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《テーマいろいろ・パート2》

◎魚油 ぎょゆ
  
近年、EPA,DHAなどの魚油が健康に良いとして摂取が進められています。製品化される魚油は、油の多い鰯、さばなどの魚を煮て圧搾し得られています。新鮮な新しいものは、淡黄色で無色に近いですが、高度の不飽和脂肪酸が存在することから酸化されやすく褐色になりやすい性質があります。食用とされる魚類の脂質は、不ケン化物(石鹸にならずにエーテルに溶ける成分)が1、2%と少ないものとなります。アブラざめ類には、70〜80%もの多くの不けん化物を含み、炭化水素(スクアレン:酸素の影響を受けやすく不安定)が多く含むがこれは食用には適しません。これに水素を添加し、飽和炭化水素といわれるより安定した成分にしたものがスクワランで健康食品とし注目されています。魚油の多くは、不飽和脂肪酸(80%)が飽和脂肪酸(20%)の2倍以上で蓄肉の脂肪より不飽和脂肪酸を多く含みます。過剰摂取は、凝血能力の低下を招く可能性があります。ほかに少量のリン脂質(レシチン:脳の活性化)を含み主に魚卵、白子に多くなっています。人の体質と異なる油で排出されやすいようです。硬化油としマーガリン、ショートニング、石鹸に、健康食品(EPA、DHA)の原料にされています。
 魚の種類によって脂肪酸の組成はどのようになっているのか四季の代表魚といわれるもの最も季節を代表としている鰆(さわら:春)、鱸(すずき:夏)、秋刀魚(さんま:秋)、話題の鮪(まぐろ:冬)について調べてみました。
食品可食部100gあたりの脂肪酸量
魚の種類 脂質
g
脂肪酸g


















15:0






16:0






























|





















































































総量 飽和 不飽和
一価 多価
さわら 9.7 7.62 2.49 2.96 2.17 0.28 微量 0.05 1.58 0.51 0.10 0.08 0.43 2.03 0.08 0.05 0.08 0.05 0.14 微量 0.02 0.03 0.09 0.48 0.09 0.14 1.18 0.11
すずき 2.5 1.82 0.53 0.66 0.63 0.07 微量 0.01 0.36 0.22 0.01 0.02 0.08 0.37 0.01 0.01 0.02 0.01 0.02 微量 微量 0.01 0.02 0.20 0.01 0.05 0.27 0.02
さんま 16.2 13.19 2.93 6.61 3.65 1.00 0.01 0.04 1.46 0.57 0.12 0.09 0.25 0.87 0.22 0.16 0.54 0.05 2.27 0.04 0.01 0.15 0.08 0.84 2.55 0.20 1.40 0.24
本鮪赤身 1.4 0.74 0.25 0.30 0.19 0.02 - 微量 0.14 0.03 0.01 0.01 0.07 0.18 0.01 微量 0.01 微量 0.04 微量 微量 微量 0.02 0.03 0.04 0.01 0.12 0.01
本鮪油身 24.6 20.12 5.29 9.10 5.73 0.80 0.02 0.08 3.12 0.89 0.24 0.18 0.99 4.16 0.30 0.18 0.40 0.04 1.57 0.06 0.02 0.14 0.16 1.29 1.97 0.28 2.88 0.30


 旬の魚には、それぞれに特徴があり寒い時期の魚は、油が乗っています。
鱈は、肝臓に油をため込んでいます。暑い時期を旬とする魚は、淡白なものが多い様です。市場に一般に見られる旬の魚に
春:さわら、とびうお、さより、にしん、あじ、ます
夏:きす、あゆ、すずき、カツオ、うなぎ、するめいか、あなご
秋:さば、かます、鮭、さんま、はぜ、きんめだい、かれい
冬:いわし、わかさぎ、はたはた、ふぐ、あんこう、たら、ぶり、まぐろ、ほっけ
などがあります。

