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室町時代の戦記物「長禄記」に、長禄四年1460畠山義就が失脚し河内の若江城に向かう状況が地名をおり込んだ美文調で |
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天正十二年1584「河内国御給人之内より出米目録」に |
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以上の史料により、少なくとも打上の地名は室町時代には成立していたと考えられる。 |
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全国に打上の地名を22ヶ所見つけることが出来た。北海道、沖縄を除いたほぼ全国的に所在する。
その内、四ヶ所は大字である。これは、合併村の旧村であり広域であり、他は狭い地域名である。
実態を調べるべく、その内の22ヶ所を訪ねた。共通的な特徴として次の3点が挙げられる。
1.川沿いで、洪水の時に流れてきた物が打ち上げられる場所。
2.土地の隆起したところ。
3.呼称が「ウチアガリ」であるところが多い。
| 番号 | 所 在 | 呼 称 | 傍の川 | 地 形 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 秋田県仙北郡千畑町中野字打上 | ウチアゲ | 丸子川 | |
| 2 | 福島県河沼郡会津坂下町大字合川字打上 | ウチアガリ | 宮 川 | |
| 3 | 新潟県岩船郡関川村大字打上 | (ウチアガリ) | 荒 川 | |
| 4 | 長野県埴科郡戸倉町羽尾打上 | ウチアゲ | 山斜面 | |
| 5 | 静岡県浜北市青島・打上(通称 小字) | ウチアゲ | 天竜川 | |
| 6 | 愛知県西加茂郡三好町大字莇生字打上 | ウチアゲ | 境 川 | |
| 7 | 岐阜県養老郡石津町大字打上 | ウチアガリ | 台 地 | |
| 8 | 大阪府寝屋川市大字打上 | ウチアゲ | 台 地 | |
| 9 | 奈良県高市郡明日香村細川(小字)打上 | ウチアゲ | 山ぎわ | |
| 10 | 奈良県吉野郡下市町大字原谷字打上 | ウチアゲ | 高 地 | |
| 11 | 奈良県吉野郡下市町大字仔邑字打上 | (ウチデ) | 高 地 | |
| 12 | 奈良県吉野郡川上村大字寺尾字打上 | ウチアゲ | 吉野川 | |
| 13 | 広島県山県郡千代田町大字丁余原字打上 | ウチアゲ | 出原川 | |
| 14 | 山口県徳山市大字大島字打上 | ウチアゲ | 海 岸 | |
| 15 | 香川県三豊郡高瀬町大字新名(小字)打上 | ウチアガリ | 高瀬川 | |
| 16 | 高知県土佐郡土佐町南川字打上リ | ウチアガリ | 台地状 | |
| 17 | 高知県高岡郡日高村本郷打上リ | ウチアガリ | 山ぎわ | |
| 18 | 佐賀県東松浦郡鎮西町大字打上 | ウチアゲ | 台 地 | |
| 19 | 大分県宇佐郡院内町高並(小字)打上 | ウチアガリ | 恵良川 | |
| 20 | 福岡県久留米市高良内町(小字)打揚リ | ウチアガリ | 高良川 | |
| 21 | 熊本県球磨郡五木村字打揚 | ウチアゲ | 山ぎわ |
地名の呼称(読み)は、狭い区域の場合、土地台帳等で文字が確認出来ても実際どう呼ばれていたかは現時点でわからないところがある。旧村(大字)の様に広域の場合なら現在の呼称はわかるが、古いよみは確認が難しい。地名の文字や呼称が時代とともに変化することがある。
6番の岐阜県上石津町大字打上の場合、正式には「ウチアゲ」と読むようにしているが、調査した数年前は「ウチアガリ」と呼ばれていた。
現在の表記にも「打上り」「打揚り」と「り」を送っているところ、古記録に「ウチアガリ」とするところが多い。ウチアゲ、ウチアガリの何れも、動詞の連用形の名詞化による呼称である。しかし、ウチアゲは、他動詞ウチアゲルの名詞化であり、一方、ウチアガリは自動詞ウチアガルの名詞化である。
上表のように、打上が「河川の物の打ち上がり」にしろ「土地の打ち上がり」にしろ、又「波の打ち上がり」であっても、それは、自然に物が「打ち上がる」のであって、人為的に物を「打ち上げる」のでない。この事から、打上の読みは、古くは自然現象をそのまま表現してウチアガリと呼んでいたと考えるのが妥当でないか。