◎骨粗鬆(しょう)症の食事療法
路面が氷結して、足元がおぼつかなくなって転倒の事故が多い季節です。丈夫な骨を常日頃から作っておくことが大切です。骨粗鬆症予備軍は、推定1000万人ともいわれており以前から高齢者(寝たきり100万人のなかで骨折の原因が20%とされる)、女性に多いといわれていた骨粗鬆症(オステオポローシス)です。それが最近では子供達にまで広がってきています。男性でも緩やかに起こっています。骨粗鬆症とは、どのような疾患なのか、どうしてそのようになってしまうのか、予防策について取り上げてみました。
骨に粗(あら)く、鬆(しょう・す)は空洞で水分の抜けた大根、ごぼうなどにできる細(こま)かい多くの穴のことで、その状況が骨に現れている症状、病気の状態のことです。骨基質の約90%がコラーゲンで残りの10%で非コラーゲン性のオステオカルシン、オステオネクチン等で占められています。これらの骨基質にハイドロキシアパタイト(リン酸カルシウムの結晶)が沈着石灰化して骨の組織が形成されているのです。軟骨は特有の弾力と硬さを持っていて圧力に対して抵抗性があります。関節軟骨が加齢や摩擦により質的、量的に変化し、炎症を起こしてしまった状態は変形性関節症といわれるものです。
高齢者の腰痛、背痛の原因ともなり、寝たきりになる原因として、脳卒中、老化によるものがありますが骨折も上位に位置しています。若者層の女性に過度なダイエット、閉経による女性ホルモン(エストロゲン)のアンバランスにより
カルシウム(人体のCaの99%が骨に存在)の吸収がスムーズに行われなくなって骨粗鬆症に陥り骨折しやすくなるようです。最近の子供達は、外で遊ぶことが少なくなって家に引きこもり運動不足となって日光に当たる機会も少なくカルシウムの吸収を高めてくれるビタミンDの取り込みが悪くなってきます。
そして加工食品(品質改良剤、結着剤として利用されているリン酸塩は、体内のカルシウムとのバランス、ミネラルの吸収を阻害する)の利用が多くなりリン(P)の過剰摂取によりカルシュウム(Ca)の吸収を悪くしています。
100g中の加工食品のリンの比較をしてみました。
豚肉200mg:ロースハム340mg 馬鈴薯40mg:ポテトチップ100mg あじ230mg:魚肉ソーセージ200mg
以上のことからロースハム、ポテトチップからのリンの取りこみが多いことがわかります。
カルシウムの必要量は糞便、尿中へ230mg、発汗で30mgの排泄され、消化吸収率、安全率を考慮して600mgとして定めています。骨粗鬆症では、今までの不足を補うこともあり
カルシウムの所要量を1000mg/1日とします。
一般常食でのカルシウムの吸収率は、35〜60%といわれ身長の伸びの著しい時期である思春期の吸収率、乳製品からの吸収され利用される効率は高いですがその他の食品からの吸収率は、20〜40%程度となっています。蓚酸(ほうれん草)・フイチン(穀類)を多く含む食品もCaの吸収を悪くします。国民栄養調査からほとんどの年齢層で不足しており特に20歳代は、充足率70%(H12年調査)程度です。骨量(bone mass・骨密度・骨塩量:骨に含まれるミネラルの量)は、30歳代でピークに達してその後は減少に傾くようです。10〜20歳代で骨量をできるだけ高くしておくことが骨折を食い止める為に大切なことといえるのではないでしょうか。
骨量の測定は、検診で手軽にできる超音波による方法、DEXA(Dual energy X-ray
Absorptiometry)法などのX線による方法は数種あるようです。生涯の最大骨量を示す40歳を頂点とし放っておくと50%以下にまても降下するといわれます。70%未満に落ち込んできた段階を骨粗鬆症と診断し定義しているようです。
