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NPO相談Q&A

NPO法人を知ろう
−その設立から運営まで−

目次

T.NPO法人とは

U.NPO法人の設立と運営

V.NPO法人の会計と税務

W.NPO法人に関するQ&A事例集



T.NPO法人とは

● NPO法人とはどんな法人ですか?

 NPO法人とは特定非営利活動法人の通称で、特定非営利活動促進法(以下、NPO法といいます)に基づいて設立された法人のことです。
 NPOとはNon-Profit Organizationの略で民間非営利組織という意味です。
NPO法人はこのような営利を目的としない民間活動団体を法人化したもので、市民が自由な社会貢献活動を行うことを目的としてNPO法が作られました。
 NPO法には、次の20のものが不特定かつ多数の利益の増進に寄与する「特定非営利活動」として掲げられています。
  1. 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
  2. 社会教育の推進を図る活動
  3. まちづくりの推進を図る活動
  4. 学術、文化、芸術またはスポ−ツの振興を図る活動
  5. 環境の保全を図る活動
  6. 災害救援活動
  7. 地域安全活動
  8. 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
  9. 国際協力の活動
  10. 男女共同参画機会の形成の促進を図る活動
  11. 子どもの健全育成を図る活動
  12. 情報化社会の発展を図る活動
  13. 科学技術の振興を図る活動
  14. 経済活動の活性化を図る活動
  15. 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
  16. 消費者の保護を図る活動
  17. 観光の振興を図る活動
  18. 農山漁村又は山間地域の振興を図る活動
  19. 上記1〜18に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
  20. 法第2条各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市が条例で定める活動

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● NPO法人は公益法人ですか?

 法人税法や消費税法の上ではNPO法人は公益法人として明記されてはいませんがこれらの関係法令の適用については、NPO法上いずれも公益法人等とみなすこととされています。
 従って社会的には一般に公益法人として認知されています。


● NPO法人の事業活動は無償のボランティア活動ですか?

 NPO法人の活動が非営利目的であるということは、事業活動にたいしての収入が得られないということではありません。
 上に掲げた17の活動目的には、例えば15番目の「職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動」のように事業活動を行うことによって当然に収入を得られるようなものもありますし、NPO法人全体数の6割を占めている福祉事業関係のNPO法人は、活動自体がサ−ビスの対価を求めて行うものですが、事業者として指定を受けるには法人であることが要件とされているため、簡易な法人形態としてのNPO法人が選ばれているという事情もあります。
 また「環境の保全を図る活動」を目的としているNPO法人などは、その事業活動を行うことによる収入は期待できませんから、事業経費の必要資金源として、本来の活動目的以外にも定款に定めることにより、収益を目的とした「その他の事業」を行うことが認められているのです。
 NPO法人が非営利という意味は、営利法人と異なり次の2つの点が徹底されて いることとされています。
  1.  事業収入から余剰金(利益金)が生じても、これを会員等に分配しないこと
  2.  解散時に残余財産がある場合には、これを国又は地方公共団体に帰属させること
 このようにNPO法人活動が非営利であるということは、事業活動によって対価としての収入を得ることとは関係がありません。

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● NPO法人の経営面での特徴はどのようなものですか?

 NPO法人は、一般的に活動範囲が地域的に限定されその規模も小さいのが特徴といえます。2009年5月末現在で日本全国のNPO法人の総数は37,562法人と報告されていますが、このうちの9割以上は都道府県所轄のもので、広域に事務所を設けている内閣府所轄のものは8%程度の3,032法人に留まっています。
 また収入の規模についても、神奈川県が行った調査結果によれば、回答NPO法人約1000社のおよそ50%は、その収入額が1000万円未満であり、さらにそのうちの半数の法人の総収入額は200万円未満であるとされています。
 企業経営の3つの要素として、ヒト、カネ、モノなどと言われますが、NPO法人に関しては ヒトだけが重要な経営資源だと言えます。

 事業活動の内容は専ら役務の提供であり、また主な資金源は会員からの年会費 ですから、活動に参加してもらえる有為な人材と、直接活動には参加しなくても法人 の活動の趣旨に賛同し、会費を納めて活動を支える賛助会員が多数存在することがNPO法人の安定した経営にとって不可欠です。

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U.NPO法人の設立と運営

● NPO法人を設立するには、どのような要件がありますか?

