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《テーマいろいろ・パート2》

◎ヨウ素 沃素Iodine ようそ
  ヨードともいい海藻、岩塩、海水、ケルプ(海藻灰 Kelp0.1-0.3%のヨウ素含有)、チリ硝石に多く含まれています。フランスの化学者ベルナール・クールトアBernard Courtoisによって1811年に海藻灰から発見されました。主に有機化合物として存在し天然に遊離の状態ではみいだされていません。天然ガスと共に採取される、かん水(化石海水)、ケルプNaIに塩素を作用させて工業的にヨウ素製造原料として用いられ生産されています。
化学作用がF,Cl,Brに似ていることからハロゲン族元素のひとつに属します。黒褐色の結晶で水にわずかに20℃で0.018g/100mLほど溶け、アルコール(ヨードチンキ)、ヨウ化カリウムの水溶液によく溶け黒褐色の液体をつくり穏やかな加熱でただちに紫の蒸気になり昇華(しょうか)という現象を生じます。融点113.7℃、沸点185.5℃、原子番号53、原子量126.92、同位体(質量:重さの異なる元素)数十種が知られ、そのうち海藻に多く含むヨウ素127のみが海水などに一定量存在し安定しています。

 人体に25mg存在しそのうち3/5の15mgは甲状腺に含まれています。ヨウ素は、血液中から甲状腺細胞内に運ばれ酸化されてからチロシンと反応して3.5ジェートチロシンに変わります。血液には、100mL当たり3-20μgのヨウ素を含みますがその1/4がチロキシンです。サイロキシン
(チロキシンThyroxin)、ヨードチロシンIodotyrosineの2種の甲状腺ホルモンの主成分であり欠乏、過剰摂取により甲状腺腫の原因になっています。体内における形態は無機態と有機態のものが存在しホルモンの体内での酸化現象を促進させることにより基礎代謝を増加させています。
海藻類などからヨウ素が食物として摂取されて腸より吸収され血液中に入り、甲状腺内で吸収され残った分は体内での循環が早く経口後6-20分で尿中、唾液に認められています。成人でおよそ50-1700μgを尿中に排泄しているといわれます。

推奨量として一日で18歳以上の成人で150μg、1-2歳60μg,3-5歳70μg,6-7歳80μg,8-9歳100μg,10-11歳120μg,12-17歳140μg,目安量として0-5ヶ月130μg,6-11ヶ月170μgとして定めています。海藻をよく食べている日本人には、不足することは少なく平均1〜4mg/1日摂取しているといわれています。上限量とし3mgを定めていますが上限摂取量のほうに付いては、まだはっきりした化学的根拠が示されていなく国際基準、日本の比較的海藻を多く摂取している集団のヨウ素平均摂取量を参考にして定めています。

日本では、不足より過剰摂取で甲状腺腫、眼球突出、頻脈、バゼドー氏病、体温の上昇、速脈、体重減少が気になるところです。コンブの産地として有名な北海道その沿岸地域の方では甲状腺腫になる人が多く、理由がヨウ素の過剰摂取とされています。その沿岸地域の人々は1日に50〜80mgものヨウ素を含む海藻類を摂取していたといわれます。
ヨードを使ったうがい薬は、日に何度もヨード入りのうがい薬を使い続けているうちに、動悸がひどくなり、甲状腺機能亢進症になっていたという人もみられ、むやみに使わないほうがよいでしょう。

ヨウ素は、陸の植物には、あまり含んでいなく海藻類に多く含んでいることより海岸より離れた地域での欧米では、沃素の添加がおこなわれているところもあります。
ヨウ素が欠乏すると甲状腺ホルモンのチロキシンThyroxineの不足によりエネルギー代謝量の減少により少しの運動でも疲労感を感じ、浮腫が生じてきます。幼児での不足は身長が伸びずクレチン症という小人となることがあり、精神的発達も遅れてきます。海より遠くはなれているスイス、アメリカなどの一部地域では、不足することもあり飲料水、食塩にヨードを添加したりしています。ヨード卵は、ニワトリにヨードを多く含む飼料、海草、魚の粉末を普通のとうもろこし、干し草に混ぜて与え一般の卵(0.05mg/100g)の十数倍のヨウ素を含む卵としたもので卵黄部分に多くなります。