新しい血中の骨代謝マーカーが最近2004年より単なる骨密度の代わりの指標ではなく新規骨折のリスクの指標になるとし治療薬の効果を評価する必須の手段として用いられてきています。従来骨密度と連動し、その代わりとなる指標で新規骨折のリスクの指標とし治療の効果を評価する手段の一つとしていました。骨粗鬆症や他の骨代謝性疾患において血清BAPおよび血清・尿中NTX、CTX、尿中DPD(デオキシピリジノリン)測定が報告されています。これらの骨代謝マーカー測定は骨量変化(BMD)の予測、骨吸収抑制治療開始前後の骨吸収変化の指標とし使用されています。
骨がもろくなるということは、血液中のCa濃度を一定に保とうとする為骨に蓄えられていたCaが血液中に流失してしまいその為に入ってくる形成されるCaは少なく出ていく古くなった破壊されるCaばかりになって骨格の方がもろくなるという現象です。また女性ホルモンの低下によって骨密度が急速に低下することも解っています。適度な運動をすることによって骨格への刺激が伝わり新陳代謝を高めることになり骨の形成を促進させることになるのです。運動のやり過ぎは、反対に疲労骨折を起こしやすくし禁物です。
骨は常に生まれ変わっています。三年で再生されるともいわれます。健康な骨を作るためにはやはり栄養のバランスが取れていることです。リコピンが、Caの流出を防ぐことが最近分かってきています。カルシュウムの吸収をよくするにはビタミンDばかりでなくいろいろの栄養素(
蛋白質・
マグネシュム【Mg】・リン・
ビタミンC・D・K)が絡み合っているのです。骨を作るのに関係する主な栄養素について解説してみましょう。
- リン(P):リンもカルシュウムの沈着には大切な働きをしているのですが最近は、過剰に摂取されているということで悪者になってしまいました。欠乏でも過剰でも骨折しやすくなります。Caの2倍を超えると骨からCaが抜けていきます。Ca:P=1:1から2の割合が望ましいのです。リンとのバランスが大切なわけです。体内に700gも存在するといわれ骨格中にその85%を占めCaとともに骨格を形成しています。欧米で日本より骨折の多いのは蓄肉食が多くCaとPの比率が悪く蓄肉からのPの摂取がCaの2倍以上と過剰になって流出しているからといわれています。
- マグネシュウム(Mg):体内のMgの70%が骨格中リン酸マグネシュウムの形で存在しMgの代謝は、Caと関係しておりCaの構成要素となっているのです。
- 亜鉛(Zn):皮膚、骨格にも存在し、蛋白質の代謝に関係し酵素の構成成分となっています。細胞の代謝を促し活性化させ新しい骨を作りやすくして骨の骨密度を高め強化しCaの沈着を促進させる働きをしています。
- ビタミンC:カルシウムの沈着、丈夫な骨の形成に必要な働きをしています。
- ビタミンD:カルシウムを吸収するのに重要な働きをしています。1日10分程度の日光浴で充分といわれます。
- ビタミンK2:骨に含まれるオステオカルシン(カルシウムを吸着させる骨蛋白質:骨基質蛋白質)の生成に関与しています。
- 蛋白質:コラーゲンの生成に重要な働きをしています。グルコサミン、コンドロイチンの構成成分ともなっています。
- グルコサミン:グルコースより合成されているアミノ糖であり糖蛋白質の成分です。甲殻類(えび・かに)に含まれるキトサンの別名でありコンドロイチン、ヘパリン(ムコ多糖類・体内にある血液凝固を阻止する物質として一般に抗凝固剤として使われる)、ヒアルロン酸(ムコ多糖類・粘りのある粘質多糖類)の構成成分となっています。軟骨の形成を促し鎮痛作用があります。
- コンドロイチン:軟骨、骨、じん帯など結合組織に存在しており、軟骨の保水を維持し軟骨分解酵素の働きを抑制する作用を持っています。
- クエン酸:クエン酸がビタミンD欠乏であっても骨の形成がおこなわれることがわかっています。血清中のCa、P(りん)量はクエン酸量と比例しています。
カルシュウムを効率よく摂取する為にはやはりいろいろの栄養素をバランスよく取ることが大切なことのようです。現在の食生活においては、上記に記された栄養素のなかでもカルシュウムの不足によって骨粗鬆症に陥っているケースが多いようです。最近は、らっきょうのフルクタン、りんごに含まれるボロン、フロリジンの
ポリフェノール、
大豆製品がエストロゲンの吸収を高めるともいわれます。
