<目次>

平城宮について
   2002.3.31

木簡、遺物、遺構
   2002.3.31

世界遺産に登録 
   2002.3.31   

京奈和自動車道
    2006.3.7


第31回世界遺産委員
会参加報告・決議           2007.8.15



環境影響評価準備書に対する意見
   2006.9.30


守る会活動記録
      2006.9.30

問題だらけの環境影
響評価「方法書」に対
する知事意見
       2005.6.16


「守る会」が国道24号線奈良市内の渋滞調査
     2005.6.16


不確定な予測で
地下トンネル建設を
決定してはならない
    2002.5.25

あなたの力を
    貸して!

最近の動き
文化財検討委員会の提言についての声明
  2002.8.31

お知らせ 
  2002.6.7


資料 
 シンポの意義
        2002.4


 高速道路 2002.6

 地質について 2002.6

 歴史の証人 2002.6

 大気汚染 2002.6

みんなの広場

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  世界遺産センター長フランチェスコ・バンダリン氏に対する要請書のうち、守る会の懸念にH、I(予想される地震に対する対策欠如など)が追加されました。
  なお、31回決議についても一部字句訂正がなされました。  
   訂正箇所  決議Cの周辺→周囲



 第31回世界遺産委員会にオブザーバー参加された小井事務局長の報告、委員会決議及びバンダリン氏宛に「72古都奈良の文化財.日本.C870」及び「31COM7B.72」についての説明と訂正を要請する書簡を掲載します。


  第31回世界遺産委員会(ニュージーランド・クライストチャーチ)

         オブザーバー参加報告




 07年度の第31回世界遺産委員会は、6月23日から7月2日の間、ニュージーランド・クライストチャーチ(南島)で開かれ、「守る会」から、小井事務局長と宮崎事務局次長の2人がオブザーバー参加しました。
 会議は24日から始まり、事前に予約しておいた世界遺産センターのアジア・太平洋担当部長ジョバンニ・ボッカルディ氏との会談は、24日の午後4時過ぎから約15分間会うことができました。本会議と平行しての会談になりました。

 ボッカルディ氏との主なやり取りは次の通りです。

@ 昨年11月3日の奈良講演について、「原則的で感銘を与えた。われわれは励まされた」と感謝の意を述べた。B氏は、「そう聞いて大変うれしい」と答えた。
A 「決議案第4項には、重大な事実の誤認がある。高速道路の通過はバッファゾーンのアウトサイドでなくインサイドである」と指摘をした。それに対してボッカルディ氏は、「(下線を引いたアウトサイドの単語を指さして)そうだ、この部分に間違いがある、委員会はすでに気が付いている。したがって、第4項はバッファゾーンの“外側”をperiphery(周井)に訂正をして再提案したい」と述べた。
B 続いて「第8項も改訂したい。奈良県知事は3月初めわれわれと会談した。知事は、遷都1300年記念事業について、中央政府、諮問機関、関係機関と協議したい。まだ案は確定していないと述べた。したがって、遷都1300年記念事業のパビリオンの建設の部分を削除して、第8項は提案したい」と述べた。
C 大和北道路計画側中止要請について、ボッカルディ氏は「率直に言って」と前置きしながら、「世界遺産委員会は、日本政府に中止を要請する権限を持っていない。締約国の主権の問題がある。われわれにできることは、残念ながら、損失を最小限に、とか、慎重に、慎重にということしかできないのである」と述べた。
D 朝堂院復元について、ボッカルディ氏は「奈良県知事は、全体計画を示さなかったので、今の段階で、賛成とか反対とか言うことはできない」と述べた。
E ボッカルディ氏は、「今年の11月、再び奈良を訪れる。個人的な旅行ではない。またその時再会しよう。来年の世界遺産委員会は、カナダのケベックの予定である」と述べた。
 「奈良の世界遺産を守るため、一層の努力をしてほしい」というと、「当然なことだ」と応えた。

