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《テーマいろいろ・パート2》

◎ビタミンE:VitaminE びたみんいー
  
不足すると不妊症が心配されるビタミンですが、最近では抗酸化作用があり老化防止によいといわれ注目されています。
 1922年にアメリカのエバンスEvansとビショップBishopがラットの抗不妊性未知因子の存在があることを発見しています。このことから、かつては、抗不妊性ビタミンとしていました。
1920年微量栄養素に統一名を与えることが提唱されビタミンVitaminと呼ぶようになって1924年には、Sureがその因子をビタミンEとし、欠乏すると雌雄ともに生殖機能に異常をきたし、流産しやすくなることからギリシャ語の出産Tocos、獲得するphero、アルコールolにちなみ化学名としてTocopherolトコフェロールともいわれています。ビタミンの命名について発見された順としていたようですがビタミンA:1915年,B:1910年,ビタミンC:1920年,ビタミンD:1927年,ビタミンE:1924年,F:1930年代(必須脂肪酸),G:1933年,H:(例外Haut:ドイツ語で皮膚),I:ビオチン・ビタミンBw・ビタミンB7・ビタミンH,J:カテコール・フラビン・コリン,
K:1929年(例外),L:1930年代(人での効果は認められず現在ではビタミンよりはずされている。)などと、少し入り乱れ、さらにビタミンH、K、L、Pは、生理作用の頭文字を用いて命名されたりしているようです。
ビタミンEは、1936年にエバンスによって単離することができ、1938年にはカラー(ノーベル化学賞受賞)らによって合成的に構造が決定されました。
1956年、Greenによって8つのビタミンE同族体があるのを発見しています。トコトリエノールTocotrienol、トコフェロールTochopherolの2つのグループでαβγδの4種類です。一般にビタミンEといっているのは、α-トコフェロールを指すことが多いのですが、トコトリエノールもビタミンEの一種で、従来のビタミンE(トコフェロール)と同様、体のサビつきを防ぐ抗酸化作用や、血行促進作用など、人間にとって欠くことのできない働きがあり、特に抗酸化力に優れています。

天然ではd(D)体として存在していますが、合成品はdl(DL)体であり生物に対する生理活性力はD-α:DL-α=1.49:1程度としています。さらに体内での抗酸化作用はα>β>γ>δ型の順で強くなっています。ビタミンEには構造式は同じでも、立体的な配位が異なるd(右旋)体とl(左旋)体という光学異性体が存在しています。光学異性体では構造式が同じでも立体的な配位に違いがあることで、もっている作用に違いがでることがあります。ビタミンEの場合でも、L体にくらべD体のほうが効力が強いとされています。
以前に使われたIUは、生物学的活性の単位として用いられ、種類によって量だけでは計(はか)ることが難しいビタミンEでは、不妊化に関する妊娠ラットにおける流産の予防にα-トコフェロールの生理的効力の相対的量に基づいて決められいました。
d-α-トコフェロール100mg(149IU)とdl-α-トコフェロール100mg(100IU)で国際単位IU(International Unit)とすると違いがあるのがわかります。
d-α-トコフェロール1mgが1.5IU、d-α-トコフェロール1IU≒0.67mgに相当します。

 五訂食品成分表では、α-トコフェロール当量mgで示されています。α-トコフェロール当量(α-TE:α-Tochopherol Equivalent)を計算するためにα-トコフェロールを100としβ-トコフェロール40、γ-トコフェロール10、δ-トコフェロール1としています。
α-トコフェロール当量mg=α-トコフェロールmg+β-トコフェロール40/100mg+γ-トコフェロール10/100mg、δ-トコフェロール1/100mg
となります。
食事摂取基準を2005年(平成17年)に発表し、これまでのα-トコフェロール当量にかえてα-トコフェロールを指標にビタミンEの摂取基準を策定したことを踏まえ食事摂取基準を2005との整合性の確保などの観点から五訂増補成分表からビタミンEとしてトコフェロールの成分値を示すこととし、α-、β-、γ-、δ-トコフェロールを収載しています。食事摂取基準2010年においてもα-トコフェロールを指標として用いています。
2010年からは、ビタミンEをそれぞれα-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロールと別々に表示しています。
五訂食品成分表では、アーモンド乾:ビタミンE:31.2mgとして示してありますが2010年からはα-トコフェロール31.0mg、β-トコフェロール0.4mg、γ-トコフェロール0.7mg、δ-トコフェロール0と分かれています。
主なものを抜き出してみました。
食品名 ビタミンE:mg
五訂(2000年)
ビタミンE:mg
トコフェロール
2005年
あさ・乾燥 4.0 α β γ δ
1.8 0.1 21.7 1.1
えごま・乾燥 3.8 1.3 0.3 23.6 0.5
カシュウナッツ・フライ味付け 1.1 0.6 Tr 5.4 0.6

人の体内には、3g程度保有され皮下脂肪、副腎、脳下垂体、筋肉、肝臓、骨など殆どの臓器に分布し胆汁酸等によって腸管から吸収され肝臓に取りこまれ必要に応じて血中に放出されています。肝臓において代謝され、多くは尿中から排泄されていますが一部は胆汁酸を経て腸管から便として排泄、皮脂腺からも排泄されるといわれています。

