■弁護士報酬敗訴者負担制度導入に反対する意見書(平成15年8月29日)
■弁護士報酬敗訴者負担制度導入に反対する意見書(平成14年12月25日)
■弁護士費用敗訴者負担制度導入に反対する意見書(平成14年2月28日)
■プレスリリース資料  ■アンケート結果  ■アンケート依頼状
■ご意見をお寄せください  ■寄せられた声より  ■これからが正念場

弁護士費用敗訴者負担制度導入に関する
医療事故被害者層に対するアンケート調査結果について


平成13年2月16日
報道関係者 各位
医療事故情報センター
理事長 加藤良夫
名古屋市東区泉1-1-35 ハイエスト久屋6階
tel 052-951-1731/fax 052-951-1732
http://www3.ocn.ne.jp/~mmic/
弁護士費用敗訴者負担制度導入に関する
医療事故被害者層に対するアンケート調査結果について
<要旨>
司法制度改革審議会は中間報告で、日本の民事訴訟に弁護士費用敗訴者負担制度を導入する方針を打ち出した。
医療事故情報センターは医療過誤に関する4つの市民団体に協力を仰ぎ、実際に医療過誤に関する体験を有する人を中心とする層に対してアンケートを実施したところ、同制度が導入された場合、医療事故の被害者が訴訟を提起することが現在よりも困難になるとの回答が80%を越えた。
(アンケート結果
自由記載欄には同制度に対する意見を募ったが、訴訟提起の経験があると回答した人々からは、実体験に基づく反対意見が多数寄せられた。
(意見の抜粋)
現状でも対等な立場で訴訟を提起することができていないのに、この制度が導入されれば、医療事故被害者は裁判所へのアクセスを閉ざされ、泣き寝入りを余儀なくされることになる。
訴訟が提起できなくなれば、安全性が確保されていない医療の実態が水面下に埋もれてしまい、医療の安全の実現は著しく遠のくことになる。
医療事故情報センターは、司法制度改革審議会に対し、医療事故に遭った被害者の悲痛な声に耳を傾けて、医療過誤訴訟において同制度を導入しないよう、強く要請する。
医療事故情報センターとは
 医療事故情報センターは、医療における人権確立、医療制度の改善、診療レベルの向上、医療事故の再発の防止、医療被害者の救済等のため、医療事故に関する情報を集め、とりわけ医療過誤裁判を患者側で担当する弁護士のための便宜を図り、弁護士相互の連絡を密にして、各地の協力医を含むヒューマン・ネットワークづくりを通して、医療過誤裁判の困難な壁を克服することを目的としている団体です。

 1990年12月に発足し、現在は全国で医療過誤訴訟に取り組む475名の弁護士が正会員となっています(2000年12月現在)。
アンケート実施の経緯
 政府の司法制度改革審議会では、日本の民事訴訟について、原則として弁護士費用敗訴者負担制度を導入するとの中間報告を打ち出しています。
 中間報告を見る限り、司法制度改革審議会は、「裁判所へのアクセスの拡充」の目的で「利用者の費用負担の軽減」をはかる一環として敗訴者負担制度を導入するとの立場をとっていると思われます。

 ※司法制度改革審議会中間報告
 http://www.kantei.go.jp/jp/sihouseido/report/naka_houkoku.html

民事訴訟における弁護士費用について、現行の制度は次のとおりとなっています。

原則として、訴訟の勝訴敗訴に関わらず、原告の要した弁護士費用は原告が、被告の要した弁護士費用は被告が、それぞれ負担する。
例外として、医療過誤訴訟(をはじめとする不法行為に基づく損害賠償請求訴訟)では、原告が勝訴判決を得た場合には、原告の要した弁護士費用の一部を被告に支払わせることができる。
逆に、医療過誤訴訟で原告が敗訴した場合であってもは、被告の要した弁護士費用を原告が負担することはない。

上記中間報告の提言のとおりの制度が導入された場合上記の制度は

訴訟に要する弁護士費用の全部又は一部を敗訴した側が負担する。
ということになり、医療過誤訴訟を提起する原告にとって、現在より経済的負担が掛かる制度に変更されることになります。
 この制度の導入の是非について、医療事故情報センターでは、医療事故に関連する4つの市民グループにご協力いただき、「弁護士費用敗訴者負担制度の導入の是非に関する緊急アンケート」を実施しました(2001年1月25日付発送、同年2月10日到着分で締め切り)。
 アンケートの概要と結果は別紙のとおりです。
アンケート結果をふまえて
 アンケートの結果、回答者の9割以上が医療過誤について何らかの経験を有する人であり、40%は実際に医療過誤訴訟を提起したことがあると回答しています。
 そして全体の実に63%の人が、医療過誤訴訟に弁護士費用敗訴者負担制度が導入された場合、非常に提訴しにくくなるだろうと回答しています。
 多少提訴をしにくくなると思うという回答を合わせると、全体の82%の人が、現状よりも提訴が困難になると回答しています。

 医療過誤訴訟には、診療行為が密室で行われる(密室性の壁)、被告の専門領域で戦わざるを得ない(専門性の壁)、医療界に相互批判を許さない体質がある(封建制の壁)という3つの壁があります。
 このため、被害者は最初から大変不利な立場におかれており、勝訴率も低いという現実があります(最高裁の統計によれば、医療過誤訴訟の勝訴率は27.9%。通常民事訴訟は86.1%。1999年)。

 こういった現実を無視して、今回の司法制度改革審議会中間報告が提言する弁護士費用敗訴者負担制度の導入を決めた場合、医療被害にあった人は、今まで以上に泣き寝入りを余儀なくされることとなります。
 「実際に訴訟を提起したことがある」と回答した人が自由記載欄に記した意見の一部を見ても、実体験に基づいた悲鳴が聞こえてきます。

 このアンケート結果から明らかなとおり、医療過誤訴訟に弁護士費用敗訴者負担制度を導入すれば、被害者による提訴はさらに困難となり、司法制度改革審議会が目指す「裁判所へのアクセス拡充」とは正反対の結果がもたらされます。これは本末転倒であると言わざるを得ません。

 以上を踏まえ、医療事故情報センターはこの制度の導入に強く反対します。
以 上


ご意見・ご感想をお寄せください mmic001@mint.ocn.ne.jp