ペンタグラム

● 複素数 ●

 ピタゴラス教団のシンボルマークであったペンタグラム(星形五角形)は
とってもおもしろい図形です。

 今回は、この図形でひとあそび(?)しましょう。

 といっても、小中学生にはちょっとむずかしいかも・・・。
 だって、あそぶ世界が今までとちょっとちがうからです。

 いままでは、数といったら一列にならぶもの、
 小さいじゅんにならべられるもの
 そう!数直線にのっているものでした。

 では、今度の数はどんなもの?
 それは、一列にならべられないもの、
 小さいじゅんにならべられないもの
 数直線にのっていないものです。

 ふぅ〜ん。それなら、どこにのっているの?

 直線よりずっと広い(?)平面です。
 数がのってる直線を数直線というのにたいして、
 こちらは発明者の名前にちなんでガウス平面といいます。

 もちろん、平面の中には今までの数直線もあります。
 図で実軸(じつじく)とかいてあるものです。
 だから、今までよりも数の世界が広がったということです。

 でも、数というからには・・・
 そう、たし算、ひき算、かけ算、わり算はどうなるのでしょう。

 もちろん、実軸の上でさえ今までどおりになれば
あとは便利なようにきめればいいのです。

 それで、どんなふうにきめたかって?

 たし算は<平行移動>で、
かけ算は、<のびちぢみ と 回転(かいてん)>にしたのです。
 (これならすぐに図形のお勉強に役立つというものです。)

 

 かけ算すると、長さはかけた長さに、角度はあわせた角度になります。
 (角度というのは実軸の正のところから、時計と反対まわりにはかった角度です。)

 これなら、今までの数の計算は、これまでどおりにできます。
 さらには、こんなふうにしてきめたたし算かけ算でも、
今までどおりの計算のやり方がそのまま使えるのです。
 (本当はきちんと証明しないといけませんが・・・。)

 


● 正五角形 ●

 さて、いよいよペンタグラムです。

 まず、正五角形をかきましょう。

 ふつうなら、まず円をかいて

     360°÷ 5 = 72°

と計算してから、分度器をとりだし、72°をめもります。
 さて、次にどうしますか。
 分度器をおきなおして、そこから72°をめもる人、

     72°+ 72° = 144°

と計算して、(分度器をおきなおさずに)めもる人、
まあ、そんなことはど〜でもいいとして、
けっきょくのところは、144°のところに次の頂点をかきます。

 ということは・・・

 そうです。あわせた角度です。かけ算です。
 新しい数の世界では、かけ算すると、

     長さは かけた長さに、(1×1 なら かわりません)
     角度は あわせた角度に (72°+72°のように)

なったのでした。

 

 えっ、長さが 1 でない円に正五角形をかきたいって?
 それには、今までどおりの数(角度は0°なのでたしてもかわらない)を
かけ算すればいいだけです。

 では、ペンタグラムの点はガウス平面ではどんな数になるのでしょうか。

 正五角形だけなら、

     長さが1で、角度が72°のところの数

を考えるのだけど、今回はペンタグラムということで、

     長さが1で、角度が半分の36°のところの数

を考えます。

 この数を z であらわすことにします。

 図の黄色い正五角形の頂点のところにある数です。

 

 そうすると、次の頂点は長さは1のままで、
角度が36°からさらに72°まわったところ、つまり

     36°+ 36°+ 36°=108°

のところにありますから、ここの数は

     z×z×z= 

となります。

 のこりも同じようにして、z (=−1) ,  , となります。

 つまり、正五角形の頂点は次の5つです。

     z ,  , z (=−1) ,  , 

 さて、正五角形といえば、

     一辺の長さが1のとき、対角線の長さが黄金数α

でしたね。それでは、正五角形の

     外接円の半径が1のとき、黄金数αはいったい何?

になるのでしょうか。

 αはふつうの数ですから、数直線(実軸)のどこかにあるのですが・・・。

 


● 方程式 ●

 さて、

     z = −1

ですね。なぜなら、 z は

     長さが1で、角度が36°のところの数

でしたが、そうすると、

     36°+36°+36°+36°+36°=180°

ということと,長さ1で180°のところの数といったら −1 だからです。

 

 では、今度はぎゃくに、

     X = −1

という方程式を考えてみましょう。

 ガウス平面で考えるのですから、
5回かけて−1にくる数をみつけなさいということは、

     長さは5回かけ算して 1
     角度は5回たし算して 180°(の場所)

