最初のページへ

             
《テーマいろいろ・パート2》
◎梅干し うめぼし
  青梅の新ものが早いところでは、5月下旬より店頭に並んでいます。梅干しに防腐作用があるとして 「梅干しを日ごと食べれば福を呼ぶ」、「梅干と友達は古いほどよい」、「梅は三毒を絶ち、その日の難のがれ」、「番茶梅干医者要らず」ともいわれ、これからの季節、食中毒に欠かせないものになっています。
関東では、梅干が多く、関西では梅漬けが多いといわれます。
梅は、青梅からの梅酒に始まって、少し黄みを帯びて熟し加減のものが梅干、梅漬け、梅びしお、梅酢、完熟梅より梅シロップ、梅ジャム、のし梅、ウメ羊羹、梅干飴、ジュース、ネクターなどが作られています。


主に梅干の作り方、生理作用などについて紹介してまいります。

  ウメを塩漬けして貯蔵するする方法が取られたのは定かではありませんが平安時代中頃に村上天皇(在位946-967年)がただ塩漬けした梅干と昆布入りのお茶を飲んで病気の療養に用いて回復したとの記録があります。しその葉で赤くするようになったのは、江戸時代の後期からといわれています。古来より薬用として用いられてきました。
梅干に含まれるクエン酸と食塩を加えることによって腐敗を防いでいます。梅干は、梅だけを漬けた白干し、しその葉と一緒に漬けた赤干しとがあります。

梅干に使う梅は、いくらか熟し加減のが、よいようで肉厚な青梅にいくらか黄みを帯びた程度のものがよいとされています。梅を水洗いして一昼夜水に浸しアク抜きがされ、種子の肉離れをよくさせます。水切り後、塩と梅を交互に漬けこみ重石(おもし)をして20〜30日、3〜4週間で水があがってきて塩水の濃度が20%になるまで下漬けがされます。早く漬かるようにするために前年の梅酢を混ぜて使うこともあるようです。下漬けされた梅が丁度、7月20日ごろの土用の頃になり、土用干しといわれ晴れた日を選んで、陰干しと夜つゆに当て実を柔らかにさせながら、乾燥と漬けこみを2、3回繰り返して行なわれています。梅の表面にしわができ、食塩が結晶をつくり白い粉のように吹いてきたら取り入れます。
シソの葉は、赤シソが使われ、梅に対し5〜10%の量を塩もみして、絞ってアクだしし、さらに下漬けされたときの梅漬け液を加えてもむときれいな紅色になります。土用干しの終わった梅と、揉んだ赤紫蘇で交互に瓶(かめ)または樽に漬け込み本漬けがおこなわれます。下漬けしたときの液と赤紫蘇を揉んで出来た梅酢液をかぶるくらいに加え中蓋(なかぶた)し、軽い押し石をして冷暗所に保存されます。およそ半年ぐらいしてから取り出すと食べ頃になります。貯蔵して何年でも保存が効くようにしてあるものは、食塩の量が多くなっています。
  最近では、調味ウメとしてはちみつ漬け、昆布、かつおの糸削り、しそ等とともに漬けこんで塩分控えめで甘味もあって食べやすい味付けのものが多く出まわっています。.塩分控えめのものは、冷蔵庫で冷蔵保存が必要とされます。

100g中の成分は、エネルギー33kcal、タンパク質0.9g、脂質0.2g、炭水化物10.5g、灰分23.3g、ナトリウム8700mg(食塩相当量22.1g)、カリウム440mg、カルシウム65mg、マグネシウム34mg、リン21mg、鉄1.0mg、亜鉛0.1mg、銅0.11mg、マンガン0.23mg、ビタミンA:14μg、ビタミンD:0μg、ビタミンE:0.5mg、ビタミンK:0μg、ビタミンB1:0.02mg、ビタミンB2:0.01mg、ナイアシン0.4mg、ビタミンB6:0.05mg、ビタミンB12:0μg、葉酸1μg、パントテン酸0.12mg、ビタミンC0mg 食物繊維3.6g)を含んでいます。

