2005年に南ア・ダーバンにて開催された世界遺産委員会から日本政府に対してなされた要請に基づいて日本政府からなされた報告について、守る会から声明が出されました。
*日本政府からの報告については声明の下欄に掲載(添付資料は不掲載)しています。

2006年3月11日
ユネスコ・世界遺産センター長 フランチェスコ・バンダリン氏への
06.2.1.日本政府報告書に関する
声 明
高速道路から世界遺産・平城京を守る会
事務局長 小井 修一
ユネスコ世界遺産センター長、フランチェスコ・バンダリン氏からの、2005年9月16日付け日本政府宛への書簡で、06年2月1日までに報告を求められた3項目について、日本政府の報告した文章が2月7日、明らかになりました。日本政府が報告を求められた3項目は以下の通りです。
1.高速道路の原理(理論)的説明について
文書は、「高速道路の必要性を正当化するために使用された交通事故と交通量に関する数字は実際には大変小さい。したがって、このような施設(インフラ)の必要性そのものに疑問がある」と主張しています。これらの申し立ては、交通調査のデータに関する文書によって裏付けされています。
2.トンネルによる解決策(選択肢のひとつであるが)の構造的影響について
「地下トンネルの掘削は、古都奈良の歴史的記念物の下の土壌を沈下させ、地下水位に影響を与える恐れがある。土壌の安定性は繰り返し危機にさらされることが推測される」
3.地域住民とその他の利害関係者を含む、真の公開協議のプロセスの欠如について
05年7月、南アフリカ・ダーバンで開催された第29回世界遺産委員会開催直前に、現地で高速道路から世界遺産・平城京を守る会(「守る会」)の小井修一(事務局長)、宮崎洋(事務局次長)がジョバンニ・ボッカルディ氏(世界遺産センター、アジア・太平洋部長)と会談しました。
その席上、「守る会」は「@ 交通渋滞の実態調査結果。A トンネル掘削に使われるシールド工法はコンピュター管理で最も安全といわれているが、掘削中に01年(平成13年)5月15日に地盤沈下の事故が発生した事実。B PI(パブリック・インボルブメント=積極的な住民参加)プロセス導入と宣伝されたが、住民団体や学術団体との協議や話し合いすら行われなかったこと」の3点について、事実に基づく書類を提出しました。
世界遺産センターは、この3点について日本政府に報告を求めたものです。
日本政府の報告「古都奈良における京奈和自動車道の検討状況」は、
まず1の渋滞の実態調査について述べ、新たに3交差点において06年1月に調査した資料を附して、渋滞が見られたと報告しています。この資料によると西九条町南、柏木町の2交差点では05年から平日の朝夕の通勤時の渋滞が無くなっており、「守る会」の指摘通りです。
法華寺町東交差点の渋滞は、奈良高架橋の和歌山行き降り口(四条大路2丁目)で2車線を半分の1車線にしているため、その影響によるもので通勤時の一時的な渋滞です。
しかし、渋滞時には平均旅行速度が20km未満となっていると新たな表現を使用しています。これは、従来から「守る会」が指摘しているように、朝夕の通勤時の渋滞は日本全国の主要な都市内にみられる渋滞であり、国道24号線奈良市内だけの問題ではありません。
また休日の午後の渋滞は、大型店舗への買い物客を中心とするもので、交通警察や国道管理者の店舗への出入口対策などの渋滞対策を実施すれば、かなりの程度解決するものです。
そして県道、奈良・大和郡山・斑鳩線の交通事故は、24号線の渋滞を避け流入する自動車増により、近畿平均の9倍であると、04年11月8日付、日本ユネスコ常駐代表部今里譲氏の報告と同様の報告をしていますが、交通事故率の比較では1.75倍であることを素直に認めず、相変わらず9倍なる数字は正当と固執しています。
重大なことは、高速道路建設の目的について「関西大環状道路」という大開発道路であることを隠し、奈良市にとっては完全な通過道路であるという事実について報告せず、相変わらず、渋滞と事故の減少のために大和北道路・高速道路を建設するという報告にしていることです。「守る会」は奈良市内の真中に高速道路を建設すれば、各インターチェンジから奈良市内に入ろうとする車で、国道24号線は更なる渋滞になることを指摘しています。
問題の2つ目は、トンネルによる地下水への影響等についてです。
