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《テーマいろいろ・パート2》

◎有害植物と食中毒
 新芽があちこちに芽吹いて山菜取りに行かれる方も多いと思います。よく食用のセリが毒セリと間違えられて食中毒を起こすことが聞かれます。近年は、水仙、アジサイの葉とかで食中毒がありました。 食用とされる植物の中には、食用に似た有毒植物があって区別がつきにくいものがあります。例年に今ぐらいの時期には土手や野山に生える有毒植物の誤食による食中毒が発生している状況です。
食用となる植物と間違えやすい有毒植物を検索してみました。有毒植物といわれるものでも食用に適するように処理して食用にすることもありますが、ここでは、一般に言われているそのままでは有毒で普通に調理しただけでは、嘔吐、下痢、腹痛、神経麻痺など最悪の場合には死に至ることもある特に食用とされている植物と見間違えやすいものを記載することと致します。

◆食用とする
セリの葉
わさびの根茎
◇有毒植物:毒せりの葉と根茎
  5月頃に水中に育つ草丈1mに達する大形の多年草の毒セリで茎が太く地中に太い節の多い地下茎を持つ植物です。アルカロイド(シクトキシンCicutoxin)を含み誤食すると、嘔吐、下痢、けいれん、呼吸困難などの中毒症状を起こし、この時期の野性のせりの採取には注意が必要です。

◆食用とする
シャク(セリ科)
◇有毒植物:ドクニンジン
   セリ科、茎には 赤紫色の斑点があり 嫌な臭いがすることで区別されます。全草に猛毒性のアルカロイド、コニインConiineを含んで中枢神経を興奮させ、さらに進むと運動神経末梢を麻痺させます。最悪の場合には呼吸麻痺を起こし死亡することがあります。歴史的にソクラテスの獄中毒殺で使われたといわれています。

◆食用とする
ゴボウの根
オクラのつぼみ
シシトウ
モロヘイヤの葉
アシタバの葉
ゴマの種子
◇有毒植物:朝鮮朝顔 ちょうせんあさがお
 全草、特に種子に猛毒の成分があり、スコポラミン・アトロピンなどの原料となり大量摂取で脱力、けいれん、昏睡を経て死に至ることもあります。オクラのつぼみ、シシトウ、明日葉・モロヘイヤの葉、ゴマの種子、根をゴボウと誤認、摂食し食中毒になることが多く見られています。アルカロイドのスコポラミン・アトロピンは抗コリン作用(副交感神経遮断作用)をもつ物質が含まれ鎮静剤として使用されます。

◆食用とする
モリアザミの根(市販の醤油漬けのやまごぼうは正式名称を牛蒡薊:モリアザミ、ごぼうあざみでキク科)
◇有毒植物: 山牛蒡(やまごぼう)
  ヤマゴボウ科、若葉を茹でで良く水に晒し毒抜きして、お浸し、和え物とすることもあるようです。特に根は、太く普通の野菜のごぼうほどで名前の由来ともされています。多量の硝酸カリ、サポニン(フィトラッカトキシンPhytolaccatoxin)、アルカロイドを含み有毒でありそのままでは腹痛、吐き気、おう吐、下痢などの症状を呈し、重篤(じゅうとく)になると虚脱、昏睡状態から死に至ることがあります。漢方で商陸(しょうりく)と称し利尿剤とし利用されています。

◆食用とする
行者葫 (ぎょうじゃにんにく)
擬宝珠(ぎぼうし)[おおばぎぼうし・こばぎぼうし]
◇有毒植物:バイケイソウ類の若葉、根
  若芽の出る4月〜6月有毒部位は全草でステロイドアミン類(アルカロイド)を含み、中毒症状として食べて30分〜1時間で口のしびれ、麻痺、運動障害、血圧低下、呼吸困難等がみられ最悪の場合は死に至ります。バイケイソウの葉は不快な味がするといわれます。
◇有毒植物:イヌサフラン
   山菜の時期に出てくる葉がギョウジャニンニクと間違えやすく誤食し死亡するという事故があります。サフランとイヌサフランは球根も花も非常によく似ていますがサフランはアヤメ科で異なります。薬草として球根にはアルカロイドのコルヒチン(colchicine:有毒物質)を含みコルヒチンと類似のデメコルシン(demecolcine)も多く含みますが毒性はコルヒチンより低いと言われています。

◆食用とする
蓬(よもぎ)
紅葉傘(もみじがさ)
二輪草(にりんそう)
現の証拠(げんのしょうこ)
◇有毒植物:とりかぶとの若葉、根
  舌に触れただけでしびれを感じおう吐、下痢、呼吸困難などの症状を呈します。有毒な成分はトリカブトアルカロイドで猛毒なのはアコニチン系とされ漢方では根を乾燥、塩漬け、加熱、石灰処理して毒性を弱くして附子(ふし)、鳥頭(うず)と呼んで鎮痛、利尿、強壮、興奮、新陳代謝亢進に用いられます。
秋に掘り起こされた紡錘形をした塊根(かいこん)は、神経を麻痺させ神経痛などの鎮痛剤として医薬品として使われます。最悪の場合には中毒死することがあります。

◆食用とする
韮の葉
のびるの鱗形
◇有毒植物:水仙の葉と鱗形
 植物全体、特に鱗茎にリコリンなどのアルカロイドを含み誤食すると嘔吐、下痢などを起こします。スイセンの鱗茎(りんけい) は肩こりや乳腺の腫れ、打ち身、筋肉痛、歯痛などさまざまな痛みを解消する外用に用いていたようです。

