民法の基礎知識@

契約の主体

・ 契約の主体には自然人と法人があります。

民法第3条1項 「私権の享有は、出生に始まる。」

権利能力・・・私法上の権利義務の主体となる資格。

意思能力・・・有効に意思表示をする能力

行為能力・・・社会のルールを理解して判断する能力。

・行為能力が十分でない人を保護するために行為能力制度があります。

契約の成立

・ 契約は当事者間の合意によって成立する法律行為です。

意思表示 ・・・・・ 動機  → 効果意思  → 表示意思  → 表示行為

☆ 意思表示の5つの概念

@心裡留保(93条) A虚偽表示(94条) B錯誤(95条) C詐欺(96条) D強迫(96条)

・ 表示の錯誤と動機の錯誤を峻別し、動機の錯誤は 原則として要素の錯誤にならないとしている。

・ 錯誤無効の主張は、原則として、表意者のみが主張できる。

・ 全く選択の自由を失った場合は意思が存在しないので、意思表示は無効である。

・ 強迫による意思表示を取消した場合、取消し前の第三者は善意・無過失でも保護されません。

意思主義と表示主義

内心の意思を重視するのが意思主義であり、たとえ表示に対する意思がなくても意思の表示とみられるものがあれば有効な意思表示と考えるのが表示主義である。意思表示をした本人の利益を考えれば意思主義が望ましいが、取引の安全を考えると表示主義が望ましい。どちらに重点を置くかで解釈に違いが出ます。

・ 法律の適用は“表意者の保護と取引の安全とのバランス”を考えて個別に判断します。

善意の第三者の保護に関しての二つの立場

@ 対抗問題アプローチ・・・登記の前後で優劣が決まる  

A 公信力アプローチ・・・民法第92条2項の類推適用

[民法第92条2項の類推適用]

・ 保護される第三者は善意でなければならない。(判例の立場)

・ 保護される第三者は善意に加えて無過失でなければならない。(有力な学説の立場)

権利外観法理 (表見法理)

・ 真の権利者が自分以外の者が権利者であるような外観を作り出したときは、それを信頼した第三者は保護されるべきであり、自ら外観を作った権利者は権利を失ってもやむを得ないというものである。

・ 権利外観法理そのものを一般的に定めた条文は存在しないが、民法94条2項を類推適用するという形で、同原則の適用がなされています。

・ 第三者の範囲には相対的構成と絶対的構成とがあり絶対的構成が妥当である。

・ 不動産の買主が民法94条2項の第三者として保護されるためには、登記は不要である。

・ 権利外観法理が適用されるのは不動産に関しての場合がほとんどである。理由は不動産の登記に公信力がないことが関係している。

 

法律を適用するにあたって善意であるのか(その事実を知らない)悪意であるのか(その事実を知っている)は重要な意味を持ちます。

代 理

・ 代理権を持った代理人が本人に代わってした行為は本人に帰属します。

◎ 無権代理 (民法113条)

・ 代理権のない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ効力を生じません。

◎ 表見代理

・ 代理権を持っているような外観を信じて取引した相手方は保護され効果は本人に帰属します。

・ 表見代理の根拠は権利外観法理 (民法94条第2項) にあります。

1. 代理権授与の表示による表見代理  (民法109条)

2. 代理権踰越による表見代理  (民法110条)

3. 代理権消滅後の表見代理  (民法112条)

   

法 人

・ 法人には社団法人と財団法人があります。

民法第44条1項 「法人は、理事その他の代理人がその職務を行うことについて他人に加えた損害を賠

            償する責任を負う。

・ 法人が44条1項で不法行為責任を負うとき、その職務を行った理事その他の機関も民法709条の不法行為責任を負う。両者の責任は共同不法行為の関係にあるから、不真性連帯債務であり、被害者はどちらに対しても全額の請求ができる。法人が賠償した場合は、機関に法人との関係で委任契約上の義務違反がある限り、法人は債務不履行を理由に理事に対して弁済を請求することができます。

民法第52条   「法人には、一人又は数人の理事を置かなければならない。

           A 理事が数人ある場合において、定款又は寄付行為に別段の定めがないときは、法

           人の事務は、理事の過半数で決する。

民法第53条   「理事は、法人すべての事務について、法人を代表する。ただし、定款の規定又は寄付

           行為の趣旨に反することはできず、また、社団法人にあっては総会の決議に従わなけ

           ればならない。」

当事者にかかわる一般的有効要件

 当事者が自然人である場合、意思能力と行為能力が必要です。意思能力を欠くと、契約成立の要素である申込みや承諾の意思表示が無効となり、契約は有効に成立しません。行為能力が制限されると、意思表示は取り消しうるものとなりますが、取消権が行使されると、やはり申込みや承諾が遡って無効となるので、契約も効力を失うことになります。

契約内容についての一般的有効要件

@確定性 A実現可能性 B適法性 C社会的妥当性 を欠いた契約は無効です。

有効要件を欠く場合の効果

1.無効 2.取消し  の2つがあります。

取消しの効果

民法第121条 「取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。ただし、制限行為能力者

                       は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。」

 

◆ 無効とされる意思表示

1.内容の不確定 2.原始的不能 3.強行規定違反 4.公序良俗違反

5.意思無能力 6.心裡留保 7.虚偽表示 8.錯誤

9.無権代理

◆ 取り消しうる意思表示

1.成年被後見人 2.被保佐人 3.被補助人 4.未成年者 (制限行為能力者)

5.詐欺 6.強迫

(注) 強迫・・・民法上、無理強い  脅迫・・・刑法上、おどし

契約の効力の発生時期

・ 契約の効力の発生時期に関して「条件」・「期限」・「期間」を設定することができます。