<目次>

平城宮について
   2002.3.31

木簡、遺物、遺構
   2002.3.31

世界遺産に登録 
   2002.3.31   

京奈和自動車道

都計審等へ要請
       2008.2.19


おもてなしの心
      2006.5.3
1



問題だらけの環境影
響評価「方法書」に対
する知事意見
       2005.6.16

「守る会」が国道24号線奈良市内の渋滞調査
     2005.6.16




不確定な予測で
地下トンネル建設を
決定してはならない
    2002.5.25

あなたの力を
    貸して!

最近の動き
文化財検討委員会の提言についての声明
  2002.8.31

お知らせ 
  2002.6.7


資料 
 シンポの意義
        2002.4


 高速道路 2002.6

 地質について 2002.6

 歴史の証人 2002.6

 大気汚染 2002.6

みんなの広場

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      2月末に行われる予定の都計決定に際し
    
国交省などに対し要請


 守る会は1月30日、 国土交通大臣、奈良県知事、奈良県都市計画審議会・各委員に対し、2月28日に開催される都市計画審議会における大和北道路の計画=を決定しないよう、下記の要請を行いました。



                                           2008年1月30日
国土交通大臣   冬柴鐵三 殿
奈良県知事     荒井正吾 殿
奈良県都市計画審議会 各委員

  高速道路・大和北道路の都市計画決定に関する要請

 高速道路から世界遺産・平城京を守る会(「守る会」)は、世界遺産平城京直近を通過する高速道路・京奈和自動車道大和北道路について、現計画の地下トンネル建設が及ぼす影響を7年間にわたり指摘してきました。高速道路のルート計画は世界遺産平城京のバッファゾーン内東端を地下トンネルで通過するものです。
 この高速道路の地下トンネル計画についての「守る会」の主な懸念は以下の通りです。

@ 地下トンネル出入り口付近の歴史的景観について
 地下トンネルの北出入口(京都側)は、直径13.5mのトンネル2つが並行し、幅約50m長さ約170mにわたるコンクリート構造物です。そして地下トンネルの出入り口2カ所にはトンネルの排気塔(北側8m、南側30m)がそびえます。南側の地下トンネルへの出入り口も同様です。これらは、景観を完全に破壊する恐れがあります。緑色のペンキを塗ったとしても、古都保存法による歴史的風土特別保存地区内、そして世界遺産のバッファゾーン内でもあり、景観上許される範囲のものではありません。さらにトンネルの前後は高架橋です。あたらに発見された平城京の十条も入れると約3qもの間、平城京跡に4車線の高架橋が建設されることになり、歴史的景観が破壊されることになります。
 しかし、奈良県が行った環境影響評価の中では、トンネル出入り口付近の構造物による景観破壊の論議はされませんでした。

A 地下水位低下への対策について
 日本の地層は世界でも数少ない、砂・砂利・粘土による互層であるため地下水が極めて豊富であり、地下水脈があらゆるところで形成されています。その地下水位の低下が及ぼす弊害の一つとして地下埋蔵物への影響が挙げられます。木簡などに代表される地下埋蔵物は、地下水が存在してこそ土中に保存されているのです。特に地下トンネルの出入り口は、過去に多数の木簡が出土した地点に近く、今後においても多数の木簡の出土が見込まれる場所です。地下水位の低下は、平城宮・京跡に埋蔵されている地下埋蔵物の腐食・消滅を招く恐れがあります。
 地下トンネルの出入り口は、最も影響を与える第1帯水層(地上近く)、第2帯水層を切断しているのに地下トンネル出入り口についての地下水位低下の調査(シミュレーション等)が行われていません。また、地下水低下への対策も検討されませんでした。地下トンネルによる地下水低下のシミュレーションは、地下40mのトンネルを想定したものであり、2.5cmもの地下水位低下を予想しています。これは、世界遺産条約・「同作業指針」の完全性を保存する責務に鑑みれば、許容できるものではありません。加えて、実際の地下水位低下はシミュレーションによる予想をはるかに超える可能性を内包しているのです。

