<目次>

平城宮について
  2002.3.31
木簡、遺物、遺構
   2002.3.31

世界遺産に登録 
   2002.3.31

京奈和自動車道

有識者委・公聴会発言   2003.6.9

北大和道路推奨案の白紙撤回を求める声明   2003.11.15

「PIプロセス」の実態
   2003.11.15

あなたの力を
貸して!

 最近の動き
 世界遺産委員会要請団員募集中
      2006.4.23

近鉄架設駅付近
    ウオッチング
      2006.4.9

ルートウオッチング      2005.10.10&16

第28回ユネスコ決議

原案VS修正案  NEW

 ユネスコへの2.1報告書(国交省)の問題点
      2004.5.1

第6回「守ろう平城宮(京)の集い」開かれる
 2004.4.20 


集会アピール
       2004.4.2
3

 有識者委員会への
    
申し入れ
       2003.6.9


有識者委員会のPIと
 英国のPIを比較する
       2003.2.28

 有識者委主催
   シンポ開かれる
       2003.2.16
   

文化財検討委員会提言 についての声明
     2002.11.21


資料 
 シンポの意義 2002.4

 高速道路 2002.6

 地質について 2002.6

 木簡・歴史の証人           2002.6

 
大気汚染 2002.6.15

みんなの広場

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      第30回世界遺産委員会 要請団員募集中

    国土交通省は、世界遺産都市・奈良市の市街地・ど真ん中、世界遺産エリアを地下トンネ
  ルと高架で強行する案を発表しました。
    世界遺産「古都奈良の文化財」を危機リストに陥れかねない暴挙案です。リトアニアで開か
  れる第30回世界遺産委員会リトアニア会議に私達の願いを届ける旅を計画しました。
    世界遺産委員会への要請行動、日本のシンドラー・杉原千畝氏がユダヤ人6000人に命
  のビザを発行した記念の場、リトアニアの世界遺産・ヴィリニュス歴史地区、ロシアの世界遺
  産サンクトペテルブルグ、エルミタージュ美術館などを訪れます。費用は37万円。申込は5月
  15日まで。   
    申込み・問い合わせは0742−48−1108 浜田博生氏まで
  



    京奈和トンネルルート&遷都1300年祭架設駅予定地ウオッチング

    平城京を守る会のメンバーは京奈和・トンネル、遷都1300年祭架設駅予定地が歴史的
    にはどういう意味のある場所なのかをウオッチングしました。    
               
     平城京三条二坊大路をウオッチング。初めに奈良市役所平城京復元模型と照らし合わせ
     ながらしっかり説明を受け、長屋王邸宅跡→光明皇后宮跡(近鉄架設駅予定地?)→宮
     跡庭園→田村第→佐保川堤防まで歩きました。
     遷都1300年祭で検討されている近鉄架設駅候補地は光明皇后宮跡地。大仏さん建立
     の様々な決定はこの場所から発せられました。    
   
                     


                ルート予定地ウオッチングパート2

     2005.10.13&16日、東三坊大路を歩きました。前回はルートのトンネル入り口予定
     地から大宮駅を、今回は大宮駅に集合し九条通りまで、続きを歩きました。
     ルート予定地は正に宝の宝庫です。三坊大路・堀川は木簡が沢山出土する場所ですが、
     未だ発掘調査は済んでいないのです。トンネルの出口が予想される場所は一体どうなる
     のか…。研究者でなくてもとても気になるところです。

     西堀川(現在の秋篠川)を歩くと銘打って近鉄九条駅から平城京・朱雀門まで歩きました。
     9条駅に集合し、奈良時代の西の市場跡や西堀川の船着き場などを教えて頂きながら
     朱雀大路に沿って朱雀門まで歩きました。朱雀大路は両端にあった水路がそのまま窯
     業用水路に使われているなど、奈良に都があった頃をしのびました。

 
   小雨の中予定通りルート予定コースをウオッチングしました。JR平城駅に雨の中集合した
    強者は15人、社会福祉センターの屋上から木津インターまで延びている京奈和高速自動車
    道のインターチェンジ等現状と推奨案ルートをまず確認。続いて世界遺産バッファゾーンになっ
    ている佐紀盾列古墳群を南下。ウワナベ古墳から平城天皇ゆかりの不退寺を学んで桜の新名
    所・佐保川添いの散策路で桜を愛でて近鉄新大宮駅まで、約6キロを歩きました。


 
訪中団26名はカウンターレポート140冊を委員会参加者に配布し、去年より一段とつっこんだ決議を引き出すことに成功しました。
 第28回世界遺産委員会にて採択された平城京に関する決議文及び、原案と修正された決議の対比を以下に掲載します。
 世界遺産委員会は守る会の主張を全面的に取り入れた、勧告よりも重い決議案を出してくれましたが、残念ながら日本政府からの修正動議でトーンダウンされてしまいしまた。日本政府の修正動議提出は、はからずも政府がトンネルに固執していることを吐露しているとも受け取れます。
日本国民として非常に恥ずかしい思いです。


   64.古都奈良の文化財(日本)(C870)             

   世界遺産登録年        1998
   過去の国際援助        なし
   過去のビューロー/委員会討議 27COM7B.49

 保存問題
 2003年の27会期において、世界遺産委員会は日本政府が遺産の真実性と完全性を確保する努力を続けるよう奨励した。それは1998年の登録以来はじめての遺産の保全状態の検討を終えた後になされたものである。世界遺産委員会は関係当局が地域住民にたいして政策決定のプロセスを周知させる努力を続けるよう提案した。また世界遺産委員会は高速道路建設に関する政策決定のプロセスと最終決定に関する報告書を提出するよう要請した。それは世界遺産委員会が28会期において遺産の保全状態の検討を行うためである。

  2004年2月に日本政府から提出された報告書によれば、日本当局は“大和北道路有識者委員会”を設置した。この委員会は法律、文化財、交通工学、環境と景観、交通経済学、計画プロセスの専門家によって構成され、“京奈和高速道路”の一部をなす大和北道路に関する政策を検討するためのものである。2003年10月、有識者委員会は推奨案を提案した。推奨案は高速道路建設のための新しいルートを含むものである。道路建設の影響、埋蔵文化財、古都奈良の文化財に対する影響についての総合的な評価の結果、有識者委員会は高速道路建設のために特定の地域を推奨した。高速道路の一部を地下構造で建設する提案がなされ、二つのルートが主として選択された。さらに総合的な評価をしたのちに、有識者委員会は“平城宮跡”から妥当な距離をおいた望ましい選択として、最終的に一つのルートを選択した。

  2004年2月の報告書の中で、日本政府はそのルート・構造案を検討し有識者委員会の提案に対して慎重な考慮をすると述べている。環境アセスメントの結果もまた地域住民の意見を考慮すると述べている。

 決議案:28COM15B.64          

世界遺産委員会は、
1.日本政府が、京奈和自動車道建設によって世界遺産価値にあたえられる潜在的な否定的および取り返しのつかない影響を検討する新たな努力を行ったことに注目し、

2.日本政府が,遺産の真実性と完全性を保全する努力を続けるよう奨励する。

3.日本政府が、自動車道建設の期間を通じて、地下水位に与える影響が世界遺産価値の保全のために最小限に保たれることを確保する技術的解決策を建議する努力を続けるよう提案する。

4.関係当局が、地域社会(住民)に、政策決定のプロセスを知らせる努力を続けるよう要請する。




 委員会原文及び日本政府の修正動議による修正原文

 決議案原文

3.Suggest that the Government of Japan continue making efforts to propose a technical solution to ensure that there will be no effect on the groundwater level during the construction process.

3.日本政府が、自動車道建設のプロセスを通じて、地下水位に影響を与えないことを確保する技術的解決策を建議する努力を続けるよう提案する。


日本政府の動議による修正原文

3.Suggest that the Government of Japan continue making efforts to propose a technical solution to ensure that the impact on the groundwater level during the construction will be kept to a minimum so as to conserve World Heritage values of the property.