今回の世界遺産センターの報告の求めは、地下トンネルのシールド工事中に陥没事故を起こしたことなど「守る会」の指摘した事実について報告を求めていることです。
ところが、日本政府の報告は前回報告の内容とほぼ同じ地下水検討委員会の経過報告が主で、シールド工事の陥没事故の解明や、過去の事故について一切報告していません。これは世界遺産センターの求めに対する回答になっていません。
「守る会」は、地下水検討委員会のシミュレーションはあくまで予測に過ぎず、しかも信頼に価しないデータ入力であること、そして工事中の事故やトンネル出入口の開削工法の問題点、同場所による地下遺構の破壊を指摘していますが、これらについての報告も全くありません。また、景観上大問題となるトンネルの排気塔についても報告がありません。
3つ目は計画プロセスについて述べている問題です。
「守る会」は、道路で全国2番目のPIプロセス導入と大宣伝されたが、結果として住民参加の
プロセスはなかったという事実を報告しています。
全国で初めて行われた東京外郭道路のPIでは、反対組織や、自治会代表など住民代表も参加した「協議会」をつくり、国・都と月2回のペースで全会一致制のルールをもとに協議されています。
そして、都市計画決定済みの道路計画についても、道路の必要性などそもそも論からも「協議」されています。これが、まさしく住民参加そのもの、パブリック・インボルブメントの実施です。
では道路で全国2番目のPIプロセス導入と宣伝された奈良で何が行われたのでしょうか。実施されたのはアンケート、ヒアリング、公聴会、そして行政の一方的なシンポジウムと、指名した人への聞き取りだけでした。
これらは今日、おざなりの各審議会でも一般的に行われている手法、形式に過ぎないものです。
さらに驚いたことに、「守る会」との話し合いの実績が報告されています。2002年2月から
2005年8月まで6回の話し合いの実績が報告されていますが、「守る会」は署名提出時と要望書等の提出時以外、国土交通省と会見していません。
また、「守る会」にとって、署名や要望書等の提出時を「話し合い」の場とする認識はいささか
もありません。署名や要望書等の提出時は窓口の担当者にその趣旨を述べ、理解を求めることが中心です。しかも、会見中に言葉のやりとりから、国交省の担当者に「会場から出て行け」と命令されたことさえあります。これがユネスコに報告できるような「話し合い」なのでしょうか。
一方で、「守る会」からの文書による意見交換の場設定要望については何の返事も未だにありません。これらの事実こそ報告してほしいものです。
最後に環境影響評価の実施についてです。
冒頭に「一般市民の意見が反映された環境影響評価方法書に対する奈良県知事意見」と、さも、知事意見に一般市民の意見が反映されたかのように報告されています。しかし、これも「守る会」が05年6月1日に表明しているように、「知事意見」は住民意見を反映したものになっていません。
「方法書」に対する住民意見は55通80項目が提出され、そのほとんどが世界遺産や文化遺産を守る立場の意見でした。しかし、これらの意見は「知事意見」に具体的に反映されず、方法書にも全く反映されませんでした。住民意見を聞きながら、住民意見が反映されないシステムになっているのです。
以上のように日本政府の今回の報告は、
@ 「守る会」が提起し、ユネスコが求めた報告に対し、あまりにも焦点をぼかした、不誠実な内容の報告と言わざるを得ないものです。
A そして、世界遺産条約と同指針を守り、世界遺産「古都・奈良の文化財」を守るという観点が不十分な、高速道路建設ありきの報告となっています。
B 情報公開に力を入れるといい、チラシ・パンフレットなど計390万枚も発行していますが、ごまかしと誇張の大宣伝を行うのではなく、約50kmの高速道路建設で約8,000億円の巨額の投資であり、その3割が県民の負担になり、県民1人当たり17万円もの建設負担になること、そして、世界遺産に危機を与える恐れがあることなどの情報こそ県民・住民に公開されるべきでしょう。これらの財政的な情報は過去一度も公開されていません。
C 報告は最後に環境影響評価によって、道路建設計画が修正された事実があると指摘しています。 しかし、部分的な修正があったとしても道路建設計画そのものが中止された例は知りません。「守る会」は世界遺産「古都・奈良の文化財」を守るために、高速道路のルート変更や、建設計画中止をもとめています。もし、そのような事実があるとすれば大いに報告してほしいものです。
