- 文字を読んだときに誘発される「視覚誘発電位」の双極子追跡を行った。計算のモ ニター上に光る 点(固視点, Fixation
Point)を作り、被験者にその点を見つめてもら う。固視点の右2度の位置に 「かな文字」を短時間提示して、それを声を出さずに読ん
でもらう。提示するタイミングをランダムに して被験者が文字が提示されるのを予測し ないようにする。文字を読むことに関したニューロン活動に
よって誘発された頭皮上の 電位は自発電位に埋もれてしまってそのままでは観測できないが、文字を提 示するタイ
ミングに同期して頭皮上の各点電位波形を加算平均をすると、自発脳波はプラスマイ ナ が相殺して小さくなり、誘発電位だけを取り出すことができる。
双極子度が98%以上になり、双極子近似が十分に成り立つ場合だけを取り出すと、 網膜に文字の光学像が写ってから60から70ms で
双極子が
左の第1次視覚野に現れ
る。それから双極子度が低下して大脳皮質の活動部分は広がり、15 0ms前後で視覚 連合野に高い双極子度を持った双極子が現れる。それに続いて左角回、左側頭下部に
双 極子が現れ、最後に聴覚野とウエルニケ野付近に活動が見られた。これらの位置を A, B, C, D, E と して図1にMRI
断層図に重ねて示した。
- 図1 文字を認識する過程を双極子追跡した結果
- 文字を固視点の右側に提示するとすべての情報処理は左脳で行われる。それにたいし て文字を固視点
の左側に提示すと、1次視覚野と視覚連合野の活動は右脳で行われる が、それ以後は左脳で処理され ることが観測された。したがって処理時間が長くなり、
被験者にとっては読みにくいという感じを与え る。20例中の一例については右脳で処理
を行っている被験者があった。読めない図形、たとえば片視野づつで明暗が反転するチェッカーボードを見たときには、上の図で(A),(B)の処理しか行われなかった。
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