上ちゃんのワイン日記 VOL.1  8/22/2000

当店の和飲会の上田 仁さんにお願いしまして、書いていただいたワインに関するエッセイです。
私とはまた違う感性とご意見で、なかなか面白いです。
ゆっくりとお読み頂き、なんなりと感想をお願いします。
では、上ちゃんのワインの世界へ    元町ワインセラー ヒラオカ 平岡 敏和

「神戸和飲物語」を御覧の皆さん、はじめまして!

私の名前は上田と申します。平岡さんが主催するワイン会に参加しているのがきっかけで、このHPの軒先をお借りする事になりました。ワインの事だけではなく、日頃感じた事や起こった事などを書いていきたいと思っています。どうぞ宜しくお願いします。

 

今日の話は筆者である私の自己紹介です。といっても、生年月日や出身校の紹介ではなく、ワインの事が好きになってからここに来るまでの過程のような話です。ワインに関する私の「エチケット」だというと、少しかっこつけすぎですけども。

 

私がワインに興味を持ったのは、実はエチケット(ラベルのこと)がきっかけです。その日、父が会社から持ち帰ったワインには見慣れないフランス語で意味不明の単語が書かれていました。多少でも判れば良かったのですが、ちんぷんかんぷんのものに出会った時に人は2種類の反応を示します。判ろうとするか、諦めるかです。その時私はこう思いました。ワインといっても、たかがお酒。本を読んでラベルに何が書いてあるかを調べて、10本位飲んでみればまあ判るだろう、楽勝楽勝・・・・。今思うと、よくそんな「失礼」なことを考えたものです。おかげで私はワインという迷いの森に踏み込んでしまいました。もう出る事も、引き返す事も出来ません。

 

はい、エチケットに書いてある事は理解しました。あとは実践あるのみ!と色々ワインを飲み始めたのですが、あとは皆さんのご想像通り。たとえて言うなら「蟻地獄にはまった蟻」でしょうか。慣れない、そしてとんでもなく複雑な味に呆然としながら、ひたすらワインを飲む日々が続きました。少しずつ味が判ってきても、一人で飲める量にはやはり限りがあります。それに複数のワインの味や色を比較する機会がありません。結局、開けた日に飲みきれて文句無しに旨いドイツワイン80%、フランス等その他20%という「怠惰な」時期を過ごすことになりました。ただ、この頃は今ほどワインがポピュラーな存在ではありませんでした。「ワインを好んで飲み、しかも結構詳しいらしい」という友人からの評価に多少いい気になった反面、実態を知っている自分自身はなんともお恥ずかしいという気持ちになったものです。

 

平岡さんのワイン会に参加しはじめたのは2年前の10月からです。きっかけはやはり飲み比べをしたいということだったのですが、今では別の、もっと楽しい事の為に参加するようになりました。それは同じようにワインが好きな方と、わいわい楽しみながら飲むということです。これはワインに限らずお酒や食事全般にいえることかもしれませんが、ワイン会に参加するようになってその楽しさを実感しています。御主人の平岡さんはワインのことを「和飲」と書かれますが、なるほどその通りです。先ほど書いた「蟻地獄」の中の私は、ワインの事を美味しいと思っても楽しいとは思わなかったかもしれない。ワインの善し悪しを分けるものがあるとすれば、それは味や香りではなく、そのワインを開けてから無くなるまでどんな時間を過ごしたかではないでしょうか?まだまだワインに関して未熟な私ですが、あの頃の自分にはこう言ってあげたいと思います。飲んでるワインを誰かのグラスに注いであげたら?どんなに美味しいワインか、誰かに話してみたら?きっと、もっと、ワインが美味しくなるから・・・・。
                      
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