 

3.日本政府が、自動車道建設の期間を通じて、地下水位に与える影響が世界遺産価値の保全のために最小限に保たれることを確保する技術的解決策を建議する努力を続けるよう提案する。

 




  ユネスコへの2.1報告書(国交省)の問題点

 03年6月28日〜7月5日にフランスのユネスコ本部で開かれた第27回世界遺産委員会は、世界遺産平城宮跡に係る高速道路建設の「政策決定過程と自動車道建設に関する最終決定について」、日本政府に04年2月1日迄に報告するよう求めていました。これに対し、国土交通省は2月2日付で、ユネスコ宛に送付した「日本政府の報告書」を公開しました。
 しかし、その内容は、第27回世界遺産委員会に報告された文書に、新たに「大和北道路有識者委員会」の「提言」を附加したに過ぎないものでした。しかも、最後の検討委員会である「有識者委員会」のルート・構造案提言後の「報告書」にもかかわらず、「・・・当該道路を整備しない案も含めて幅広くルート・構造などを比較・検討しているところであり、貴重な文化財の保存と調和のとれた計画の具体化に努めていくこととしている」と、これからもさらにルート・構造案を検討していくと報告しています。

 報告書はいろいろ書いていますが、結局、世界遺産都市奈良・平城京のど真ん中を地下トンネルと高架橋で高速道路を通すことにほかなりません。私たちはこの計画を許すことはできません。

問題点の第一は、奈良市が世界遺産などの点在するたんなる街でなく、世界遺産都市だということです。世界遺産の追加登録を考えればなおさらです。奈良市はもともと、法律で「国際文化観光都市」と定められています。

 大和北道路は、世界遺産都市の重要な役割を果たす平城京のど真ん中を地下トンネル二つ(4車線)と高架橋で通すというのです。
  まさに、世界遺産都市奈良・平城京の破壊となること必至です。 
   政府は、平城宮跡について「遺跡が脆弱な土と木で構成されているため、その保存には特に留意し,長期間にわたる、試験研究及び調査研究に基づいた遺跡の保存整備が行われている」(「世界遺産・古都奈良の文化財」)と認め、国民的な世論と運動もあって、大和北道路を通さないとしました。しかし、今回の大和北道路計画が強行されるなら、平城宮跡にも致命的な影響は避けられません。

 世界遺産条約は、世界遺産を大規模な公共事業や急激な都市開発事業などから厳しく守ることを定めていますが、これにもまさに違反するものです。

問題点の第二は、地下トンネルを建設しても、水位は最大2cmしか下がらない(だから世界遺産平城宮跡の木簡などに影響が無い)と報告しています。しかし、「地下水検討委員会」の提言は、奥西一夫国土問題研究会理事長(京都大学名誉教授)らによって「いくらコンピューターを使っても、ボーリングデータ−の数は少なく、信頼性がない、ずさんな提言」と論破されているものです。

 大西有三地下水検討委員長が03年2月10日、「有識者委員会」主催のシンポジウムで行った、次の発言はその何よりの証明です。

 大西有三:最も簡単な灌漑水路を作るか、或いは人工的に降雨を降らせるとか、そういうのはいろんな実験装置でやられてますが、その前に必要なのは、現状をきちっと把握するということだと思うんです。残念ながら、いろんな制約で非常に重要なところの地下の状態が分からない。ボーリングを1本掘らして下さいといっても多分そんな所は、駄目だと拒否されますし、例えば、皆さん方の健康診断をやる場合、少しサンプルを取って調べようということに対して、そんなことはやらずに何も触らずに見ろ。昔の天皇陛下みたいなもんです。御駆体に触ったらいかんという。そんなことがありますので、できれば現状を何とか把握したい。これが大事ではないかと思います。地下水に関しても先ほど申しましたように、ずっと調べているという点はあるのですが、過去のデータが欠落しておったり、場合によってはうまく計れてないという所もございますので、これから工事をもしやるとしても、少し時間がありますから、それまでにどういう地下水が変動しているか、どういう影響で、本当に雨が少ないときに地下水が低下しているのかということをきちっと信頼できるデータをためていく必要があると思います。それに対して、地下水が本当にそれだけであれば、先ほど言いましたように、涵養の方法とか周辺に池を配置するとか、人工的に雨というか、何らかの方法で水を引いてきて、雨を降らせるようにするとか、一挙に沢山降らせると地表に流れてしまいますので、その辺の兼ね合いは、何らかの地盤調査をした上でやる、ということが重要なことではないかと思っております。

問題点の第三は、報告書がもっとも多くのスペースを割いている、高速道路建設の目的を国道24号の混雑緩和と、生活道路の他府県より9倍も多い交通事故防止の2点をあげていることです。いづれも事実と異なります。

 国道24号の交通渋滞について、国交省、「有識者委員会」は「国道24号の交通渋滞は、平日も休日も深刻です」とビラ等で宣伝し、慢性的渋滞のように表現していますが、渋滞は朝夕の通勤ラッシュ時と土、日の観光シーズン及び郊外への買物によるものであり、これはどこの都市内や観光地でも起きている現象で、日常的、慢性的に起きているものではありません。

 通勤時の渋滞が多いといわれる奈良市内の国道24号区間の高速道路はほとんど地下トンネルになり、高速道路から奈良市内との道路によるアクセスはできません、特に交通量の多い大阪行きルートは地下トンネルを利用することが出来ず、渋滞解消とは無縁です。そして、他府県よりも9倍も多い交通事故は、国道24号の渋滞との関係が不明で、明らかな比較ミスです。

交通問題の解消について、今必要なことは交通需要管理政策、鉄軌道も含めた総合的な交通政策を確立することです。

問題の第四は、報告書では「大和北道路有識者委員会」の役割について、PIプロセスの導入で公正、中立で、全般の意見を聞き、調査したかのような報告をしています。しかし、「高速道路から世界遺産・平城京を守る会」の石原国土交通省大臣への「申し入れ」(03年11月11日付)にも明らかにしているように、このP Iプロセスの実態は従来と同じ国土交通省の「審議会」と変わらないもので、P Iではありませんでした。

 PIにふさわしい学術団体や、市民団体の委員を任命せず、又、学術団体からの意見の聴取や、市民団体との協議も無く、わずかにヘアリングの中で、「高速道路から世界遺産・平城京を守る会」の代表が15分間の意見を述べたに過ぎません。

 日本政府の報告書には、排気ガスによる大気汚染、トンネル排気塔の景観破壊など指摘しなければならない問題点は、数多くありますが、今回、以上の問題点のみにしました。

「高速道路から世界遺産・平城京を守る会」は、世界遺産都市奈良・平城京に高速道路を通すことを許すことはできません。

国土交通省「大和北道路有識者委員会」の推奨案ルートの白紙撤回を強く求めるとともに、都市計画決定をしないよう求めるものです。

                    2004年4月  日   

                              高速道路から世界遺産・平城京を守る会
                                          事務局長 小井修一
                               〒630-8102 奈良市般若寺町309−7
                                     TEL・FAX0742−23−0469  






 第6回「守ろう!世界遺産・平城宮(京)の集い」
. アピール
  

  世界遺産都市奈良・平城京を縦断する
   高速道路推奨案の白紙撤回を求めるアピール

 京奈和自動車道大和北道路の推奨ルート・構造案を検討してきた大和北道路有識者委員会は、昨年10月、世界遺産都市奈良を通すルート案のうち、平城宮跡東側を通る中央エリア1の「西九条佐保線地下+高架案」と「国道24号線地下+高架案」を推奨ルート・構造案(以下、推奨案)とする「提言」をまとめ、国土交通省に提出しました。また、本年3月には、県都市計画審議会の中に「大和北道路環境影響評価検討専門部会」が設置されました。

  しかし、今回決定された推奨案は、以下のような重大な問題点を持っています。

1、推奨案は、いずれも古都奈良の世界遺産地域を縦断するものとなっており、世界遺産保護の理念に真っ向から反するものといわざるを得ません。

2、推奨案では、世界遺産平城宮跡の直近に南北約5kmの地下トンネルが建設されることになります。トンネル建設による地下水位の変動に関する安全性の証明がないなかで、地下水位の低下による木簡などへの致命的影響が懸念されます。推奨案の地域は、平城京跡内でも最も多量の木簡が出土している地域です。また、トンネルの出入り口の傾斜部分(約700mと推定される)は開削工法となり、傾斜部分の地下遺構は破壊され、地下水脈も断ち切られることになります。南側出入り口周辺には平城京東市・東堀河・大安寺旧境内などの重要遺構が存在し、これらの遺構が破壊される危険があります。

3、推奨案は、世界遺産都市奈良の景観保護にとっても大きな問題があります。地下トンネルから高架道路となる予定地の近くには、世界遺産の追加登録候補地でもある史跡「大安寺旧境内」が広がっています。大安寺の歴史的景観保護上、高架道路は大きな問題となり、世界遺産追加登録の障害となることは間違いありません。また、排気塔はどこに建設するというのでしょうか。世界遺産の景観保全上、大問題です。

4、奈良市内の真ん中に、通過を目的とする高速道路を建設することは、世界遺産都市奈良の文化財に、排気ガス等の大気汚染による損傷を加速させると同時に、奈良市民とその周辺住民の健康にとっても大問題です。高速道路の建設は逆に車を呼び込み、交通渋滞に拍車をかけることになります。

 以上、今回の推奨案は、古都奈良の世界遺産地域を南北に縦断するルートとなり、平城宮跡の直近を地下トンネルで通過するという、暴挙といわざるを得ないものです。

 本日、私たちは、発掘調査の結果からわかってきた古代都市平城京の世界を学び、平城宮跡保存の歴史とその意味を学びました。先人たちの多くの努力によって守られてきた平城宮・京跡をできるだけ良好な状態で後世に引き継いでいくことは、現代を生きる私たちの責務とあらためて確信しました。