となるものをさがしなさいということです。

 あっ、そうそう大事なことをわすれていました。
 角度は360°をこえて何回転してもいいのです。

 そうすると、たとえば  もこの方程式の解です。なぜなら、

     長さは 1×1×1×1×1=1
     角度は 108°+108°+108°+108°+108°=540°
                                ( 1回転と180°)

ですから、( ) = −1 となります。

 同じようにして、

     z ,  , z (=−1) ,  , 

つまり、正五角形の頂点はこの方程式の解だとわかります。

 さて、(ふつうの数と同じように計算できる・・・ということで)

     X = −1

     X + 1 = 0

    (X+1)(X −X +X −X+1)=0

     X=−1 , X −X +X −X+1=0

 ですから、z ,  ,  , は、方程式

     X −X +X −X+1=0  ・・・ (1)

の解です。

 方程式(1)は、高校生とくに受験生のみなさんにおなじみの方程式ですね。

 X でわると

                  1     1
     X − X+ 1− ---- + ---- =0 
                  X     X 

             1          1
     ( X + ---- )−( X + ---- ) + 1 =0 
             X          X 

            1         1           1
     ( X + ---- ) − 2・X・---- − ( X + ---- ) + 1 =0 
            X          X           X

            1             1
     ( X + ---- )  − ( X + ---- ) − 1 =0  ・・・(2)
            X              X

 ここで、X+1/X=t とおくと

     t − t −1=0  ・・・ (3)

 ほら、どこかでお目にかかったでしょ。

 そうです。黄金数です。この方程式の解は、

        1+/5          1−/5
     α=--------   , β= --------
         2              2

で、αは黄金数でした。

 ところで、 z ,  ,  , は、方程式(1)の解ですから、
方程式(2)の解でもあります。

 ・・・ということは、

     z +1/z ,  +1/z ,  +1/z ,  +1/z 

は方程式(3)の解です。

 ところが、じつは

       =1/z   ( じつは z × =1 となります。)
      z
 =1/z   ( じつは × =1 となります。)

なので、

     z +1/z  +1/z (= z  )
      +1/z =  +1/z (=   )

です。そうすると、α>βですから、図より

     z  =α
       =β

 ところで、たし算は<平行移動>でしたから、
平行四辺形をかいてみれば、z  ,  がどこにある点か、
つまり α ,β がどこかわかります。

 でも・・・。正五角形の

     外接円の半径が1のとき、黄金数αはいったい何?

って考えていたのでした。

 それにしては、 とっても中途半端(ちゅうとはんぱ)なところです。
 何っていわれても・・・。
 そんな声が聞こえてきそうですね。

 それでは、とりあえず、正五角形からペンタグラムへと
目をむけていくことにしましょう。

 


● ペンタグラム ●

 まず、ペンタグラムの頂点はどんな数になるか考えてみましょう。

 そこで、5つの頂点を

     A , Az ,Az ,Az ,Az 

とおいて、Aをもとめてみます

 図で、A と −1 の中点が α/2 であることから

     A+(−1)     α
    ------------ = ----
      2          2

           A  = α+1

 これで、ペンタグラムの5つの頂点は

     α+1, (α+1)z (α+1)z ,(α+1)z ,(α+1)z 

であることがわかりました。

 

 

 α は  方程式(3)の解ですから 

     α − α −1=0  

 つまり、

     α = α +1 

ですから、

     α , α ,α ,α ,α 

ともかけます。

 つまり、ペンタグラムの頂点をむすんでできる大きな正五角形と
もとの正五角形との相似比はα ということですね。

 さて、A=α+1 ということは、

     Aの点とαの点との間の長さが 1 

ということですから、ここにも同じ正五角形がかけて

     α はこの正五角形の(外接円の)中心

になります。

 そうすると、さらに、もう一つの解であるβはいったい何なの?
っていいたくなりますね。

 それは、また考えておいてください。

 


● ペンローズ・タイル ●

 さて、ここにでてきた2つのひし形のことをお話しましょう。
 (といっても、いつものことながらつけたしですが・・・)

 どのひし形かって?

     頂点が  , ,α z  の はばが α のひし形 と、
     頂点が  , ,β   の はばが −β のひし形 です。

 これらは、発案者にちなんでペンローズ・タイルといわれています。

 

 

 ペンローズは、この2種類(しゅるい)のタイルを使って、
とってもめずらしいタイルばりをやってみせたのです。

 その一例(れい)が下の図です。

 あら、とってもすてき〜っ!
 でも、どこがめずらしいの?

 じつは、「非周期的(ひしゅうきてき)タイルばり」といって、
同じことのくり返しといったパターンになっていないのです。

 さらに、この2種類のタイルの比が、
なんと黄金数になっているというのですから、おどろきですね。

 


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