 活動の目的と組織についていくつかの要件があります。

1.活動目的

 NPO法人になるためには、その法人が、Tで述べたNPO法に定める「特定非営利活動」を目的とする事業を行うことが必要です。その場合、その事業は、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与する、言い換えれば公益の増進に寄与するもので、「私益」(特定の個人や団体利益)や「共益」(仲間内だけの利益)を目的とするものは対象になりません。
 さらに、宗教活動や政治活動を主目的としたり、特定の公職の候補者等の推薦などをすることを目的とする団体は対象にならない他、特定の個人や団体の利益を目的としたり、特定の政党のために利用することも禁じられています。

2.組織

  • そのNPO法人の総会で議決権を有するメンバー(社員)になるために不当な条件をつけないこと、すなわち、誰でも社員になったり、脱退できる自由を保証されたりしていること、及び社員は10名以上が必要です。
  • 役員のうち、報酬を受ける者の数が役員総数の1/3以下であること。この規定は、非営利の意味する、事業に伴う余剰金(利益)を分配してはならないということを担保する目的があります。
  • 暴力団関係者ではないこと。

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● 設立の手続きは?

 NPO法人を設立するには、必要書類を作成の上、原則としてその法人の主たる事務所が所在する都道府県知事、当地区では神奈川県知事へ提出し、その認証を受ける必要があります。ただし、一の政令指定都市内のみに事務所を置く場合(本県では、横浜市、川崎市及び相模原市)は、当該政令指定都市の長の認証を受けることになります。

設立の手順は概ね、

発起人総会 →設立総会 →申請書類の作成 →認証の申請 →所轄官庁での公告、縦覧と審査 →認証決定 →登 記 →設立登記完了届

といった流れになります。

 事業スケジュールを立案する場合、申請書提出後の縦覧期間が2ヶ月、審査期間が2ヶ月以内となっていますので、申請から最長4ヶ月程度を要することを念頭においてください。
 なお、申請書の提出に先立って、事前相談を行うのが通例です。
 提出を要する申請書類とその様式、記載要領については、神奈川県県民局県民活動部発行の「特定非営利活動法人関係事務の案内」(平成24年4月)という冊子を参照してください。下記ホームページでもご覧になれます。連絡先は、以下の通りです。

神奈川県県民局県民活動部 NPO協働推進課NPO法人グループ
〒221-0835 横浜市神奈川区鶴屋町2−24−2 かながわ県民センター8階
TEL045-312-1121( 内線2865〜8) FAX045-312-1166
同課のホームページ

内閣府
なお、NPO法を所管する内閣府のNPOに関するホームページは、以下の通りです。
NPOの基礎知識から、法人の設立、管理・運営等に関する事項が掲載されています。
内閣府NPOホームページ

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● 管理・運営の段階で必要なことは?

 登記の手続きが完了してはじめて「特定非営利活動法人」(NPO法人)になり、社会的に法人として認知され、法律上の権利義務の主体となることができるわけですが、同時に各種の手続きが必要になる他、当然のことながら法人としての社会的責任や義務が課されることになります。特に重視されるのが、情報公開です。
また、法人としての経営能力と実務能力が必要になる(問われる)ことは言うまでもありません。

1.法人設立後に要する手続き
  • 市役所:法人設立後2ヶ月以内に「法人設立届出書」を提出します。ただし、非課税事業のみを行っている場合は、法人住民税の均等割りが免除されますので、所要の手続きを行う必要があります(県民税も同様)。
  • 税務署等:給与等を支払う従業員などがいる場合、「給与支払事務所等の開設届出書」を設立後1ヶ月以内に提出。同時に、労災保険(労働基準監督署)と雇用保険(公共職業安定所)への加入手続きが必要になります。
  • 収益事業を営む場合には、税務署へ「収益事業開始届出書」(設立後2ヶ月以内)、「青色申告の承認申請書」などを提出する必要があります。
2.毎年定期的にまたは変更時に行う事務(認証を受けた所轄庁へ提出)