◆食用とする
ふきのとう
オオバギボウシの新芽
いたどり
たらの芽
ゴボウあざみ
◇有毒植物:はしりどころの新芽
 根・根茎にアルカロイドのアコニチン(致死量は2〜5mg)、スコポリンを含み誤食により幻覚を生じて苦しんで走り回るといわれています。
◇有毒植物:フクジュソウの新芽
 福寿草は、全草に強心配糖体シマリン(cymarin)を含み、根は強心利尿剤として用いられます。しかし新芽をフキノトウと間違えて口にすると嘔吐、下痢、ケイレン、呼吸困難、麻痺などの中毒おこし死亡することがあります。

◆食用とする
コンフリーの葉
◇有毒植物:ジギタリス
  強心剤、利尿剤ジギトキシン(強心配糖体)の原料としての薬草とし葉が用いられます。葉には強い苦味があり有毒成分強心性ステロイド配糖体(ジギトキシン)とし存在します。劇薬の部類に属し中毒とし、食欲不振、おう吐、吐き気の胃腸障害、頭痛、耳鳴り、痙攣、不整脈があり重症で命をおとすこともあります。

  食用と思って有毒植物を採取して中毒を起こす例を記述してきましたが、食用植物と思っていても地質、品種、扱い方の違いによって中毒を起こしたことの報告もあります。
2006年に白インゲンがありました。
 インゲン豆は元々熱帯、亜熱帯産で、青酸配糖体が含まれ、これが分解すると青酸に変化します。インゲン豆は、長い間に品種改良が繰り返され一般に出まわっている豆は、0.005%内外であまり恐れることはないとされています。そして食用とするときには、加熱煮沸して毒素をなくしています。生の状態で摂取されたことにより毒素が抜けきらなかったことにより下痢等の症状が見られたものと思われます。原種に近いビルマ豆では、多量に青酸を含むので何度も加熱煮沸し浸出液を取り替えて毒を取り除く作業が行われて食用とされています。

夕顔(ゆうがお)は、ウリ科、熱帯アジア原産。ひょうたんはこの変種にあたります。果実は、初秋に大きさは、1mにもなり、球形か、ひょうたん形をして主にかんぴょうにされています。かんぴょうは、寿司の具材、煮物として利用されます。瓢箪(ひょうたん)型に近いユウガオで苦味(ククルビタシンCucurbitacin)の強い品種を食用とし食中毒の報告がされています。
ククルビタシンCucurbitacinは、未熟果、ウリ科(きゅうり、西瓜、メロン、かぼちゃの種子、にがうりのわた)に多い苦味の成分でフラボノイド系、配糖体として未熟果に、ツルに近いへたの部分で胡瓜では、色の濃い頭の部分に多く存在しています。酵素エステラーゼが作用することで、苦くなるといわれます。多量に摂取するとおう吐、腹痛を伴ない中毒症状を呈します。下剤として用いられます。


◆有毒とされる植物の多くには、アルカロイドAlkaloid、強心配糖体Cardiac glycoside、青酸配糖体 Cyanogenic glycosides、サポニンSaponin、キノコ類のムスカリンMuscarine、コリンCholine、ノイリンNeurine、ファリンFaline、ムスカリジンMuscarindine、アガリチンAgaritinic acidを多く含むものに見受けられるようです。 
アルカロイドは、アカネ科、ケシ科、キンポウゲ科、セリ科、マメ科、メギ科の植物に多く、主に熱帯、亜熱帯地方に多く分布します。有毒性のあるものとしてジャガイモのソラニン、毒セリのシクトキシン、彼岸花のリコリンがよく知られています。

強心配糖体は、ステロイド配糖体でもあり、これまでに100種以上知られており、自然界での分布は15科が知られます。その中で特にユリ科、ゴマノハグサ科、キョウチクトウ科、キンポウゲ科に多く存在しています。一般に、強心配糖体は中毒量と薬効を示す有効量との差が小さく劇薬に相当し有毒植物として扱われるものが多いようです。薬用として用いられるのはジギタリス(ゴマノハグサ科)、ストロファンツス(キョウチクトウ科)に限られるとされています。

青酸配糖体は、糖に青酸が結合したものでバラ科、豆科の種子に多くみられ、果肉、葉、樹皮にも含みます。キャッサバ(トウダイグサ科)、ギンナン、せり、フキ、竹の子などの野菜類、玄米、ソルガム(イネ科)、ヒエ、アワ、ソバなどの穀類にも極微量ながら含まれます。

 健康食品の過剰摂取による健康被害の報告が、ときどき聞かれます。アマメシバ、白インゲン、アガリクス、イチョウの葉エキス、コンフリー、センナ、にがり、キトサン、プロポリス、ウコンなど最近になって報告されたものです。健康食品は医薬品と違い安全で副作用がないと一般にいわれていますが品質の均一性、純度が保証されているわけではなく、製品によって開きがあります。
ほかにも毒性は、秋になると間違えで毒キノコを採取したり、さらにフグ、貝類などの動物性の食品での食中毒もあります。

有毒植物による食中毒を防止するために、次のことに十分注意しましょう。
知らない植物は絶対に食べない。 有毒植物による食中毒を防止するために、知らない植物や種類がはっきりわからないものは、絶対に口にしてはならないのです。
新芽や根だけで、種類を見分けることは難しいので食物に詳しい知識を持つ人、専門家の同行、指導等により、実際に採取し正しい知識・鑑別法を身につけるなどして、安易な山菜の採取は慎んで下さい。
採った山菜をみだりに人に譲らないことも必要です。
料理する前にもう一度確認したうえで利用しましょう。



(2010.3.18 記載者;村上京子)

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