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    ◎慢性腎不全の食事療法

  腎機能が著しく低下してきますと体内の老廃物を適切に排泄できなくなってきます。尿が出にくくなったり、出なくなった状態で血液中に尿素、クレアチニンのたんぱく質の代謝産物が急激に増加した状態となります。
 急性腎不全と慢性腎不全に分けられ
急性の腎不全は、急に腎機能が低下する状態で交通事故、火傷、産科出血、大手術、副作用のある抗生物質、抗がん剤、鎮痛剤、造影剤などの薬剤の投与によって引き起こされることがあります。
  頭痛、吐き気、嘔吐、口渇、意識混濁、ケイレン、尿量の一日に100mL以下となる減少が見られことがあります。食事療法、透析療法(腹膜潅流[ふくまくかんりゅう]・人工腎臓)、交換輸血などの治療法によっていますが死亡率が非常に高く30〜50%にも及んでいます。臨床的によい経過として最初尿量の減少が1〜2週間の乏尿期(ぼうにょうき)が見られますが透析などにより徐々に尿が出始め一日に1000〜2000mLを超える利尿期を経て段々に腎機能が回復して正常に戻っていきます。食事療法として乏尿期には前日の尿量+400mL食塩、カリウムを含むものを抑え一日1000kcal、たんぱく質10g以下の高脂糖食となります。高熱を伴っていることが多いですので腎用アイスクリーム、シャーベットがよいでしよう。利尿期に入ったらたんぱく質の量を増やし制限を少し緩めていくことができます。尿中にナトリウム、水分が失われていきますのでその補給に努め少しずつ透析が中止されます。感染症、肺塞栓(はいそくせん)を起こすこともありますので注意深く治療が進められています。

慢性腎不全は、数年から数十年に渡り主に悪性高血圧、良性高血圧の末期、動脈硬化症、慢性腎炎(40%)、糖尿病(30%)、腎盂腎炎、痛風、腎硬化症、免疫抑制剤の多用によって引き起こされています。糸球体腎炎、結節性動脈周囲炎、エリテマトーデス、紫斑病、細菌性心内膜炎、感染症の腎盂腎炎、腎結核、尿路閉塞の前立腺肥大、尿道狭窄、両側性結石、先天性異常の多発性のう胞腎、尿細管異常、中毒性腎症などの悪化により引き起こされ腎疾患の種類として100種近くもあるといいます。
 大人になると直りにくく次第に頭痛、吐き気、嘔吐、疲労感、だるさ、こむら返り(アシの筋肉がつること)、口渇、食欲不振、動悸、むくみ、皮膚の蒼白、かゆみ、貧血などの症状があります。

 腎機能を悪化させる状況として高血圧、感染症、過労、ストレス、脱水、過度の食塩欠乏、手術などがあげられていますが日常の生活でこれらの危険因子をできるだけ取り除くことがもとめられます。

腎臓の働きが正常の1/4〜1/5に低下があるとBUN(尿素窒素)の上昇が顕著にみられ腎臓の、ろ過の働きが充分に機能しなくなります。慢性腎不全では、かなり末期まで腎臓の働きが機能して、尿毒症の進行がゆっくりで乏尿になるのは、かなり末期の状態です。
 GFR(Glomerular Filtration Rate:クレアチニン・クレアランス糸球体濾過値)が50〜60ml/min(分)以下になると血液にわずかながら異常がみられてきます。GFRが30ml/min以下になってくるとBUN(尿素窒素)、リンの上昇、貧血、カルシウムの低下によって尿毒症の症状が現れ食事療法などの保存的治療の限界を超えると透析をおこなうような事態になってくるのです。慢性腎不全と診断されるのはGFRの基準値が100ml/minとしてGFRが20〜25%に低下した状態としています。25ml/min以下となる腎不全と診断され、10〜5ml/min以下でさらに腎機能が低下して乏尿、全身の諸臓器の状態の悪化が進行してきます。

たんぱく質代謝産物の残余窒素の蓄積上昇、水、電解質代謝の異常で高カリウム(心臓の筋肉に異常をきたす)、高マグネシュウム、高リン、低カルシウム、アシドーシス(動脈血のpHが7.35以下の酸性になった状態)蛋白尿、尿潜血(尿に血液反応が見られる)、むくみ(浮腫:最初は顔に見られる)、脱水、骨痛、骨折、貧血、高血圧、乏尿、末期には、尿毒症、意識混濁が感じられるようになります。
安静、食事療法、薬物療法ではアルカロイド剤、ジギタリス剤、抗生物質、鎮静薬、必須アミノ酸製剤、経口炭素吸着剤、水酸化アルミニウムなどが投与され、血清電解質の是正、脱水時には、補液され、場合によっては透析療法、腎移植になることもあります。


