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撮影;河西 敦 |
撮影;河西 敦 |
撮影;小林 豊 |
◇場所と題材
伊豆諸島三宅島の南部にある通称「長太郎池(ちょうたろういけ)」と呼ばれるタイドプールで、スズメダイの仲間セダカスズメダイの産卵や卵保護行動を観察する
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◇テーマ
「セダカスズメダイの産卵」
◇題材とテーマについて調べる
(1)セダカスズメダイは南日本の海に広く分布している魚である
(2)セダカスズメダイは、なわばり内にある畑で海草を育てる独特の習性がある
(3)三宅島では、セダカスズメダイの産卵期は例年7月〜9月頃、産卵時刻は日中いつでも
・海域によって産卵期間が違っている場合があるため、三宅島以外で予定する時は、現地のダイビングサービスなどに問い合わせる。(4)三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館にある図書館や資料などを利用して調べる
・入館料は有料、200円(団体割引あり)。(5)参考図書
・「山渓フィールドブックス6 海水魚」、山と渓谷社
・「大自然の不思議 魚と貝の生態図」」、学習研究社
・「海を楽しむ」、ジャック・モイヤー・中村宏治著、岩波書店
・「さかなの街 社会行動と産卵生態」、ジャック・モイヤー・中村宏治著、
東海大学出版会
・「クマノミガイドブック」、ジャック・モイヤー著・余吾豊訳、TBSブリタニカ
・「生態観察ガイド 伊豆の海水魚」、瓜生知史著、海游舎◇シュノーケリング前のオリエンテーション
(1)長太郎池のユニークなところ、特徴、生息する動植物やそれらの季節変化などについて解説する
・伊豆諸島三宅島:東京から南へ約180km、周囲は約35km、2000年にドカンと爆発したばかりの標高約700mの雄山(おやま)がそびえる火山島。ちょうど東京の山の手線の内側より少し広い島が三宅島です。面積は伊豆諸島で3番目の大きさ。
人口は約2,900人。海洋性気候の三宅島は温暖多湿。東京に較べると年平均気温は2度ほど高く、年間降水量はほぼ倍。また、風が強いことも三宅島の特徴です。
三宅島の方言で、冬は「ならい」と呼ばれる北東風、春と秋は「ながし」と呼ばれる南西の季節風が、年平均でのべ三日に一度の割合で吹いています。
黒潮の気まぐれな流れ方と地殻変動の境界にある2つの影響を受けた海洋島のため、サンゴ礁の魚と温帯の魚を一緒に見ることができるのも三宅島の魅力の一つです。これまでに570種類もの海水魚、92種類ものサンゴの仲間が観察されていて、夏のトロピカル度は抜群。
特に、三宅島南部の「富賀浜(とがはま)」や北西部の伊ヶ谷湾(いがやわん)「カタン崎」に広がる通称テーブルサンゴと呼ばれるミドリイシの仲間による造礁サンゴ群集は規模も大きく、日本での分布の北限とされています。近年、オニヒトデやシロレイシガイによる食害が目立ってきました。・長太郎池:三宅島南東部の坪田(つぼた)漁港のそばにある「長太郎池」は、かなり昔の噴火により流れだした溶岩が、海岸線から腕のようにはりだし、外海と分けてしまったタイド・プールです。深いところでも満潮時に2-3m位で、三宅島でシュノーケリングにより魚の生態を観察することができる安全なポイントです。
「長太郎池」では、これまでに200種類の海水魚、20種類の造礁サンゴの仲間が観察されています。しかし、人の活動によるオーバーユースや沿岸の開発、2000年噴火などによる影響が考えられますが、現在、出現種数の種構成や個体数に減少傾向が現れています。