 会談で私たちが最初に指摘したのは、決議の第4項「高速道路のために選定されたルートが、世界遺産のコアゾーンとバッファゾーンの外側を通ることに満足をもって留意し、・・・」でした。
 しかし、改訂された決議案は、「外側」が「周辺に沿って」に変更されただけでした。「インサイド(内側)だ」の表現が明確になっていません。また、決議の前にある「72.古都奈良の文化財(日本)(C870)」の報告に関する文書の第4パラグラフでは、「この地下ルートは世界遺産のコアゾーンとバッファゾーンの外側を通るものであり、かくしてその考古学的かつ、視覚的な完全性にいかなる影響も回避するものです」と日本政府の報告書を概略的に述べた部分の訂正が本会議で行われていません(7月6日、文化庁)。
 従って、世界遺産センターが「周囲」という言葉を、バッファゾーンの内側か外側か不明確にするために使っている疑いをもたざるをえません。(文化庁の担当者は、「周囲」という言葉は「内側の周囲」になります、と回答しています)。
 いずれにしても、「決議」の中で「・・・バッファゾーンの周囲を通ることを満足をもって留意し」とある以上、早急に「守る会」として「見解」を明らかにし、できれば、世界遺産委員会に経緯を明らかにすることと本文及び決議第4項の「訂正」を求めたいと思います。(7月31日付で第31回世界遺産委員会「決議」(「72古都奈良の文化財日本.C870」「31COM7B.72)の説明と重大な誤認の訂正の要請について、を世界遺産センター長フランチェスコ・バンダリン氏宛に送付しました)


 以上の「バッファゾーンの外側」問題を除けば、今回の決議も評価できるものです。

 第1に、「守る会」が今年3月10日付けで、世界遺産センター長フランチェスコ・バンダリン氏に提出した「日本政府報告書への批判」を短い文章ではありますが、72.古都奈良の文化財(日本)(C870)の最後に載せてくれました。

 第2に、「決議」第5項で「・・・貴重な遺物の損失をもたらす結果とならないことを保証するために・・・極めて慎重に熟考するよう、日本政府に要請」していることです。これは「守る会」と同様の高速道路に対する懸念を世界遺産委員会も抱いているからに他なりません。

 第3に、第6項で環境影響評価が終われば、都市計画決定前に世界遺産センターと協議するよう求めていることです。

 第4に、第8,9項目では2010年に計画されている平城遷都1300年記念事業について、「考古学的地下埋蔵物に、あるいは世界遺産資産の景観上の視覚的完全性に、いかなる否定的影響も及ぼさないことを保証すべく、最大限度の注意を日本政府に要請」しています。

 そして第9項で、記念事業の見直しについて08年2月1日までに提出するよう要請していることです。

                                        以上

                       高速道路から世界遺産・平城京を守る会
                                   小井修一(事務局長)
                                   宮崎 洋(事務局次長)





    第31回世界遺産委員会決議
     72.古都奈良の文化財(日本)(C870)

世界遺産リスト登録年:          1998年
登録基準:                  (@)(B)(C)(E)
世界遺産危機リスト:            なし
これまでの世界遺産委員会決議:    28COM15B.64, 30CO7B.67
国際援助:                   なし
ユネスコ特別基金:             なし
これまでの監視団派遣:          なし
これまでの報告書で確認された主たる脅威:
            世界遺産物件に対する高速道路建設の潜在的な否定的影響

 最近の保存問題
 過去数年間、世界遺産センターはNGO「平城京を守る会」から数通の書簡と報告書を受けとりました。「守る会」はその文化財の遺産価値に対して大和北高速道路の与える否定的影響に強い懸念を表明していました。

 日本政府は、2007年1月29日付書簡によって、大和北高速道路の環境影響評価と2010年の遷都1300年祭の祝典計画の情報に関する報告書(プログレス・レポート)を世界遺産センターへ伝達しました。それは、世界遺産委員会が30COM7B.67の決議で提起した諸点に関するものであって、日本政府は次のような情報を伝えてきました。

 現在行われている環境影響評価は、日本政府と大学教授と様々な関連分野の専門家、及び奈良県・京都府の環境影響評価審議会によって設置された3つの独立した委員会の監督の下にあるものです。
 日本政府は、これらの委員会は日本政府から完全に独立したものであると主張しています。これら3つの専門委員会の会議は、公開されており、その議事録はインターネットを含む様々なメディアを通じて周知されています。また世論調査は4,693の個人からの意見聴取と説明会が7回実施されました。さらにこのプロジェクトの確認、公式化、計画立案と実施の過程の全体を通じて、ある段階で雇用されたコンサルタント会社は、その後の段階では雇用されないことになっています。日本政府によれば、これらの規定はこの過程の独立性、客観性、透明性が環境影響表評価を独立したコンサルタントに委ねることによって同じ水準に保たれることを保障するものだとしています。