魚類の一般的、魚肉の成分組成は、およそ水分60〜86%(標準71〜79%)、タンパク質10〜27%(17〜23%)、脂質0.5〜20%(1〜6%)、炭水化物0.1〜1.8%(0.1〜0.8%)、灰分0.6〜3%(1.0〜1.5%)の範囲内にあり、ビタミンCは殆ど含みません。血合い肉は、脂質が多くビタミンA、B1、B2、B12を普通の肉に比べ数倍から数10倍に達し栄養的価値が高いようです。魚は、季節により脂肪量に大きな差があり味も異なってくるので美味しい時期の旬のものを選ぶのがよいですが冷凍技術の発達により旬のものが冷凍され旬がわかり難(にく)くなっています。

 魚油は、常温で液体で血清コレステロールを抑制する効果があり、とくにEPA,DHAのn-3系の脂肪酸が虚血性心疾患、脳卒中などの予防に役立ちます。肝臓における脂肪分解の促進と脂肪合成が抑制されることによるものです。中性脂肪の合成は主に、ステロール調節する成分の結合タンパク質-1(SREBP-1)が関与、制御し脂肪合成に必要な酵素の遺伝子を調節することが解かっています。肝臓脂肪代謝の変化は、魚、魚油の摂取によって、その因子の量が減少することから、脂肪の合成が抑えられ抑制され脂質低下作用に大きく関与しているのです。

以前にリノール酸のコレステロール低下作用がいわれていましたが、過剰摂取することによって代謝されてアラキドン酸に変化し動脈硬化を促進しやすいことが知られるようになったのです。αーリノレン酸よりEPA,DHAが体内で合成もされています。

 健康食品として注目されているEPA,DHAについて詳しく触れながら、油脂の摂取の仕方などについて記載していきましょう。

エイコサペンタエン酸・EPA(Eicosa Pentaenoic Acid)えいこさぺんたえんさん
  青魚(イワシ、サンマ、サバ)の魚油に多く含まれる不飽和脂肪酸で血清コレステロール低下作用を持ち動脈硬化を予防し血栓症(心筋梗塞、脳梗塞)を防ぐとされる。グリーンランドに住むイヌイット(エスキモー人)に、デンマーク人に比べて血栓症の少ないことが知られていた。1970年代の調査によりアザラシ、クジラ、魚の海産物をよく摂取していることが調べられた。それらには、EPA(コレステロール低下作用)、DHA(脳の活性化)が含まれており血流改善に役立っていることが判った。酸化されやすいので新鮮なものを取る方がよい。西欧型の畜鳥肉中心の食事では、飽和脂肪酸が多く血清コレステロール値を上昇させ血栓を作りやすくする。バランスを保つことが大切なことであり、食生活の片寄りから最近は、青魚を多く取ることが奨励されている。鮭生100gで脂質8.4g、脂肪酸6.31g(EPA492mg、DHA820mg)を含むが健康食品の飲料とし100ml当たりEPA600mg、DHA260mg含有の製品が登場している。



ドコサヘキサエン酸DHA(Docosa-Hexaenoic acid:C22H32O2) どこさへきさえんさん
  脳、網膜、神経組織に多く存在して記憶能力の機能維持に必要とされる。鯖、ブリ、いわし、さんま、鮭など青身の魚に1.8g〜0.8g/100g中と特に本鮪脂身(とろ:2.9g/100g中)には多く含まれるn-3系脂肪酸に分類され多価不飽和脂肪酸として存在する。ドコサは22の意味、ヘキサは6の意味で、つまり、炭素数が22で二重結合を分子内に6個有するということ。DHAがαーリノレン酸(アブラナ科のナタネ油、くるみ油などに多く含む)より人体で合成されること分かっている。必須脂肪酸リノレン酸よりEPA(エイコサペンタエンサン)を経て合成され生理機能物質を作り出す。n-3系(魚油・植物油、リノレン酸・EPA・DHAなど)とn-6系(植物油、リノール酸など)のバランスがn-3:n-6=1:4とされることが望ましい。特に過剰摂取による副作用、他の食品との相互作用の報告は見当たらない。100g中でブリ生1.7g、まいわし生1.3g、真サバ生0.7gと魚油に多く酸化されやすいが脳の機能発達、活性化、抗がん作用、アレルギー抗炎症作用、眼精疲労、精神安定に大切な働きを持つ。中枢神経に働きかけ認知症(痴呆症)への改善の報告がある。血中脂質低下、血圧降下作用、大腸がん予防することが認められる。