 世界遺産都市奈良・平城京を縦断する高速道路を許すことはできません。私たちは、大和北道路有識者委員会の高速道路推奨案の白紙撤回を強く求めるものです。

         2004年4月18日
                     第6回「守ろう!世界遺産・平城宮(京)跡の集い」参加者一同

 

 
   第6回「守ろう!世界遺産・平城宮(京)の集い」開かれる

 4月18日、奈良県文化会館において、第6回「守ろう平城宮(京)の集い」が開かれました。「古代都市平城京の世界」と題して舘野和己・奈良女子大教授から、また「文化遺産保存の意味」と題して鈴木良立命大名誉教授の、それぞれ講演が行われました。
 舘野教授の講演では700年代の平城京にワープ。
 街路樹には柳やえんじゅが植えられていたこと、八条には東西の市があり、全国から税として収められた品々が売り買いされていたこと、品物を運ぶために掘り割りがそれぞれにほられ、西の掘り割りは今も秋篠川として生きていること等々、いきいきと活動している平城京を想像できました。
 ルート案の通っている東三坊大路は東市の付近を通過します。仮にトンネルから高架になる箇所にあたれば、未だ解明されていない歴史がそのまま破壊されることになり、考えただけでも空恐ろしい状況です。
 鈴木名誉教授は、平城京の第二次保存運動で事務局長をして下さったご経験から、京奈和道が通れば、20年後には奈良県は全県的に宅地化されてしまうと、これまた恐ろしい予言をなさいました。高速道路を通すということは、いずれその近辺が宅地化されるという運命にあるそうです。
 講演の後会場からの発言で、東院庭園付近に建てている旗が5ヶ月で真っ黒になり、洗っても落ちない汚れの原因を考えると、すぐ側を24号線が通っており、トラックなどの排気ガスが原因だったと、文化財保護の立場からは聞き捨てておけない恐ろしい話でした。
 世界の宝物が詰まっている奈良市を高速道路が通過することは無謀の極みということになりますね。

  当日の両講演レジュメがあります。ご入用の方はご請求下さい。

 

  ユネスコ要請団報告集完成

  B5版46頁 一部200円 (送料込み300円)
  団長及び小井事務局長の基調報告、ユネスコ・パリ日記、団員感想文、
 その他資料としてユネスコ決議書からの転載
  小井事務局長まで300円分の切手をお送り頂ければ発送します。


  署名が3万2000を超えました

  毎月の街頭署名行動に加え、正倉院展開催期間中の最寄り駅からの道中での行動を
 終え、署名が3万筆を突破しました。
  事務局長のところに、またこのサイトへにご請求いただければ署名用紙をお送りします。
 ご協力をお願いします。





    パリ・ユネスコへの要請行動は大成功


 
訪仏団は6月30日、7月1日、7月5日にユネスコ本部を訪問。
 6月30日
  会議の初日。各人オブザーバー参加の名札を受け取り、全体会議場のオブザーバー席に入場。
  中国代表からサーズにより蘇州で開催できなかったことへの遺憾の表明、来年度の開催地を蘇州 へとの招聘があり、検討の結果来年は蘇州で開催が決定。
  筆者はフランス語はもちろん、英語もできないため、同時通訳機を借りても討議の内容は理解でき ず、その場の雰囲気から判じるだけだったが、結果的に委員会が来年度の開催地を蘇州と決定した ことが報道されていた。
  午前の会議は11時頃一度コーヒーブレイクになり、休憩中に参加者に持参した110冊のカウンタ  ーレポート、英語版ビラ、仏語版アピールなどを各国代表に配布。
  松浦議長やバンダリン世界遺産センター所長にもレポートを手渡し、所長からは「ジャパニーズ レポート ベリ ーグッド」とのコメントがあった。
  2日と5日には玄関本部前で記念写真をとり、入場する委員や職員に「リード・ディス プリーズ」と  片言英語でビラを配布。
  5日には守る会の浜田代表と小井事務局長がアジア27カ国担当責任者の谷口氏と懇談し、今後  の運動についてのアドヴァイスもいただく。
  委員会が平城京へのトンネルによる高速道路通過問題を遺産の破壊活動として重く受け止め、日 本政府に、この問題が遺産の保存状態の初めての検討であることなどを列記した文書を発している こと、来年が遺産指定から5年になる保全状況について報告する年にあたることもあり、2月までに  報告すること、そして来年の蘇州会議では議題に上がることなどが102ある議題の内49番で掲載さ れていることが分かりました。
  これに対し日本政府からは4月頃に回答があり、それによると国内向けに言っていることとは矛盾する報告書を提出していることが判明しました。
  特に英文でのビラの内容は委員会メンバーには初耳のことだったようで、国内では4ルートの内から決定されるもようとの団の報告を驚きをもって聞かれていました。

  団の公式報告書・委員会議案書抜粋・日本政府からの回答は次の通りです。



                           2003年7月10日
     第27回世界遺産委員会要請代表団報告

1.ユネスコの世界遺産委員会・センター所長、フランチェスコ・バンダリン氏から、第27回世界遺産委員会(当初6月30日から7月5日まで中国・蘇州で開催予定がSARSで急遽、パリのユネスコ本部、第12会議室に変更)、にオブザーバー参加が認められた「要請団」総勢16名は6月28日、関西空港を出発。高速道路から世界遺産・平城宮(京)跡を守る要請の活動目的をほぼ完遂し7月6日パリから帰国しました。
 「要請団」の一行(浜田博生団長:高速道路から世界遺産・平城京を守る会代表の一人)は「会議」の開会から参加し、午前の休憩時間に持参の「カウンターレポート」(反論書)130部、世界遺産・平城宮(京)跡が、高速道路通過によって破壊される危機にある現状を訴えるビラ合計約700枚(英語版、フランス語版)を配布しました。
2.また、休憩時にカウンターレポートを、鈴木重治代表から英語で直接、世界遺産センター所長フランチェスコ・バンダリン氏及び、ユネスコ事務局長・松浦晃一郎氏にも説明し、手渡すことができました。
3.会議の2日目(7月1日)及び6日目(7月5日)には、ユネスコ本部前で、朝9時から10時(会議は10時開会)の間、横断幕による宣伝とビラ各100枚(英語版)配布を行い、平城宮(京)跡の危機を訴えました。
4.「要請団」の希望であった、センター所長、フランチェスコ・バンダリン氏との会見は多忙で無理でしたが、アジア27ヶ国の責任者である、谷口純子氏に会うことができ、以下について説明・要望しました。
@ PI(パブリック・インボルブメント=住民参加)と言いながら、アンケートやヒアリングが目玉で、真の住民参加ではない。そして単なる「審議会」にルート決定を委ねている。
A 「大和北道路有識者委員会」が提起している「4ルート6案」はいずれも世界遺産ゾーンを通過しており、遅くても8月中に「推奨案」を決定しようとしている。
B  4ルート決定の根拠は「地下水検討委員会」の「地下に道路トンネルを建設しても地下水位に与える影響は2cmしかない」との報告によるが、わずか16ヶ所のボーリングデータではコンピューターシミュレーションの信頼性が無い。(別紙資料)
C  また、国土交通省に都合の悪い「文化財検討委員会」の提言(道路建設は世界遺産をさけること、平城宮跡周辺のバッファゾーン内においてもできる限り離すことが望ましい)は、現地ではパンフレットや宣伝ビラには一切隠して載せていないのに、世界遺産委員会には手柄のように報告している。
D 国土交通省は南北の渋滞解消のために、高速道路を建設する(計画)としているが、渋滞は、朝夕の通勤時、及び、土・日曜日の観光時のみである。高速道路建設で渋滞がさらに悪化し、大気汚染で、文化財が一層損傷する。
E 「有識者委員会」は公正・中立であると、規約までつくっているが、事実はそうなっていない。
F 「守る会」の大和北道路有識者委員会への「申し入れ」(6月6日付)は4ルートの白紙撤回を強く求めている。
  以上の趣旨と要請内容を伝え、関連の資料を手渡しました。
5.会議に配布された資料の中に「別紙」の日本政府の「平城宮跡」に関する報告書がありました。この報告書「古代奈良(日本)の世界遺産の保全状況」については、
@ 住民参加(PI方式)で住民の意見を聞き、高速道路建設計画の中止も考慮に入れ、慎重にルートの調査をしている等と事実を隠した、当局に都合の良い報告をしている。
 高速道路建設の目的は渋滞解消のためと明記(現在、奈良では明言なし)巨大開発としての「関西環状道路・紀淡海峡大橋の建設」を隠している。
B 「有識者委員会」提案の4ルート6案のいずれも世界遺産ゾーンの通過を明らかにしていない。
 環境アワセメント(アセスメント)と言われ、環境保護どころか、環境悪化をもたらすと言われている「環境アセス」の実施で、環境が悪くならないと宣伝に努めている。等のごまかしの報告が「会議」に文書報告されていることがわかりました。
6.一方、ユネスコ・世界遺産委員会の報告(bS9.別紙参照)「古代奈良(日本)の歴史的記念物について」では、「守る会」の14団体及び個人会員からなる、日本のNGO情報(2003年3月、守る会からの)をもとに、来年の第28回世界遺産委員会で検討するために、「政策決定過程と自動車道建設に関する最終決定について」、日本政府に04年2月1日までに報告するよう求めていることが、あきらかになりました。                                     また、5項目のうち3として、「日本政府は、遺産の真実性と完全性の保存を保証する努力を勇気をもって続けてほしい」と厳しい注文をつけ、4として、地域住民に政策決定過程を知らせる努力を続けることを提案している。(「決定草案」:27COM(b)49.別紙参照)
(◎7月6日の奈良新聞に「政府の影響調査を評価」と、大見出しでこの5項目の内の2項目目のみを宣伝し、国土交通省に都合の悪い、肝心の3,4,5の項目(上記)をはずして報道させるという、あくどい情報操作をいまだに行っていることは、許しがたいことである。)
7.以上のように「守る会」の当初の予想、「ロビー外交で精一杯」を大きく上回る活動・成果がありました。一昨年から「守る会」の「情報提供」(決議文やアピール,国土交通省の動き,守る会の活動等)が、日本のNGOのレポート・要請として正当に受けとめられていることも含めて「守る会」の思いが伝わっていることに、今回の要請団活動の成功を確信しました。       