例年、夏になると、はるか南の島にあるサンゴ礁で産まれた熱帯の幼魚たちが、黒潮と一緒に三宅島へ流されてきます。しかし、冬になると、海水温が下がるため、もともとサンゴ礁うまれの幼魚たちは、ほとんど生き残れません。・噴火の影響:現在では、「長太郎池」周辺の地盤が沈下し(約80cm-100cm)、干潮時刻でも外洋から強い波が押し寄せてきます。安全なシュノーケリングを楽しむためには、海の専門家をふくめた充分に錬られた"シュノーケリング計画"が必要です。安全の確保に妥協があってはいけないと思います。
(2)セダカスズメダイの特徴について図鑑やイラストで解説する
・セダカスズメダイの特徴は、「コバルトブルーの瞳」と「茶色の体」です。「親」も「赤ちゃん」も同じ体色をしています。
・セダカスズメダイのマークをつくり水中で指し示すなどの工夫をする。
・三宅島でセダカスズメダイの赤ちゃんに色彩変異(カラー・バリエーション)がありますが、成長すると、「コバルトブルーの瞳」と「茶色の体」のふつうの成魚の体色になります。なぜ、同じ場所に色彩が変異している赤ちゃんがいるのか、よく分かっていません。(3)テーマを観察する時の方法やポイント、セダカスズメダイとの距離を確認する
・「セダカスズメダイはどのような場所にいますか?」などの課題を、参加者に与えてみる。・セダカスズメダイがいる場所:岩場や岩の隙間で、海草がよく固着しているところでふつうにいます。
・産卵場所:海底にある岩の隙間や陰になっている岩の表面に、日中、緑色の卵塊(20cm×20cm位の範囲)を産みつけます。産卵のタイミングは大潮に同調していないようです。時間が経過すると、卵塊はオレンジ色になります。手のひらを広げてヒラヒラさせた時、産卵期に、セダカスズメダイがアタックしてくる場所のすぐそばの岩斜面に必ず「卵塊」がありますから、静かに注意深く探してください。
・産卵後:母親はどこかへ去ってしまいます。ニシキベラのような卵を食べる魚から孵化するまでオスが卵を守ります。ブダイやニザダイのような海草を食べる魚が「卵」に近づいただけでも、時には、セダカスズメダイより体の大きな捕食者が近づいても、オスは勇敢にもその肉食魚を追い払ってしまいます。
・手をヒラヒラさせた時:セダカスズメダイに噛みつかれるかもしれません。痛く、少し出血するでしょうが、ふつうの応急手当をすれば特に問題はありません。
・むやみに近づかない:野生の生物は、激しい動きをしたり、脅かしたりすると逃げてしまいます。近づく時は徐々に、静かに観察しましょう。また、サンゴの上に立ったり、触ったりして、サンゴをキズつけないよう注意しましょう。ちょっと指で押すだけでも、サンゴは死んでしまいます。
(4)参加者が期待していることを聞く
・参加者が意見をいう、やってみるなどの体験をすることが大切です。(5)エントリー、エキジットの方法を再確認する
・海に入る時、海からでる時の方法、その場所や順番、およそのコースや観察時間、バディシステム、緊急時の対処方法などについて、安全確保のため、お互い確認し合います。
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(6)故モイヤー師匠の教え
・子どもたちへの環境学習はとても大切なことですが、君の目の前にある自然環境を守るよう行動する人をつくるために、それを教えてください?◇シュノーケリング中に注意する点
(1)参加者の安全の確保
・解説を担当する人と安全の確保を担当する人は別にするべきです。でも、解説役と安全の確保役とのアイコンタクトは何時もとれていること。また、緊急時に適切な判断をすることが要求される「リーダー」は一人です。
・具体的な安全の確保策については、正規の訓練を受けたダイビング・インストラクターに協力してもらい、一緒に相談するべきでしょう。(2)見やすい位置に参加者を配置して、静かにセダカスズメダイに近づく
・海況や参加者の経験度などにもよりますが、基本的には解説者から参加者の顔がみえる位置(反応を知ることができる位置)、扇形に配置したり、バディー単位で解説するなどの工夫をする。水面にうつ伏せたまま、フィンを動かさないで、静かに観察する。海に慣れていない参加者が立とうとしたり、水面でバランスをとろうとジタバタすると、自然にフィンで砂を巻き上げてしまい、すぐ海中が濁ってきます。
