その8


年越し行事 「トシドン」(toshidon) 
下甑島トシドン行事は国指定重要無形民俗文化財
 
下甑村・ 手打 本町(てうち もとまち)

「良い子にしていたかー」 「お母さんの言うこと聞いてるかー」
「コラー返事は立ってキヲウツケで」「歌を歌え」「良い子だ」・・
東シナ海に浮かぶ甑島列島の下甑島の鹿島村・下甑村には
各集落毎に大晦日の夜の年越し行事「トシドン
が残っています。
8歳位から3歳位の子供のいる家に鬼のような鼻の長いお面に
カヤやワラのミノや、黒いマントで装ったトシドンがやってきます。


中学生・青年や年配の人が扮するトシドンは、暗くなる頃始まります。
訪問する家の前に集合し、そのあたりから、大声で歌を歌い出します。
いつもは天「道」に住んでいて、下界の子供を見ており、大晦日の夜、
首無しの馬に乗って、島の高い山に降りて、子供の家にやってきます。
数人から十数人で玄関の戸や、窓や壁を激しく叩きます。見えないので
普通の格好の人も叩きます。子供はもうこれだけでも震えあがります。
座敷や縁側から、玄関先・あるいは、座敷の中にトシドンは上がりこみ、
トシドンの中で、ひとり二人は、恐ろしい声で脅したり、諭したりします。
最後は、良い子になる約束を取り付けたり、良い子であったと、歳餅を
袋から取り出し、背中に乗せて、四つんばいで落とさないよう親の元に
運ばせて、それを見届け、帰って行きます。おもちを貰うと、ひとつ年を
取れることになります。トシドンは歳神様でもあるわけです。

家の周り壁を叩く こわくないよ・ほら 全然こわがらないボク鼻さわると頭よくなる。
餅を運んだら終わりだけどエーン おかあちゃんコワイ 逆ギレ・餅なんか要らん
窓から来ると余計こわい 去年のこと持ち出して・泣いてうらめしー それでも、やっと餅をもらい

行事の形態  

下甑島、下甑村・鹿島村に伝承されている、大晦日の晩の行事である。
小さい子供のいる家で、トシドンにきてほしいところは、歳餅を用意し、トシドンたちのやってくるのを待つ。

当日の行事
夜暗くなって、訪問する家に集合したトシドンたちは、歌を歌いながら、大声をあげる。
玄関や、窓、裏木戸・壁と言わず、何人もで連打する。
そして、子供のいる部屋の窓や入り口からトシドンが入る。
子供をおどしたり、さとしたり、なだめたり、ほめたりしながら子供の情操教育・躾に役立っている。
また、これは、子供の幸福を願う貴重な民族行事でもある。

トシドンは中学生以上がなる。
集落毎に、伝承や衣装も変わって、その場その場のやり取りなどで、変化していくような気もします。伝承もすこしづつ変わってゆくようです。
集落毎に、地域毎に方言が著しく異なっている場所もあり、親が子供に通訳しなければならないようにも見うけられます。
島の独特言葉もあり、アクセントもことばも、本土の鹿児島弁ではありません。

これは、下甑・手打独特の地域性があるからです。

種子島や屋久島の一部にも伝承されており、これは、甑島から移住した人が多いから見られるようである。
東北のナマハゲや、沖縄のアカマータ・クロマータにも通じる仮面神の行事であり、南洋の島々の仮面にも連なるものではないかと思う。


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