真珠腫性中耳炎って?


真珠腫性中耳炎という病気をご存じなのは、
なった方か、そのご家族の方ぐらいでしょう。
慢性中耳炎の1種で、顔がゆがんだり、めまい、
ひいては頭の方にも進んで、
命を脅かすこともある恐い中耳炎なのです。

真珠腫性中耳炎はどんな中耳炎?

真珠腫性中耳炎はなぜできる?

どんな症状がでるの?

治療は?


真珠腫性中耳炎はどんな中耳炎?

 鼓膜の辺縁に穴が開き、悪臭を持つみみだれが繰り返します。その穴は袋状になっていて、中に「おから」のようなカスがたまってきます。これがまわりの骨を溶かし徐々に大きくなるたちの良くない中耳炎です。こう言うととなんだか腫瘍のようですが炎症性の病気です。

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真珠腫性中耳炎はなぜできる?

 実をいうと真珠腫性中耳炎の成因は十分に解明されていないのです。
一般的には、鼓膜の中と外の気圧の調節がうまくいかないことが、その成因と考えられています。具体的には滲出性中耳炎の一部が真珠腫性中耳炎へ移行するといわれています。しかし、長年放置している慢性中耳炎からも起こってくるように思います。

 すこし難しい話となりますが、現在考えられている真珠腫という病気の実体を説明します。(図-1参照)

 多くは滲出性中耳炎を繰り返したり遷延した結果、陥凹して袋状になった鼓膜が鼓膜の中の壁とくっついたり奥深くの空洞へ徐々に入り込みます。この袋の中に角化した鼓膜の上皮が重なって溜まっていくのです。そうやってできたものが、真っ白で真珠のようだから「真珠腫」と呼びます。陥凹した袋の中のカスは、やがて炎症を引き起こし鼓膜を傷害します。白血球などの炎症細胞の放出するいろいろな酵素やサイトカインと呼ばれる物質が、鼓膜上皮を増殖させたり、まわりの骨を破壊吸収します。鼓膜の創傷治癒が妨害されたために過剰に上皮が増殖するという説もあります。こうして、まわりの骨や組織を破壊しながら徐々に大きくなるわけです。

図-1

上鼓室型

滲出性中耳炎のあと、遷延すると鼓膜が内陥する。

鼓膜が袋状に入り込んで、そこにカスがたまる。真珠腫ができる。

真珠腫がさらに大きくなり、周囲の組織を破壊する。

後上部型

滲出性中耳炎のあと、遷延すると鼓膜の後上部が内陥する。

さらに内側へ入り込んで袋状になる。

真珠腫ができ、周囲を破壊しながら大きく成長する。

図説臨床耳鼻咽喉科学講座より

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どんな症状がでるの?

 この真珠腫ができていく際に,鼓膜の裏側にある音を伝える耳小骨を破壊して聴力障害を起こしたり、三半規管を破壊してめまいを起こします。また顔の筋肉を動かす顔面神経は中耳と内耳の間の骨の中を通っていて、これが真珠腫で破壊されると顔がゆがんでしまう顔面神経麻痺も起こします。さらに脳の方向へ進むと髄膜炎を起こしたりと重篤な合併症を起こすことがあります。(図-2参照) 炎症反応が強く非常に臭い膿が「おから」のようなカスと一緒に出てきたりします。
 一般にご自分で判断する症状としては、第1に普通痛みを伴わない悪臭のあるみみだれです。次に難聴です。難聴は初期には軽度です。そして顔面神経麻痺や強い頭痛、発熱などがでるまで放置しておくことはもってのほかです。
 小さいときから中耳炎を繰り返していたり、慢性中耳炎がある方で、悪臭を伴うみみだれがでてきたら要注意です。悪臭のあるみみだれがでたら、近くの耳鼻咽喉科の専門医の診察を受けて下さい。

図-2

側頭葉へ進むと硬膜外膿瘍や髄膜炎などが、S状静脈洞へ入ると血栓性静脈炎を、顔面神経を侵すと顔面神経麻痺を、外側半規管を侵すとめまいが生じる。

図説臨床耳鼻咽喉科学講座より

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治療は?

 治療の原則は手術です。鼓膜からでてきた「カス」を取り除き、中耳内の気圧を正常に保つような処置をしていくと落ち着いた状態にできます。しかし真珠腫は放っておくとだんだん大きくなりますから、将来の重大な合併症を防ぐために、早晩、手術をする必要があります。
 手術方法は、病気の広がりと合併症の有無で変わります。病巣が広範に及んでしまうと手術範囲も広がります。聴力の維持や回復は困難になってしまいます。初期の場合には聴力の回復にも考慮した手術方法が可能なことがあります。

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