一回の可食量乾燥わかめ0.2mg(200μg)/1g、乾燥昆布2mg(2000μg)/1g、焼き海苔(1枚3g)180μg程度含みます。可食部100g当たりにすると昆布(乾):200〜300mg 、わかめ(乾):7〜24mg、ひじき(乾):20〜60mg 、カツオ200μg、海産動物・豆類0.1-0.3mgを含みます。
含量ppm(百万分の1)で新鮮な水:0.002ppm、海水:0.06ppm、海産植物:30-1500ppm、海産動物:1-150ppm、陸産植物:0.42ppm、陸産動物:0.43ppm(甲状腺・毛髪に多い)、ppb(ppmの千分の1)で大麦70ppb、ほうれん草20ppb、人参2-170ppb、脱脂乳12ppb、バター160ppb、鮭45-325ppb、はまぐり6,200ppb程度含んでいます。

干して乾燥させた昆布を長時間煮沸すると沃素が汁に多くが流出します。昆布はよく、出し取りに利用されていますが、水に24時間浸しておくと35%程、煮沸させて直ぐ取り出して20%、さらに5分加熱で85%ののヨウ素が水に移行しています。

ヨウ素の働きは精神神経、身体の活動の調整、新生児の脳の発育、エネルギー代謝、成長促進作用があります。
主に昆布類にアルギン酸(食物繊維)と共に含むぬるぬるの成分で
ラミニンが糖タンパク質(アミノ酸)として存在しています。塩基性アミノ酸のラミニンが血圧を下げ動脈硬化を予防します。褐藻類に平均1%、昆布乾物に3〜8%含むラミナリン(多糖類・食物繊維)を含みます。毛細血管を収縮させて血圧を高める作用のあるアドレナリンにヨウ素が酸化されてできたヨウ素酸が作用してアドレナリンの働きを阻害します。

沃素は、ヨウ素でん粉反応、沃素価の測定に利用されています。
ヨウ素澱粉反応Iodostarch reaction
 呈色反応として澱粉、ヨードの検出に利用され、ごく微量澱粉に反応し、アミロイドは濃い赤褐色、でん粉は青藍色、グリコーゲンは褐色になります。この色は加熱によって消えますが冷却すれば再び反応が表れます。


沃素価Iodine value
  油脂中の二重結合(C=C)の定量に用い、油脂(グリセライド)にハロゲン(ヨウ素・フッ素・塩素・臭素)を作用させたときに吸収されるハロゲン量をヨウ素量に換算し直し試料に対する100分率で表したものです。油脂100gに吸収される沃素のgを表し油脂の不飽和脂肪酸の重量、二重結合の数を示しています。
油脂の種類によっておおよそ定まっており沃素価が120以上あるものを乾性油(大豆油130)、90〜120を半乾性油(なたね油、胡麻油110)、90以下を不乾性油(オリーブ油80)としています。