                                  以上

高速道路から世界遺産・平城宮(京)を守る会
                     27回世界遺産委会要請代表団 


                  
         

 第27回世界遺産委員会議案書より抜粋・和訳文

              
 bS9    古代奈良の歴史的記念物(日本)

 2001年7月、世界遺産センターは“古代奈良の歴史的記念物”世界遺産遺跡のひとつである平城宮跡の近くに“京奈和道”と呼ばれる大きな自動車道を建設する計画に関する情報を得た。この情報について、世界遺産センターは日本政府にたいして、特に考古学的埋蔵物の近くに道路を建設することによって起きる潜在的な損失について情報を送るよう要請した。日本政府はセンターに、当局はこの件を検討するために文化財の専門家を含む文化財検討委員会を設置したと回答した。
 2002年10月の日本政府の回答によれば、文化財検討委員会はこの文化財の普遍的な価値を評価したうえで、平城宮跡はいかなる潜在的・否定的インパクトからも守られるべきであり、この遺跡下の自動車道ルートは避けられるべきであると提言した。

 世界遺産センターは、日本当局の努力に感謝の意を表明し、政策決定プロセスと自動車道に関する最終決定について、引き続いての情報提供を要請した。
 2003年3月に世界遺産センターは、14団体と多くの市民個人からなる日本のNGOから次のような情報を受け取った。それによれば、国土交通省は2002年9月に専門家委員会を設置し、京奈和道ルート決定について政府と住民の間をリンクさせようとしている事実はあるが、このNGOは、両者の間のコミュニケーションは透明ではなく、また住民は自動車道ルート決定について意見を表明する機会をもっていないと主張している。
 この情報に従って、世界遺産センターは2003年4月17日、世界遺産に関連して、京奈和道建設に関する決定についてのさらなる情報提供を日本当局に要請した。

 1.世界遺産登録以来はじめての遺産保存状態の検討である。
 2.京奈和自動車道建設が世界遺産価値にあたえる潜在的な否定的な、あるいは取り消しのできないインパクトについて検討していることを日本政府に感謝する。
 3.日本政府は、遺産の真実性と完全性の保全を保証する努力を勇気を持って続けてほしい。
 4.関係当局は、地域住民に政策決定過程を知らせる努力を続けたらどうか。
 5.2004年2月1日までに、第28回世界遺産委員会で検討するために、政策決定過程と自動車道建設に関する最終決定についての報告書を準備するよう締約国(注:日本政府)に要請する。

                                                     

世界遺産委員会からの問い合わせに対する日本政府の解答書・和訳分

  古代奈良(日本)の世界遺産の保全状況について
   
 古代都市奈良は、地域のセンターとしての機能をいまも果たし続けている。奈良においては、南北方向の自動車道が欠けているため、幹線道路が単なる通路となっている。
 その結果、地域は慢性的な交通渋滞に悩まされ地方道は抜け道として使われるざるを得ない状況となっている。これがこの地域の地方道が近畿圏の他の地方道と比べて約9倍もの多くの交通事故が発生している理由である。かくして地方道の安全性が脅かされている。さらにこの地域はその外に深刻な問題点、沿道の環境基準を超えるような騒音などをかかえている。
 地方道の交通と通過交通を分離して秩序をもって車を流すことによって、部分的に京奈和道に続く大和北道路は、これらの問題を解消することが最も期待されており、また地域の活性化が、国際観光都市奈良へのアクセスを改善することによって期待されているところである。
 このエリアには、平城宮のような多くの著名な文化遺産が存在するが故に、日本政府は大和北道路のルートと構造について建設計画を入念にチェックするとともに、次のような透明で公正な手順を踏んでいる。
 日本の法律に基づいた環境アセスメントの手続きを取る前に、計画の取り消しをすることさえ、考慮にいれながら進めている。
 日本政府の目的は、広く専門家と地域住民の双方の見地を考えながら、著名な普遍的価値を持つ文化遺産の保全のための調和のとれた計画を実現することにある。
●地下水検討委員会(2001年6月〜2002年3月、委員長:京都大学教授・大西有三)
 地下水と地質の専門家を含む様々な分野の専門家によって構成された委員会は、自動車道が地下構造であると仮定した上で、地下水のデータに基づいて、地下水流量における自動車道建設によって起こりうる効果を予測した。
 結論 地下水位の変動については、自動車道建設による影響は最大2pであって、季節的な要因(約40〜150p、2000年調査)よりも小さい。            ↓
●文化財検討委員会(2002年3月〜2002年6月、委員長:学習院大学・笹山晴男)
 文化財の専門家を含む様々な分野の専門家によって構成された委員会は、地下埋蔵文化財について検討した
 結論 道路建設は、特別歴史的遺産として指定されたところは避けられることが望ましく、世界遺産条約によって定められたバッファゾーンにおいてさえ、できる限り遺跡から離して執行されるべきであると委員会は提案した。
     ↓
●北大和道路有識者委員会(2002年9月〜、委員長:斉藤たか彦・近畿大学教授)
 法律、文化財、交通工学、環境、景観、交通経済学の専門家を含む様々な分野の専門家によって構成された委員会は、上記2つの委員会からの分析と要請に基づいて大和北道路の政策方向を検討した。
●委員会は現在までのところ、PI方式をいかに履行するか、ルート・構造はどうあるべきかについて研究した。
 結論として、平城宮直下をルートとする選択肢はとらないことを決定した。
●現在のところ、意見聴取、住民からのインタービュ−、様々な分野の専門家の意見、公聴会から得られたアイデアを検討中である。
●近い将来、委員会は住民の意見を考慮しながら、大和北道路の政策方向について提案を行う予定である。
 日本政府は、有識者委員会の提案に十分考慮を払いながら、政策のアウトラインを描きあげつつある。その後政府は都市計画と環境に与える影響について、日本の法律に基
づいてより詳細に、さらなるアセスメントを行う予定である。

                    参考:第27回暫定日程表(別紙)




  第5回 「守ろう!平城宮(京)跡のつどい」開かれる


  6月20日、あしびの里において第5回集いが開かれました。第4回和島誠一賞・個人部門を受賞された門脇禎二氏(京都府立大名誉教授)の記念講演、及び守る会事務局長の小井修一氏から報告がありました。
 その後団体部門で受賞した奈良世界遺産市民ネットワークの祝賀会兼パリユネスコへの要請団の壮行会が開かれました。
 ユネスコ本部のバンダリン氏からオブザーバー参加の許可通知が入った報告もあり、壮行会は盛り上がったものになりました。
 席上ユネスコ・世界遺産委員各氏に配布するカウンターレポートや訴えの文なども披露されました。
 当初「子どもの使いになっても行くべきか…」との懸念を払拭して実現した要請団も、ここにきて大いに平城京を守るためになれたとは要請団各位の率直な感想です。
 要請団は6月28日出発、7月6日帰国の予定でユネスコでの働きかけを重点に何カ所かのパリの世界遺産の見学も兼ね16名で結成されました。





   守る会から6月6日、大和北道路有識者委員会へ下記の通り7点にわたる申し入れをおこ ないました。

大和北道路有識者委員会への申し入れ
「推奨案」の作成と国交省への提出を前に

 有識者委員会(以下、貴委員会)は、「PI方式」なる手続きが終われば、夏頃にもルート推奨案を作成し、国土交通省(以下、国交省)に提出すると伺っております。

 つきましては、ルート推奨案作成を前に、以下の7点について申し入れます。ご検討下さいますようお願い申し上げます。

 1.なぜ、有識者委員会まで開かなければならなかったのか

大和北道路問題が地下水検討委員会、文化財検討委員会に続き、貴委員会まで開かなければならなかったのは、なぜでしょうか。

それは、国交省が、古都奈良の世界遺産とバッファゾーン(緩衝地帯)、ハーモニーゾーン(歴史的環境調整区域)に、高速道路大和北道路を通過させようとしているからです。これは、国際的にみても異常事態、あってはならない暴挙で、類例のないことです。
 貴委員会は、ルート推奨案作成にあたっての大前提として、この問題を直視して頂きたいと思います。