 梅干は、唾液の分泌を促進し消化と吸収を助け食欲を増進させます。梅干しの酸味を感じることで、唾液中には、消化液だけでなく、外部からの菌の繁殖を抑える働きや、がん細胞を殺す力があります。さらにパロチンParotinが分泌されますので酸味によって胃腸のぜん動運動を活発にし便通がよくなります。唾液の分泌をよくすることは、唾液の中に含まれるアミラーゼ、パロチンParotinの分泌を促し若返りに役立ちます。

ウメに微量に含むピクリン酸(有機酸)によっても肝機能、胃腸のぜん動運動を活発にして.便秘解消に役立っています。
梅干と赤しそで、健胃、解毒、精神安定作用、カルシウムの吸収を良くする、鎮咳、解熱、利尿としても利用されています。紫のしその葉のロスマリン酸(ポリフェノール)に抗アレルギー、抗炎症作用が認められています。

梅干自体は、かなり強い酸性を示しますが、酸性、アルカリ性食品といわれるものは、無機質(ミネラル)バランスについてのことです。食べる前の食品は、有機物の示す酸味ですが燃焼させることによって有機物は燃えてなくなってしまいます。酸性を示さなくなります。
       *アルカリ性食品
  食品のアルカリ性度は、食品100gを焼いて得られる灰分を中和するのに得られる規定の酸のml数で表している。ミネラル中Na.K.Ca.Mg等がP.S.Cl等に比較して多く含む食品を一般にアルカリ性食品としている。

果物は、Kが多く酸味はカリウム塩の形で含みクエン酸、リンゴ酸、酒石酸が多く有機酸で体内で酸化燃焼し最後に炭酸ガスと水になって排泄され無機質の反応には関係しないのでアルカリ性食品として扱われている。

食事のとり方によって直ちに変化することはなく血液中のpHは7.3〜7.5に緩衝作用により保たれている。一般に魚肉、蓄肉、卵にリン、イオウを、穀類にリンを多く含み酸性食品という。乳、乳製品は、カルシウム、.マグネシウムが、野菜、果物は、カリウムを多く含みアルカリ性を示す。.栄養バランスのとれた食生活がよい。ミネラル中Na.K.Ca.Mg、Na、Feがアルカリ性を示す。


梅干の強い酸味の有機酸がエネルギーを作り出す回路に入って分解し疲労回復に役立っています。このサイクルがうまく働かないと体内に乳酸が蓄積され疲労の原因を作り、筋肉痛、肩こりが起こります。その疲労回復に梅干の有機酸が働いています。さらにクエン酸には、防腐、殺菌、カルシウムの吸収促進、食欲増進作用が備わっているのです。
             *クエン酸
  果物(未熟の柑橘類に6、7%)、野菜に存在し爽やかな酸味がある。無色、無臭、結晶又は、粉末、吸湿性のある有機酸で、人体でも腎臓で生成されることがわかっている。

最近では、糖類(でん粉)からの発酵法により安価に製造されサイダー、清涼飲料水、医薬品、化粧品に利用される。クエン酸がカルシウム、ミネラルと一緒になり吸収されやすい形となってそれを「キレート作用」と呼ぶ。クエン酸サイクル(TCA〈Tri Carboxylic Acid:クエン酸が3個のカルボキシル基COOHを持つ酸であることから〉サイクル)に取り込まれた栄養(炭水化物、タンパク質、脂質)が代謝され最終的に体内で酸化されエネルギー源となる。

少ない量で細胞呼吸を促進、新陳代謝をよくし脳を刺激、疲労回復、増血作用、喉(のど)の渇きを癒(いや)し、精神安定によい。アセトアルデヒドを分解し二日酔いを防ぐ。100g中でレモン・すだち・かぼす4〜5g グレープフルーツ・オレンジ2g みかん1g 梅干3〜4g程度含む。


