品とは、製造し、又は加工した食品(食肉製品、魚肉ねり製品、並びにゆでだこを除く)及び切り身又はむきみにした鮮魚介類(生かきを除く)を凍結させたものであって、容器包装に入れられたものをいう」と定められています。冷凍食品の保存温度は、衛生学的な観点(微生物の増殖可能温度)及び保存基準設定当時(昭和44年)の実行可能性を考慮し−15℃と設定しています。JAS法では、品質表示基準で特に保存温度は限定されていません。 ただし、調理冷凍食品のJAS規格で、Codex規格(急速冷凍食品の勧告、国際加工取扱規範(CAC/RCP8-1976))に準拠して、品温(食品の温度)を−18℃以下と設定しています。
冷凍食品の成分規格では3種類に分類されます。
  1. 無加熱摂取冷凍食品として加工製造された冷凍食品が飲食に供する際に加熱を要しない食品。一般細菌数検体1gにつき10万以下、大腸菌群は、陰性でなければなりません。
  2. 加熱後摂取冷凍食品として加工製造された冷凍食品が飲食に供する際に加熱を要する食品。凍結直前加熱したのは、一般細菌数検体1gにつき10万以下、大腸菌群は、陰性。凍結直前加熱以外は、細菌数検体1gにつき300万以下、一般大腸菌群は、陰性でなければなりません。
  3. 生食用冷凍鮮魚類として切り身、むきみとした鮮魚介類であって生食用のものを冷凍させた食品。一般細菌数検体1gにつき10万以下、大腸菌群は、陰性でなければなりません。
を成分規格とし定められています。

 冷凍食品は、日本標準商品分類により4つの要素から成り立っています。1.前処理をほどこしたもの  2.急速冷凍されたもの 3.-18℃以下の品温保たれている 4.一定の規格に基づいた包装であるものとしています。
 昭和50年(1975年)以前は、-15℃以下となっていましたが、それ以降-18℃以下で流通すべきであるとのことが決定されました。多くの食品は、-5℃以下で腐敗微生物、自己消化酵素の活動の停止、水分の80%が氷結、酸化速度の遅延によって貯蔵性が高くなることが知られています。流通経路、輸送、保管に際し-18℃以下であることが望ましいとされるのです。理想的には、-20〜-30℃、凍結温度としては、-40〜-80℃で急速冷凍がよいといいます。:現在の冷凍方法では、-196℃の液体窒素を用いてする方法もあります。食品中の水分をできる限り細かな氷の結晶とすることが冷凍食品の品質を高めます。急速凍結は、最大氷結生成帯である-1℃〜-5℃前後の温度帯をできるだけ速く通過させることが氷結晶を細かくさせるために必要なのです。凍結速度が遅いと食品組織の中に大きい氷の結晶が細胞間にでき組織に傷をつけ破壊させ食味、風味を悪くし品質に悪影響を及ぼします。凍結が終わると酸化、冷凍焼け、たん白質の変性、水分の蒸発を防ぐことからグレースという薄い氷の膜を張らせたり、包装がされています。長期の保存には、必要に応じ再グレースが水通しをして凍結させる、又は噴霧されています。以前の冷凍食品が美味しくないというイメージは、緩慢(かんまん)冷凍で食品組織の中に大きい氷の結晶を作ってしまい解凍により旨みも一緒に流失していたことにも原因があります。

参考;チルド食品は、5〜-5℃ないし2〜-2℃前後の温度帯で保存され、冷凍品より新鮮さがありますが温度管理が難しい、日持ちが30〜45日と短いですが品質の安定性のあることから需要が増大しています。

 野菜、果実の多くは、1〜10分短時間の熱湯で茹でる、湯通し、蒸気で蒸し煮したりして酵素を不活性化(ブランチング、スコルディング)させています。湯通しによって加熱が均一に行なわれるのです。主目的の酵素の不活性化の他、除菌、洗浄、あくの除去、テクスチャー(質感)の向上がされています。溶液に塩化カルシュウム、リン酸塩を加え材料の硬さの調節、色調の保持がはかられることがあります。水溶性栄養成分(ミネラル、ビタミンなど)の流失がみられます。冷凍保存での細菌の発生は、見られません。冷凍貯蔵中に脂質の酸化は少しずつ進行し色彩的に生鮮ものとは色の退化が見られます。ブランチングにより70〜80%加熱されているので再加熱を要するものは、加熱し過ぎないように注意が必要です。
冷凍野菜は、じゃが芋、ブロッコリー、コーン、カボチャ、里芋など種類が多くなってきています。多くは、輸入品で占められて残留農薬の問題、栄養成分の変化(特にビタミンB群、Cの減少)があります。価格は皮むき、カットしてあって低価格で求めやすくなっていますが里芋などは皮むき、漂白がしてあるものもあり旨みに欠け、またよくみると知らないところで塩、砂糖、ショートニングが加えられたりしているものも見うけられます。

  乾物でフリーズドライ製法のものが多く見うけられるようになりました。凍結し水分を蒸発させるといいます。氷→水→水蒸気の変化ではなく氷→水蒸気になる氷の昇華(蒸発)で水溶性成分のミネラル、ビタミン、色、味、香りは、そのまま食品に残っているとされています。

解凍、調理のポイントは、一般に解凍後そのまま食べられるものは、冷蔵庫、常温に置いて半解凍の時が最もおいしく食べられるとされています。加熱を要するもので熱湯を通すものは、半解凍で火を通したほうがよいでしょう。