 2.貴委員会の、いわゆる「4ルート6案」は世界遺産とその関連周辺を通過することに   なっている。「4ルート案」の白紙撤回を

 貴委員会の、いわゆる大和北道路「4ルート6案」のすべてが国交省と同様、世界遺産とその関連周辺を通過するものとなっています。
  貴委員会の推奨案作成にあたって、これ以外の選択肢はないのでしょうか、視野にもないのでしょうか。
 あくまで、「4ルート6案」で推奨案を検討されるのであれば、それを自ら白紙撤回されることを強く求めます。

 3.木簡など埋蔵文化財と地下水の関係は、今日、誰もその安全性は証明できない。真  実は、1200年余の歴史だけである

 地質学者の発言、主張、見解は、様々ありますが、確かなことは、その安全性が証明されていないということです。“疑わしきは通過させず”こそ、唯一の選択の道です。平城京跡が今日あるのは、京都への遷都後の1200年余、巨大な開発事業が行われていなかったこと、これが何よりの証明ではないでしょうか。
 また、国も認めているように平城宮(京)跡は「土と木を主体とするぜい弱なもの」で保存には特別な対策が講じられてきた埋蔵文化財包蔵地であることを念頭におくべきです。

 4.東大寺・八角灯籠に続き、十輪院の石仏龕が大気汚染で大損傷。これ以上の文化  財への公害被害を阻止することは急務である

 十輪院の石仏龕は、世界遺産・元興寺の近くという大和北盆地ではやや高台にあり、しかも、屋内にありながら、石仏の表面が激しく剥がれています。
 奈良大学の西山要一教授は、現在でも奈良の大気汚染のひどいところは「大都会並み」と断言されています。
 大和北道路が走れば、文化財だけでなく、人間の健康と安全は一体どうなるのでしょうか。

 5.地下であれ、地上であれ、大和北道路は、古都奈良の景観を台無しに。景観の保全  は貴委員会の重要任務

 
古都奈良の景観は、幾度となく危機に直面しながら、心ある人たちの願いと運動によって基本的に守られてきました。
 奈良の景観には、大景観(遠望景観)、中景観(中近景観)、小景観(点景観)があります。特に、保全・継承が求められるのは、大景観です。
 大和北道路は、地上はもちろん、地下トンネルの場合も高い排気塔などで破壊必至です。
 古都奈良の景観を保全・継承して下さい。

 6.大和北道路は、「経済の活性化」や「交通渋滞解消」の“打ち出の小槌か”必要なの  は奈良らしさの保全・再生・創造ではないのか

奈良で今、必要なのは、生活道路の整備を急ぐと共に、鉄軌道を含む総合的な交通系統を確立し、実行することではないでしょうか。
 大和北道路は、奈良市内へのアクセス機能、生活道路への流入増加と混雑、結局は、通過道路と化してしまい、メリットは考えられません。
  奈良は奈良らしさを徹底して追求することこそ、21世紀を大きく切り開くことになるのではないでしょうか。

 7.“世界遺産都市・奈良には高速道路はいらない”貴委員会としても国交省に強い働   きかけを

 私たちの主張と態度は、繰り返しになりますが、“世界遺産都市・奈良には高速道路はいらない”ということに変わりはありません。
 ぜひ、貴委員会も国交省に対し、大和北道路の世界遺産都市・奈良への通過計画の撤回を強く働きかけて下さいますよう、重ねて申し入れます。

2003年 6月 6日
                             高速道路から世界遺産・平城京を守る会

大和北道路有識者委員会様




 公述会開かれる
 
北大和道路有識者委員会主催の公述会が開かれました。応募者全員が各10分の持ち時間で、明らかにトンネル案の推進を言われた方は3名、お1人が欠席、あとは高速道路は不必要・もしくは有識者委員会の示している4ルートには問題があるとの趣旨の発言でした。
守る会からは浜田、小井、館野、鬼頭の各氏が発言されました。
 このサイト掲載に力を添えて頂いている千葉のYさんもわざわざ千葉からご来奈いただき、発言していただきました。有識者委員会にとっても参考になるご発言ではなかったかと思われます。

 筆者の受けた印象では、推進を言われた方々のご発言は通り一遍のものでしかなく、反対のご意見の方の中、木簡を守ってとの立場の方、自動車に乗らない立場からのご発言の方、高速道路はこれからの時代には不必要とのご発言、世界遺産を守れのご発言、各地のトンネル工事での例を引いてのご発言など、本当に心にひびく真心のこもった発言が続き、もっとたくさんの方に聞きに来て頂きたい思いでした。




 

 守る会は有識者委員会が平城京の埋蔵文化財を破壊することのないよう、「千載に悔いを残さない」の立場から今後の対応について申し入れをしました。以下申し入れ文書を掲載します。

         「有識者委員会」への申し入れ

  新春の候、ますますご健勝のことと存じます。
  さて、国土交通省は一昨年7月に、「地下水検討委員会」を設置し同委員会は2年間の水位調査をもとに、平城宮跡の地下にトンネルを通しても「地下水や埋蔵文化財への影響は小さい」と結論づけました。しかし、「高速道路から世界遺産・平城京を守る会」が依頼した専門家の調査分析では、現状の地下水の枯渇を無視し、わずか16ヶ所のボーリング調査のデーターで地下水位のシミュレーションを行うなど、10点にわたる問題点を明らかにし、「精度が低く、信頼性のない報告」と断定しました。(別紙参照)
  引き続き設置された「文化財検討委員会」がまとめた提言は、「世界遺産・平城宮跡の直下はトンネルを避け、緩衝地帯(バッファゾーン)内においても出来る限り離隔をとることが望ましい」と提言しました。しかし、一方では「地下水検討委員会」の報告を「精度の高いモデルによって解析が行われた」との誤った評価の上に立ち、「トンネル工事は可能」とも提言しており、トンネル工事施工業者の技術差、そして工事ミス、さらにシミュレーションの誤差の範囲も無視した結論は、恣意的と受け止められる残念な結果と言わなければなりません。
  現在、「PIプロセス」として「大和北道路有識者委員会」で、その進め方を議論されています。私たちは「地下水及び文化財検討委員会」の重大な問題を含む報告や提言をもとに、「PIプロセス」の進め方を検討され、決定されることに強い危惧を抱かざるを得ません。
  つきましては、以下の私たちの申し入れ事項について検討され、千載に悔いを残さないよう、その任務を遂行されることを心から期待し、強く要望するものです。

                          申し入れ事項

1.地下水の再調査について
 前文に記載したように、「地下水検討委員会」は当初から「トンネル」ありきの前提をもとに調査の範囲を狭くし、トンネル建設に不利になる調査を故意に避けています。
  私たちは指摘事項(別紙)の問題点について解明することも含めて、有識者委員会として地下水と埋蔵文化財の関係について再調査することを求めます。

2.ユネスコとの関係について
 * 世界遺産平城宮跡に関わる開発計画は、国内問題だけでなく、国際問題でもあります。ユネスコ世界遺産委員会の意見を聞く必要があると考えますが、いつ聞かれるのか。もし、その予定が無いとすれば、国際的な重大な問題になると考えます。必ず世界遺産委員会とのヒアリングを行うこと。
   私たちは、今年6〜7月に中国・蘇州で開かれる世界遺産委員会に代表派遣することにしています
 * また、平城宮・京域に地下トンネルを建設しないように、と要請している各学術団体と個別にヒアリングを行うこと。

3.公聴会、シンポジウムなどについて
  公聴会やシンポジウムなどの開催については、一方的な道路建設のみを主張するのではなく、遺跡保存や世界遺産平城宮跡の歴史的、考古学的重要性についても意見が述べられる場にするため、各学術団体、高速道路から世界遺産・平城京を守る会の代表をパネラーとして参加させること。

4.公開討論会の開催について
  県民、市民、国民から広く意見を聞く場として、是非、公開討論の場を設定すること。そのためにも、各学術団体、高速道路から世界遺産・平城京を守る会の代表をパネラーとして参加させること。

5.PI方式によるアンケート実施について
   アンケートは県民、市民、国民の間で十分議論、討論をつくしたうえで実施すること が必要です。従って、アンケートを実施する場合は、以下について最小限、必ず組み入れるよう、強く要望します。
  「高速道路が必要か、否か」など、誰もが「ないよりは、あるほうがいい」と答えるような愚問を設定しないこと。また、京奈和道路の県内約50qの建設費は、総額5千億円以上(1m当たり1千万円以上と試算)国が70%、奈良県が30%の費用負担、県民1人当たり約10万円を負担しなければならないことなどを明記すること。
  国土交通省の主張のみでなく、各学術団体や高速道路から世界遺産・平城京を守る会などの意見も必ず併記したアンケートにすること。   自動車の大気汚染による「古都奈良の文化財」などの文化財損傷、環境悪化、住民の健康被害についても明記すること。
   地上はもちろん、地下トンネルの場合も、高い排気塔などにより、古都奈良の大景観が破壊される危険があることも問うこと。