ここで気になる食塩について
  自然食時代には、動物の臓器の摂食によって食塩、ミネラルの補給が行なわれていました。縄文後期、弥生時代(2000年前)稲作が始まったころより、なれずし、干物が作られていたようであり遣唐使(7〜9世紀)が奈良、平安時代に中国に渡り、酒、、味噌、醤(ひしお)、漬物の原型を日本にもたらしたとされます。

万葉集756年「荒妙の藤井の浦に 鮪釣ると海人船騒ぎ 塩焼く人ぞ沢なる」、拾遺和歌集(しゅういわかしゅう:平安中期の作品996年)に「もしほやく(藻塩焼く)烟(けむり)になるる須磨の蜑(あま)は秋立つ霧もわかすやあらむ」と歌われ農耕社会に入って平安時代には、内蔵の食習慣はすたれ肉質部分のみを食塩で味付けして摂取するようになっていくのです。しかし塩を大量に生産できないことから、とても貴重なものとして扱われていました。食品の保存性のよいことから動物性、植物性食品に塩を混ぜて保存する方法が取られていったものと思われます。

梅干の作られるようになったのはいつごろからか不明です。平安時代中頃に村上天皇(在位946-967年)が塩漬けした梅干と昆布入りのお茶を飲んで病気の療養に用いて回復したとの記録があります。8〜10世紀ごろ中国の唐、宗の時代に持ち込まれたとされることから、塩作りができるようになった時期とあわせ8〜10世紀の間と考えられます。ウメが日本に遣唐使(630〜894)が1500年ほど前、奈良〜平安時代に「鳥梅( うばい)」という形でもたらされたものが最初とされています。

 梅干同様に用いられるウメ漬けがあります。これらに関連してウメ酢、梅についてふれておきましょう。
             *梅漬
 梅の表面がまだ緑色の青梅を赤シソを使って塩漬けされます。梅だけの場合もあります。梅漬けは、青い梅をそのまま漬けるので、しわがなくまるまるとして、大きいものでは肉質もやわらかくなっています。

梅の重量の25%もの食塩を使い漬け込みますが、酸味も3%ともあり、塩辛く酸味も強いことから最近では、脱塩して、食塩12%程度の調味液に再度漬け込む作業が取られています。梅干しの乾燥前の状態のもので関西では、どぶ漬けともいわれています。
 小梅は、青梅を収穫して一晩水に浸し、さらに一晩0.3%の石灰水に漬けて歯切れがよくなるようにしています。強い食塩で皮にがシワにならないようにすることから初め10%の食塩で日ごとに1%づつ加えて18〜20%までで止めて貯蔵して出荷されます。

100g中の成分は、エネルギー24kcal、タンパク質0.7g、脂質0.4g、炭水化物6.7g、灰分19.9g、ナトリウム7600mg(食塩相当量19.3g)、カリウム150mg、カルシウム47mg、マグネシウム32mg、リン15mg、鉄2.9mg、亜鉛0.1mg、銅0.11mg、マンガン0.21mg、ビタミンA:1μg、ビタミンD:0μg、ビタミンE:1.7mg、ビタミンK:0μg、ビタミンB1:0.02mg、ビタミンB2:0.04mg、ナイアシン0.3mg、ビタミンB6:0.06mg、ビタミンB12:0μg、葉酸1μg、パントテン酸0.20mg、ビタミンC0mg 食物繊維2.7g)

梅びしお
  つぶれ梅が利用され、裏ごしして砂糖などを加え調味され60℃に加熱してなめらかな状態にして製品としています。

           *梅酢 うめず
  梅を塩漬けしてそのままの液は、白うめ酢となり、赤紫蘇の葉を使ったものは、赤ウメ酢となります。いずれも長期保存が可能です。漬物、調理に、酸味の強い汁は、梅酢として大根、かぶ、生姜、ミョウガ、胡瓜を漬け込むのに利用でき、クエン酸を含み疲労回復に有効です。