世界遺産条約は、第11条で「急速に進む破壊、大規模な公共事業もしくは観光開発事業に起因する滅失の危機」について、厳しく遺産の「完全性と真実性」の保護の義務について主権国家に求めています。古都保存法の「歴史的風土」を守り、世界から託された世界遺産を守るために、私たち「守る会」は、行政としての責任をさらに自覚し、真摯な態度で環境影響評価を実施するよう強く要望するものです。
以上

政府からユネスコへの報告は下記の通り(添付資料は省きます)
古都奈良における京奈和自動車道の検討状況
1.検討状況
(l)古都奈良における京奈和自動車道「大和北道路」については、その整備により、木簡などの文化財を保護する役割を果たしていると言われる地下水の水位低下等が懸念されるため、日本政府は慎重に検討を進めてきたところです。
(2)2003年10月には、大和北道路有識者委員会から「国道24号」を活用するルート、都市計画道路「西九条佐保線」を活用するルートの2つのルート案が推奨され、さらに、この両案を詳細に比較すれば、「西九条佐保線」を活用するルートに優位性を有する旨、提言を受けたところです。
(3)現在、日本政府は、「大和北道路有識者委員会の提言」「第28回世界遺産委員会の決議」を尊重しつつ、「一般市民の意見が反映された環境影響評価方法書に対する奈良県知事意見」を踏まえ、専門家や関係者などの意見を広く伺いながら、文化財、景観や環境の保全と交通の利便性の調和がとれたルート・構造について専門的見地からの検討を行っているところです。
(4)専門的見地からの検討のうち環境影響評価法に基づいて行うものについては、その法律に基づき奈良県が審査を行う仕組みになっており、日本政府は奈良県の求めに応じて協カしています。
(5)日本の環境影響評価法に基づく環境影響評価は、別添−1の手順で行われます。
(6)環境影響評価については、現在、京奈和自動車道(大和北道路)環境影響評価検討専門部会が「環境影響評価方法書に対する奈良県知事意見」や「学識経験者、一般市民の意見」を踏まえ、環境影響評価の項目や手法の選定を行ったところです。
(7)なお、選定された項目や手法は、調査、予測、評価を行う過程において、選定の際には想定できなかった事実等が明らかになる可能性もあることから、必要に応じて、京奈和自動車道(大和北道路)環境影響評価検討専門部会の場において、修正したり、補足したりすることが可能になっております。
(8)最終的に確定した項目や手法は、環境影響に関する調査結果をまとめた「準備書」の段階で公表し、一般市民からも意見を頂くことになっています。
2.大和北道路の必要性を示す具体的な交通状況
奈良市において、主要な交通機能を担う国道24号は、現在1日約6.6万台の交通が集中、平均旅行速度が20q/h未満となる区間があるとともに複数の交差点で交通渋滞が生じています。また、国道24号と並行している県道には、国道24号の渋滞を避けるため多くの車がこの県道を利用し、交通が集中することにより交通事故も多く発生し、地域住民の安全が脅かされています。この交通問題を解決するために、大和北道路の整備が必要です。詳細を以下に記します。
(1) 交通渋滞
@この地域の南北方向の唯一の幹線道路である国道24号について、日本政府が2001年12月〜2002年1月にかけて実施した調査、2002年11月〜2003年2月にかけて実施した調査、2005年10月に実施した調査によれば、国道24号は、平日、休日ともに柏木町交差点などで平均旅行速度が20q/h未満となっています。(別添−2参照)
Aさらに確認のため、日本政府が2006年1月に国道24号の交通状況調査を実施したところ、別添に示されるように、法華寺町東交差点ては平日の朝、柏木町交差点及び西九条町南交差点では休日の牛後から夕方にかけて渋滞が見られました。(別添−3、別添−4参照)
B日本政府は、2002年から2005年にかけて国道24号の交通状況調査を6回実施していますが、その時にも、主として平日の朝夕、休日の午後から夕方に渋滞が見られており、国道24号の渋滞の傾向は、現在も変わっていない状況にあります。(別添−3参照)