 前年度の事業報告書等を毎年事業年度終了後3ヶ月以内に県の窓口に提出する必要があります。また、役員変更の際は届出が必要です。
 定款変更を行う場合は、内容によって届出または変更の認証が必要になります。必要提出書類とその様式、記載要領等については、神奈川県県民局「特定非営利活動法人関係事務の案内」(法人成立後編)(平成24年4月)を参照してください。

3.認定NPO法人制度

 NPO法人を認証する都道府県知事や政令指定都市の長の認定により、NPO法人への寄付金に関して、所得税等の優遇を受けられる制度があります。これまでの国税庁長官認定による制度に比べて、認定条件が緩和されています。また、都道府県や市町村が条例で指定することによる地方税の優遇制度も可能になりました。詳しくは以下を参照してください。

・内閣府ホームページ「認定NPO法人制度」
・神奈川県県民局県民活動部NPO協働推進課
 「認定(仮認定)NPO法人制度申請の手引き」
 「県指定NPO法人制度指定申し出の手引き」
(2012.4.1 改定)

 当センターでは、NPO法人の設立から管理・運営に関する一連の手続き等について、ご相談を受け付けておりますので、ご遠慮なくお申し出ください。

 相談日等については、当運営会議ホームページ・部会案内・相談部会のページをご覧ください。


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V. NPO法人の会計と税務

(1)会計

● NPO法人会計基準はありますか?

 公益法人には公益法人会計基準が定められており、他の非営利法人にもそれぞれの会計基準がありますが、NPO法人についても平成23年10月に「特定非営利活動法人の会計の明確化に関する研究会」から「報告書(修正案)」が公表され、平成23年6月に改正された改正NPO法の施行とともに平成24年4月から新制度として「NPO法人会計基準」がスタ−トすることとなりました。
 NPO法の改正は、NPO法の施行上の課題等に関する検証を通じ、NPO法人制度の見しを審議するため、平成17年11月から内閣府の国民生活審議会総合企画部会において検討が行われ、検討の成果が「NPO法人制度の見直しにむけて」として19年6月に公表されたことに基づいています。
 改正の会計面での主な内容は、従来の「収支計算書」が実績を示す「活動計算書」に改められるとともに第27条第3号は次のように財産目録は計算書類から除かれ、計算書類を補完する書類として位置づけられることになりました。
(会計の原則)
第27条 特定非営利活動法人の会計は、この法律に定めるもののほか、次に掲げる
      原則に従って、行わなければならない。
1 削除
2 省略
3 計算書類(活動計算書及び貸借対照表をいう。)及び財産目録は、会計帳簿に基づいて
  活動に係る事業の実績及び財政状態に関する真実な内容を明瞭に表示したものとすること。
4 省略

(注1) 削除された会計原則1は、改正前には「予算遵守の原則」が掲げられていました。
(注2) 計算書類の様式については、内閣府のホ−ムペ−ジ「特定非営利活動法人の会計の明確化に関する研究会報告書」を参照のこと。

● NPO法人会計基準で従来の実務と特に変る点はどのようなことですか?

 先ず収支計算書が活動計算書に変ることです。
 活動計算書は、一般に行われている企業会計の損益計算書と実質的には同じものです。収益事業を行っている法人は、収益事業に係る会計を区分経理して税務署に申告する義務がありますが、従来は収支計算書から損益計算書に組替える必要がありました。活動計算書では収益事業部門だけの活動計算書をそのまま損益計算書(正味財産増減計算書)として提出することができます。
 次に活動予算書についての様式例が示されていることがあります。 従来は収支予算書が法人の内部管理資料であるため、標準的な様式については明確でありませんでしたが、活動予算書と活動計算書の様式が異なると混乱を生ずるおそれがあることから、標準的な様式例が示されることになりました。
 「NPO法人会計基準」のもう一つの特徴は計算書類の注記の充実です。  従来は計算書類に注記を付している法人は稀でしたが、注記は外部の計算書類の利用者にとって有益な情報であることから一定の要件に該当する項目、重要な会計方針、重要な会計方針の変更その他施設や役務について無償の提供を受けた場合など9項目については、計算書類と一体であるので、計算書類上で開示されていないときは、これを注記することが求められています。

● NPO法人会計基準の適用は強制的なものでしょうか?