 現在も引き続き行われている環境影響評価は、10のルート選択肢の検討が主たるものであり、またそれは考古学的遺物と景観の完全性、及び交通渋滞への影響を含む様々な基準を背景に費用便益の観点からなされたものです。
 慎重な評価の後、3つの専門委員会はこれらの選択肢から高速道路に好ましいルート(いわゆる西九条佐保)を選択しました。この地下ルートは世界遺産のコアゾーンとバッファゾーンの外側を通るものであり、かくしてその考古学的かつ視覚的な完全性にいかなる影響も回避するものです。高速道路建設より生じるとされる地下水の変動の問題に関しては、専門家グループによりなされた検討により、変動は数pに限定されるであろう。すなわち季節変動の平均値よりも小であると量定(測定)されました。
 そして、慎重な測量と事前発掘が高速道路のアクセス(斜道)道路に関連した潜在的な考古学的利益に影響を及ぼすことになるエリアでなされることになっています。

 現在、環境影響評価書草案が選定ルートに関して準備されており、また市民と専門家から数々の意見が寄せられています。これらの意見に基づいて、専門家委員会は草案を見直し、最終決定することになります。草案は最終的に都市計画審議会に提出され認可を求められます。いかなる最終決定もそれまでになされることはありません。
 交通渋滞問題に関しては、奈良県は交通管理計画に関する追加的、専門家作業グループを設置しました。 高速道路は奈良の歴史的エリアを通過することによって交通渋滞の解消がはかられようとしていますが、都市中心部への安易なアクセスは、ピーク時には大混雑を招く結果となるかもしれません。このため、日本政府は一連の「パーク&ライド方式」の施設を設置することも考えながら、世界遺産エリアを訪れる人々に公共交通機関を利用するように進めることにしています。

 日本政府はまた、2010年に企画されている遷都1300年祭の概略に関する情報も寄せました。1300年祭は世界遺産コアゾーン内の130数ヘクタールを超える奈良平城宮跡において、数ある場所の中でもとりわけ開催される予定です。ここでは、9つの木造パビリオン、鉄道と都跡通り(ミヤトストリート)横断する2つの高架橋、庭園、県外からの観光客のための食品売店、救急所と洗面所などの施設、そして上記の施設を結ぶ道路網など、いくつかの臨時構造物を設置するよう、現在の計画では予定しています。

 これらのパビリオンは、観光客をひきつけ、日本の遺産と世界遺産一般の紹介をおこない、その保存の必要を訴えることが目的で作られます。
 イベントに責任を持つ奈良県は、建築計画とこれらの一時的な構造物の美化に関する問題を調査する2つの専門委員会を設置しました。構造物は、1300年祭の終了後に撤去されることになっています。

 これら2つの委員会は、数ある見地の中でもとりわけ予定施設の建造に関する主たる保存問題を確証し、また平城宮跡エリアの問題を地表から深さ0.5m〜1.5mの範囲で埋蔵されている未発掘の考古学的遺物へ対するいかなるダメージも最小とし、完全に回避することを意図する一連の立案原則を定義する、技術的報告書を作成しました。一連の測深によって、考古学的遺物の分布と土壌の質と構造は、宮跡エリア全体において場所によって、異なることが証明されてきました。

 地面を掘らないこと、荷重を分散させ土圧を回避すること(宮跡外の)ボーリング調査をしないことなどを諸原則に基づいて奈良県は、一時的な構造物のための詳細な計画を立てることとしています。文化庁は上記の計画と技術的報告書を目下検討中です。

 世界遺産センターは、2007年3月10日付で、「平城京を守る会」から新しい書簡を受け取りました。「守る会」は、日本政府の説明の妥当性について論戦を展開しています。それによると、特にNGO「守る会」は、奈良県都市計画審議会と指名された専門委員会委員は、「日本政府から独立していない」「地下水の変動を測定(定量)した専門家の検討は信頼性に欠ける」と考えています。
 終わりにあたって、NGOはこれから先40年以上にわたり日本では注目すべき人口の減少(それ故に自動車交通の減少)を予測する人口統計学の投影の光のもとに高速道路の必要性そのものに疑問を投げかけています。


第31回世界遺産委員会「決議」(31COM7B.72)(改定後)

