大気に放出された汚染物質が拡散し、水や土、農作物に付着します。汚染されている、その土で栽培された農作物には、汚染物質の量が多くなることが予想されます。とくにキノコは汚染物質を吸収しやすいことが知られているので、今後とくに野生のキノコは注意をする必要があります。汚染されているような土地では土壌改良をしないと農作物を現状で作ることは難しくなります。土壌改良の進んでいない地域での山菜の摂取、登山、ハイキングは当分は避けるようにしましょう。
海洋汚染も深刻な問題となってきます。汚染水が、海洋に流れてそれによって水産物の汚染が拡大しています。放射性物質も海底に蓄積、堆積していくことになり、そこに生育、生存する海産物に対し大きな影響が考えられています。
以外に津波で被災した工場からの化学物質などで汚染されている可能性もあります。海洋では、海藻類・プランクトン→小魚→大きい魚と捕食される食物連鎖があります。プランクトンなどが取り込んだ汚染物質は小魚や大きい魚に取り込まれていき生物濃縮が起こります。そして私たち人間は、食物連鎖の最終生物としてそれらの海産物として摂取しています。
2011年現在では、やはり、すでに福島原発の周辺で試験採取された沿岸の表層性魚種(コウナゴ、シラス)、沿岸の底層性魚種(アイナメ、カレイ、メバル、ヒラメ)、無脊椎動物(ムラサキイガイ、ホッキガイ、ムラサキウニ、モクズガニ)、海藻類(ワカメ、ヒジキ、アラメ)、淡水魚(アユ、ヤマメ、ウグイ、ワカサギ、イワナ、ホンモロコ[養殖])から暫定規制値を超える放射性物質が検出されていたようです。
水産庁での発表です。
主に軟組織に広く取り込まれて分布し、生物濃縮により魚食性の高い魚種(カツオ、マグロ、タラ、スズキなど)での高い濃縮度を示すデータが得られているようです。
汚染されていない海域の底生生物を主な餌とする魚種(カレイ、ハタハタ、甲殻類、頭足類、貝類)では比較的濃縮度は低いとしています。大型の魚種ほど、濃縮度が高くなることが示唆されます。また若い魚や高水温域に生息する魚では代謝が良く排出量が多くなるため蓄積量は少ないと考えられています。
市場に出回っている水産物については、暫定規制値を超えないことを確認した後に漁業を再開しているといいます。
食物連鎖によって魚体内で放射性物質が濃縮、蓄積されて、 他の
ミネラルと同様に、海水中や餌中に含まれる
放射性物質は魚の体内に取り込まれ、その後徐々に海水に排出されていきます。
海産魚中の放射性セシウムの濃度は、周囲の海水中の放射性物質の濃度の5〜100倍に濃縮(食物連鎖による影響を含む)することが報告されており、海水中の放射性物質の濃度が上がれば高くなり、逆に、下がれば徐々に排出されて50日程度で半分程度に減少することが、これまでの研究で分かっています。このことから水産物中に含まれる放射性物質の調査に加えて、海水中の放射性物質の濃度のモニタリングが重要で調査が続けられています。淡水魚については、海産魚に比べて放射性物質の排出に要する時間が長いことが知られています。淡水魚についても、広く放射性物質の調査が行れています。知られる水俣病は有機水銀による中毒で脂溶性であり、セシウム、カリウムの水溶性物質より長く体内にとどまりやすく、蓄積し神経障害などの症状が強く現われる結果となりました。水溶性物質は、排出が早いとはいえ食物連鎖を見逃すことはできません。
海産物についてEU執行機関の欧州委員会が2011年8月に 欧州連合(EU)加盟国に対して、福島第一原子力発電所の事故を受けて実施している水産物の放射性物質の検査について、以前に日本近海で捕獲されたものを検査の対象にすることを発表していました。さらに対象地域を南シナ海からアメリカの西海岸沖にわたる太平洋の広範囲に広げ日本以外の国から輸入される水産物についても自主的に検査を行うよう求めています。
太平洋沖で回遊性の高い大規模な回遊を行う生物にはマグロ、カツオ、ブリ、カジキ、サバ、サンマ、イワシ、アジ、ニシンなどがあります。
捕獲しているロシアや中国の漁獲物にも、福島原発事故で流れ出した放射能汚染水が影響を与えた可能性を排除できないとして、輸入海産物の抜き打ち検査を勧告しました。
今後は、食物連鎖による、生物濃縮も考えられ、食品のモニタリングによる調査を見守っていく必要があります。
(初版2012.2.18 更新2012.11.14 記載者:村上京子)