           *梅 うめ
  バラ科、中国原産、わが国でも奈良、平安時代8〜10世紀ごろ中国の唐、宗の時代に持ち込まれたとされ古くから植えられている。和歌山産が多くみられるが全国各地で栽培され最近は台湾からの輸入が増えている。観賞用と実を成らせる為の木とがある。

早春に芳香を放つ花を咲かせ梅雨の時期6、7月に未熟の青梅、完熟した黄橙色のものが順次収穫される。品種は、何百種とあるが主な栽培種は直径3〜1cmまで大粒(南高:なんこう)のものから小粒(甲州最小)の小梅がある。

果実に分類され酸味を生かした加工が行われる。分類上は、果実となっているが酸味が強く生食には不向きで多くが加工用として利用される。未熟な青梅は梅漬け、家庭での梅酒に使われる。完熟させて梅干、のし梅などとする。弁当、おにぎりに梅干を入れ防腐作用(ベンズアルデヒド:安息香酸)と食欲増進をかねた携帯食とし適す。

腐らない梅干(食塩量材料の10%以上加える必要がある)は、食塩量との関係のほうが強く最近の薄味のものは、10%以下となっており冷蔵保存するのがよい。未熟の種子である核に、アミグダリン(去痰作用)が含まれ分解酵素(エムルシン)により有害物質の青酸を生じるので青梅の生食はせず加工用に回されている。

種核内の青酸配糖体は加工工程で分解し、梅酒で2週間、梅漬けで2ヶ月、梅干しでは6ヶ月でほとんど消失するという報告がある。

青ウメ(未熟果)100g中の成分は、エネルギー28kcal、タンパク質0.7g、脂質0.5g、炭水化物7.9g、灰分0.5g、ナトリウム2mg、カリウム240mg、カルシウム12mg、マグネシウム8mg、リン14mg、鉄0.6mg、亜鉛0.1mg、銅0.05mg、マンガン0.07mg、ビタミンA:40μg、ビタミンD:0μg、ビタミンE:3.5mg、ビタミンK:0μg、ビタミンB1:0.03mg、ビタミンB2:0.05mg、ナイアシン0.4mg、ビタミンB6:0.06mg、ビタミンB12:0μg、葉酸8μg、パントテン酸0.35mg、ビタミンC6mg 食物繊維2.5g)を含む。

 梅には、有機酸を含み、成熟に従い、リンゴ酸が減少してクエン酸が増加し爽やかな酸味がありクエン酸(3.2〜3.4%)が殺菌作用がありまたカルシウムの吸収をよくする。
りんご酸(0.8〜1.5%)の疲労回復、抗菌、食欲増進作用持ち健康食品とし出回る。果実の表皮ごと食用とすることが多く抗酸化成分を取ることができ血行をよくする。

 最近になって2004年、農林水産省で富士食研の協力のもと加熱して作成された梅肉エキス水溶液が、血流に改善、ピロリ菌の抑制作用がみられることがわかった。この化合物はこれまで発見されていない新規物質で、生梅に含まれる糖質「5ーヒドロキシメチルフルフラール(HMF:Hydroxy-methyl-furfural)」とクエン酸がエステル結合した化合物の出現が認められ「ムメフラール」と命名した。生の梅、減圧濃縮のみには見られず、生梅を加熱してエキスを製造する過程で生梅の酵素活性が失われ糖とクエン酸とで化学反応により生成されたものと考えられている。

和歌山紀州梅の会で梅干の消費を促すことから2006年4月に6月6日を「梅の日」に決め制定しています。
  最近の梅干は、低塩で保存性が劣ります。クエン酸の働きが主に有効に作用しているようです。程よい酸味を楽しんでこの夏を乗り切りましょう。

        (初版06.6.19 更新08.5.19 記載者;村上京子)



最初のページ ■ メールマガジン発行:無料 ・ 有料  ■問い合わせ