 魚肉、蓄肉では、貯蔵中に脂肪のおおいものは、油焼け、酸化し、たん白質の変性により硬化、スポンジ化し、水分が蒸発していきます。酸化、水分の蒸発を防ぐことからグレースという薄い氷の膜を張らせたり、包装がされています。むきえびのグレースが時として例えば内容総量250gとして正味重量が200gと記載されていることから50gの氷の膜となっています。ドリップ現象といわれる肉汁が分離するのを防止するすることから10%食塩水に短時間浸して処理することもあるのです。白身魚は、-30℃で貯蔵、刺身で生食されるまぐろなどの赤みを保つ必要のあるものは、-50〜-60で凍結され、-40℃で保存がされます。漁期が短期のもの、漁場が日本近海から遠洋漁業アフリカ、アラスカといった遠隔地で日本の漁獲物の40%が冷凍魚として市場に出荷されています。解凍後のものは、組織が軟弱になっていて、保水力が低下しているので傷みが早くなります。素材の冷凍品でありながら食塩、ph調整剤、調味料(アミノ酸)、酸化防止剤(ビタミンC)が使われているものも見受けられます。

 調理冷凍食品は、洗浄、切断、味付けし冷凍するもの、さらに加熱処理してから冷凍されるものとさまざまに登場してきています。揚げ物は、凍ったままでぬるめ(165〜170℃)の油に量を少しずつにしできるだけ油の温度が一定に保てるようにして揚げていくのがよいでしょう。一度に入れ過ぎると油の温度が下がりすぎべたべたになりやすいです。高温だと表面だけ焦げて中心がまだ凍ったままということにもなります。流通量は、素材(冷凍魚、野菜農産物)より調理食品(フライ、餃子、炒飯、おにぎり)の占める割合は、6、7割りを占めます。調理時間の節約、作るのが面倒、必要な分だけ使える便利さがあげられています。


冷凍食品の保存温度における貯蔵期間が現在一般に認識されているのは、アメリカ農務省で10年間に渡り研究したものが示されています。-18℃以下に品温(食品の温度)を凍結し製造されてから消費者に至るまで-18℃に保たれていれば、製造されたときの状態を維持しているというものです。調理冷凍食品についてもおおむね製造後1年を賞味期限・品質保持期限としています。家庭では開閉が頻繁で奥行きが浅いことから常に-18℃を保つのは困難と思われ保存は、1ヶ月程度が適当と思われます。最近の冷凍庫は、自動霜取りになっていてよいのですが冷凍室の霜は、冷却効果を弱めます。

資料van Arsder w.B.et al.;Quality and Stability of Frozen Foods,1969.
品目 野菜 果物 魚介類 蓄肉類 家禽類
アスパラガス ブロッコリー
ホウレン
ソウ
ピース
カット
コーン
カボチャ

人参
マッシュルーム アンズ
モモ(スライス)
ラズベリー
イチゴ
多脂肪
イセエビ
少脂肪
エビ(生)
ローストビーフ ローストポーク ロースト
貯蔵期間(月) -12℃ 4〜6ヶ月 6〜8ヶ月 12ヶ月 3〜4ヶ月 6〜8ヶ月 8〜10ヶ月 3〜4ヶ月 6ヶ月 6〜8ヶ月 4ヶ月 4ヶ月
-18℃ 8〜12 14〜16 24 8〜10 18〜24 18 6〜10 10〜12 16〜18 8〜10 8〜10
-23℃ 16〜18 24 36 12〜14 24 24 10〜12 14〜18 18〜24 12〜15 12〜15

 消費者の食品に対する安全性、健康への関心の高まり、食材に対する多様化により生鮮、加工食品の原産地、原材料名の表示が求められてきたことから食品表示制度の強化がはかられています。

生鮮食品表示基準
については、単に切断され冷凍されたものを含んで原産地表示が平成12年(2000年)7月1日より義務付けられています。
野菜、果物 国産は、県名、輸入品は、原産国
水産物は、加熱したもの、えび、たこなどは除かれています。国産は捕獲された水域の名称、水域の特定できない場合は、水揚げ漁港またはその県名、輸入品は、原産国または捕獲された水域の名称
畜産物は、国産は飼育地の属する都道府県名または一般に知られる市町村名、輸入品は、原産国名
を記載することが義務づけられています。

加工食品の原産地表示
平成12年より加工食品の原産国表示について 協議され「原料原産地の表示のあり方」に示されてきました。個別検査しこれまで8品目(農産物漬物、乾燥わかめ、塩蔵わかめ、塩干し魚類[あじ、さば]、塩蔵魚類[さば]、うなぎ加工品、かつお削り節、野菜冷凍食品)が平成13年(2001年)10月1日より平成15年3月1日までにJAS法に基づく品質表示基準が順次義務付けられております。
加工食品には、名称、原材料名、内容量、賞味期限、保存方法、製造業社名、所在地が表示されています。
 消費者は、生産者との距離感を感じています。中国、タイ、ニュージラント、アメリカからの輸入物が急増しています。安全、安心な食品を求めることから、益々表示に関する関心が高まっています。食品添加物、原産地表示、賞味期限などに目が向けられています。残留農薬、遺伝子組み替え食品の問題もあります。冷凍食品の素材とえどもただ単に凍結されたものでないこと、素材といえども加工されてるを知ってほしいしと思います。  


日本冷凍食品協会の統計によると、2006年の冷凍食品の国民1人当たりの消費量は、21.1kg。20年前の1980年代の9.0kgに比べ2倍以上に増えています。下処理や味付けなどが施されたものが多いため、忙しい家庭での伸びが大きく重宝されているようです。長期に保存可能でき簡単に調理できる冷凍食品は最近種類も増えています。ひと手間加えて活用すれば、メニューの幅も広がります。


(初版04.12.17 更新07.7.15 記載者:村上京子)



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