世界遺産委員会は
@ 文書WHC−07/31.COM/7B,を検討し、
A 第28回(2004年・蘇州)と第30回(2006年・ヴィリニュス)で採択された決議、28COM15B.64と30COM7B.67をそれぞれ想起し、
B 大和北高速道路の環境影響評価の様式と現在検討中の交通管理計画に関する、日本政府から寄せられた情報に留意し、
C また、高速道路のために選定されたルートが、世界遺産のコアーゾーンの外側とバッファゾーンの周囲に沿って通ることに、満足をもって留意し、
D 高速道路が考古学的に重要な意味を持つエリアの地下水位にいかなる変動をももたらすことなく、貴重な遺物の損失をもたらす結果とならないことを保証するために、環境影響評価の最終提案を準備する過程において、あらゆる人々の現に今ある意見と技術的検討について、極めて慎重に熟考するよう日本政府に要請する。
E 環境影響評価の最終版が決定されたらすぐに、そして奈良県都市計画審議会が最終決定をおこなわないうちに、世界遺産センターと協議をするよう日本政府に要請する。
F 建物の建設を含む、世界遺産コアーゾーン内の平城宮の考古学的エリアを大規模なイベントで使用することは、ぜい弱な地下埋蔵遺物の保全に潜在的なリスクをあたえ、通常は避けるべきであることを熟慮し、
G 2010年に平城宮跡で行われる奈良遷都1300年祝典記念事業を注意深く見直し、考古学的地下埋蔵物に、あるいは世界遺産資産の景観上の視覚的完全性に、いかなる否定的影響も及ぼさないことを保証するべく、最大限度(極限)の注意を払うよう日本政府に要請する。
H 日本政府にたいし、この世界遺産の保全状態に関する報告書を、特に大和北高速道路の環境影響評価及び奈良遷都1300年記念事業計画の見直しについて、2008年2月1日までに提出するよう要請する。それは、2008年の第32回世界遺産委員会で検討するためである。
                                  (訳:「守る会」宮崎 洋)





                                     2007年7月31日
世界遺産センター長
フランチェスコ・バンダリン 様

                  高速道路から世界遺産・平城京を守る会「守る会」
                                    事務局長 小井修一

第31回世界遺産委員会「決議」(「72古都奈良の文化財日本.c.870」「31COM7B.72」)
      の説明と重大な誤認の訂正の要請について

 ニュージーランド・クライストチャーチで開催された第31回世界遺産委員会の成功と、全世界の優れた世界遺産の保存と活用に日夜努力されている、世界遺産センター長、フランチェスコ・バンダリン氏と世界遺産センターの皆さんに心からの敬意を表します。
 私たち、高速道路から世界遺産・平城京を守る会は、世界遺産平城宮直近を通過する、高速道路・京奈和自動車道大和北道路計画について、現計画の地下トンネルによる地下水低下の危険性を7年間にわたり指摘してきました。高速道路のルート計画はバッファゾーンの内側、東端を地下トンネルで通過するものです。
 この高速道路の地下トンネル計画についての「守る会」の懸念は、

@ 地下トンネルの北出入口はバッファゾーン内で4車線にわたって、地下に大きな口を開けることになり、景観上も大問題です。
A バッファゾーン内の地下への出入口は勾配3%、幅約20〜40m(4車線分)、延長150m以上という広大な面積は、ルート決定前の地下埋蔵物の事前発掘調査をしないため、トンネル出入り口工事施行で完全な文化財の破壊地となります。
B 地下トンネルの出入り口は最も影響を与える第1滞水層(地上近く)、第2滞水層を切断しているのに地下トンネル出入口についての地下水低下の調査(シミュレーション)をしていません。また、地下水低下に対する用意周到な対策もありません。
C 地下トンネルによる地下水低下のシミュレーションは40mも地下のトンネルを想定したものです。にもかかわらず、地下水低下は2.5pも低下を予想しています。世界遺産条約・「同指針」の「完全性」を保存する責務に対し、許される数字ではありません。シミュレーションの予想は、10倍100倍にもなる結果も内包しているものです。
D 世界遺産平城宮跡は古代の宮都・平城京の中の平城宮です。この平城京跡の中で地下トンネルは4.5qしかありません、平城京跡の中でトンネルの前後は高架橋です。
新たに発見された(07年6月)平城京の十条通り(九条通りまでとされていた)も入れると約3qも平城京跡に4車線の高架橋が建設されることになり、古都奈良の全体景観は見るも無残なものになります。
E 地下トンネルの出入り口2箇所にそびえる巨大なトンネルの排気塔(8m、30m)は古都奈良の景観を完全に破壊します。
F 新発見の十条域直近に、高速道路ありきで計画されている大商業地域開発計画があり、新発見の平城京跡そのものを破壊する危機に瀕しています。
G 又、環境影響評価では国交省が全ての業務を行うなど、奈良県都市計画審議会が国から独立した組織ではなく、道路建設計画では国の組織の末端であることが新聞で暴露されています。(別紙資料)
H 環境影響評価の中でも地下トンネルの地震に対する検討がまったくされていません。第2次奈良県地震被害想定調査報告書(概要版)によると、奈良盆地東縁断層帯(M7.5)が高速道路計画より東側に南北に並行しておりわずか2qしか離れていません。また、中央構造線断層帯、生駒断層帯、木津川断層帯、大和川断層帯が計画ルートでM6.0が推定されています。日本における近年の地震の活発化に対して、未経験の大深度地下トンネルの安全対策が無視されています。
I 第30回世界遺産委員会の決議に対し、日本政府は真摯に検討せず、おざなりで真に世界遺産を守る報告ではありませんでした。