・水に慣れてない参加者には、不慣れな程度にもよりますが、「3点セット」にこだわらず「浮き輪」を用意する、そばに何時も信頼されている人がいる、手をつかんでいてあげるなど、参加者のストレスを解消してあげることが大切です。
しかし、経験しなければ上達しませんネ。故Moyer先生は体験してもらうことの重要性をいつも話されました。体験時の安全をコントロールする体制・人材・準備をふくめた、事前の計画が必要な理由です。(3)時々、観察するポイントを解説者が指し示す
(4)体が冷えた参加者は海に入っていることがよくない
・その兆候を見逃さないこと(唇が紫色に変化)。すぐエキジットして、体を温めるよう指示をして下さい。ふつう海から出れば、すぐに回復するものです。(5)長時間の暑さや日差しは、思わぬ症状につながる
・「めまい」、「頭痛」、「吐き気」を訴えた場合は、すぐ、涼しい日陰に入るよう指示をして下さい。帽子や衣服を着ること、保温が有効です。保温と加温は違います。◇シュノーケリング後の「解説」は、大切な継続教育
(1)体が冷えた参加者には、温水シャワーを浴びたり、温かい飲み物を与える
・近くに温水シャワーがない場合、濡れたままでいることが最もよくありません。できる限り早く着替える、乾いた服を早く着ることが大切です。(2)長時間の直射日光・高温多湿下では、体内の水分が不足してきます
・こまめに水分(ミネラルウォーター)を補給しましょう。
・現地でやむを得ず解説する場合、ガイドは日光を背に解説してはいけません。(3)体験できたことをおさらいする
・「どうして?」タイプの質問をすることによって、参加者が自分なりの意見をまとめる機会を与える。
「どうしてセダカスズメダイは、あなたにアタックしてきたのでしょう?」(4)今日のポイントを解説する
・セダカスズメダイの行動と産卵のポイントを、簡単に解説する(写真やビデオ画像を利用すると効果的です)。
・「どう思いますか?」タイプの質問をすることによって、自分の気持ちを表現する機会を与える。
大切なことは、答えを要求しないことです。
「卵がすべて捕食されたら、セダカスズメダイはどうなると思いますか?」
・魚の産卵場所について話し合う。質問に答える、一緒に考えてもらう。(5)参加者からの質問や話題を、「岩場と魚の暮らし」に結びつけてまとめる
・長太郎池ではたくさんのカラフルな魚が泳いでいるのに驚かされましたネ。なぜかというと、魚たちはサンゴの枝の隙間、岩の隙間で暮らしているからです。ある種類の魚は、隠れ場所だけでなくサンゴに餌も完全に頼っています。
このサンゴが成長する岩場は、海草が育つのに適した場所でもあります。海草はセダカスズメダイなどの藻食性の魚に食べられ、藻食性の魚はアカエソなどの肉食性の捕食魚に食べられます。このように、ある生物が生きていくためには、さまざまな生物やさまざまな環境がなくてはならないことがわかります。でも、三宅島では開発など人の活動による影響から、貴重な自然がどんどん失われつつあります。
「もしも、サンゴや岩場がなくなったら、魚たちはどうなると思いますか?」(6)印象や感想、興味を持ったことなどを参加者皆さんで話し合ってもらう
◇セルフガイドを用意しました
◇次回のプログラムのテーマ探し
・セダカスズメダイの赤ちゃんの色彩変異について
・クマノミの卵
・ニシキベラの特徴、二次オスと一次オスの見分け方
・ニシキベラの産卵について
・ニシキベラは夜どこで眠る?
・キホシスズメダイ幼魚が池に現れる時期の不思議について?
・長太郎池のまわりの植物について
・ミヤケヘビギンポの産卵について
・ヘビギンポのオスによるプロポーズについて
・クロマスクのオスのなわばり
・ヘビギンポの仲間3種、産卵のタイミングの違い
・どれくらいの種類のサンゴが三宅島で暮らす?
・「長太郎池」をとりまく環境の変化について