<東京大学大学院のホームページより>

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脳波および脳磁図による脳機能解析

脳磁図計測,MEG(magnetoencephalography)は脳の電気活動に伴って発生する 100fT(フェムトテスラ)オーダの微弱な磁気信号を高感度磁気センサ SQUID(superconducting quantum interference device)によって計測する技術であり,その計測された信号波形は脳磁図MEG(magnetoencephalogram)と呼ばれる. MEGは非侵襲的に,msecオーダの高い時間分解能およびmmオーダの高い空間分解能で脳の電気活動を検出できるので特にヒトの脳機能研究に有用であり,記憶や認知といった脳の高次機能を調べるのに適している.1972年,Cohenがヒトのアルファ波に対応するMEGをZimmermanの試作によるSQUIDで測定してはや1/4世紀が経過した.しかし,頭のまわりをすっぽり覆う多くの測定点で同時に計測できる全頭型のMEGシステムが本格的に実用化になったのはここ4〜5年のことである.特に,ここ2〜3年の間に全頭型MEGシステムが各地で導入されるようになり,脳機能研究に一段と拍車がかかってきている.

脳磁図の順問題と逆問題は測定されたMEGのデータから脳機能局在を推定するための不可欠の技術であり,多くの研究がなされてきた.Uenoらはヒトの短期記憶や認知,心的回転などに伴うMEGを測定し,電流双極子および広がりを持った脳内電源モデルを用いて,それらの脳内情報処理過程の脳機能局在の推定を行ってきた.その結果,例えば大脳皮質一次視覚野に局限した,潜時約150msecの視覚誘発反応の電源は電流双極子モデルで比較的よく記述できるが,潜時約 180msec以上の心的回転タスクに伴う脳磁図の電源推定には広がりを持った電源モデルが有用であり,電源の集団が後頭葉から後側頭葉に時間とともに移る様子を脳機能局在のイメージングとして捉えることができた.

MEGは脳の基礎研究のみならず,臨床診断にも有用であり,そこでは,てんかんスパイク波の検出をはじめ,脳腫瘍や脳血管障害に伴って出現する徐波,更には,事象関連電位等に伴う超低周波の脳電気活動の磁気計測が行われている.

脳磁図計測では,特定の高次脳機能をよりよく抽出するためのパラダイムや脳のダイナミックな機構を理解するための新しいパラダイムの構築と,それに適した計測手法の開発が重要な課題である.また,雑音の大きい,すなわち,信号対雑音比が極端に小さい信号の電源推定や広がりを持つ電源推定のための信号処理技術と逆問題手法,およびそのためのよりよい脳内電源モデルの構築が更に重要であろう.脳磁図の逆問題解法の重要な課題として,頭の形状や頭の中の導電率の不均一性,神経細胞の配列,さらには,介在ニューロンや視床-皮質特殊投射系などを考慮し,複雑な脳神経細胞群の電気生理学的特性をよりよく表現する電源モデルを構築することなどが挙げられよう.

上野照剛:応用磁気研究会資料(1999年)より
磁気刺激と脳波の同時計測 306ch SQUID磁束計

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生体情報学教室
東京大学大学院 医学系研究科 生体物理医学専攻 医用生体工学講座
東京大学大学院 工学系研究科 電子工学専攻
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