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<目次> 平城宮について 世界遺産に登録 京奈和自動車道 最近の動き 2002.6.7 資料 シンポの意義 2002.4 高速道路 2002.6 地質について 2002.6 歴史の証人 2002.6 大気汚染 2002.6 |
京奈和高速自動車道路を平城京跡を通さないよう、見直しを要請することになりました。 要請書の全文は下記の通りです。 2009年11月 日 国土交通大臣 前原 誠司 殿 国土交通副大臣 馬淵 澄夫 殿 国土交通副大臣 辻元 清美 殿 国交省奈良国道事務所長 八尾光洋 殿 奈良県知事 荒井正吾 殿 奈良市長 仲川元庸 殿 高速道路から世界遺産・平城京を守る会 事務局長 小井 修一 要 請 書 世界遺産「古都奈良の文化財」を守るために、京奈和自動車道・大和北道路(高速道路、08年3月18日、都市計画決定)を平城京跡に通さないよう見直しを行うことを要請します。平城京跡を通さないことによって、世界遺産「古都奈良の文化財」が守られ、約1600〜3100億円の建設費の節約が可能です。大和北道路の都市計画決定を見直すよう要請します。その理由は以下の通りです。 京奈和自動車道は、京都〜奈良〜和歌山を結ぶ延長約120kmの、高規格幹線道路(14,000km高速道路)で、関西大環状道路を構成する自動車専用道路です。 この高速道路が一般国道24号との名称であるのは、国民の税金で一般国道として建設されるからです。 一般国道24号京奈和自動車道(奈良県内)の現況
問題点@ 「大和北道路12.4kmで3,100億円、完成は20年先」 大和北道路は世界遺産「古都奈良の文化財」のど真ん中を通るため、景観上問題ありと平地に地下トンネルとして地下50mを通行させるものです。従ってトンネルを2つ並行して建設(計4車線)するため、12.4kmで3,100億円と国交省が試算しています。また、多額の予算を必要とするため年に200億円の予算を確保しても15年もかかり、文化財調査や用地買収のため、完成は20年先と国交省が新聞発表しています。少子高齢化の今日、20年先には奈良県の人口は17%減少し、交通量も約20%近く減ると予想されています(09年8月、奈良県の将来交通量推計)、このような予想のもとでは高速道路の必要性も疑問です。 問題点A 「例えば、世界遺産迂回のルートは半額の1600億円」 国交省の「大和北道路有識者委員会」ではルート計画にあたり10ルートを検討していますが、特に世界遺産群より西寄りのルートは「民家の移築に約10年もかかりとても長くて採用できない。しかし費用は本命の約半額で済む(地下トンネルがなくなるので)」と委員長が委員会で説明しています。 その後、国交省の高速道路完成予定は20年先という発表があり、委員会で懸念事項とされた民家移築に要する期間の問題は、建設期間内に収まる事になります。このことによって1600億円が無駄にならずに済み、県民負担も約3割480億円も負担しなくてよいことになります。 問題点B 「地下トンネル建設で地下水位低下あれば、世界遺産の木簡等が全滅」 大和北道路は、京都府界から西名阪道路までの12.4km区間で、世界遺産平城宮跡のわずか600mしか離れていないバッファゾーン内を地下トンネルで通過します。トンネル建設で地下水が2mも下がれば木簡等、地下水によって保たれている有機質地下埋蔵物が全滅します。 この懸念に対し国交省は、コンピューターによるシミュレーションで「わずか2cmほどしか下がらない」と予測し、地下水低下は無いとしています。しかし山岳トンネルでも、地下水の現状を調査し、水位低下の影響が少ないから大丈夫といって施工すると、遠い所の井戸も涸れ、トンネル近くの井戸も全滅したという事例は後を絶ちません。近くは、圏央道八王子ジャンクションのトンネル建設により華厳の滝が枯れています。生駒山の第2阪奈トンネルでも地下水位が10m以上低下し、井戸水による畑耕作が出来なくなりました。 世界遺産都市奈良のど真ん中に高速道路を建設するにあたって、地上高架橋方式を採用することは景観上決して容認できません。