6.既刊パンフレット折り込みのアンケートについて
  大和北道路有識者委員会発行のパンフレットに折り込まれているアンケートには、肝心の世界遺産に関わる項目が設定されていないのは、いかがなものでしょうか。
   貴委員会発行のパンフレットの3〜6頁の内容は「渋滞解消」のため高速道路(大和北道路)が必要となっていますが、大和北道路有識者委員会として「大和北道路が渋滞解消になる」といつ検討、決定されたのか。ルート未決定段階での渋滞解消の根拠も県民に明らかにすること。
  私たちはこれまで、繰り返し“疑わしきは通過させず”と主張してきましたが、これこそ、唯一の選択の道だと確信します。

           2003年 1月14日
            高速道路から世界遺産・平城京を守る会
              事務局長   小 井 修 一  
                 〒630-8102 奈良市般若寺町309-7

                          ├  0742−23−0469




  大和北道路のPIと英国のPIの対比

平城京のホームページに影になり日向になり力を発揮してくれている千葉の横田さんが
大和北道路におけるPIと英国のPIとを比較してくれたので、転載します。

英国のPIは掲載された資料の中では一番充実している。注目したいのはアセスメント表(5頁目)。
欧州の道路施策を考える必要があります。基本は「信号をできるだけ設置しない」こと。
奈良に置き換えて言うと、名阪国道、阪奈道路のような無料の自動車道路に相当してると言えそうです。
調査の途中で拾った東京都・外環自動車道事業も少し入れています。

 どこが問題?

英国  市街地を貫通し2本の主要道路をつなぐ一本道の両端2地点の渋滞
奈良  多数の主要道路とその周辺を含んだ多地点の渋滞

 どのようにする?
英国  市街地から離してバイパスを作り、接続地点では高架化(online)か地下化(offline)で立体交差を図る。
奈良  世界遺産を損傷しないようにすることが優先されることだけ決まってるらしい。

 保護対象となった史跡は?

英国  4000年以上前に設置されたストーンヘンジ。
奈良  1200年以上前の埋蔵遺跡。未発掘のものも多い。各地の歴史的建築物。

 検討した年期は?

英国  6年間。1994年に計画案が承認され、1999年末まで意見受け付け、2000年6月に案が発表される。
奈良  実質、まだ2年未満(第1回有識者委員会が開催されたのは2002年9月20日)。
東京都 1999年からはがきやメールで住民から意見を聞いている。現在も継続中。

 事業費の概算提示は?

英国  各ルート案、工法それぞれに数値を伴って示されている。
奈良  各ルート案ともに全く示されていない。

 多様な意見の提示は

英国  6ページ目左欄にてコメントとそれに対する回答が示されている。
奈良  「地下水検討委員会」「文化財検討委員会」の2委員のみ。
反論も出ているが、これらを事業者発のサイトでは一切紹介していない。
東京都 アンケートはがきやホームページ経由の様々な意見を公開(PDF書類)している。

 意見公聴、公開の後、大臣が決定した後は?

英国  6ページ目中央欄にて、市民からのコメント、抗議の機会を増やすと示されている。
「審査前のパブリックインクワイアリーは反対意見の性質と重要性によっては扱われる。」

奈良  現時点では、上記のような仕組みが組み入れられていないようである。
第2回委員 資料-4-1 大和北道路PI プロセスの進め方(案)(PDF書類)を参照して欲しい。




     トンネル案推進のためのシンポ?              
  1 有識者委員会主催のシンポに参加しました
2月16日 奈良公園の中、新公会堂にて有識者委員会主催の「大和北道路シンポジウム」が開かれました。氷雨の中、350人が参加(主催者発表)。守る会のメンバーも8名が参加。300名ほどの人たちにパンフを配布しましたが、参加者のほぼ全員が受け取り、署名をしようかと言ってくれる人もありました。いろんな考え方の人が参加するシンポだから、資料的には価値のあるパンフを提供できたと考えます。
 
残念だったのは守る会のメンバーが入り口付近(雨のため外では不可能)で守る会作成のリーフレットを配っていると「あんたら、ええ根性してるな」と挑発する男性事務局員がいたことです。
 いい道路を造るための説明会のはずなのに、平城京を守る会が邪魔をしていると思っていることが残念ながら表面だった一場面でした。
 会場へ入ると入り口で入場者のチェック。事前にはがきによる申し込み、入場券の発行という手続きがあったからでしょうが、わざわざ名簿が作成されており、チェックを受けました。
 シンポ用に作られた(基調色はブルー)の紙袋にセットされた「プログラム」「資料のご案内」、「大和北道路の検討状況 〜幅広い議論のために〜」(この中に問題のルート図あり)、「みんなで知恵をだしあおう 古代から未来への道 大和北道路」、「大和北道路文化財検討委員会提言」、「京奈和自動車道「大和北道路」に関するアンケート調査」、「アンケートにご協力のお願い」、アンケートの発送用封筒、ボールペンと7種類もの冊子やリーフ、小道具を受け取り会場に入りました。

  *アンケート用紙等の資料が必要な方には
    コピーをお届けします。メールでご請求下さい。


  2 シンポの発言者
基調報告 「大和北道路の状況について」
       小林 潔司(京都大学大学院工学研究科教授)
パネルディスカッション
コーディネーター
    斉藤 峻彦(近畿大学商経学部経済学科教授)
パネリスト
   飯田 恭敬 (京都大学大学院工学研究科教授)
   大西 有三・地下水検討委員会委員長 (京都大学大学院工学研究科教授)
   笹山 晴生・文化財検討委員会委員長 (学習院大学文学部史学科教授)
   増井 勲 (奈良県副知事)

  3 発言者から受けた個人的感想
@ 多分腹立たしい気分で終わるだろうとは思っていましたが、やはり悔しいというか、情けないというか、トンネル案を推進するために行われたシンポでした。
A 文化財検討委員会の笹山教授は発言の初めの頃は文化財は人の手でこわされることだけは避けなければならないというような格調の高さで、教授自身は数知れず奈良を訪れ、平城京を愛している、こわさないでほしいとのメッセージを持っておられるように感じました。
 しかし、15分間の発言の後半では、仮に直下であってもシールド工法を採用するので地下水水位は下がっても2センチ程度と、大西教授の立場を全面的に支持する発言になっていました。
B 守る会が依頼した地下水位についての考察(奥西一夫京都大学名誉教授(国土問題研究会理事長))は、地下水検討委員会の結論を導く基礎になるデータが4カ所からしか取っていない、4カ所を元にして東西100の(合計すると1万!)断面のシミュレーションをしても空論になるという結論でしたが、たった4カ所のデータを100%の基礎とする大西教授の立場を支持されるのであれば、これは何をか言わんやです。
C 守る会は高速道路を通すことで排気ガスの濃度が上がり、文化財への悪影響が顕著になると主張していますが、飯田教授によれば、高速進行での排気ガスの濃度についても、現在の渋滞での排気ガス排出が高速道路完成で渋滞がなくなることでガス濃度は下がるとのことでした。仮に高速道路によって渋滞がなくなればの話ですが、守る会の小井事務局長によれば、奈良の渋滞は1本南北の高速ができても解消するものではない。むしろ、今ある交差点を立体化する方が渋滞の解消にはつながるとのことです。
D シールド工法で掘るトンネルでは地下水がトンネル内に流出することはないと大西教授は発言していましたが、現在の土木工事現場がそんな机上の空論で進んでいるほど高いモラルが維持されているとは誰も思っていません。下請け、孫請け、手抜き、金抜きとおよそりっぱな工法からはかけはなれてしまっている現場を知らない、むしろ目を塞いでいる大学教授がいくら机上の議論をしても始まりません。誰が水ももらさない工法を保障するのでしょうね。
E 工事中は、地下水位を保つために、平城京周辺に雨を降らせる、ため池を作るなども大西教授は可能な手段だと発言していました。
F 笹山教授は木簡が1200年間保たれてきたメカニズムがまだ未解明であること、遺構の調査は進んでおらず、全体としては未解明の部分が多いことも発言しておられました。
4 有識者委員会の今後のスケジュール
  斉藤教授によれば、@シンポを皮切りとし、今後はキャンペーンをしていく、A住民台帳から抽出した奈良・郡山で1800人の人に面接によるアンケート調査、B3月以降各界専門家からのヒヤリング(公開)、C4月に公聴会(奈良と郡山、参加希望者は事前に800字程度の意見書を提出、その中から選考される)
と、着々とトンネル案が日の目を見る日が近づいています。
 このままではやはり蘇州での世界遺産委員会に直訴に行くことはやむをえない手段になるのでしょうか。「文化庁よ、しっかりしなさい!」と言いたいところです。
 