C奈良県内で発行されている新開(発行部数約12万部)では、毎週木曜日に奈良県内の道路事情について、いろいろな方の意見を掲載しており、その中で2005年には14人から国道24号の渋滞緩和を求める意見が出されているなど、市民も渋滞していると認識しています。
DNGO団体「高速道路から世界遺産・平城京を守る会」のレポートによれば、調査内容は日本攻府の調査と同じでありますが、調査方法については、日木政府の調査では交差点における1つの方向について2人で測定を行っているのに対して、NGO調査は1人で測定しているため、日本政府の調査に比べて渋滞長が長くなったときの通過時間の測定などが不正確な結果になっている可能性があると考えられます。
Eなお、大和北道路を整備すれば、奈良市・大和郡山市に用のない通過交通が国道24号から大和北道路に転換することで、法華寺町東交差点、柏木町交差点及び西九条町南交差点を含む国道24号の主要交差点の10箇所中、8箇所において、渋滞が緩和されると見込んでいます。
(2)交通事故
@交通事故について、国道24号の渋滞を避ける抜け道として、国道24号と並行する奈良大和郡山斑鳩線を多くの車が利用することから、国道24号が渋滞する朝夕のラッシユ時を中心に奈良大和郡山斑鳩線で事故が多発しています。
Aこのため、日本政府が作成した大和北道路に関するパンフレットの中では、この奈良大和郡山斑鳩線の事故発生率と事故率の両方のデータを掲載することで、地域の交通状況を表現するとともに、大和北道路に求められる役割について記述しているところです。奈良大和郡山斑鳩線の事故発生率及び事故率の状祝は、下表のとおりとなります。
表 事故発生率及び事故率の状況
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|
@奈良大和
郡山斑鳩線
|
A近畿全体
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@/A
|
|
事故発生率(件/q)
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14.8
|
1.7
|
8.71
|
|
事故率(件/億台キロ)
|
198
|
113
|
1.75
|
Bここで、事故発生率とは、対象区間における事故件数を当該区間の延長で除したものになります。また、事故率とは、自動車走行台キロあたりの事故件数のことであり、事故件数を自動車走行延長と自動車走行台数の積で除したものになります。
C事故率は、全国すべての道路について、交通事故の状況を同一の尺度で見ることができます。しかしながら、交通事故の状況が事故率によってのみ、客観的に、かつ公平に表現されるわけではありません。
D例えば、奈良大和郡山斑鳩線は、国道ではないにも関わらず国道24号の渋滞による流入交通のために事故が起きているのであり、日本政府としては大和北道路の建設により奈良大和郡山斑鳩線の交通量を減らすことによって、事故を減らすことを意図しています。
Eこうした意図の背景を適切に表現する指標としては、交通量に関わらず、延長あたりの交通事故件数を表現することが必要と考え、事故発生率の指標を用いたものです。
F今後も、こうした指標を活用するにあたっては、適宜適切な使い方をするよう引き続き配慮します。
3.トンネル構造による地下水への影響等
大和北道路の整備により、木簡を保護する役割を果たしていると言われている地下水への影響が懸念されるため、日本政府は、策28回世界遺産委員会の決議を尊重しつつ慎重に検討を実施しています。2003年10月の大和北道路有識者委員会の提言後、詳細に検討してきた2つのルート(24号を活用するルートと都市計画道路西九条佐保線を活用するルート)について、改めて、道路建設による地下水位の変動を予測しました。その結果、道路建設による地下水位の変動は年間を通した季節変動より小さく、日本政府は木簡の保護への影響は少ないと考えています。
詳細を以下に記します。
(1)大和北道路の地下水への影響
@地下水への影響度合を評価項目に入れ、ルート・構造及び施工方法を検討
【地下水検討委員会での検討結果】
・古都奈良における京奈和自動車道「大和北道路」については、その整備により、木簡などの文化財を保護する役割を果たしていると言われている地下水の水位低下等が懸念されるため、日本政府は、2001年7月に専門家から構成された地下水検討委員会を設置し、大和北道路のルート構造の検討に必要となる地下水位の現況把握と道路建設による地下水位の変動を予測しました。
