北海道危険動物対処帳
其之五
東蟾蜍
和名:アズマヒキガエル
無尾目ヒキガエル科
生息地:関東中部以東、北海道では函館市のみに生息
学名:Bufo japonicus formosus
函館を北限として、東日本一帯に広く生息するヒキガエル、西日本に分布しているのはニホンヒキガエルで、違いはアズマヒキガエルの方が若干小さめで、身体と比較すると鼓膜(目の後方にある薄茶色の西瓜の種型の部分)が大きめなぐらいで、パッと見に見分けはなかなか付かないと思う。
関東以北なら間違いなくアズマヒキガエルであるが、近畿や山陰まで生息しているので、この辺になると区別はなかなか容易ではないと思う。
ちなみに学名はハンサムな日本のヒキガエルの意(笑)、ニホンヒキガエルはBufo japonicusで日本のヒキガエルの意、アズマのどの辺がハンサムなのか誰か説明して欲しい。
北海道ではヒキガエルは函館の一部にのみ生息しており、個体数的にも非常にレアである、少し前まではエゾヒキガエル(Bufo
vulgaris hokaidoensis)として、アズマヒキガエルとは別種として扱われていたが、現在では同種としてみる見方が一般的であり、わたしも色々と調べたり、その手のプロの方に聞いた結果、別種であるだろうとの結論に達しました。
全ての両生類は
有毒である
と、考えてもらって差し支えない、アマガエルの粘膜は目に触れると激しい炎症を起こすし、アカハライモリは極微量ではあるが河豚毒であるテトロドトキシンを持っている、はっきりとした被害例はないがサンショウウオの幼体も、他の水生動物一緒に飼育すると毒で全滅の憂き目を見ることがあるので、微量ながらもあると考えて差し支えないだろう。
両生類を素手で触れることは慎んだ方が良いであろう、両生類にとっても人間の体温は高すぎて、長時間触れられると体組織へダメージを受けるので、お互いの平和と幸せのためにも軽はずみな接触は避けるべきであろう(写真では思い切り触っているが…)。
ヒキガエルの仲間はブフォトキシン(ブフォはヒキガエルの意)と言う毒を耳の後ろにある耳腺や皮膚(それこそイボ)、種類によっては足の付け根から分泌する。
ブフォトキシンの主成分としては、ブフォニンとブフォタリンがある、ブフォニンはアミン系の毒で、粘膜に接すると神経系統にダメージを与える毒で幻覚作用がある、アメリカのヒッピーにはヒキガエルを舐めてトリップするのもいるそうだ…
更にもう一つはブフォタリンはステロイド系の毒で、これが猛毒である、背中からくわえられることへの防御策となっているようで、ネコやイヌがくわえて毒に当たり泡を吹いて七転八倒することも間々あるし、ヘビもその毒故か食べようとしないことが多い(ヤマカガシは気にしないで喰うらしいが…)。
ヒキガエルの毒は大型の捕食動物対策だけではなく、病原菌や寄生虫も殺す内服薬的な役割も果たしている優れ物でもある、他の動物にとっては忌々しい毒もヒキガエルにとっては頼れるシールドと相成る。
そのために毒は全身に回っており、ヒキガエルの卵で作ったスープを飲んでの死亡例もあるので、ウシガエルはともかく、ヒキガエルはどんなに大きくても食べない方が良い。
ヒキガエルの俗称ガマガエルと言えば、一枚が二枚〜でお馴染みの『筑波山の四六の蝦蟇』を鏡張りの箱の中に入れて、己の姿に恐れを成してたらりたらりと抽出した御存知『蝦蟇の油』であるが、ヒキガエルから傷薬の成分は検出されない。
『蟾酥(せんそ)』と言うヒキガエルから抽出する漢方薬があるが、これは強心剤であり、傷薬ではない。