n-3系脂肪酸 えぬさんけいしぼうさん
  
植物油に多いαーリノレン酸、魚油に多くみられるEPA,DHA,DPAなどが含まれる。日本人の平均的摂取量は、n-3系脂肪酸のうちαーリノレン酸が60%、魚油のEPA,DHA,DPAで40%程度摂取されている。虚血性心疾患の予防に関与する。食事摂取基準として18歳以上の目標量が2.6〜2.0g/1日以上と設定され人体に対する疾病の罹患に対する報告が無いことから上限値は設定されていない。n-3 系脂肪酸としC18:3(αーリノレン酸)、 C18:4(オクタデカテトラエン酸)、 C20:4(イコサテトラエン酸)、 C20:5(イコサペンタエン酸)、 C22:5(ドコサペンタエン酸)、 C22:6(ドコサヘキサエン酸)が知られる。



多価不飽和脂肪酸 たかふほうわしぼうさん(Polyunsaturated Fatty Acids)
  脂肪酸の炭化水素の鎖に二重結合のあるものを不飽和脂肪酸といい二重結合の数が二つ以上存在しているものをいう。メチル基の端から炭素が3個目の位置にあるものをn-3系(リノレン酸、イコサペンタエン酸、ドコサへキサエン酸等)、6個目の位置にあるものをn-6系(リノール酸、アラキドン酸等)脂肪酸という。大豆油(脂肪酸総量94.6g:リノレン酸7.9%、リノール酸52.7%、オレイン酸24.3%【一価不飽和脂肪酸、n-9系】)、とうもろこし油(脂肪酸総量93.7g:リノレン酸1.5%、リノール酸50.5%、オレイン酸34.7%)、ごま油(脂肪酸総量93.8g:リノレン酸0.6%、リノール酸44.8%、オレイン酸39.0%)、オリーブ油(脂肪酸総量93.8g:リノレン酸0.8%、リノール酸10.4%、オレイン酸75.0%)、まいわし(脂肪酸総量10.62g:リノレン酸1.0%、リノール酸2.6%、オレイン酸10.0%、EPA13.0%、DHA1.7%)、さば(脂肪酸総量13.49g:リノレン酸0.8%、リノール酸1.4%、オレイン酸26.5%、EPA9.0%、DHA13.2%)を含む。グリーンランドのイヌイットが脳梗塞、動脈硬化が少ないことから常食としていたアザラシが注目された。体内では、リノール酸からアラキドン酸が合成され、α−リノレン酸から EPA,DHAが合成される。この過程で働いている酵素が同じでありリーノル酸を多くとる食事に傾いているとリノール酸からアラキドン酸へ と代謝する方に酵素が使われ、EPA,DHAへの代謝が行われにくくなる。バランスの取れた摂取の仕方が必要とされる。日本人の食生活との兼合いよりリノレン酸、リノール酸は、必須脂肪酸でその摂取脂肪比はn-6/n-3を4:1とすることが適正だとされている。魚油(EPA【まいわし1.4%、さば1.2%】、 DHA【さば1.8%、まいわし1.1%】)に多く血栓を防ぐ作用を持つが酸化されやすい。


脂質 ししつ
  栄養学的には、油脂と脂肪、脂質のはっきりとした区別は、設けていない。エーテル(エチルアルコール、エタノール、酒精)にとけるものを一般に脂質として中性脂肪(脂肪)を油脂としている。常温で固体のものを脂肪、常温で液体になっているものを油脂とすることもあり定まっていない。油脂を加水分解すると脂肪酸(飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸)とグリセリンに分解される。人体で室温で液体でさらさらしているものは、固体のものに比べアシルコA、オキシターゼの作用を受けやすく燃焼されやすく脂肪がつきにくいとしている。揚げ物をしていて次第にからりと揚がらなくなってくるが、油が疲れてきた、腰がなくなったといわれ早くに酸化してそのような状態になる油を「腰の弱い油」という。「腰の強い油」は、長く揚げ物に利用できる。αーリノレン酸(n-3系、エゴマ油、魚油)は、不足しやすい油となっており、リノール酸(4):αーリノレン酸(1)の割合で摂取することが適正とされる。食物繊維、ビタミンB群が油の燃焼、吸収を抑える。
  