同時に地下トンネル方式も先述のように地下水位低下と埋蔵文化財保護の観点よりこれも容認できません。また、再三要望申し上げているように、ウワナベ古墳東側のトンネル開口部は世界遺産「古都奈良の文化財」のバッファーゾーン内であり、ルート設定そのものが認められません。ここはもともと高速道路を通過させてはならないエリアなのです。 問題点C 「京奈和自動車道は不必要な関西大環状道路です 」 高速道路から世界遺産「古都奈良の文化財」を守るために、私たちはユネスコ・世界遺産委員会に高速道路の建設を認めないよう要請しました。 世界遺産委員会が日本政府に高速道路建設の報告を求めたことにたいし、日本政府は高速道路大和北道路の建設目的を「奈良市内の渋滞を緩和するため」と報告しています。しかし、実際は奈良県や国土交通省がパンフやビラで正式に宣伝しているように、高速道路建設の目的が関西大環状道路という「大開発道路」です。これは世界遺産条約や同指針等によって、新たな人為的な計画により、世界遺産が破壊・損傷することを厳に禁じられていることに反する行為であり、これに対して、「開発優先ではなく生活上やむなく計画しているもの」と報告することは虚偽報告と言わざるを得ません。 さて、こうした関西大環状道路計画ありきで建設を行うため、奈良県のように交通量1日あたり3万台未満のところは高速道路が2車線もあれば十分なのに、不必要な4車線が確保されています。またこのような大環状道路には明確な経済効果も期待できず、奈良市や奈良県にとっては通過道路に過ぎません。 このように世界遺産や古都の景観を破壊してまで高速道路をつくる理由はありません。 問題点D 「慢性的な渋滞の解消」は真実か? 京奈和道路建設の目的として、現国道24号(奈良市内4車線、24h交通量6万台)の慢性的な渋滞解消が上げられています。日本政府もユネスコの世界遺産委員会に「京奈和高速道路は国道24号線の交通渋滞を緩和し交通事故を少なくするために計画された」と報告していますが、住民団体の交差点の調査では、朝夕の通勤時でも信号をほぼ1回でクリーヤーしており、慢性的な交通渋滞は存在しないことが明らかになっています(添付資料−1)。ここに京奈和高速道路はその建設理由の柱を失う事になると言えます。 問題点E 「PI導入のありかたについて」 P I(パブリック・インボルメント)とは「住民参加=公共事業を進める過程で、地域住民ら関係者から幅広く意見を聞き、計画に反映させていく仕組みをいう」と説明されています。実際、全国で初めて行われた東京外郭環状道路のPI導入では、まず「有識者委員会」が作られ、P Iの進め方を決め、事業者と住民が話し合う場としての「P I協議会」の設置を提案しました。これに反対組織や、自治会代表など住民代表も参加、国・都と月2回のペースで全会一致制のルールをもとに現在も協議されています。そして、都市計画決定済みの道路計画についても、道路の必要性など根本部分より「協議」されています。 しかし奈良では、国交省はPIプロセスの導入として、まず6名の「大和北道路有識者委員会」(02年9月〜03年10月、大和北道路延長12.4kmのルートを国土交通省に推奨する任務)を設置しました。この有識者委員会は02年9月に第1回会議が開かれ、そこで提案された規約第1条では「公正・中立な立場」を明記しています。また、第3条で委員会は、「その目的に照らし、特定の行政機関及び特定の利害関係者等の利害を代表しない公正中立な立場の有識者をもって構成し、・・・」と規約を決定いたしました(添付資料−2)。 これに対し、国交省は、この第3条に違反して傘下の「近畿地方交通審議会の委員」を委員長に任命しました。他の有識者委員も地下トンネル賛成者や、国交省に関連を有する委員が大勢を占め、大和北道路有識者委員会の公正・中立性に大いに疑問がもたれます。 しかも、委員長自らが、02年9月の第1回会議の場において「PIプロセスとは何か。初めてのことなので・・・」という発言を行うなど、職務遂行能力に疑問を呈せざるを得ない状況でした。 