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《テーマ いろいろ・パート2》
 

放射性物質Radio isotopes ほうしゃせいぶっしつ
  2011年3月11日に起きた東日本太平洋大震災で福島第1原発の3月12日(1号機)、14日(3号機)、15日(2号機)の水素爆発事故で大量の放射性物質の放出がありました。
 1,2,3号機の爆発による炉心溶解メルトダウン(Meltdown)とは、 Melt(メルト)は溶けるで、経済産業省原子力安全・ 保安院は「燃料が溶けて下に落ちる状態」と定義しています。 炉心で発生する熱を除去、または冷やすことが出来なくなり高温となって燃料としている燃料棒が1200度から3000度程になった時に溶融する事で原子炉での重大事故で非常に危険な状態です。
そのときの余波で、これから何十年と先を注視していく事態に見舞われました。
福島第1原発からの放射性物質の放出量はウランに換算して広島原爆20個分、放射線の総量29.6個に相当するといいます。原爆の放射線は1年で1/1000に減少していたようですが原発の放射線は1年でわずか1/10にしかならないといいます。原爆に比べて放射線の減り方が遅く少量の汚染ならその場の線量を考えればいいのですが、総量が膨大に大きくなると、放射性物質の粒子の拡散を考慮しなければなりません。


放射性物質とは放射性同位元素であり放射線を出す能力を持つ物質のことです。事故、核兵器実験によって大気中に放散された放射性物質が徐々に地表に降下し被害をもたらします。今回の事故では、発生当初はヨウ素131(半減期8日)でしたが、現在では長期的な観点から最も厄介なセシウム134(半減期2.1年)、セシウム137(半減期30年)の被曝が主な社会問題となっています。健康悪化には、多くの要因が複雑に絡みあっていると考えられますが、健康悪化が認められたとしても、それが被曝の影響であるとは直ちには言えないであろうことが推測されます。
事故前までは世界で平均すると、人体は年間およそ2.4ミリシーベルト(2.4mSv:1シーベルトの1000分の1×2.4:2,400μSv)、平時の日本国内の平均値は1.4〜1.5 mSv/年間で自然からの放射線に常にさらされているといわれます。
原子力安全委員会が定めた飲食物摂取制限に関する指標として放射性セシウム(飲料水)200Bq/kg、 放射性セシウム(野菜・魚介類)500Bq/kg を定めています。放射性物質にはさまざまな種類があり、放射性物質によって、放出される放射線の種類やエネルギーの大きさが異なるため、これにより人体が受ける影響は異なります。このため、放射線が人体に与える影響は、放射性物質の放射能量(ベクレル:Bq)の大小を比較するのではなく、放射線の種類やエネルギーの大きさ、放射線を受ける身体の部位なども考慮した数値(シーベルト)で比較する必要があります。ベクレルは1秒当たりで崩壊する放射性核種の数を表す量として定義されている単位です。
換算されたシーベルト値は体内に取り込んだ放射性物質の放射線が体内に存在している間に人体に影響を及ぼすと思われる度合いを表す線量です。
ベクレルをシーベルトに換算するには放射性核種に対する実効線量係数が決まっておりベクレルBq/kgからミリシーベルト(mSv)に直す場合、経口摂取の口から食物を摂取する場合でヨウ素131で、2.2×10−8乗(0.000022)、セシウム137で1.3×10−8乗(0.000013)をBq/kgに掛け算することによって示すことができます。