 「NPO法人会計基準」は、平成23年のNPO法の改正によって法律的な根拠を与えられましたが、それ自体は全国18のNPO法人支援組織が「NPO法人会計基準協議会」を発足させ、平成21年3月から会計基準の検討を開始し、内閣府をはじめとする所轄庁もオブザ−バ−として参加するなど、検討内容を公開して幅広い市民の意見を集約しながら、22年7月に「NPO法人会計基準」を策定・公表したものです。
 従って民間主導により行政が協力するという形で強制的なものではなく、目安として取り扱われるべきものとされています。
 その目的はNPO法人の作成する計算書類が外部の利用者にとってNPO法人の財務状況を分かりやすく表示し、法人の信頼性を高めることにありますが、具体的には次のような場合に極めて有益な会計情報を提供するものと考えられています。
 1. 会員や寄付者が法人に対して会費や寄付を提供する際に法人の運営や財務の状況を
   理解する。
 2. NPO法人の役職員が法人の運営状況を把握する。
 3. 所轄庁が適法な運営を行っているかを把握する。
 今回のNPO法の改正においては、会計面での改正とともに認定NPO法人の認定基 準が緩和され、税制上での優遇措置の適用の可能性も大きくなりましたので、法人が「NPO法人会計基準」に準拠して計算書類を作成することのメリットは大きいと考えられます。

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● 収益事業の区分経理とはどういうことですか?

 区分経理とは法人税法の上で、公益法人等は、収益事業から生ずる所得に関する経理と収益事業以外の事業から生ずる所得に関する経理とを区分して行わなければならないと定められているもので、所得(収入から費用を控除した利益及び調整額)だけでなく、資産及び負債についても同様に区分経理することが求められています。
 NPO法人については非収益事業だけを行っている場合には、法人税に関しては課税の問題は生ぜず、また作成する計算書類も貸借対照表及び収支計算書だけで済みますが(財産目録は貸借対照表上の科目明細書),収益事業がある場合には、別に損益計算書を作成する必要があります。またそれぞれの計算書類の提出先等の関係は次の図に示すとおりになっています。
 図からも理解できるように、収益事業であっても特定非営利活動に係る事業(以下本来事業といいます。) の中での収益事業と営利を目的とする「その他の事業」としての収益事業とがありますが、計算書類を作成するにはこれらの2つの収益事業についても区分する必要があります。NPO法第5条では「その他の事業」に関する会計については本来事業に係る会計から区分し、特別の会計として区分しなければならないと定めていますが,実務的には、本来事業の中に収益事業がある場合には、「その他の事業」に係る会計の収益事業とは別個に更に区分経理することが求められます。
 NPO法人の決算書類としては、本来事業の非収益事業及び収益事業に係る収支計算書及び貸借対照表等は合算して作成し、「その他の事業」に係る収支計算書及び貸借対照表等は別個に作成することとされていましたが、「NPO法人会計基準」では活動計算書においてのみ本来事業と併記して「その他の事業」が表示されることになりました。しかし税務上では収益事業の貸借対照表の提出が求められているために資産及び負債をも区分経理する必要があります。
 また「NPO法人会計基準」は計算書類の注記事項として、重要な会計方針などと並んで事業損益の状況を注記することが求められていますので、実務的には主要な事業については、各事業毎の部門別の活動計算書と貸借対照表を作成することになるでしょう。 現実的には、「その他の事業」を明確に定款に掲げているNPO法人はあまり例がないようですが、本来事業の中で区分経理することの必要性は、例えば行政からの委託事業や協働事業を行うNPO法人は収益事業(請負業)を行うことになりますので、これからも増して来ると予想されます。

(図) 区分経理と計算書類
区分経理と計算書類

(注) 非収益事業及び収益事業1は、法人の定款に掲げる特定非営利活動に係わるものであるが、収益事業1は法人税法が定める34の収益事業にも該当する。
その他の事業は、特定非営利活動に要する資金の獲得の目的で法人税法に定める収益事業として行われる。

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● 収益事業にはどんなものがありますか?

