最初のページへ

◎血液透析(Hemo Dialysis)の食事療法

 
腎機能が衰え腎炎より腎不全に陥って、いよいよ慢性的に機能しなくなってくると透析または腎移植を行うことになります。透析をしながら家庭生活を送られる方が多くなってきました。透析を受けている方は全国で2007年までに27万人とも言われ、年間3〜4万人が新しく透析の導入され18年連続で増加しています。
 腎臓の排泄機能と解毒、調節機能が著しく低下、窒素化合物、電解質を一定の濃度、値として体を正常に維持することができなく、なってその腎臓の役目で糸球体の代行を透析によっておこなうことになるのです。糖尿病が何十年と長期化して腎不全に陥(おちい)り、やがて透析を受けるようになり、その人の割合が慢性腎炎からよりも多く人工透析の導入理由の第一位は糖尿病です。
  腎炎は、主に高血圧、動脈硬化症、細菌の感染、脱水症、手術・外傷、免疫抑制剤の多用などによって引き起こされます。過剰なたんぱく質の摂取も腎臓を酷使しています。高血圧症は慢性的腎炎で殆どにみられます。

 腎臓は、老廃物を排出し、また必要な成分を再吸収しています。糸球体では、1日に150リットルもの血液をろ過し、尿細管で必要な成分を吸収し体内に戻し再吸収をし尿とし排出されるのは、1〜1.5リットルぐらいです。体内の水分、電解質、酸、アルカリ、血圧の調整、ホルモン(エリスロポエチンの産生、プロスタグランジンの産生、ビタミンの活性化、レニン、アルドステロン系の調節)を分泌し、ビタミンDを活性化しカルシウムの調整、赤血球の生成促進、代謝に関与しています。腎疾患の種類として100種近くもあるといいます。
 腎機能の検査として主に用いられるのは、尿検査、血液検査があります。
尿蛋白:定性、正常値10〜20g/100mlを超えると異常
     定量、正常値40〜80mg/1日を超えると異常
     沈査、多量の赤血球、白血球が認められると異常
     細菌、10万個/1mlで異常

血液検査

 以上の項目が主な検査としてあげられますが、食事によって一過性的に上昇したり、下回ったりすることがあります。不安がある時は信頼できる医療機関に相談するようにしましょう。

 できるだけ使える腎臓をいたわって、クレアチニン(Cr)2mg/dlが持続している腎不全では、腎臓に負担にならない低蛋白食が保存療法として実施されています。CCR(クレアチンクレアランス)、正常値70〜130ml/minとし低下すると異常としているが40ml/min(minute:1分で)以下で自覚症状に表れてくるようです。尿毒症の症状、尿素窒素(BUN:Blood Urea Nitrogen)100mg/dl以上、クレアチニン(Cr,CRE:Creatinine)10〜8mg/dl以上になってくると透析、腎移植の対象となっているようです。尿毒症を避けることからクレアチニン(Cr,CRE:Creatinine)6mg/dlぐらいより透析を始めることもあるようです。
  低蛋白(たんぱく)食で、できるだけ自分の腎臓を大事に使うのがよいことからできるだけ透析は、ぎりぎりまで避けたほうがよいのです。食事療法で透析をしなくてもよい場合も考えられます。透析をするといままで食べられなかったもの、果物、肉類などの蛋白源、塩分を今までよりも多く使えるなどのよいこともありますが、自分の腎臓は衰えだめになってしまうのです。細く長くか、太く短くか、それは自分自身での選択にゆだねられます。小児では透析をしても早い時期に腎移植がすすめられています。

 たんぱく質が制限されるのは、体は、たんぱく質でできておりおよそ16%の窒素を含み、窒素は、腎臓で処理されるのですが、その能力の低下した腎臓では、必要最低限のたんぱく質で体を維持していかなければなりません。普通一般に60〜80gのたんぱく質を一日に摂取していますが、最低で30gものたんぱく質と、十分なエネルギーの確保で日常生活が維持できるといわれています。エネルギー不足になると異化作用によって高窒素血症が起こりやすく、体の細胞の破壊が始まり高カリウム血症が起こりやすくなるのです。腎臓では骨髄に働きかけて赤血球の産生を促すホルモンを(エリスロポエチン)を作り出しているのですが、その能力の低下がみられ腎性の貧血に陥りやすくなります。腎機能が1/10ぐらいに低下しても自分の腎臓をいたわりながら低蛋白食で高カロリーの食事がよいともいわれます。低タンパク食では、糖質・炭水化物脂質の食品に偏りがちで高脂血症、高トリグリセリド血症にも陥りやすくなります。
 腎臓病の合併症としてよく見られる高血圧・浮腫(ふしゅ:むくみ)は食塩の制限、蛋白尿・高窒素血症(毒素を見る)・高カリウム血症(排泄障害・アシドーシス・消化管出血)・高リン血症(骨がぼろぼろになりやすい)・貧血・アシドーシス・低カルシウム血症・二次性副甲状腺機能更新症(骨の障害)など一日30g程度の低タンパク質の摂取である程度の正常値が維持できます。