 以上のことから、今回の第31回世界遺産委員会のドキュメントの「72古都奈良の文化財.日本.C870」及び「31COM7B.72」についての以下の説明と訂正を要請するものです。

@ 「72古都奈良の文化財.日本.C870」の第4パラグラフで、「この地下ルートは世界遺産のコアゾーンとバッファゾーンの外側を通るものであり、かくしてその考古学的かつ、視覚的な完全性にいかなる影響も回避するものです」とありますが、前述の現地NGO「守る会」の見地と大きく正反対に異なり、かつ、バッファゾーンの内側を外側と間違っているのに、世界遺産委員会で訂正がされませんでした。
A 「31COM.7B.72」の第4項は、「・・・世界遺産のコアゾーンとバッファゾーンの外側を通ることを満足を持って留意し」を、「コアゾーンとバッファゾーンの周辺に沿って通ることを満足を持って留意し」に改訂されました。
 しかし、日本語での「周辺」(Periphari)ということばは、内側も外側も含むあいまいさがあり、バッファゾーンの内側(インサイド)と明記すべきものです。
 特に今回、「京都・奈良の都市計画における歴史的地域の保存と開発についての勧告」(1970年・ユネスコ)第16項、「文化財保存の方策は、単に指定または未指定の遺跡及び記念物のみならず、それらの直接周辺地域並びに歴史的地域や田園にまで及ぼすべきである」を思い起こすべきです。世界遺産平城宮跡にはバッファゾーンの外側にハーモニーゾ−ン(歴史的環境調整区域)を設定しており、両ゾーンにおける開発(地下トンネル、排気塔、地価トンネルえの出入り口)は、民間施設の開発を誘発することになるからです。
  世界遺産平城宮跡の地下埋蔵物が今日まで地下水によって保存されてきたのは、その地域周辺が1200年以上も一切の開発がされなかったからです。
B そこで、今回のドキュメントでは、何故このような文章や、あいまいなことばで日本政府が計画する大和北道路計画を認めたような文章を提案したのか、説明を求めるものです。同時に誤った記述は速やかに訂正することが世界遺産を守る側にとって必要です。
C 今回のドキュメントの決議に対する「守る会」の評価は、以上3点を除き、良き評価を行っています。

 最後に、今回、第31回世界遺産委員会にオブザーバー参加し、アジア・太平洋部長、ジョバンニ・ボッカルディ氏にお会いし、6月24日付、貴方宛ての『世界遺産・古都奈良の文化財(平城宮)を破損する恐れがある大和北道路計画の即時中止の勧告を要請します』を手渡したのは、前述の「守る会」の懸念に対し、未だに検討や対策をなおざりにしたまま、環境影響評価を今秋に終え、大和北道路計画を08年3月までに国や県が都市計画決定をすると発表しているからです。
 私たち「守る会」の懸念が払拭されない限り、世界遺産平城宮跡をはじめとする「古都奈良の文化財」を守ることはできません。このままでは世界に類を見ない古代宮都の埋蔵文化財は、開発を主とする高速道路によって破損・破壊され危機遺産となることが目に見えています。
 「守る会」はなんとしても世界遺産・古都奈良の文化財が危機遺産となることを回避するために、今後も引き続いて奮闘することを約束するものです。
                                           以上