B 環境影響評価について
 環境影響評価の中でも地下トンネルの災害に対する検討が全く行われていません。第2次奈良県地震被害想定調査報告書(概要版)によると、奈良盆地東縁断層帯(M7.5の地震が想定される)が高速道路計画予定ルートより東に位置し、南北に並行しており、わずか2kmしか離れていません。また、予定ルート周辺には中央構造線断層帯、生駒断層帯、木津川断層帯、大和川断層帯も存在し、M6.0の地震が想定されています。近年日本において地震が活発化する傾向があるにも関わらず、地下トンネルへの安全対策が無視されています。交通事故への対策も同様です。トンネルは全長5q以下であるので火薬やガソリンなどの危険物を載せた車が通行出来ます(道路法、施工規則第4条9項)。交通事故が起きた場合の危険物の爆発・火災によるトンネルの崩壊や地下水への影響も心配されます。
 しかし、交通事故による危険物の爆発・火災によるトンネルの崩壊や地下水への影響は論議されませんでした。
 次に、環境影響評価の主体に目を向けると、国交省が環境影響評価における全てのコンサル業務を行うなど、奈良県都市計画審議会が国から独立した組織ではなく、道路建設計画においては国の末端組織であることが新聞で報道されています。(別紙資料-1)これでは県独自の環境影響評価審議での意見や修正などが、道路計画に反映されず国の意図通りの計画になり、チェックや修正が出来ません。

C 高速道路建設の期間と建設費について
 奈良県は環境影響評価審議会で、大和北道路12.4kmの建設費は約3100億円と明らかにしました。そして大和北道路の完成は工事着工後20年を要するという国土交通省の見解を、新聞が報道しています。
 ところが、国土交通省の「大和北道路有識者委員会」(高速道路のルート推奨の委員会、02年9月〜03年10月)の審議の中での各ルート比較で、斉藤委員長は、「西側ルート@は、西九条佐保線地下+高架ルート(E推奨ルート)と比較し、建設費用は約1/2(約1650億円)になるが、移転民家が約800戸にもなり、移転期間だけで約10年かかるので、断念した」と説明し、「西九条佐保線地下+高架ルート」の工事期間は明らかにしませんでした。
 重要なのは、現在のルート建設が約20年も必要であれば、建設費が3100億円の1/2で出来る西側ルート@は、住宅の移転に10年かかったとしても、20年で西側ルート@も十分建設可能であり、道路建設費用が半分で済むことです。西側ルートであれば建設費用の半額という大きなメリットがあると同時に、地下トンネル建設による地下水低下の恐れも無いこと、そして、景観破壊も免れるなど、どうみてもデメリットの少ないことは明白です。
 しかし、国の有識者委員会や県の環境影響評価審議においては、このような重大なことが論議されませんでした。

D 第30回世界遺産委員会の決議への日本政府の対応について
 第30回世界遺産委員会の決議に対する日本政府の報告は不誠実であり、本当の意味で世界遺産を守る報告ではありませんでした。特に費用便益計算についての報告は、計算の根拠も明かにせず、奈良県議会における議員の質問にも答えようとしませんでした。
 
 以上、事業主体である国土交通省と奈良県は、世界遺産平城宮跡を守る立場が欠けていると指摘せざるを得ません。したがって世界遺産平城宮・京跡を守るために、世界遺産バッファゾーン内に計画された京奈和自動車道大和北道路建設の都市計画決定をされないよう要請します。
                                 以上


               高速道路から世界遺産・平城京を守る会「守る会」
                                    日本考古学協会
                                   歴史教育者協議会
                                     日本史研究会
                               文化財保存全国協議会
                               関西文化財保存協議会
                                  京都民科歴史部会
                                    奈良歴史研究会
                            奈良文化財保存連絡協議会
                              奈良県歴史教育者協議会
                            古都奈良市民共同フォーラム
                           奈良世界遺産市民ネットワーク
                           新建築家技術者集団奈良支部
                                 奈良合同法律事務所
                                   やまと法律事務所
                              奈良県宗教者平和協議会
                                      個人会員一同