大豆の胚芽部分に多いイソフラボンが植物性エステロゲンともいわれ、大豆製品を多く摂取していた日本人は、欧米人に比較し骨折率が1/3であるとの報告がされています。ちなみに、カルシュウムの摂取は、欧米の1/2程度となっています。エストロゲンの働きを高めるものとしてビタミンD.Kが必要ともいわれます。酢がカルシュウムの吸収をよくするといわれます。コラーゲン、グルコサミン、コンドロイチンが水分、カルシュウムを包み込んで丈夫で健康な骨や軟骨を形成しています。
バランスのとれた食事をしながらより多くのカルシュウムの多く含まれている食生活が望まれます。どのような食事をしていったらいいのか考えてみましょう。カルシュウムを多く含む食品は、なんといっても乳製品です。一回に食べられる量で見てみます。
牛乳150cc:165mg・粉乳(スキムミルク)20g:220mg・調整粉乳20g:74mg・チーズ20g:126mg・胡麻10g:120mg・豆腐100g:120mg・納豆50g:45mg・卵50g:26mg・野沢菜60g:78mg・大根葉60g:102mg・京菜60g:126mg・モロヘイヤ30g:78mg・ひじき5g:70mg
高齢者に多い
乳糖不耐症(牛乳を飲むとお腹がゴロゴロして下痢しやすい)のときは、暖めて少量ずつ分けて飲むように又はスキムミルク、チーズ、ヨーグルトで取るようにしたほうがよいでしょう。乳糖不耐症は、乳糖が分解吸収できないために起こるもので、調整粉乳は、βー乳糖、平衡乳糖(変旋光:へんせんこう)にすることによって吸収阻害を軽減させているといえます。最近では、牛乳に乳糖加水分解(牛乳中の乳糖をグルコースとガラクトースに分解されたもの)ミルクとして分解酵素ラクターゼを加えた乳糖分解乳としたものもあります。ちなみに豆乳のCaは、23mg/150ccです。
以下に食料構成、献立例を示しました。
一日の食糧構成(例)エネルギー1776Kcal たんぱく質81.4g 脂肪47.3g 炭水化物250.8mg カルシウム1001mg マグネシウム313mg リン1396mg ビタミンK796μg ビタミンC109mg
| 食品名 |
魚介類
(生) |
魚介類(干) |
獣鳥肉(豚もも肉) |
牛乳 |
乳製品
(チーズ・粉乳) |
卵類 |
緑黄色野菜
(ほうれん草) |
その他の野菜
(キャベツ) |
乾燥野菜
(切干大根) |
野菜漬物
(白菜) |
海藻類
(干わかめ) |
| 数量(g) |
70 |
1 |
50 |
300 |
20:20 |
40 |
100 |
200 |
1 |
20 |
3 |
| 目安 |
中1尾 |
一つまみ |
小一切れ |
1カップ半 |
厚切・大匙
り一 三杯
切れ。
|
小一個 |
5株 |
中1/4切れ |
一つまみ |
一握り |
大さじ1/2杯 |
| 食品名 |
さつま芋 |
馬鈴薯 |
その他の芋類
(里芋) |
柑橘類
(みかん) |
その他の果実類
(りんご) |
米飯 |
小麦 |
大豆製品
(豆腐・納豆) |
油脂類 |
堅果類
(胡麻) |
砂糖 |
| 数量(g) |
5 |
30 |
20 |
20 |
130 |
350 |
50 |
50・40 |
10 |
2 |
10 |
| 目安 |
取り混ぜて馬鈴薯で中1/2程度 |
取り混ぜてりんごで小1個 |
大きい茶碗で二杯 |
食パン六枚切り1枚 |
味噌・ひと
汁1 包み
杯程
度 |
大さじ1杯弱 |
小匙1杯弱 |
大匙1杯 |
骨粗鬆症食 献立表
| / |
朝食 |
昼食 |
夕食 |
備考 |
| / |
献立名・材料名 |
分量 |
献立名・材料名 |
分量 |
献立名・材料名 |
分量 |
分量
は、g |
一
日
目 |
御飯 米飯
味噌汁 味噌
白菜
絹さや
冬瓜
納豆和え 納豆
ほうれん草
醤油
お浸し きゃべつ
人参
花かつお
酢
醤油
フルーツ キューイ
フルーツ
チーズのヨーグルト合え
ヨーグルト
チーズ
|
150
15
10
3
20
40
20
6
60
5
