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《テーマいろいろ・パート2》

代謝Metabolism 
たいしゃ
   冷え性、しもやけの原因となっているのは、この寒い冬の時期には、末しょうの毛細血管の血流が滞ってしまいがちになります。特に女性では皮下脂肪が多く保温されるのですが、一旦冷えると暖まりにくい体質なのです。血行や体温のコントロール機能がよく働かないことから血流が悪くなりっています。あかぎれ、しもやけの原因となっています。
 胃や腸の消化器では、口から摂取された食物のたんぱく質、炭水化物、脂質などは、それぞれに、分解酵素によってアミノ酸、単糖類、脂肪酸(有機酸)、ミネラルと水と共に吸収され、血液やリンパ液によって各組織に運ばれています。各組織の再生、さらにエネルギー源としての利用がされています。不要となった最終の産物、老廃物は、肺、腎臓、大腸などから排出されます。この一連の化学変化を新陳代謝(物質代謝)、単に代謝 Metabolismともいいます。
 またこれらの変化で合成的に作り上げていく生物が、外から取り入れられた物質を体内に取り込める成分に分解、合成してエネルギーとして蓄積する変化を同化作用と、体内の体の筋肉や脂肪などの組織が分解される過程でエネルギーが放出、老廃物として分解する変化を異化作用といいます。一旦合成されたものでもいずれは分解され最終的に代謝は、分解的酸化作用ということができ最終産物として炭酸ガス(二酸化炭素)と水、窒素化合物の窒素、尿酸、クレアチニンなどを生じています。このような物質の分解の変化は、多くの段階を経ておこなわれ吸収された栄養の体の成分、さらに最終産物に至るまで、それぞれに、中間産物が存在しこれらの物質の変換の過程を中間代謝と呼んでいます。中間産物によって炭水化物、脂質、蛋白質ミネラルビタミンの各栄養素の体内における代謝のようすをうかがい知ることができ、最終的に尿、大便などとして排泄していくのです。

基礎代謝(Basal Metabolism)は、基礎エネルギー代謝ともいい眠っていない安静状態で生命を維持していくのに最低限必要なエネルギー代謝のことを基礎代謝といい運動、食事、体質、内分泌、季節、気温などの生活環境によって異なってきます。さらに 臓器別に見ると、筋肉18%、心臓10%、脳19%、肝臓27%、腎臓7%で消費し体重の2%程度の重さしかない脳は、生きるのに必要な最小限のエネルギーの20%は、脳が消費しています。基礎代謝量は、体重にも比例していますが、より一層、正確には体表面積に比例して、日本人の身長・体重は平均値で成人女性159cm・52kg、成人男性で172cm・63kgで体表面積は、平均値で成人女性1.54u、成人男性で1.72uぐらいと思われます。各人の体表面積を測定することは困難を要することから、近似値として、体重当たりの基準値が多く用いられています。
例えば平均成人女性の平均年齢を40歳とすると、一時間当たり1平方メートルあたりの基礎代謝量標準値は、32.4kcal、体表面積1.54×32.4≒50kcalとなります。
  基礎代謝量は主に食後12時間以上経過した、消化管の活動が活発でない時、快適な温度条件の下に早朝の空腹時で横になって安静にし、睡眠していない状態で計測されます。その概念は、国際的に必ずしも定まったものでなく第六次改定で暫定的に「身体的、精神的に安静な状態で代謝される最小のエネルギー代謝量であって生きていくための必要な最小のエネルギー代謝量である」と定義されています。

