《入浴介助》


 

ここでは何をチェックし、どのように入浴するかの手順を説明します。

入浴は、身体の清潔を保つだけでなく、全身の決行を良くし精神的にも安らぎを与えます。また、床ずれや湿疹の有無、皮膚の状態をチェックできる場ともなります。入浴前後の観察を十分に行い、利用者の障害に応じた安全な方法で介護することが大切です。

★★ホームへ戻る★★   


 

入浴の前に、必ずチェックしなければならないことがあります。そう、ヴァイタルチェックです。利用者の今日の様子を観察しながら、@体温・A脈拍・B呼吸数・C血圧を測ります。平常値内であれば入浴できます。異常であれば入浴は中止します。ひどい場合は、医療機関へ連絡をとり処置を行います。(ヘルパーは医療行為をしてはいけません。)

ヴァイタルチェック

 

@、体温の測定

目的 : 体温の測定により、病気のまえぶれの発見や、病状の経過を観察する。

方法 : 正確で信頼できる測定値を得る為には水銀計を使用します。体温計の水銀が下がっていることを確認して、脇のくぼみに体温計を挿入し、はさんだまま約10分間測る。だいたいのところであれば、今は便利な電子体温計があったり、耳に入れて1秒で測れるものもある。電池切れの無いことを確認します。

チェックポイント : 
 ● 食後や運動後は体温が上がるので30分くらい安静にした状態で測る。

 ● 高齢者で寝たきりの場合は体温が低いことがあり、37℃でも発熱の状態である場合もあるので全身の状態の観察とあわせてチェックする。

 ● 寒気があるときは、おさまってから測定しないと体温が違ってくることがある。

 ● やせている場合は、わきの下ではなく、口腔内やおなか、乳房など皮膚が重なったところにはさんで測る。ただし、アルツのある人の場合、口腔内はかまれてしまう危険があるのでやめましょう。口腔内の測定時間は3分でOK!
その他、体温を測る場所は、膣・肛門があるがヘルパーはやってはいけません。医療行為にあたるからです。

 ● 汗をかいている場合は、十分ぬぐってから測ること。

 ● 片方にマヒがある場合は、マヒの無いほうで測る。 

 
正常体温    

 

成人 36.5℃〜37.0℃

幼児 37.0

老人 36.0

測定場所による体温の違い

成人の場合

 

わきの下 36.4

口腔   37.0

肛門   37.5

※ 36.0℃〜37.0℃を平熱と呼ぶ 


 

A、 脈拍の測定

目的 : 脈拍を診ることで、心臓の働きがわかる。また、血管内に血液が十分流れているか、精神的な緊張感はどうなのかなどもチェックできる。

方法 : 手首の内側・こめかみ・首などに軽く人差し指・中指・薬指3本を揃えて当て、1分測る。数とリズムに不整がないか、強弱はどうかなどを観察する。

チェックポイント : 

 ● 熱があったり、運動後、入浴後、精神的な緊張があるときは脈が速くなる。

 ● 測定する時は、手を暖かくしておくこと。 

正常な脈拍数

成人 60〜80回/1分間

※ 老人の場合、一般的に少なくなる。



 

B、呼吸の測定

目的 : 呼吸数や呼吸の状態を観察することによって気管支や肺の異常、全身に酸素が十分に取り入れられているかなどを見る。

方法 : 脈拍を測るときつづけて呼吸数をみましょう。胸の上下運動を1分測る。本人が意識してしまうと呼吸数が変化するので、脈をとっているふりをして呼吸を見ます。数・深さ・リズム・咳・痰・呼吸音・息苦しそうな様子などを観察します。症状が重い場合は、下あごを動かして、ときどき深く呼吸することがあります。

チェックポイント : 

● 呼吸をつかさどる筋は随意筋であり、本人の意思で意識的に速さやリズムを変えることが出来るので、脈を測るふりをして呼吸数を数えるなどの工夫をし、本人に気づかれないように測定します。

● 息苦しさなどはどんなときに起こるのか、本人の訴えをしっかりと聞きます。

  健康な人の呼吸数平均値

12〜24回/1分


 

 