ビタミンEの栄養状態の指標として血中α-トコフェロール値が6〜12 μmol/L の範囲にある場合には、過酸化水素による溶血反応が上昇することが見出されています。トコフェロール値が14μmol/L あれば過酸化水素による溶血反応を防止できることが認められており日本人のおよその血中濃度の平均値は22μmol/L 以上に保たれ、平均摂取量は5. 6〜11.1mg/日であり現在の摂取量で特に異常が認められないことから目安量の設定がされています。食事摂取基準で成人女性:6. 5 mg/日、男性:7. 0 mg/日程度となります。

 脂溶性でE効力あるものはαβγδの4種あり特に 不妊症には、αートコフェロールが強力に有効に作用し、人での活性は、さらにα-トコフェロールとγ-トコフェロールが確認されています。腸管での吸収は、ほぼ同様なのですが、肝臓内でのトコフェロール結合蛋白との親和性でα-トコフェロールが優先的に血中に放出され、リポ蛋白(コレステロール)のVLDL(very low density lipoprotein)から変換され、さらにLDL(low density lipoprotein)とともに末梢細胞にまでいきわたり人体での活性が高くなります。

トコトリエノールは、近年に研究され活性型ビタミンE(αートコフェノール)の数10倍のの抗酸化作用があるとして未来型ビタミンEと呼ばれています。パーム油に比較的多いとされますが、米ぬか、胚芽、ライ麦などにも含まれトコトリエノールはトコフェロール同様ビタミンE群の一部分で、全体的活性は、トコフェロールより低いようです。
α、β、γ、δの4種類があり、最初パームヤシからの抽出、精製された見出された成分とされます。しかし、その含有量はわずか0.1%程度と言われていますが細胞膜に浸透しやすく効果的に作用しています。合成品もあり摂取目安で1〜3mg/1日程度で、抗酸化力が強く特定の植物油にごく微量しか含まれませんが、その高い効果に期待が集まり、サプリメントや健康食品、化粧品へのニーズが高まっています。


ビタミンE(トコフェロール・トコトリエノール)は 生殖機能に関与し抗酸化作用、老化防止、細胞の再生の生理作用を有しています。肝機能改善、過酸化脂質の生成、活性酸素を抑制し
欠乏症として卵子、精子の正常な働きが阻害され生殖機能不全、筋萎縮症、貧血、抗溶血症、脂肪生成減退が知られます。

ビタミンEは、水に不溶で酸素、熱200℃、光に比較的安定し空気を遮断すると効力が高くなりますが、アルカリの存在では酸化を受けやすくなります。酸化剤、変質油脂中、紫外線で分解、破壊されやすくなります。ビタミンE自身は酸化されやすいのですがビタミンA、脂肪の酸化を保護しています。吸収率は、80〜30%とも推定されていますが確定されていません。内服では過剰症は起こりにくいとされていますが267mg(400IU)/1日摂取で死亡リスクが4%高くなったとの報告があります。2004年11月、2005年1月にアメリカ心臓病学会でジョンズホプキンス大学によってサプリメントで1日に267〜400mg以上も最長8年にもわたって摂取し死亡率が高まることが確かめられたとの発表がありますが、その原因はまだ不明としています。

ビタミンE剤としてエーザイのチョコラザーネ、ユベラがよく知られ、合成品のdl-αトコフェロールは主に酸化防止剤として油脂用の食品添加物、栄養補助食品、医薬品、飼料としても利用されています。特にビタミンEは合成と天然の吸収率の差が大きいので、天然物を選ぶのがよく E剤に多くは小麦胚芽を原料とされ多く含む食品は、 胚芽、アーモンド、大豆類、緑黄色野菜、藻類があり光合成により合成されています。さまざまの植物油からも抽出されています。

食事摂取基準の成人目安量6.5〜7mg、上限量600〜800mg、栄養機能食品としての上限が150mg、下限3mgとし示されています。上限量について調査結果より問題が残るように思われます。

100g中で小麦胚芽32.6mg、アーモンド31.2mg、ナッツ類10〜15mg、凍り豆腐4.4mg、じねんしょ4.1mg、きなこ2.4mg、西洋かぼちゃ5.1mg、食用菊4.7mg、かぶの葉3.2mg、からし菜3.1mg、いせえび3.4mg、しゃこ2.8mg、なまうに3.6mg、いいだこ2.7mg、オリーブ油7.6mg、胡麻油4.8mg、米糠油26.4mg、サフラワー油(紅花油)27.6mg、大豆油19.5mg、コーンオイル24.3mg、なたね油18.5mg、パーム油8.9mgを含みます。

老化防止、抗酸化作用があるとして注目されているビタミンEですが栄養バランスを考えた食事をした上で摂取量を考えていく必要があります。日本人の平均摂取量は、5. 6〜11.1mg/日であり、成人目安量6.5〜7mgとなっています。


  (初版2011.1.18  更新2013.11.25  記載者:村上京子)


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