結果、「有識者委員会」が実施したのは、 ・シンポジウムの開催 1回354名参加 ・キャンペーン(説明会)の開催 3会場158名参加 ・ 訪問アンケートの実施 5400名に訪問 ・有識者ヒアリングの実施 9分野15名(有識者委員会が指名し、反対意見は内ひとりであった) ・公聴会の実施 14名が意見発表(一人10分、同意見の場合は削除) ・自治会等インタビューの実施 22名に意見聴取(有識者委員会の指名) ・住民に対する高速道路ありきの360万枚の新聞折り込みビラ(6号まで発行)やパンフレットの大量発行など 以上がP I導入で「住民や住民団体と十分協議した」として第32回世界遺産委員会に日本政府が報告した項目(カッコ内は筆者記す)です。しかしこれらは今日、おざなりの各「審議会」でも一般的に行われている手法、形式に過ぎないものです。また、世界遺産を守る市民団体や学術団体からの意見聴取や意見交換の場設定要望についても、ついに具体化されませんでした。 問題点F 「委員会に高速道路のルート決定を委ねたことについて」 国交省は有識者委員の公募をせず、高速道路の建設に賛成する6人を委員に任命し、この委員会に「ルートの推奨」という言葉で高速道路のルートを事実上決定する行政権まで有識者委員会に与えたのです。これは前代未聞のことであり、きわめて異質なことといえます。 問題点G 「有識者委員のかけもちに関する疑問」 大和北道路有識者委員会の委員は公正・中立的な委員を選ぶと規約まで決めながら、有識者委員会の委員長に国土交通省近畿地方整備局の運輸委員(近畿大学商経学部経済学科教授、斉藤峻彦氏)を国交省が任命しました。さらにこの委員長が奈良県の京奈和自動車道(大和北道路)環境影響評価検討専門部会の部会長を務め、且つ、奈良県の都市計画審議会の会長も引き受けています。 このことは、大和北道路有識者委員会で高速道路のルートを決める責任者(委員長)となり、その環境影響評価の具体的審議を行なう責任者(部会長)となり、同時に道路全体の適否を決める(都市計画審議会の)総責任者をも兼任することになり、委員会の決定事項そのものに疑問を抱かせるものです。 この事実を受け、06年のリトアニアで開催された第30回世界遺産委員会は「決議」として下記の3点を要請しました。 @ 「環境アセスを独立したコンサルタントに委ねること」を日本政府に要請。 A さらに、日本政府に「環境アセスにおいては、高速道路ルートの代替案の検討と、コスト分析を含むことを保証すること、および、示唆される選択肢が、必要な緩和手段を講じることにより、奈良の世界遺産に対する潜在的影響を最小のものとなることの立証を要請」 B そして、「環境アセスの結果とその作業のプロセスを説明する報告書を、07年2月1日までに世界遺産センターに提出するよう」要請 この決議に対し、日本政府は未だに正式な回答を寄せていません。 問題点H 「地下の状態がわからないと地下水検討委員長」 2000年2月1日、大和北道路有識者委員会主催のシンポジウムにおいて、地下水検討委員会委員長、大西有三氏(京都大学大学院教授)は、 「その前に必要なのは、現状をきちっと把握するということだと思うんです。残念ながら、いろんな制約で非常に重要なところ(平城宮跡)の地下の状態がわからない。ボーリングを1本掘らして下さいといっても多分そんな所は、ダメだと拒否されますし、例えば、皆さん方の健康診断をやる場合、少しサンプルを取って調べようということに対して、そんなことはやらずに何も触らずに見ろ。昔の天皇陛下みたいなもんです。御駆体に触ったらいかんという。そんなことがありますので、できれば現状を何とか把握したい。これが大事ではないかと思います。地下水に関しても先ほど申しましたように、ずっと調べているという点はあるのですが、過去のデータが欠落していたり、場合によってはうまく計れていないという所もございますので、これから工事をもしやるとしても、少し時間がありますから、それまでにどう地下水が変動しているか、どういう影響で、本当に雨が少ないときに地下水が低下しているのかということをもっと信頼できるデータをためていく必要があると思います。」 と発言しています。つまり、国交省がトンネル工法推進の根拠としている地下水変動数値「地下トンネルが地下水に与える影響は2cm程度(下がる)」が、非常に根拠薄弱なものであることが窺えます。 