0.5
2
6
50
100
20
|
御飯 米飯
肉団子の 豚挽き肉
ケチャップ煮 玉葱
片栗粉
塩
胡椒
玉葱
ブロッコリー
ケチャップ
小麦粉
バター
塩
たたき牛蒡 ごぼう
塩
酢
砂糖
切り胡麻
ポーチド 卵
エッグ 酢
付パセリ 塩
パセリ
スキムミルク入りミルク
牛乳
スキムミルク
フルーツ 伊予柑
塩もみ きゅうり
かぶ
塩
|
150
60
50
3
0.3
0.01
40
50
20
10
5
0.5
20
0.1
2
1
0.5
60
3
0.2
1
200
20
100
10
20
0.5
|
御飯 米飯
お刺身 カレイ
付おろし 大根
ミニトマト ミニトマト
しその葉 しその葉
湯豆腐 豆腐
長葱
醤油
胡麻和え 春菊
胡麻
砂糖
醤油
里芋煮物 里芋
柚子
味醂
醤油
ぜりー ゼライス
水
砂糖
コンクジュース
浅漬け きゃべつ
しその葉
塩
|
100
70
30
20
1
50
3
6
70
5
1
3
50
1
3
3
3
80
10
20
20
0.1
0.3
|
二
日
目 |
御飯 米飯
味噌汁 味噌
もやし
刻み納豆
馬鈴薯
フレーク缶
付レモン 鮪フレーク缶
レモン
盛り合わせカリフラワー
グリーンアスパラガス
かぼちゃ
トマト
マヨネーズ
きなこミルク 黄な粉
牛乳
砂糖
刻み昆布煮つけ
刻み昆布
油揚げ
味醂
醤油
浅漬け 白菜
塩
|
150
15
10
15
50
30
5
20
15
20
30
7
10
150
3
5
5
1
3
30
0.3
|
御飯 米飯
水炊き 豆腐
ほたて貝
鳥ささみ
春雨
人参
春菊
出し昆布
酢
醤油
卵とじ 卵
玉葱
ほうれん草
味醂
しょう油
油
ヨーグルトのジャム添え
ヨーグルト
リンゴジャム
カナッペ クラッカー
チーズ
クレソン
フルーツ パインアップル
|
150
100
60
20
5
10
30
1
5
12
40
10
20
3
6
5
100
20
10
20
1
100
|
御飯 米飯
ロールキャベツ
きゃべつ
合挽
玉葱
卵
塩
胡椒
ケチャップ
玉葱
焼き茄子の 茄子
茗荷添え おろし茗荷
しょう油
すまし汁 カマボコ
焼きのり
三つ葉
塩
削り節
フルーツ ぶどう
抹茶 牛乳
ミルク 抹茶
スキムミルク
砂糖
|
100
80
40
30
5
1
0.05
15
5
70
1
3
10
0.1
1
1
0.5
50
100
1
20
1
|
三
日
目 |
御飯 米飯
味噌汁 味噌
小松菜
麩
竹の子
オムレツ 卵
付パセリ チーズ
粉吹き芋 塩
胡椒
油
パセリ
馬鈴薯
塩
胡椒
源平煮 大根
人参
柚子
出し汁
味醂
しょう油
ネクター 牛乳
白桃缶
練りうに 練りうに
|
150
15
20
2
10
50
20
0.5
0.05
5
1
50
0.1
0.01
50
15
1
50
2
3
150
50
3
|
肉うどん 茹麺
豚ひれ肉
焼豆腐
ほうれん草
長葱
味醂
醤油
出し昆布
削り節
干し椎茸
盛り合わせ
サラダ かに缶
ブロッコリー
カリフラワー
チーズ
塩
胡椒
玉葱
サラダ油
フルーツカクテル
バナナ
すいか
オレンジ
塩茹で 枝豆
塩
まつもの酢の物 マツモ
針・生姜
酢
醤油
ヨーグルト
ヨーグルト |
200
20
50
20
5
3
18
1
1
1
10
15
20
15
0.2
0.05
5
5
30
40
30
30
0.1
20
1
3
3
100
|
御飯 米飯
秋刀魚の塩焼き 秋刀魚
付サラダ菜 塩
おろし サラダ菜
レモン 大根
レモン
醤油
ブロセット 豚肉
ピーマン
玉葱
塩
胡椒
煮物 そら豆
こんにゃく
生椎茸
人参
味醂
醤油
お浸し 菜の花
花かつお
醤油
ごま団子 上新粉
微温湯
すり胡麻
砂糖
ホットミルク 牛乳
|
100
60
0.5
5
40
5
3
30
20
30
0.5
0.01
20
20
15
15
3
6
60
0.5
3
15
12
10
5
150
|
(初版03.1.18 更新06.9.9 記載者;村上京子)