・検討の結果は、以下のとおりです。
a.地下水位の状況(2000年1月〜2002年2月)
・16箇所で地下水位を観測。
・地下水は大きく分けて3つの層をなしており、いずれの層も、季節によって水位が変動。
・2000年〜2001年における年間の変動幅は、地上の一番近い層(第1帯水層)で平均約85p、二番目に近い層(第2帯水層)で平均約179cm、三番目に近い層(第3帯水層)で平均約204pとなっていることが解りました。
b.道路建設と地下水位の変動の関係
地下水の流れに影響を与えそうな代表的なケースを4つ設定し、地下水位の変動を予測。
・その結果、木簡が埋蔵されていると言われている第1帯水層については、いずれのケースも、『道路建設による地下水位の変動は年間を通した季節変動より小さいこと』が明らかになりました。
・なお、シミュレーションによる地下水の現況再現を行ったところ、現地の地下水の状祝をよく再現していることを確認しており、モデルの精度・信頼性は十分評価できるものとなっています。
【現在実施中の環境影響評価手続きに関連して検討した結果】
・『第28回世界遺産委員会の決議』や『環境影響評価方法書に対する奈良県知事意見』を踏まえ、道路建設時及び完成時の地下水位の変動を小さく抑えるべく、日本政府は、地下水位の現況について十分把握し、道路建設に伴う地下水位の変動を予測するための新たなボーリング調査を2005年9月までに5箇所で実施しました。
・道路建設による地下水位の変動の予測は、大和北道路有識者委員会が推奨し、テレビニュース、新聞報道、ホームページ等を通じてlocal
communitiesにお知らせした「国道24号」を活用するルート、「西九条佐保線」を活用するルートについて行いました。
・予測にあたっては、環境影響評価方法書に対する奈良県知事の意見を踏まえて予測する領域を広げる必要があることから、そのために必要な地質データをシミュレーションモデルに組み込みました。その上で、大和北道路有識者委員会の提言後から詳細に検討してきたルート・構造のデータ(トンネルの位置、地上からの深さなど)をシミュレーションモデルに入カして、地下水位の変動を予測しました。なお、トンネルについてはシールドトンネルを想定しています。
・検討の結果は、以下に示すとおりです。
この結果から、日木政府は、道路建設に伴う地下水位への影響は少ないと考えていますが、文化財、景観や環壊の保全と交通の利便性の調和がとれたルート・構造となるよう、さらに検討を続けているところです。
また地下水位についても、引き続き観測を行っているところです。
a.地下水位の現況(2000年1月〜2005年11月)
21箇所で地下水位を観測。
・2000年〜2004年における年間の地下水位の変動幅は、地上に一番近い層(第1帯水層)で平均約81p、二番目に近い層(第2帯水層)で平均約171p、三番目に近い層(第3帯水層)で平均約171pとなっていることが解りました。
(別添−5参照)
表 観測地下水位の変動状況
|
地下水検討委員会時点
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現時点
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|
調査箇所数
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16箇所
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21箇所
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平均年間変動幅算出期間
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2000年〜2001年の2年間
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2000年〜2004年の5年間
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第1帯水層
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平均年間変動幅 約85p(14地点の平均)