問題点I 「高速道路建設で観光客は増え、地域経済が潤うのか」 国交省の大和北道路有識者委員会(03.3.28)のヒアリング(意見聴取)で奈良県立大学地域創造学部助教授の新納克廣氏は、奈良市に必要な交通政策として、「新設道路建設は車を呼び込むおそれあり、観光客が望む公共交通機関は、バスではなく鉄道であり、パークアンドバスライドも観光客にアピールしない」と述べています。また、「奈良市内の観光にとって高速道路による大きな効果を期待しない方がよい。(高速道路は)奈良県中南部により大きい効果があると認識すべきであろう」とも述べています。 そして、同年5月16日のヒアリングで奈良県バス協会の国友正道氏は高速道路建設で「奈良市内への移動を目的とする交通量が増大し、市内での交通渋滞の発生が懸念される」と述べ、その対策としてパークアンドバスライド等の要望をしています。 指摘したとおり、高速道路建設で奈良市内が渋滞解消どころか、観光ピーク時には大渋滞が起こることを観光バス担当者や大学の関係者が予見しており、渋滞にへきえきし、リピータ(繰り返し奈良に来る人)が増えないことを明らかにしています。何よりも奈良市内の道路が狭いことと駐車場ができず、車の受け入れ態勢がないからです。高速道路建設で観光客は計算通り増えず、観光シーズンの土・日曜日のみ現状よりさらに奈良市内は大混雑するだけと予見されています。 問題点J 「奈良県に高速道路が必要でしょうか」 以上の様に国連のユネスコ・世界遺産委員会や奈良県民にウソのデーターで高速道路の必要性を宣伝し、世界遺産都市奈良のど真ん中に高速道路を通そうと、08年3月18日、都市計画決定をしました。 しかし、08年12月に国交省は世論の追及により将来交通量推計の修正を発表、全国平均13%もの過大計算を認めました。これを受けて奈良県も09年8月に奈良県の将来交通量推計を公表しました。それによると、2005年を基準として25年後の2030年には高齢化率35%、県の人口は17%減、交通量も約20%近く減になっています。奈良県はこの結果を受けて都市計画道路や広域幹線道路計画の見直しを検討しています。 当然、京名和自動車道も交通量減にともない費用対効果の再検討が行われるべきです。 奈良県を南北に走る国道24号は本当に渋滞し、4車線の高速道路を必要としているのでしょうか、先ず別図表をみてください、現道4車線の奈良市や大和郡山市では6万4千台から4万1千台です。2車線道路の田原本町では2万9千台、御所市や五条市(高速道路供用中)ではわずか2万1千から2万4千台しかありません。これからさらに約20%も交通量が20年後に減るのです。 20年後の現道4車線の奈良市や大和郡山市では5万2千台から3万3千台です。2車線道路の田原本町では2万3千台、御所市や五條市(高速道路供用中)ではわずか1万7千台から1万9千台しかありません。 これでも高速道路は必要でしょうか。 今、必要なのは歴史に残る比類なき世界遺産・文化遺産を守り、子供や孫たちに手渡し、多額の費用をかけた大型公共物を不良資産として子や孫たちに手渡さないよう、再検討することが求められていると考えます。 重ねて、大和北道路を平城宮跡に通さないよう要請します。 以上 1.奈良県の将来交通量推計の結果資料 (奈良県のホームページより) 1) 将来発生集中交通量の推計結果 高齢化率が高く、さらに出生率が低いことなどから大幅に本県の将来人口が減少すると推計されているため、本県の発生集中交通量は全国に比べて大きく減少すると推計されている。
出典:国立社会保障・人口問題研究所「将来人口推計データベース」、新たな将来OD表(国土交通省提供資料)より作成 2) 将来交通量の推計結果 奈良県における将来交通量推計については、学識経験者等からなる「奈良県将来道路ネットワーク検討委員会」を設け、専門的見地からご審議いただいた。その結果、本県の将来交通量は1日あたり約1500万台キロになると推計され、現況の約1800万台キロに比べて約2割弱減少すると推計された。 |
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