 2011年3月11日に起きた東日本大震災で福島第1原発の事故により放射性物質、ヨウ素 131(半減期8日)とセシウム134、セシウム137(半減期30年)の3種類、特にヨウ素131の検出が社会問題として報じられました。特に放射性沃素ついては、
放射性物質Radio isotopes・ Radioactive material 
  放射線を出す能力を持つ物質で水道からのヨウ素131の検出量は、国の定める飲食物摂取制限暫定基準値、成人300ベクレル・乳児100ベクレル/1Lの数値としていますがWHOの基準10Bq(ベクレル)/Lとしています。ICRP(国際放射線防護委員会)が勧告した放射線防護の基準(放射性ヨウ素は甲状腺(等価)線量50ミリシーベルト/年)を基に、日本での我が国の食品の摂取量等を考慮して食品のカテゴリー毎の飲料水、食品等について定めています。
放射性ヨウ素(飲料水)300Bq/kg  放射性セシウム(飲料水)200Bq/kg プルトニュウム(飲料水) 1Bq/kg放射性ヨウ素(野菜・魚介類)2000Bq/kg  放射性セシウム(野菜・魚介類)500Bq/kg プルトニュウム(野菜・魚介類)10Bq/kgを暫定基準値として定めました。
ヨウ素131は原子核に含まれる陽子と中性子を合わせた数で、質量数といいます。ヨウ素の陽子の数は78個で自然界で安定したヨウ素は「ヨウ素127」としています。ヨウ素131はベータ線(β電子線)を出して安定した原子キセノンに変わり、出る放射線の量はヨウ素の量に比例し時間とともに減少します。キセノンに変わってヨウ素の量が減りさらにキセノンは安定するとガンマ(γ)線を出します。
ヨウ素131は、8日たつと最初の量が2分の1になるとともに、放射線の量も2分の1になり、さらに8日たつと、その1/2、すなわち最初の量の4分の1になります。この半分になる時間、すなわち8日を半減期といいます。半減期ごとに2分の1になり時間ごとに量は1/2ずつ少なくなり、限りなくゼロに近づきます。

核実験や原子炉事故時に検出される放射性のヨウ素は、ヨウ素131( 131 I) 、気体になりやすい132 I (半減期2.5時間) 、133 I (半減期21時間) などで、129 I (半減期1570万年)も原子炉の中でつくられるのですが、131 I 、132 I 、133 I の3種の放射性ヨウ素に比べ、量が格段に少なく、129 I は検出されにくいとしています。しかしながら使用済核燃料を長期保存し半減期の短いヨウ素が減少し放射物質が衰えてくると現れてくるようです。
 ヨウ素131は、主に核燃料から出る放射性物質であり、セシウム137は、使用済み核燃料からの放射性物質とされています。
 原子炉事故で最も早くに検出されるのは気体になり易い元素ですが放射性の、ヨウ素、希ガスのクリプトンKrypton、キセノンXenonなどであり希ガスは、人体に蓄積されず大気中に拡散していき半減期に従い放射能を失い人体に与える影響は少なくなります。
 放射性ヨウ素は呼吸や食べ物を通じて体内に入り、血中に移行し血中に入ったヨウ素の10〜30%は甲状腺に蓄積され、その割合は、放射性でないヨウ素の摂取量に左右されることになります。甲状腺を放射性でないヨウ素で満たしておくことによって放射性ヨウ素の甲状腺への移行を阻止できるといわれます。
安定ヨウ素剤の投与
 大気中に放射性ヨウ素が放出されるような原子力災害事故が起きた時に備え、事前に安定ヨウ素剤(ヨウ化カリウム)が準備されています。放射性ヨウ素が体内に入る前にヨウ素剤を飲用することが最も好ましいのですが、発生したと同時に飲んでも、抑制することができるといわれています。しかし体内に入って時間が長くなるにつれ効果は低く3時間後で50%以上ですが、半日後では殆ど効果はないといわれます。必要に応じて連続して飲むことになります。副作用がでてくることもありますので注意が必要です。
 安全といいながら、事故に備えて安定ヨウ素剤を準備していました。事故は皆無とはいえないからこそ大都市に原子力発電所の設置はせず、人口の少ない、事故を最小限にくい止めることから海岸線に設けられたとしか考えられません。

 食品は、よく洗いながす、茹でこぼす、皮をむくことによってヨウ素131の汚染物質をかなり取り除くことができます。


食品照射、医療機器の滅菌にコバルト60γ線(半減期5.27年)、β線、セシウム137(半減期30年)が利用されています。


(2011,4,18 記載者:村上京子)

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