C、血圧の測定

目的 : 血圧の測定は私たちの日常の健康管理に欠かせない要素となっています。中高年齢に達すると、高血圧症が増えます。また、加齢に伴い血管の老化が進みます。肥満や運動不足などが原因でコレステロール(LDL)が血管にこびりつき、血管の弾力性が失われていきます。
高血圧症があると、動脈硬化が促進され、脳卒中や心筋梗塞などの危険な病気を引き起こしやすくなります。そこで、自分の血圧が健康な状態にあるのかどうかを知る必要があります。
血圧は、日常生活の中で日々刻々と変化しています。普段の血圧を知っておき、入浴前の計測をし、異常がなければ入浴できます。入浴後も計測し、体の変化(異常)はどうかを確認します。入浴後は入浴前より血圧は少し下がります。

方法 : 血圧を正確に測る為に正しい測り方を守ることが大切です。医療機関で使用している水銀血圧計は少々難しいので家庭では市販されている電子血圧計を使用すると良いでしょう。それぞれの血圧計の取り扱い方法の指示に従って計測すればよいですが、いずれの場合も体の力を抜いて、リラックスした状態で測ります。

チェックポイント : 血圧はいろいろな要因で変動しています。次のような場合正確な測定は出来ません。

● お酒、コーヒー、紅茶を飲んだ後や喫煙した後、入浴後、食後1時間以内、腹圧のかかる姿勢のとき。

● 測定する時は、排尿・排便をすませ室温を20℃前後の静かな場所で行います。

● 安静にし、深呼吸して気持ちがリラックスしているときに測定します。

● 毎日、同じ時間に測定しておきます。これを参考にし入浴前の計測値を見ます。

● 寝たままでも測定できますが、人によって血圧値が変わることがあります。

● お長時間にわたって繰り返し測定しない。

 


 

正常な血圧値

最高血圧 139mmHg
         |
最低血圧 89mmHg

この値の範囲以内正常

高血圧値

最高血圧 160mmHg以上
         |
最低血圧 95mmHg以上

この値の範囲以内正常

(WHO:世界保健機構の規定による)

日本人の平均血圧値(参考値)

 

 

年代

最高血圧の平均値

最低血圧の平均値

境界域の人の割合(%)

高血圧の人の割合(%)

男性

15〜19

119.5

68.2

6.4

0.8

 

20〜29

125.4

75.5

10.7

5.4

 

30〜39

127.5

80.1

17.3

7.1

 

40〜49

133.3

84.8

21.7

18.9

 

50〜59

139.7

86.4

31.4

25.6

 

60〜69

146.2

85.6

34.5

32.4

 

70以上

146.4

81.2

38.3

29.1

 

全体

135.6

81.7

24.8

19.1

女性

15〜19

111.5

66.4

1.0

0.5

 

20〜29

112.4

69.2

1.1

0.2

 

30〜39

116.8

72.5

5.4

1.6

 

40〜49

127.4

78.8

14.0

9.7

 

50〜59

137.2

83.2

29.3

18.6

 

60〜69

142.2

83.4

34.2

24.6

 

70以上

146.7

80.4

41.1

28.2

 

全体

130.0

77.9

20.3

13.4

高齢になればなるほど、高血圧になる傾向があります。 単位mmHg
(厚生省 平成7年国民栄養調査による)


以上の4項目の測定値に異常が無ければ入浴の準備をします。


《入浴介助の方法》

 

A,浴室の準備

隙間風が入らないように窓を閉め、室温を22〜24℃前後に調整します。寒いときは脱衣室も同様に暖めておきます。入浴に必要な物品を準備し、使いやすいよう配置しておきます。

次に、浴槽に湯をはります。一般的にお湯の温度は入浴時に39〜40℃になるようにしますが、利用者の好みの温度を考慮しましょう。利用者の状態に応じて手すりをつけたり、補助用具をつかうなど安全に入浴できるよう工夫しましょう。

用意するもの :
バスタオル、タオル、石鹸、洗面器、耳栓、シャンプー、リンス、シャンプーハット、ブラシ、ドライヤー、シャワーいす、着替え、入浴補助用具(必要時)

               


                        B,入浴の手順

利用者の体の状態によりひとりひとりのあった方法がありますが、参考になるひとつの方法を紹介させていただきます。

1、 衣服を脱ぐのを介助します。脱衣室にいすを用意し、イスにかけた状態で服を脱がせます。

2、 体を支えて浴室内に誘導します。段差やよく室内の床が滑りやすくなっていることなどに注意しましょう。

3、 シャワーイスなどにかけさせ、自分の足元にシャワーをかけ温度を確認し、利用者の足元から全体にかけ、陰部を洗い流します。

4、         浴槽に入って温まります。最初は2〜3分くらい入ります。
浴槽内は滑りやすく、また浮力で不安定になるので、浴槽内に背をつけ安定座位がとれるよう援助します。