●環境による変化は、
◇年齢:体表面積1平方センチメートルあたり1時間のエネルギーは、標準の成人で38〜30kcal/平方メートル/1時間と若年者で大で2〜3歳時近辺で最も高く、年齢が進むにしたがい低い値を示しますが新生児では若干低い値となっています。高齢者では、細胞の活動性の衰えとみられ低下が目立ってきます。
◇性:女性は男性に比べ低い基礎代謝量を示します。体表面積当たりでおよそ7%、1日量で20%程度の違いがみられています。女性は、脂肪体質で熱の放散が妨げられること、さらに筋肉の発達が少ないことによります。脂肪太りの肥満者では筋肉量が少なく、基礎代謝が低下していることから肥満の改善にはよく筋肉トレーニングがすすめられます。急激な減量は、脂肪量とともに筋肉量も減り、基礎代謝が低くなっている状態ですので、摂取した物をため込む体質になり減量できずリバウンドする要因ともなっています。
◇体温・病気:バセドウ氏病などの甲状腺機能亢進で基礎代謝を50〜100%増加させることもあります。発熱によって1度上昇すると、およそ7%〜13%の割合で代謝が亢進するといわれています。体温が低くなる低体温は、免疫力、基礎代謝が低下し新陳代謝が鈍くなり1℃の低下で1割以上低下がみられるといいます。
◇栄養摂取状況:日常的にたんぱく質の多い食事をしている人は、基礎代謝量が高くなります。120g/1日で1平方メートル1時間当たりで44kcal(成人平均31〜38kcal)程度との報告があります。低栄養状態で体重減少が12%あると基礎代謝は、18%の低下があることが認められています。体内でエネルギーの消費を少なくして身体に適応した状態を維持しようという現象と見られます。急激な減量を行うと脂肪が減るとともに筋肉も減り、リバウンドするとますます基礎代謝量が低下してしまうことになるのです。第二次世界大戦末期から終戦直後に掛けて栄養状態が悪く基礎代謝量も長期間にわたり10〜15%の低下が認められたとされています。反対に筋肉を作る蛋白質の摂取量が多いと基礎代謝量を高める傾向があります。
 食物を摂ると消化吸収のためにも化学反応が起こりエネルギーが使われ、消費されます。たんぱく質の多い食事では、炭水化物、脂質の多い食事に比べ、エネルギー代謝の上昇がみられています。消化吸収、分解合成のために例えば蛋白質のみで1,000kcalを摂取するとその内の30%の300kcalが、炭水化物のみだとそのうちの20%の200kcal、脂質のみだと16%程度の160kcalぐらいとしています。
蛋白質は体内に貯蔵しておくのに一定の限度が有り尿素として排泄されています。炭水化物、脂肪は摂取しただけ貯蔵され、特異動的作用SDAの増加割合が少なく肥満の原因となります。一般的な混合食では、基礎代謝量(成人で900〜1600Kcal)に対して10%の増加で、この特異的な亢進現象を特異動的作用(Specific Dynamic Action)SDAといいSDAは、タンパク質では肝臓における脱アミノ作用と尿素形成に使われるエネルギー、炭水化物はグリコーゲン形成に、脂質では脂肪酸酸化に使われるエネルギーとしています。蛋白質の摂取量が少ないと組織形成に貯蔵蛋白質が使われることになりますが、その時に貯蔵蛋白質として蓄積される時にはSDA(特異動的作用)による亢進はあまり見られないようです。
 栄養素別に違った量のエネルギーが要求されるのを飢餓犬の動物実験で身体の組織を減少させないためのエネルギーは、ブドウ糖で1.06、脂肪で1.14〜1.04、蛋白質で1.3〜1.4倍の量を与えなければならないことを見出しています。一日の消費エネルギーを算定する場合には、SDAによる増加分を加算することになります。
◇気温:年間の平均値に対して冬は、およそ5%高くなり、夏は反対に5%低くなる傾向で外気温との比較で平均10度の増減で3%ぐらい変化がみられます。外気温の変化に約1ヶ月遅れで基礎代謝量に変化が見られることが調べられています。
◇労作・労働・運動:筋肉の活性組織が発達していると、脂肪の不活性組織が少ないのに比較し5〜10%の基礎代謝に違いを示します。
労作における代謝の亢進は、仰向(あおむ)けで静かに横になっている安静仰臥(あんせいぎょうが)の状態で測定された値を基礎代謝量100とすると睡眠時90  座位120  起立150  歩行200〜300  走行400〜700  中労作100〜200  重労働400〜700ぐらいとなります。ただ椅子に腰掛けているだけでも基礎代謝に対して20%もの増加を示し作業時の消費エネルギーは、基礎代謝(生命の維持)にSDA+労働代謝となります。労働・運動を止めた後もしばらくは代謝量の増加が続きます。これは労作により身体の組織成分の合成分解がさかんとなったことがしばらく持続するためと考えられます。筋肉を発達させる労作をすると筋肉組織の蛋白質は脂肪組織に比べ単位あたりの代謝量が多いので基礎代謝量も大きくなります。
◇精神状態:精神組織の重量は体重の2%にしか過ぎないのですが不安・恐怖などの精神状態にあると4〜5%上昇、安心・心地よさのある平常心を平均値とし、睡眠で10%ほど低下します。

  基礎代謝基準値として1日の基礎代謝量は、おおむね成人で900〜1600Kcal前後です。一日生活するために消費されるエネルギーは1.基礎代謝量 2.作業に要するエネルギー量   3.SDAによるエネルギー量の1,2,3をプラスし、そこから4.睡眠により低下したエネルギーを差し引いた値になります。摂取された食物が完全に吸収されるわけではありませんので、さらに5.消化吸収による損失がプラスされています。

推定エネルギー必要量=基礎代謝量(kcal/日)×身体活動レベルとして算定し18〜69歳では、身体活動レベルはそれぞれI=1.50、II=1.75、III=2.00としています。1日の基礎代謝量は成人25〜20kcal/kg/日程度となります。基礎代謝量はこの成人の必要量1350〜2300kcalの60〜70%程度とされます。
長時間の激しい運動、労作でもしないかぎりエネルギーの消費が少ないことが分かります。血流をよくしたり、呼吸を整えること筋肉をつけ筋力アップがまたエネルギーの消費につながるようです。

 冬の寒い時期では、暖かいものを摂取することによってSDAによって発生したエネルギーとなり、筋肉労作のためのエネルギーとしては利用されていません。新陳代謝は冬季には末梢への血行不良となり冷え性、しもやけ、肌の乾燥の原因となっています。夏に比べ冬は新陳代謝(代謝)能力は低下しています。夏季には、暑いので汗をかいて熱を発散させ血流の状態がよくなっていますが、冬季では、寒く身体も冷えてくるので、身体の方も懸命に働き、夏季以上に熱を生み出し作る必要があり基礎代謝をあげて体温を維持しようとするのですが、動かないでいると、必要最小限の代謝なので、末端への血流の制限が行なわれ新陳代謝かうまく機能しないことになるようです。体温36.5度(内臓温度37.2℃〜38℃)そのものが低下すれば、栄養失調などの状態では基礎代謝量にも低下の変化がみられ微妙なところです。新陳代謝(代謝・物質代謝)はすべての栄養素の同化作用、異化作用、酸化作用であり、基礎代謝は、単に生命維持のためだけのエネルギーの代謝ということになります。

蛋白質を摂り、身体をよく動かし筋肉をつけてエネルギー代謝を良くし、血液の流れを良くし新陳代謝をよくすることは、さらに基礎代謝量を増加させることになるようです。


(2010,2,18 記載者:村上京子)
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