|
平均年間変動幅 約81p
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第2帯水層
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平均年間変動幅 約179p(7地点の平均)
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平均年間変動幅 約171p
|
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第3帯水層
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平均年間変動幅 約204p(6地点の平均)
|
平均年間変動幅 171p
|
※地下水検討委員会時点の変動幅は、地下水検討委員会報告書P6〜P7 の
図3−2−6〜図3−2−8に示された観測地点の平均を表示
b.道路建設と地下水位の変動の関係
・木簡が埋蔵されていると言われている第1帯水層について、道路建設による地下水位の変動について予測。
・その結果、『道路建設による地下水位の変動は年間を通した季節変動より小さいこと』が明らかになり、地下水検討委員会での検討結果と違いのないことが解りました。
・なお、シミユレーションによる地下水の現況再現を行ったところ、現地の地下水の状況をよく再現していることを確認しており、今回のモデルも精度・信頼性は十分評価できるものとなっています。
A地下水位のモニタリング方針の検討
・今後の検討を通じて大和北道路が建設されるとなった場合、建設中に、万が一、地下水の異常が生じた時は、その状況を迅速に把握し、地下水保全対策を緊急に行う必要があります。
・このため、日本政府は、現在行っている地下水位のモニタリングを今後も継続していくことにしています。
・また、地下水の異常と判断する基準について、日本政府は、地下水位観測結果をもとに、専門家の助言や指導を受けながら、現地における適切なモ二タリング方針を定めるための検討を行っているところです。
(2)古都奈良の文化財の保護及び景観の保全
古都奈良の文化財の資産は、日本国の文化財保護法によって、保護・保存の措置がとられ、国の許可なく現状を変更することはできないことになっています。今後も引き続き、文化財保護法を遵守し許可のない現状の変更は決して行いません。
Aまた、古都奈良の文化財における文化的景観を含む古都奈良の景観については、日本国の法律や奈良県、奈良市の条例など、一体的に保全するための制度体系が整えられており、今後も、これら法律や条令を遵守し古都祭良の景観を保全していきます。
4.計画プロセス
大和北道路の検討を日本の法制度に基づいて行えば、地域住民、専門家、NGO等との情報交流の機会が3回確保できます。(環境影響評価手続で2回、都市計画手続で1回)
日本政府は、この3回に満足せず、検討の早い段階からPublic Involvementを導入し更に情報交流の機会を確保してきました。今後は、「新たな広報誌の刊行」「文化財関係の総合月刊誌」も活用し、更により多くの方との情報交流の機会を確保し、幅広い層との話し合いプロセスを実施していきます。
詳細を以下に記します。
(1)これまでの主な取り組み
・これまでの大和北道路の検討においても、日本政府は、local communitiesに対し、ホームページや新開折り込みチラシなどを通じて、常に情報を公開しながら、専門家やいろいろな方々の意見を伺いながら慎重に検討を進めてきたところです。
@意見聴取
a.住民アンケ−ト(延べ7回実施、延べ4,693人から意見聴取)
・なお、2003年3月から2003年5月にかけて実施したアンケート調査では、以下の結果が得られています。
【アンケート結果】
・奈良県北部地域の道路は渋滞があると感じている人が72%
・現在の国道24号線の交通状況からみて奈良県北部地域の道路整備の必要性を感じている人が79%
・高速道路につながる自動車専用道路を整備すべきと感じている人が76%
b.各界を代表する者等へのインタビユーなど(延べ51人から意見聴取)