5、          浴槽からでてイスにかけさせ、髪を洗います。
青梅綿を耳の中に入れるなどして耳の中に水が入らないようにします。シャワーハットを用いても良いでしょう。 洗髪が終わったら、顔、髪の水分をタオルで十分拭きます。

6、 からだを洗います。
タオルに石鹸をつけ、抹消から中枢に向けて洗うようにし、血液の循環を促すようにします。
陰部はタオルなどをかけて、羞恥心に配慮しましょう。なるべく自分であらわせるようにして、出来ない部分や洗い残しの部分を介助しましょう。陰部はなるべく自分で洗うよう促します。足は、汚れがたまりやすいので、指の間、足の裏などもていねいに洗いましょう。湯を入れた洗面器に足を入れておくと保温にもなり、汚れもふやけて落ちやすくなります。

7、 シャワーで石鹸を洗い流します。
滑らないように、床の石鹸分も残らないように流しましょう。

8、 浴槽に入れます。時間は5分くらいを目安にします。
血行がよくなり筋肉もほぐれ、また浮力により手足も動かしやすくなるので手足を動かし関節の拘縮を予防しましょう。

9、 浴槽から出てもらい、シャワーをかけ、タオルで水分を拭きとります。

10、       イスにかけさせ、衣服を着るのを介助します。 着替え介助項目が参考になるかもしれません。

11、       寒い時期は、ドライヤーで髪を乾かしてあげます。

12、       疲労などの身体状態を観察します。
 
血圧は、若干入浴前より低くなる傾向にあります。

13、       入浴後は休息させ、水分を補給します。


片マヒがある場合のポイント:
 ● 衣服の着脱時や体・頭を洗うときは背もたれ付のイスにかけて行います。
 ● たつときや歩行時は、マヒ側に立ち支えます。
 ● 立ち上がりなどが不安定な人は、腰にひも又はベルトをつけ、腰ひもをもって介助すると安全です。
 ● 浴槽への出入りの方法としては、なるべく健側から出入りするようにしますが、利用者の状態、浴室の広さや設備、介護側の状況などを考慮し、ばあいによっては患側から移動するなど、状況に応じて安全で安楽な方法を考えましょう。

下半身マヒがある場合のポイント:
脊髄などの障害で下半身が麻痺している場合は、立つことができないため、浴槽と同じ高さの広い台を置いたり、埋め込み式の浴槽など洗い場と浴槽との段差をなくしたり、浴槽の深さも浅くするなど工夫すると良いでしょう。
 ● 浴槽の上に丈夫な板を渡しそこにかかえて腰掛けさせます。
 ● 両足を湯船の中にかかえて入れてあげます。
 ● 湯船の中に洗いイスを沈めて置いてそこに座らせます。・・・・
・・・・平面を移動する時は、両下肢を介護者がもち、お尻を本人が両手で浮かせ少しずつ移動します。引きずって移動してはいけません。
 
● シャワーを使うときは、背もたれとひじ掛のあるシャワーイスにかけて行います。


ヘルパーは決して1人で入浴させてはいけません。利用者が入浴したいといっても『できません』と断りましょう。
どうしてもと要求された場合は、清拭をしてあげましょう。
今は、事前に利用者宅で何をヘルプするのかカリキュラムが組まれていますので、次回入浴できるよう手はずを整えてあげます。利用者にも、その旨説明します。

介護認定を受けていて、一人で動けない人の入浴は介護支援センターの入浴サービスを受けられることをおすすめします。
家庭の風呂は使いません。簡易浴槽を部屋に搬入し、寝たまま入浴できます。
3人1組で行い、内1人は看護婦です。看護婦が血圧・体温・脈拍・呼吸のヴァイタルチェックをして入浴の判断をします。
他の2人が体中余すところ無くきれいに洗ってくれます。入浴後の着替えをすませ、また看護婦がヴァイタルチェックをしてくれます。

このページを御覧頂きましてありがとうございました。参考になりましたでしょうか?

See you next. By Hiromi Sato.