食品の目安として動物性食品、植物性食品、魚からの脂質を4:5:1の割合でとるのがよいとし食事摂取基準で示される総脂質の総エネルギーに占める割合(脂肪エネルギー比率)は、29歳までは30〜25%、30〜69歳25〜20%、70歳以上で25〜15%ととしている。
調理や体に入ってからの脂質の酸化変性は、多価不飽和脂肪酸より1価不飽和脂肪酸のオレイン酸の方が影響が少ないとされている。そのため、飽和(S):1価(M):多価(P)の比を2:3:2に近付けるように摂取するのが望ましい。


 魚油のEPA,DHAが、健康によいことが分かっています。本鮪脂身にはDHA(100g中で2.9g)ですが、なんと養殖ハマチの脂質13.1g/100g、EPA(1.5g/100g),DHA(1.7g/100g)、真鯛養殖の脂質14.8g/100g、EPA(1.1g/100g),DHA(1.8g/100g)とも多くなっているのです。天然のぶり脂質8.0g/100g(3訂成分表)、天然の真鯛の脂質3.4g/100g、EPA(1.5g/100g),DHA(1.7g/100g)です。
養殖のハマチ、養殖真鯛は、どのようにして育てられているのでしょうか。
養殖ハマチ 
  アジ科、回遊魚であるぶりが3、4月の初春に産卵し孵化(ふか)したところのモジャコ(ブリのこ)を捕らえて養殖が盛んに行われブリの幼魚(40cm)で、はまち(いなだ)が一般的な名称で呼ばれる。与えられる餌(いわし、あじ、こうなご)によって肉質の成分に違いが出てくる。1尾育て上げるのに7、8kg必要とされ1年ぐらいかけて1.2kgの30cm程度のハマチに飼育され出荷される。全国的に水揚げされる魚で刺し身、寿司ねた、照り焼き、塩焼きにされる。


養殖真鯛 
  タイ科、最近は、養殖物が多く出まわっており赤い色を保つ為に海底と同じ暗さにするのに黒の覆いをして日差しをさえぎる作業が行われる。鰯、鯵のすり身、魚粉を餌とし2〜3年で1kg前後になったものが出荷されている。旨みの主な成分は、イノシン酸(核酸)で死後も分解しにくく味がよく持続している。魚種により異なるが真鯛は、産卵が4〜6月なので冬に水揚げされるのを旬とし刺し身、酢の物、潮汁、塩焼き、鍋物、鯛ご飯、鯛茶漬けに利用される。



 養殖物の魚油の量、EPA,DHAの含有量が多くなっているものがあります。主な餌に鰯が使われています。物によっては、価格の安い養殖物のほうが、健康に良い成分を多量に含んでいることもあるようです。養殖によって本来の魚種による成分の違いにもまた変化が見られています。青魚に多く含まれるEPA,DHAといわれてきましたが、青魚を餌とする養殖物は、旨みがあって、健康によく、その上、価格が安くなっているようです。特に天然物にこだわることなく、衛生管理の行き届いた養殖物の魚もお勧めかもしれません。そして蓄肉類と異なり魚肉は、筋繊維が短く、組織が柔らかいことから生きた活魚(かつぎょ)、または死後硬直期間中のものを用いた方が歯切れ、味がよいようです。素材そのものの味を重視することから刺身、煮魚、焼き魚など単純な料理法が好まれています。
脂肪酸摂取比率は、飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸=3:4:3が望ましいとしています。摂取する脂肪を55gとすると16.5g:22g:16.5gになります。またn-6系と、n-3系の脂肪酸とからできるプロスタグラジン(生理活性物質)の種類の違いから日本人では、その比を不飽和脂肪酸n−6(リノール酸など)+n−3(リノレン酸など)=16.5gで4:1が適正比率とされ13.2g:3.3g=4:1となります。






 (07.10.18 記載者;村上京子)

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