民法の基礎知識A

 時効の存在理由

1. 長期にわたって存続している事実状態を尊重し現在構築された社会秩序の安定を図る。

2. 過去の事実の立証が困難なことなどにより真の権利者から解放されたものを保護する。

3. 権利の上に眠るものは保護に値せずという理由から現在の法律関係を支持する。

☆ 債権の消滅時効

・ 債権は10年間行使しないと消滅します。

☆ 時効の援用

・ 時効であることを意思表示すること。

・ 時効は援用されなければ裁判所は取り上げません。

☆ 時効の中断

・ 債権者が、権利を行使したときには、それまでに進行した時効の期間がリセットされるという制度。

☆ 時効の中断事由

1.裁判所が関与する請求 2.差押え、仮差押え又は仮処分 3.承認 の3つがあります。

・ 裁判上の請求は「訴えの却下又は取下げの場合」には時効中断の効力は生じません。

☆ 除斥期間

・ 一定の期間に権利を行使しないと権利が消滅する期間であって中断も援用もありません。

法律要件としての契約

・ 法律学では、権利義務の変更を生ぜしめる原因を「要件」、結果を「効果」と呼びます。

(例) 契約という「法律要件」によって私権の変動という「法律効果」が生じたと表現します。

   

物 権

・ 人の物に対する権利を物権と呼びます。

・ 物権は占有権と本権に分けられ本権は所有権と制限物権に分けられます。

・ 所有権を制限する制限物権には用益物権と担保物権があります。

◎ 用益物権

・ (地上権)(永小作権)(地役権)(入会権)

◎ 担保物権

・ 約定担保物権 (質権)(抵当権)  ・ 法定担保物権 (留置権)(先取特権)

・ 抵当権は目的物を担保権者が占有をしないところに特色があります。

◎ 所有権

民法第206条 「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及びその処分する 

          権利を有する」

・ 民法は、所有権の対象となる客体を「物」と称し、「物」とは有体物をいいます。

・ 「物」は動産と不動産に分けられます。

・ 「土地及びその定着物」は不動産とされ、不動産以外のものはすべて動産とされます。

☆ 所有権の取得

承継取得 @契約によるもの A相続と遺贈

原始取得 @取得時効 A即時取得 B無主物先占 C遺失物拾得 D埋蔵物発見

        E付合 F混和 G加工

物権的請求権は相手の故意・過失に関係なく権利の実現が妨げられた場合発生します。

1.返還請求権 2.妨害排除請求権 3.妨害予防請求権 の三つがあります。

・ 返還請求権の行使にあたり相手方との次のような利害調整が必要となります。

@果実の扱いについて   A費用の扱いについて(必要費と有益費)

◎ 悪意の占有者による果実の取得等

民法第189条 「善意の占有者は、占有物から生ずる果実を取得する。

          A善意の占有者が本権の訴えにおいて敗訴したときは、その訴えの提起の時から悪意

          の占有者とみなす。」

◎ 悪意の占有者による果実の返還等

民法第190条 「悪意の占有者は、果実を返還し、かつ、既に消費し、過失によって損傷し、又は収取を 

          怠った果実の代価を償還する義務を負う。

          A前項の規定は、暴行若しくは強迫又は隠匿によって占有をしている者について準用す

          る。」

◎ 占有者による損害賠償

民法第191条 「占有者が占有者の責めに帰すべき事由によって滅失し、又は損傷したときは、その回

          復者に対し、悪意の占有者はその損害の全部の賠償をする義務を負い、善意の占有者

          はその滅失又は損傷によって現に利益を受けている限度において賠償する義務を負う。

          ただし、所有の意思のない占有者は、善意であるときであっても、全部の賠償をしなけれ

          ばならない。」

◎ 占有者による費用の償還請求

民法第196条 「占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の

          必要費を回復者から償還させることができる。ただし、占有者が果実を取得したときは、

          通常の必要経費は、占有者の負担に帰する。

          A占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格

          の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増加額を

          償還させることができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求に

          より、その償還かについて相当な期間を許与することができる。」