・様々な分野(交通運輸、観光、地質、世界遺産関係、文化財保護団体、経済界、寺院、土木)を代表する方々や地元自治会などに対し、大和北道路の必要性、道路整備の際の配慮事項等について幅広い意見を収集するために実施。
・なお、51人のうち6人が大和北道路の計画に反対する意見を述べた。
A情報公開
a . 2001年7月より以下の内容をホ−ムペ−ジに掲載
2005年12月までのアクセス件数16,661件)
影響評価方法書を公開
想定されるルート帯、環境影響評価を行う方法の案を奈良県と提携して公開)
・専門家で構成された委員会(地下水検討委員会、文化財検討委員会、大和北道路有識者委員会)の会議資料、報告書を公開
地下水位の状況、道路建設に伴う地下水位の変動の予測結果などを公開)
・2005.2開催のシンポジウムの結果を公開
貴重な文化財である木簡について多くの方々に知ってもらうため、専門家の説明内容を公開) など
b.チラシ、パンフレット(総計約390万枚)
・チラシ1回あたり約64.6万枚、計6回配布、総計約387.6万枚
・パンフレット2.5万枚
(2) 環境影響評価手続き、都市計画手続き
・専門的見地からの検討のうち、環境影響評価法に基づいて行うものについては、その法律に基づき奈良県が環境影響評価法に基づく手続きを行っています。
諸外国の制度の長所を取り入れて制定された日本国の環境影響評価法では、地域住民、専門家、NGO等との情報交流の機会が方法書手統きと準備書手続きの2回あり、環境保全の見地から意見を有する者は何人といえども意見が提出できるようになっています。 (この他に都市計画手続きにおいても情報交流の機会が1回あります)
日本攻府は、local communitiesに対する情報交流の機会について、環境影響評価法に定められた環境影響評価の手続きにおける情報交流の機会に加えて、前述したように多様な媒体を活用して情報交流の機会を確保してきました。
・日本政府は今後も環境影響評価の手続きにおける情報交流の機会に加えて、特定の地域限定とならず、より多くの方との情報交流の機会を確保するため、これまで活用した媒体のほかに、新たに広報誌を刊行して大和北道路の検討状況を伝えることや、文化財に関心のある市民一般に向け、文化財関係の総合月刊誌などを活用して幅広い層との話し合いプロセスを実施していきます。
(3) NGO団体「高速道路から世界遺産・平城京を守る会」との話し合い実績
小井氏が世界遣産センターに提出した「第29回世界遺産委員会への日本NGO報告」において、「日本国は、反対する市民と話し合わなかった」と主張されている点については、日本国政府とNGO団体「高速道路から世界遺産・平城京を守る会」とは、過去6回にわたる話し合いが開かれる(その内容はテレビニュースで放送される)事実を申し上げます。
【話し合いの時期】
@2002年2月A2003年5月B2003年6月C2003年7月D2003年11月E2005年8月
・このほかにも、日本政府はNGO団体「高速道路から世界遺産・平城京を守る会」の意見を聴取する磯会をありました。(いずれも公開の場で意見を聴取)
【意見聴取】
・2003年4月 井上氏(代表委員)の意見を聴取
・2003年5月 小井氏(事務局長)、浜田氏の意見を聴取
【参考:小井氏の主張について】
小井氏が世界遺産センタ−に提出した「第29回世界遺産委員会への日本NGO報告」において、「日本国では、環境影響評価法によって、日本政府の開発プロジェクト計画が修正されたケースはありません」と主張されている点については、環境影響評価法の制定後に、環境影響評価手続きに着手したもののうち、日本政府が関わる道路計画において、計画が修正されたケースがあることを申し上げます。
5.今後の予定
(l)京奈和自動車道(大和北道路)環境影響評価検討専門部会で選定された項目や手法に沿って、環境影響に関する調査がとりまとめられ、その結果は「準備書」として公表される予走です。
(2)日本政府としては、以下に示す第28回世界遺産委員会の決犠を確実に履行していきます。
@遣産の真正かつ一体的な保存を確実にするための努力を続ける
A世界遺産の価値を守るために、工事中、地下水に対する影響を最小に保たれるよう技術的解決策を確認するための努力を続ける
B決定過程をlocal communitiesに情報提供する努カを続ける。
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