 収益事業には法人税法で定められていますが、次のように34の事業があります。
    1 物品販売業  2不動産販売業  3 金銭貸付業  4 物品貸付業
    5 不動産貸付業  6製造業  7 通信業  8 運送業  9 倉庫業  10 請負業
    11 印刷業  12 出版業  13 写真業  14 席貸業  15 旅館業  16料理店業
    その他の飲食店業  17 周旋業  18代理業  19仲立業  20 問屋業  21 鉱業
    22 土石採取業  23 浴場業  24理容業  25 美容業  26興行業  27 遊技所業
    28 遊覧所業  29医療保健業  30 技芸教授業  31 駐車場業  32 信用保証業
    33 無体財産提供業  34労働者派遣業

 なお、NPO法に掲げる活動目的のうち保健、医療又は福祉の増進を図る活動を目的とするNPO法人が行う介護保険法に基づく居宅サービス等の事業は、上記のうちの医療保険業に該当します。
 また事業に従事する者の半数以上が障害者等(65歳以上の高齢者を含みます。)であり、かつ、その事業がこれらの者の生活の保護に寄与しているNPO法人が上記の収益事業を行っていても、収益事業とはされないこととされています。

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● 区分経理の事業間の振替はどのように処理するのですか?

 NPO法第5条では、その他の事業を行う場合には、収益が生じたときはこれを本来事業のために使用しなければならない、と定めています。ここで収益とされているのは、その他の事業から稼得された余剰金(利益金)を意味します。
 「NPO法人会計基準」では、「その他の事業」「特定非営利活動に係る事業」に利益を振替えるには、経常外収益から経常外費用を差し引いた金額を、経常そと費用の次に「経理区分振替額」として処理することとされています。
 しかし事業毎に別々に資産・負債を区別して保有している場合には、活動計算書上の処理だけでなく、貸借対照表を作成する上で利益の振替額に見合う資産・負債の事業間の移動が必要になります。
 なお、NPO法人については他の公益法人の場合と異なり、収益事業から非収益事に支出された金額は、法人税法上損金に算入されず収益事業の所得とされることになっているので、注意が必要です。(税務に関する利益と所得との違いの項参照。)

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(2) 税務

ア 法人税関係

●  設立後の税務署等への届出は?

 収益事業を行わないNPO法人で、事業年度の収入の合計額が8000万円以下の小規模の法人は、収支計算書を税務署に提出しなくてもよいことになっていますので法人としての設立届は必要ありませんが、給与や諸謝金の支払いに関しては源泉所得税の徴収義務がありますので、「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する必要があります。
 源泉徴収は毎月給与を支払う度に行い、翌月の10日に税務署に納付しますが、給与の支払いを受ける人が常時10人未満であるときは「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書」を提出し、源泉税の納付を毎年7月10日及び1月20日の2回に纏めて納付することができます。
 なお、給与の支払いに関しては、毎年12月に年末調整を行なうことになります。
 収益事業があるNPO法人は「収益事業開始届出書」を提出しなければなりませんが、同時に「青色申告の承認申請書」をも提出しておくことが必要です。
 収益事業を行わないNPO法人は、この外にも、県税事務所及び市役所に法人の設立届けをすると同時に、県民税及び市民税の均等割についての減免申請を行うことが必要です。


● 青色申告とは?

 青色申告とは、納税者が自主的に正しい税務の申告を行うための制度で、納税者 が継続して正確な記帳を行っていることが前提になっています。
 正確な記帳とは一般的には複式簿記で記帳が行われることですが、必ずしも複式簿 記には限定されず、具体的には現金、預金出納帳や仕訳帳のほか、売上帳や経費帳 を保持するとともに取引に係る請求書や領収書などの証憑書類を保存することを要件 として簡易簿記によることも認められています。
 青色申告法人は、正確な帳簿に基づく税務申告を義務づけられていますが、事業 年度に生じた損失を以後7年間繰り越しすることができ、その間の事業年度に発生し た所得と通算することができます。

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● 損益計算書の利益と法人税法の所得との違いは ?