2003年6月開催・世界遺産委員会蘇州会議にNGO参加決定


 平城京・埋蔵文化財の危機リスト掲載を訴え、宮跡だけでなく、京域全体の保存を求めて、
 世界遺産市民ネットワークと文化財保存全国協議会が共催で、カウンターレポートを届け、ロビー活動に取り組みます。ついでに中国江南の文化財にもふれてこようと計画しています。





11.17シンポジウムアピール

京奈和高速自動車道の世界遺産平城宮()跡地下通過計画の

白紙撤回を求めるアピール

 今、世界中が世界遺産・特別史跡平城宮跡に注目しています。

 私たちは、昨年秋、「世界遺産平城宮跡を考える」シンポジウムに集い、参加者一同の総意によって「京奈和高速自動車道の世界遺産平城宮跡地下通過計画の白紙撤回を求めるアピール」を発表しました。しかし、運動の大きな盛り上がりにもかかわらず、平城宮跡の地下に高速道路を通そうという、文化財保護法の趣旨にもとる無謀な計画は、未だに撤回されるには至っていません。

 国土交通省は、昨年九月以来「地下水検討委員会」を設けて、わずかな資料の分析から、平城宮跡の地下にトンネルを通しても、地下水や埋蔵文化財への影響は小さいと結論付けました。しかし、この結論に対しては、専門家の間からも重大な疑義が提出されています。また、それに引き続いて設置された「文化財検討委員会」がまとめた提言に述べられているように、世界的に認められた遺跡やその周囲の地下にトンネルを通すことは国際的にもまた社会的にも望ましくありません。そのような工事を強行することは、世界遺産に対する冒涜行為です。

 そもそも平城宮跡は、文化庁も述べているように、「脆弱な土と木で構成され」た遺跡の価値が認められて、世界遺産に登録されました。木簡をはじめとするそうした遺物や遺跡に影響を及ぼす危惧のある地下水の変動が、たとえわずかであっても起こり得るのであれば、そのような工事は行うべきではありません。一度破壊された遺跡・遺物は二度と甦ることはないのです。また、平城宮跡を避ければそれでよいというものでもありません。平城宮跡の東から南にかけての国道24号線バイパス周辺地域は、長屋王家木簡や二条大路木簡の発見からもわかるように、平城宮跡に匹敵する木簡の宝庫でもあります。平城宮跡だけでなく平城京跡にも、重要文化財級の大量の木簡が眠っている可能性が高いのです。

 このような状況のもと、私たちはここに第2回「高速道路計画で危機を迎えた世界遺産平城宮()跡を考える」シンポジウムを行い、平城宮()跡保存に向けた誓いを新たにしました。1200年以上もの間守られてきた遺跡・遺物や歴史的景観を将来にわたって保全し後世に引き継いでいくことは、私たちに課せられた責務です。今こそ世界に対して、また将来の日本に対して恥ずかしくない決断を下すべき時が来ています。私たちはここに、京奈和高速自動車道の世界遺産平城宮()跡地下通過計画を早急に撤回することを、関係諸方面に再度強く要望します。

             20021117
            第2回「高速道路計画で危機を迎えた世界遺産                   平城宮()跡を考える」シンポジウム参加者一同


  
文化財検討委員会の提言についての声明

8月27日 守る会では声明を出しました。

 文化財検討委員会の提言」についての声明

 国土交通省は今年三月、「地下水検討委員会」の最終結論を受けて「文化財検討委員会」をつくり、世界遺産であり、国の特別史跡である平城宮跡と周辺地域の地下に高速道路を通すかどうかの検討を続けてきた。同委員会は4回の会合をへて7月15日、「特別史跡平城宮跡は古代宮都の遺構として貴重な文化遺産であり、将来にわたって保存のための努力が払われるべきである」とし、道路建設は特別史跡の指定範囲(平城宮跡)は避けるべきとの「提言」をまとめた。
 また、“世界遺産条約において定められている平城宮跡周辺の緩衝地帯(バッファゾーン)内においても出来る限り離すことが望ましい”とした。
 「提言」はさらに、「平城宮跡の意義」について、「歴史的・考古学的価値はきわめて高い」こと、「明治以後調査・保存のための活動が行われてきた」こと、世界遺産に登録されたことで「保存には世界の関心が集まっている」こと、出土の遺構・遺物が「古代史の研究に新しい局面を開いた」こと、宮跡周辺地域の長屋王邸宅跡などの重要性とともに宮跡北方の松林苑が「宮と一体の施設と目される」こと、「遺跡は将来にわたって保存されるべきであり」「人為による破壊は避けるべき」ことを強調している。
 こうした結論を引き出したのは、「高速道路から守ろう!世界遺産・平城宮(京)跡」「疑わしきは通過させず」と訴えてきた広範な学術・研究・住民団体などあげての運動と世論の高まり、広がりの反映であるとともに、良識ある文化財関係検討委員の真摯な主張の結果である。また、「(道路)建設によって生じる可能性のある回復不可能なマイナスの影響」を懸念したユネスコ世界遺産センターの危惧表朋など、国際世論も大きな力となった。
 私たちは、このような点から同委員会の「提言」を高く評価するものである。
 しかし、重大かつ看過できない問題点、課題も残された。それは、「提言」が「地下埋蔵物に対する影響を最小限に抑えて道路を建設することは、平城宮跡直下も含めて技術的には可能である」としたことである。これは、「地下水にも埋蔵文化財にも影響は少ない、わずか」とした「地下水検討委員会」の最終結論をノーチェックで是認したものである。その点では、まさに玉石混交といわなければならない。
 「地下水検討委員会」の結論について、奥西一夫京都大学名誉教授・国土問題研究会理事長は 「守る会」 からの検討依頼に応え、「観測井の数が少なく、まばらであり、シミュレーションの精度も信頼性も低い」など、10項目にわたって全面批判。現状においても地下水の枯渇の危険、埋蔵文化財の致命的な影響を懸念し、「高速道路はもってのほか」とコメントした。
 奥西氏はさらに、7月14日、「守る会」主催の「集い」の講演で、これをさらにふかめたうえで、「トンネルを掘りたいという意志がかなり強く働いている。シミュレーションの結果は『影響は軽微だ』『こんなに一生懸命計算機をまわしたんだから、その結果は絶対正しい』という、ある種のコンピューター神話みたいなものを押しつけてしまっている」と結んだ(詳細は奥西氏講演の「大要」参照)。「文化財検討委員会」の「提言」についても「問題外」と厳しく批判している。
 これは、大前提とされた「地下水検討委員会」の最終報告に重大な疑念が生じたことを意味する。
 国土交通省はここまできて、あくまで平城京(跡)域のどこかに京奈和自動車道大和北道路を通そうというのだろうか。
 平城京(跡)域は、宮跡とともに、「都城道路、変じて田畝となる」(『三代実録』)と書かれているように、京都・長岡京に遷都した以後、開発が農業中心であったため、今日までその実相を伝え続けている稀有の歴史的遺産である。耕土、床土のすぐ下に“平城京は眠っている”といわれるのも、ここにある。平城京(跡)域の発掘調査はまだほんの一部が行われただけであり、実態解明の発掘はまだこれからである。平城京(跡)域とその周辺には、8つの世界遺産「古都奈良の文化財」が広がり、追加登録も求められている。 ユネスコは1970年、奈良・京都について特別の勧告を出し、次のように述べている。 「文化財保存の方策は、単に指定または未指定の遺跡および記念物のみならず、それらの直接周辺地域並びに歴史的地域や田圃にまで及ぼすべきである。その全域にわたって強力な保存方策が採られるべきである」
 これは、少なくとも平城京(跡)域全体を指すものである。
 国土交通省は、今からでも遅くない。平城京(跡)域全体が、きわだって重要な遺跡であることを知り、認識すべきである。
 世界遺産都市奈良の平城京(跡)域に高速道路を通そうとするのは、あらゆる点からみて無謀である。大気汚染の増大にともなう危険から、貴重な文化財や人間の健康を守るためにも高速道路通過はさけなければならない。
 私たちは、平城宮跡だけでなく、歴史的遺産と景観の保全・再生・創造のためにも、平城京(跡)全域から高速道路通過計画の撤回を強く求め、皆さんとともに全力をつくすものである。
         2002年8月27日

     高速道路から世界遣産・平城京を守る会       事務局長 小井 修一                            〒630−8102 奈良市般若寺町309−7 



4月7日午後、守る会が平城京ウォッチングを開催しました。
 60名の参加があり、発掘現場を抱える奈良文化財研究所の方や日本考古学協会の方など、その道のオーソリティの説明を受けながら平城宮跡を歩きました。
 大極殿の復原工事現場、発掘調査現場、朱雀門、ボーリング調査場などを香しい春風に吹かれ、ヒバリのさえずりをバックに巡りながら、こんなすばらしい世界遺産を高速道路で壊されてはたまらないと実感しました。
 熱心な説明を受けて歩いたため、あちこちの見残しが出たのは少々残念でした。





署名行動にご協力を
 署名行動は毎月第4土曜の午後1時半から1時間程度、近鉄奈良駅行基菩薩噴水横広場で。
 飛び入歓迎・冷やかし歓迎。激励はもっと歓迎!! (雨の時は中止)



各界著名人・一言メッセージ運動

 世論を高めるために一役買って頂こうと全国の著名人に一言メッセージをお願いしています。ぼちぼちとメッセージを添え、会の趣旨に賛同する旨のお返事が返ってきています。
 一定数まとまれば大々的に公表する予定です。乞うご期待!