放射性ヨウ素131を10,000ベクレル(Bq)経口摂取した場合の内部被曝実効線量は220マイクロシーベルト(220μSv)です。セシウム137で10,000ベクレルを経口摂取した時は0.13mSv(130μSv)となります。
原子炉事故で最も早くに検出されるのは気体になり易い元素で放射性のヨウ素、希ガスのクリプトンKrypton、キセノンXenonなどであり希ガスは、人体に蓄積されず大気中に拡散していき半減期に従い放射能を失い人体に与える影響は少なくなります。これらは緊急時の暫定的措置としての数値で、2012年4月ごろまでには、乳幼児における数値なども示され、今後規制値として新たに決められることが予定されています。
 核燃料として使われるウラン235が核分裂すると、セシウム137が最も多く生じ、さらに微量ながらストロンチウム90も排出され、セシウム137、ストロンチウム90は、使用済み核燃料からの放射性物質です。
放射性物質は、放射能を有する性質のある物質のことであり、その物質の放射性元素は、放射線を放出する元素のことで自然界にもウラン、ラジュウムなどが存在していましたが、人工的に多くのものが存在するに至っています。放射能とは、ある元素が崩壊して他の元素に変わるとき、放射線を出す作用のことです。
核分裂によって新しくできた不安定な状態の元素や中性子を吸収しエネルギーの高い状態になった元素の原子核が、より安定な、エネルギーの低い状態になるときに原子核から放出される放射線がアルファ(α)線、ベータ(β)線、ガンマ(γ)線、中性子線となります。
放射線の透過力は、
アルファ(α)線は、ヘリウムの原子核で粒子線で紙、数cmの空気層でもさえぎられ通しません。
ベータ(β)線は、電子の流れであり、粒子線で紙は通過しますがアルミニウムなどの薄い金属板、プラスチック板で遮(さえぎ)られます。
ガンマ(γ)線は、波長の短い電磁波で紙、薄い金属板を通過しますが鉛や厚い鋼鉄の板で遮ることができます。
中性子線は、紙、薄い金属板、鉛や厚い鋼鉄の板でも通過し水、コンクリートで遮ります。水(水に含まれる水素の原子に衝突させて)でエネルギーを吸収させるためホウ酸水、パラフィンなど使って遮蔽(しゃへい)します。
一度に大量の放射線の全身・局所被曝による急性の健康への被害は、
200mSv:これ以下で現状から急性の臨床症状の確認がされていない。
500mSv:末梢血中のリンパ球の減少
1000mSv:1割りに悪心・嘔吐、水晶体混濁
3000mSv:脱毛
4000mSv :50%の人が死亡、不妊
5000mSv :白内症・紅斑
8000mSv:ほぼ100%の人が死亡
後発性障害としてガン、白血病、白内障、胎児への障害、遺伝障害、短命などがありますが、発病したとしても、その原因を数十年前に浴びた、浴び続けた放射線だと特定することは難しくなります。統計的に、放射線を浴びた人に多いといわれています。
外部被曝では、洗い流すなどによって遮断することは可能ですが内部被曝ではα線の実体はヘリウム(不活性気体)原子核であり吸引などすると打撃が大きくなります。元素によっては身体の中の特定の器官に集まることもあり、限度以上に経口、吸入することによって対策が困難となってきます。
外部被曝の場合は、透過力の強いγ線の影響が大きくなりますが、内部被曝の場合は、透過力の弱いα線で、β線(電子)やγ線(光の1種)に比べエネルギー量が高く大きいため、長い距離を飛ぶことができず、また他の物質をすり抜けることができません。人体組織や臓器中にとどまり健康被害を受けやすい状態となるのです。

