北海道大学電子科学研究所より


脳深部に巨大電流双極子を局在させる脳磁界応答の解析

高次脳機能に関わる脳磁界応答には、単一の等価電流双極子推定では誤った結果を生じる成分がしばしば見られる。例えば図1に示すように、著しく深い位置に、非常に大きなモーメント値をもつ単一電流双極子源が算出される。このような電流双極子源は脳磁界計測者にとっては受け入れることが出来ないが、ダイポールの信頼性を調べるための評価基準であるGOF や相関係数は満足している。我々は、このような誤った解を避け、かつ、より正しい双極子源位置を得るために新たな双極子源の推定方法を開発した。

 本方法では、回転双極子推定の評価関数にモーメント値とSN 比を含む項を加えた。通常の評価関数を使った場合には受け入れがたい解を与えるような模擬MEG応答から、2個の電流双極子を求めることができた。応答のSN 比が10以上であれば、推定された双極子と真の双極子との位置の誤差は5mm 以内である。

 図2は、本方法を高次脳機能解析のための脳磁界応答に適用した例である.左側頭から得られた応答波形の潜時200〜240msec に見られる成分を通常の単一および二電流双極子推定を用いて解析すると,視床付近の正中線上に特異電流双極子が生じた.本方法で同じ成分を二電流双極子推定した場合には、左側頭前方底部のブロードマンの38 野付近(D1)と,左上側頭溝深部付近(D2)に位置した.今後さらに検討を重ねることで言語処理過程に関する新たな知見が得られる可能性がある。このように本方法を使うことで、実際のMEG 応答から、受け入れがたい解を得てしまう可能性を減らせる。

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