腎不全と診断されている検査データとして
尿素窒素(BUN)、正常値8〜20mg/dlとし上回ると異常、乏尿期には80〜100mg/dl以上にまで上昇します。
尿酸、正常値女性2〜6mg/dl、男性3〜7mg/dlとし上回ると異常です。
クレアチニン正常値女性0.5〜1.1mg/dl、男性0.8〜1.3mg/dlとし慢性腎炎で増加し2.0mg/dlで腎機能が半分に低下、3.0mg/dlで1/3に低下し、10mg/dlになると尿毒症と診断しています。

食事療法
 腎不全に陥ると、血液中にBUN(尿素窒素)、尿素、尿酸、電解質(カリウム)などが上昇してきますのでたんぱく質が制限されます。高血圧があるときには、食塩の制限がされますが、あまり食塩を制限しすぎると腎血流量が低下、減少し腎機能が悪化する低塩症候群になることがありますので過度の制限は禁物で気を付けなければなりません。むくみのあるときには、水分とともに強い制限が加えられます。むくみがなければ食塩は、6〜5g/1日程度になり、水分の制限はありません。
 低たんぱく質、適切な高エネルギー食とし、炭水化物、脂質より充分なエネルギー源の確保が必要とされ体内のたん白質がエネルギー源として使われることのない様にします。主食を特殊食品として市販されている低蛋白食品(澱粉麺、そば、米、小麦粉)、澱粉米(低タン白米)、低甘味料(粉飴・カロライナー)、中鎖脂肪酸(MCT)などあり利用すると副食をかなり幅広く使えるようになります。
直ちに食事からの影響に左右されないクレアチニンが一般に重症の腎不全では、2.4mg/dl以上、5mg/dl以上になると予後が悪いといい、8mg/dl以上が人工透析の目安にされています。BUN/Cr(尿素窒素対クレアチニン比)が10〜5:1の値となるように治療を進めていきます。

低蛋白食、充分なエネルギー源の確保で人工透析への移行を遅らせる、人工透析をしなくて済むようにでき腎不全に陥ったときの対策とし腎不全の食事療法が重要視されるのです。

腎不全の食事は、低蛋白で一日20〜50gのたんぱく質、高エネルギーで1600〜2000kcal、食塩は、尿中ナトリウムの排泄量を目安にし0g〜8g(普通量)、水分は乏尿期を除き制限がありません。高カリウムになりやすいですのでカリウムの摂取量が制限されます。

合併症のある場合は、状況により判断されますが一般に腎不全が進行してくると糖尿病性腎症からでは、腎不全が悪化してくると血糖値の調整はインスリンで行なわれるようになることもあります。

おいしく食べられる一工夫 として、油を使った料理が多くなりますので酢の物でしっこさを補い、香辛料、旨み、少しの焦げ目を適度に利用します。カリウムの制限にできるだけ食品の茹でこぼしがおこなわれてから調理されることになります。季節の旬の新鮮な食材を用います。
腎臓病の食事療法も参考にしてください。

慢性腎不全食:エネルギー1850Kcal、たんぱく質30g、付加食塩5g 水分制限なしで食料構成、献立例は、以下の通りとなります。

慢性腎不全の常食一日の食糧構成(例)エネルギー1881kcal たんぱく質30.8g 脂肪66.5g 炭水化物286.9g 

食品名  魚介類(生)
豚肉肩肉 卵類 緑黄色野菜
(ほうれん草)
その他の野菜
(キャベツ)
海藻類
(干ひじき)
数量(g) 50 50 25 30 120
目安 さば小1切れ
豚肩肉50g 小一個 4株 中1/4切れ 大さじ1/2杯

 食品名  馬鈴薯 その他の
果実類
(りんご)
精白米飯 でん粉米
(ご飯300g)
でん粉/馬鈴薯 油脂類 マーガリン 生クリーム 堅果類
(胡麻)
砂糖・粉飴
数量(g) 30 50 120 150 40 30 10 20 60
目安 取り混ぜて馬鈴薯
で中1/3個程度
取り混ぜてりんごで小1/3個 小さい茶碗で1杯 小さい茶碗で2杯強 大さじ2杯強 大匙1杯弱 大匙2杯 小匙1杯弱 -
                                             
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(08.8.19 作成者:村上京子)



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