  透析によって高窒素血症・高カリウム血症・高リン血症・アシドーシスの改善が見られています。腎不全で耐糖尿異常がみられていることが多かったのですが透析をすることにより是正され正常に近い値を示すようになってくるといわれます。透析を受けるようになるとよほどの肥満などの症状がない限り制限は厳しくありません。むしろエネルギーの補給によりインシュリンの分泌を促し、貧血、高カリウム血症、カルシウムの骨への取り込みを助け同化作用が促進されています。
低カルシウム血症は、リンの吸着剤、活性型ビタミンD剤によって、貧血は鉄剤・エリスロポエチン製剤の投与がおこなわれています。
  血液透析では、水分の貯留、高カリウム、高ナトリウム血症、高血圧に有効で電解質を正常にすることに役立っていますがビタミン、ホルモンの不足が見られやすい傾向です。腹膜灌流(ふくまくかんりゅう)では、人工透析膜に比較し高分子のものも通過されるので電解質、尿毒素だけでなく一部高分子のたんぱく質も通過排出されてしまうこともあります。それぞれに利点、欠点を持っています。透析をしている人では、皮膚が乾燥しやすくかゆみを生じやすくなります。さらに痒みの刺激にはもう一つ大きな原因として刺激物質のひとつのサブスタンスP(Substance P)というかゆみのアレルギー物質が、多いことが知られています。定期的検診で、症状、状況を把握しながら食事療法を薬物療法とともに進めていく必要があります。



 体重50〜60kgで必要なエネルギーは、1500kcal〜2100kcal、30〜35kcal/kg/day程度になっています。
いよいよ透析を始めるようになったらたんぱく質、食塩などの、制限が緩やかになりますが導入期は、たんぱく質0.5g/kg、添加食塩量3gぐらいより始まり、安定期・維持期に入ってきたら徐々にたんぱく質は1g/kg、添加食塩量は6g程度まで許されます。透析の回数によってたんぱく質、アミノ酸が失われやすいことから週一回から三回までで蛋白質量は、0.5g〜1.5g/1日の量としています。むくみの原因となる水分は、800〜1500ml/1日程度に制限されます。腹膜透析では、カリウムの摂取は自由とされますが一般にカリウムは、1日2,000〜3,000mgほどの制限です。
  透析食の至適栄養状態を保つポイントとして

以上のことが重要な点として押さえておきましょう。透析の食事療法を厳重に実行しても長期に渡り栄養状態は健康な人と同じように保つことができないのが現状です。長期化すると血液透析における高カリウム、低カリウム、高リン血症、動脈硬化症など解決しなければならない問題は残されています。経口的に摂取する食べられる量が制限されることになります。健康管理がよいと30年以上も家庭で日常生活を送られていらっしゃる方もおられます。
 食事療法は、そのときどきの合併症によって変わってきます。症状に合わせた食事をしていくことになりますので信頼できる医師の処方により食事内容を進めていくことが望まれます。
  腎V度の食事療法についても参考としてください。
  ここでは、比較的安定した時期の食事についての食糧構成、献立例として示してあります。透析治療によってほぼ人並みに社会復帰、仕事ができることにあり週に三回(4時間/1回×3回)の透析によって食塩、水分以外、およそ一般食と同程度の栄養量となります。

特殊食品として減塩調味料、低蛋白食品(澱粉麺、そば、米、小麦粉)、低甘味料(粉飴)、中鎖脂肪酸(MCT)などあります。薄味でおいしく食べられるための一工夫して取り入れるようにします。お茶は、玉露のように茶葉10gで60℃/60ml、2.5分の浸出で100ccに換算して340mgものカリウムが溶け出しています。煎茶では、浸出時間が1分で茶葉10g90℃、430mlにし100ccに換算してカリウム27mg(予想で60mlの溶液で浸出したとすると概算でも189mg)、いずれにしても日常的に飲まれるお茶のカリウムについては、浸出時間に充分な注意が必要です。野菜、果物の水煮して缶詰、パック詰になっているものではカリウムの量が少なくなっています。次に食料構成、献立例を示します。


一日の食糧構成(例)エネルギー1859kcal たんぱく質63.5g 脂肪64.3g 炭水化物248.9g ナトリウム204mg(無塩パン利用、調味料を含まず:調味料を含んで2364mg以下とする) カリウム2216mg(調理による損失30〜50%をも含む) カルシウム476mg マグネシウム239mg リン874mg 鉄8.1mg 亜鉛8.3mg 銅1.01mg マンガン2.66mg  ビタミンA904μg ビタミンD13μg ビタミンE10.3mg ビタミンK416μg ビタミンB1:1.1mg ビタミンB2:1.09mg ナイアシン14.1mg ビタミンB6:1.23mg ビタミンB12:8.6μg 葉酸391μg パントテン酸4.61mg ビタミンC112mg  コレステロール308mg 食物繊維14.1g、食塩換算6g 水分1,200ml

食品名  魚介類
(生)
魚介類(干) 獣鳥肉(豚肩ロース肉脂身つき) 牛乳 卵類 緑黄色野菜
(ほうれん草)
その他の野菜
(キャベツ)
海藻類
(干ひじき)
数量(g) 70 50 100 50 80 150
目安 さば中1切れ 一つまみ 小一切れ 1/2カップ 小一個 4株 中1/4切れ 大さじ1/2杯

 食品名  馬鈴薯 その他の果実類
(りんご)
精白米米飯 小麦 食パンで 大豆製品
(豆腐)
油脂類 マーガリン 堅果類
(胡麻)
砂糖 ジャム
数量(g) 50 50 400 80 100 20 10 20 15
目安 取り混ぜて馬鈴薯で中1/2程度 取り混ぜてりんごで小1/4個 大きい茶碗で二杯 食パン六枚切り1.5枚 1/3丁程度 大さじ2杯弱 大匙1杯弱 小匙1杯弱 大匙2杯 大匙一杯弱
                                             

                             透析の常食献立表