 損益計算書の利益は収益から費用を差し引いた金額ですが、法人税法上の所得は、 益金から損金を差し引いた金額になります。 利益と所得の違いは、収益=益金ではなくまた費用=損金でないところにあります。し かし益金及び損金は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算され るものとする、と法人税法にも定められているように企業会計の損益計算書の収益及び費用とそれほど大きく違っているわけではありません。
 税務申告書の作成にあたっては、所得は損益計算書上の当期純利益に基づいて、若 干の調整を加えることにより算出されます。 この調整(申告調整といいます。)は減価償却費などが法人税法に規定されている基準に 従って正しく計算されているならば、NPO法人の場合の調整項目はそれほど多くありま せん。それらは次のようなものが考えられます。

1.収益の調整

還付金の益金不算入
市・県民税の誤納付額の還付金を雑収入として処理している場合、所得を減算する。

2.費用の調整

諸税金
法人税、市・県民税を諸税公課として費用処理してい る場合、損金にならないので所得に加算する。 交通違反などの罰課金は損金にならないので所得 に加算する。

交際費
交際費として計上している金額の10%は損金に算入されないので、所得に加算する。

寄付金の損金不算入
収益事業から非収益事業に振替えられた利益は、認定 NPO法人を除き、収益事業の寄付金としては認められず、損金不算入になります。(所謂みなし寄付金は認められません。) 認定NPO法人についても、収益事業の所得の20%ま で非収益事業に使用することを認められていますが、新公益法人が実質的に所得の100%の損金算入が認められ、また学校法人や社会福祉法人が所得金額の50%か若しくは200万円のいずれか多い金額を限度として損金算入が認められることと比較して不利とされているところです。

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イ 消費税関係

● 消費税に関する届出は?

 消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供(資産の譲渡等―通常は課税売上という。)に対して課税されます。
 消費税の納入義務が生じるのは、基準期間の課税売上が1000万円(税抜き)を超えた翌 々年度になります。
 NPO法人の設立初年度においては、基準年度がありませんので届出を提出する必要はありません。
 基準期間の課税売上が1000万円を超えたときに、「消費税課税事業者の届出」を提出することになります。
 基準期間の課税売上高は、1年間の事業年度の税抜対価のことですが、設立初年度の 期間が1年に満たないときは12ケ月に換算するものとされています。

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● 課税売上とは?

 課税売上は通常の商品売上、貸付収入及び請負収入等ですが、非課税売上になるもの もあります。
 課税売上か非課税売上かの区別は、実際に消費税の税額を算出するときに支出した経 費の中に含まれる消費税を全額控除できるかどうかの判定上で重要です。
 また補助金や寄付金など特定収入の多いNPO法人については、特定収入が不課税と されていて、総収入に占める割合が5%を超える場合には消費税の申告に際しては特別 の計算をすることになります。
 NPO法人の消費税に関連して非課税及び不課税とされる項目を例示すれば次のような ものがあります。
非課税売上となるもの
      土地等の譲渡及び貸付け、住宅の貸付け、受取利息、有価証券の譲渡
      社会保険医療等収入、介護保険サービス・社会福祉事業の給付、行政手
      数料等
不課税売上となるもの
      補助金・助成金等、他会計からの繰入金、寄付金、会費・入会金、賠償金

 なお経費の中でも次のように非課税、不課税のものがありますので、科目を正確に区別 して記帳し、控除する消費税額(控除対象仕入税額といいます。)から除くことが必要で す。
非課税仕入となるもの
     社会保険料等の法定福利費、損害保険料、行政手数料、地代、家賃(住宅用のみ)
不課税仕入となるもの
     役員報酬、給与手当、慶弔費、会費・分担金等、租税公課、印紙代、罰課金、
     減価償却費

● 簡易課税とは?

 基準期間売上高が5000万円以下である事業者は、「消費税簡易課税制度選択届出書」 を提出して、簡易課税制度の適用を受けることができます。この場合には、課税売上高に 対してみなし仕入率を乗じた金額に基づいた仕入れに係る消費税額を算出し控除するこ とができますので、経費の科目ごとの消費税額を集計する手続きを省くことができます。
 NPO法人のように活動の内容が専ら役務の提供である事業は、第五種事業に該当し みなし仕入れ率は50%と定められています。
 給与手当のような人件費につては不課税とされ、控除すべき消費税は含まれていませ んので経費の中で人件費の割合が50%を超えているような法人にとっては、事務手続の 面でもまた税額の面でも有利な制度といえます。

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