 世界遺産委員会関係者からの助言があり、世界遺産委員会へ、守る会から、公式文書での要請や日本イコモス委員への働きかけ、各行政や文化財保護委員会などへの働きかけを精力的に行いました。
 2月20日 ユネスコ世界遺産センター長フランチェスコ・バンダリン氏宛て要請書、参考資料を発送。
 2月22日 奈良市の文化財保護審議会の審議委員20名にユネスコ宛要請書及び参考資料を送付。
 2月26日 奈良県文化財保護審議会の各委員26名に同文書を配布。
 2月27日 イコモス日本国内委員会各委員に同文書を送付。
 2月27日 奈良市長に要請
 2月28日 扇千景国土交通大臣に同文書を添えて要請文郵送
 2月28日 奈良県知事に要請
1月27日付読売・「平城京跡地下トンネル案『遺構に害』ユネスコ懸念」の見出しで詳細な記事が掲載されました。




 守る会からユネスコ・バンダリン氏への要請書は下記の通りです。

ユネスコ世界遺産センター長
フランチェスコ・バンダリン 様
 世界遺産の登録、保護、再生にと日々、ご奮闘のことと存じます。心からの敬意を表します。
 すでにご存じのように、日本政府は今、1998年、「古都奈良の文化財」の一つとして世界遺産に登録された、国の特別史跡である平城宮跡に、時速百キロの高速道路を通過させようとしています。
 政府は、ルートは未だ決めていないとしながら、事実上、平城宮跡の地下トンネルルートを本命とみて、着々と準備を進めています。具体的には、ボーリング調査に続き、文化財関係者を入れない「地下水検討委員会」なるものをつくり、早い時期に、地下遺溝、遺物に影響なしの強引な結論を下す危険が高まっています。
 私たちは、それを大変、危惧しています。
 平城宮跡を中心とする地層は、完新世の沖積層という、地球の歴史からみてももっとも新しい地層にあたり、砂、砂利、粘土などで構成されています。この層に地下高速道路を建設すれば、微妙な地下水の変化で地下の遺溝、遺物、特に木簡に大きな悪影響を与えるのではないかと考えています。
 私たちは「疑わしきは通過させず」、これこそが最も正確で最良の判断、選択の基準だと確信します。それは、人工的な破壊行為のない状態が1,200年も続いたからこそ、今日、およそ167,000点もの木簡が出土している、その事実が、何よりの証明ではないかと思うからです。
 「歴史的考古学的に価値が高い」として、世界遺産に登録されたのも、ここに根拠の一つがあると考えます。
 私たちは今、世界の人たちと共に、世界遺産条約を共有していることに、心からの誇りと喜びを実感しています。それは、条約が締結国に対し、自国の世界遺産を公共事業などによる破壊や損壊から保護する義務を課しているからです。
 ユネスコ世界遺産委員会、及び世界遺産センターが、世界遺産・平城宮跡に対し、日本政府がとろうとしていることについて注視され、条約に基づく厳正で公正な態度を徹底して貫いていただきますよう、心から熱望します。
 私たちは、平城宮跡を含む、8つの「古都奈良の文化財」をいかなる破壊や損傷からも守り、永く後世の子らに伝えることを誓います。
 なお、私たちはいつでもユネスコ本部に要請代表団を派遣する準備を進めていることを申し添えます。
           2002年2月20日
            高速道路から世界遺産・平城京を守る会
             事務局長 小井 修一
連絡先  (〒630-8102) 奈良市般若寺町309−7
  電話・FAX 0742−23−0469



 2001年9月 ユネスコ世界遺産センター長フランチェスコ・バンダリン氏から日本政府ユネスコ代表部宛に「今日まで木簡を守ってきた地下水位が変わり、損害が起きるのではないかと注意を引かれる」などとして、政府に見解の提示や情報提供の依頼があったことが判明。
 11月 日本政府「予備的な調査やルートを決める議論が進行中で、地下トンネルで建設するかどうかはまだ明確な合意がない段階であり、平常宮跡の保存は十分に考慮に入れている」などと回答。
 *宮跡を避けてもそれより東の山側でトンネルを通せば、地下水脈がとぎれ宮跡の地下水が枯渇する可能性は大きい。

パリ・ユネスコ本部に要請行動に飛ぶことになりました。

 時期は未定ですが、トンネル案が決まれば、危機遺産リストに加えてもらうこと、および政府に対する勧告を出してもらうために行動することになりました。

署名が13000を越えました。
 春までに20000を集めたいと頑張っています。毎月最終土曜日午後1時30分から1時間、近鉄奈良駅にて行っています。毎回観光客に訴えかなりの手応えがあります。
 eメールでご依頼いただければ署名用紙をお送りします。是非ご協力をお願いします。


11月12日
  国土交通省・文部科学省へ要請行動。

 第1次集約の署名8000名分提出。
 後奈良県選出国会議員へ要請。奥野議員に要請したところ、「地下トンネル案で行ける、心配ない」との発言あり。
1300年遷都の記念行事をめざした「大極殿復元」(高速道の建設とセットで)が政治生命だと明言してきた奥野氏の発言です。注目・喚起の必要があります。
 ただ、地元県会議員・各会派への要請行動では、「平城京を通すことだけは避けたい」と発言する議員が保守系の中にも何人もおられました。
 
高速道路計画で危機を迎えた世界遺産平城宮跡を考えるシンポジウム
日 時:2001年11月11日(日)10:00〜16:30
場 所:明治大学 大学会館8階大会議室
 2度にわたる国民的保存運動によって守られ、世界遺産にも登録された平城宮跡がいま、高速道路地下トンネル計画によって破壊の危機に直面しています。世界遺産平城宮跡の価値と意義について理解を深め、保全と活用についての将来像を探りながら、現在問題となっている高速道路地下トンネル案の是非について考えあいましょう。多くのご参加をお願いします。

◆主催 シンポジウム「世界遺産平城宮跡を考える」実行委員会(代表 鈴木重治)
◆後援 明治大学考古学研究室・考古学博物館
大阪歴史学会 関西文化財保存協議会 京都民科歴史部会 考古学研究会 高速道路から世界遺産・平城京を守る会 古都奈良の歴史的遺産と景観を守る市民共同フォーラム 難波宮址を守る会 奈良県文化財保存対策連絡会 奈良県歴史教育者協議会 奈良世界遺産市民ネットワーク 奈良文化財研究所職員組合 奈良歴史研究会 日本 考古学協会 日本史研究会 日本歴史学協会文化財保護特別委員会 文化財保存全国協議会 木簡学会 歴史学研究会 歴史教育者協議会 (19団体)
◆連絡先 〒630-0135 奈良県生駒市南田原町1230-83
     佐久間貴士(0743-79-9277) 


□ 毎月第4土曜日は街頭署名行動に出ることになっています。場所は近鉄奈良駅、行基菩薩噴水広場です。飛び入り歓迎です。

10月14日に奈良で開かれるプレシンポの内容が決まりました。
  「木簡研究の最前線−新発見の藤原京木簡」と題して奈文研の山下信一郎氏に木簡発掘の最前線のお話を
  「ユネスコ世界遺産条約と平城宮跡」(仮題)で奈良女子大学教授の上野邦一氏に、「高速道路建設をなぜ強行するのか」と題して立命館大学の土井靖範氏に、それぞれ講演して頂くことになりました。時間がないのにホットな、盛りだくさんなメニューで質疑応答の時間がとれるだろうかというのが事務局の目下の心配です。
  時間は1時30分〜5時
  場所は奈良県文化会館小ホールです。

8月27日(月)
 代表者会議が開かれました。
8月25日(土)
 近鉄奈良駅前で夕刻街頭署名活動をしました。


7月8日(日)
 運動に変化があるたびにリニューアルします。
どれだけ運動の核心をついた掲載ができるか少し心配ですが、宝物を守るためにがんばります。

7月6日、代表者会議がもたれました。
 現在の署名は4600余筆。
 推進勢力は非常に焦っている気配があります。
 是が非でもトンネルで京奈和を通したい勢力が、反対運動によってトンネル案が阻止されることを懸念しているのでしょうか。

 月1回、近鉄奈良駅前で署名活動をしていますが、
夏の昼下がりはとても暑いので、7〜8月は夕方に時間変更です。
7月は7月27日(金)午後5時〜6時半まで、8月は8月25日(土)午後5時半〜6時半まで、いずれも近鉄奈良駅行基菩薩噴水広場です。
9月以降は8月の会議で決めます。