日本政府は限界線量(許容量)として2011年3月11日に起きた福島第一原発の事故に際し、原発の職業人ではこの値を250mSv/年としています。一般の人の限界線量は20mSv/年です。100mSv/年を一生を通して被曝し続けるとリンパ球の減少、白血病、ガンの危険性が高まるとしました。年間100mSvで人体に影響があると言われ100÷365÷24で一時間当たりの換算で0.011mSv(11.4μSv)/h以上被曝を受け続けると健康に影響があると考えられます。

X線(電磁波:透過力はγ線と同程度)での撮影では、0.05mSv-4.5mSv/1回で程度の放射線量を浴びています。放射線は、さらに食品照射、医療機器の滅菌にコバルト60γ線(半減期5.27年)、β線、セシウム137β線(半減期30年)が利用されています。

セシウムCesium(Cs)は、ウラン235が核分裂により微量のストロンチウムとともに生じ、さらに崩壊後、バリウムになることでも有名です。残りは中性子として放たれます。セシウムがβ崩壊し、β線と反電子ニュートリノNeutrino(中性微子)を放出してバリウム137(Ba137)になります。リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、ルビジウム(Rb)、カリウム(K)、フランシウム(Fr)のアルカリ金属に属し、多くの化学的性質の点において、これらは類似しています。人体では筋肉に蓄積したのち腎臓を経て体内から排出されるといわれています。食品は、よく洗いながす、茹でこぼす、皮をむくことによって汚染物質をかなり取り除くことができます。
原子力安全委員会が定めた飲食物摂取制限に関する指標が内閣府の食品安全委員会は、食品や飲料水から体に摂取する放射性セシウムの放射線量について、年5mSv、放射性ヨウ素で年間2mSvまで上限とすることを妥当としています。
食品安全委員会は2011年7月 26日に、厚生労働省への答申案をまとめ発表し、内部被ばくと外部被ばくを合わせ、自然からの放射線量 を除き成人で生涯における累積線量の 限度を100mSvとすることで取りまとめました。 子どもについては、甲状腺がんや白血病など 、大人よりも影響を受けやすい可能性があることを指摘しています。暫定規制値の放射性セシウム(飲料水)200Bq/kgで0.0026mSv、 放射性セシウム(野菜・魚介類)500Bq/kgで0.0065mSv となります。2012年(平成24年)4月より規制値として新たに放射性セシウムで粉ミルク、牛乳などの乳児用食品50Bq/kg、飲料水では10Bq/kg、一般食品(野菜・魚・肉など)100Bq/kgとなりました。


太平洋の海水中のセシウム濃度は1年後、最も高い海域で1リットル当たり0.023ベクレルとなることが原子力機構の予測で分かっています。
事故前の0.0017Bq/Lの約14倍となり、昭和30年代のピークだった1957年の0.080Bq/Lの約3分の1に相当します。以後、濃度はさらに薄まっていくものとしています。
 この結果から、平均的な日本人が平成24年4月から1年間、最も放射能濃度の高かった海域の海産物を摂取した場合の内部被曝線量を年間約1.8マイクロシーベルトと算出しています。
昭和30年代の年間約1.7マイクロシーベルトとほぼ同水準となる見込みです。

一般人の内部被曝限度である年間1ミリシーベルトの約500分の1で、人体への影響は問題ないレベルといいます。
 セシウムを含む海水は、黒潮や北太平洋海流で拡散しながら東に移動し、放出から3年後にハワイ、5年後に北米西海岸に到達すると予測しています。

 一般的に100ミリシーベルトの被曝をすると、将来がんなどで死亡する危険が0.5%高まるとされています。
それ以下の場合の影響ははっきりしていません。
国際放射線防護委員会(ICRP)は平常時に受ける自然放射線以外の被曝量を年1mSvに抑えることを目安にしています。
100mSv-200mSvの被曝に相当する発がんリスクは、だいたい野菜不足、受動喫煙と同じぐらいで通常の1.08倍と国立がんセンターでまとめています。塩分摂り過ぎ、運動不足で100mSv-200mSvの被曝に相当し通常の1.2倍で影響が大きいとしています。

これらの新規に発生した放射性物質は、今までの食生活からの危険性にプラスされることになります。
消費者は、少しでも発ガンリスク、放射性物質の少ない食品の選択に努めることは必要です。さらにマスクをして呼吸によって肺に吸収されることを防ぐ意味でとくに空間線量の高い日は外出を控えたり換気扇を回さないようにしましょう。
微量ながら、それぞれに蓄積されればそれだけ発ガンリスクは高まることになります。

放射性セシウムでは2011年3月21日茨城で1平方キロ・メートルあたり1万3000メガ・ベクレルを観測したほか、 山形、埼玉、岩手、東京、栃木、群馬、 千葉でも検出されていました。1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故後、セシウム-137、微量のストロンチウム90(半減期28.8年)などの放射性物質で周辺の土壌は汚染され、さらに食物連鎖により植物や動物に汚染物が取り込まれます。人体では筋肉に蓄積したのち100日ほどで腎臓を経て体内から排出されるといわれています。

 動物性たんぱく質に多く含むリジン、メチオニンの必須アミノ酸、レシチン(リン脂質)の摂取によってセシウムの蓄積を抑えることが動物実験で明らかにされているようです。アミノ酸やクエン酸などの酸には、放射能を排出する力があると云われています。納豆菌Bacillus subtilis natto に含まれるジピコリン酸 dipicolinic acidには、強力な抗菌、抗ウイルス、抗炎症作用、金属イオンと結合して排出する作用があるムチンと呼ばれる成分に含みます。腸内環境を整え便秘をしない、もし、野菜や水に放射能が残っていたとしても、発酵食品や漬け物、ペクチンを摂取することで、放射能物質を排出してくれるのです。紫外線の害にビタミンCが効くように放射線の害にもビタミンCが有効です 。栄養バランスの取れた食事が望まれます。


(2011.12.19 記載者:村上京子)                           
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