民法の基礎知識D

■ 損害賠償

民法には次の二つの損害賠償請求があります。

債務不履行による損害賠償請求

民法第415条 「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、

                        これによって生じた賠償を請求することができる。債務者の責めに

                        帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様

                        とする。」

債務不履行には次の3つがあります

    @ 履行遅滞 A 履行不能 B 不完全履行

債務不履行に対しての法的措置

    @ 現実的履行の強制 A 契約の解除 B 損害賠償請求

 ☆ 債務不履行による損害賠償請求権は10年で消滅時効にかかります。

        

不法行為による損害賠償請求

民法第709条 「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵

                       した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」

不法行為の成立要件

    @ 故意又は過失があること

    A 権利が侵害されていること

    B 因果関係があること

    C 責任能力があること

不法行為が成立しない五つの違法性阻却事由

     1. 正当防衛   2. 緊急避難   3. 被害者の承諾 

     4. 正当業務行為   5. 自力救済

 ☆ 不法行為による損害賠償請求権は3年で消滅時効にかかります。

   

■ 債権の実現

   弁済  代物弁済   供託  相殺  更改   免除  混同

   弁済は金銭の支払いに限らず不動産の引渡しや登記の移転も弁済になります。

     債務の本旨に従った給付をなすことが弁済であり履行と同じ意味に考えてよい。

■ 金銭債権の実現(債権回収)

   債権譲渡  相殺   代物弁済 

    [典型担保物権]

     ・ 留置権 ・ 先取特権  ・ 抵当権  ・ 質権

    [非典型担保物権]

     ・ 譲渡担保 ・ 仮登記担保 ・ 所有権留保

■ 責任財産の保全

債権者代位権

     債務者が権利を行使しないときに、債権者が代わってその権利を行使すること。

債権者取消権

     債務者が財産を減少させるような法律行為をしたときに、これを取り消すこと。

  [詐害行為]

     債務者が債権者を害することを知ってした行為。(取消しを裁判所に請求できます)

  [仮差押え] (民事保全法)

    財産保全のため債務者の財産処分を暫定的に禁じる措置。(裁判所に請求)

  [求償権]

  保証人が主たる債務者に代わって弁済した場合は主たる債務者に対して弁済額全

  部につき求償できます。

  [通知義務] 

  どの類型の保証人も弁済をするに際して主たる債務者にその旨を通知する義務が

   あります。債務者の二重弁済を防ぐためです。

  [債務名義] 

  債権の存在を明らかにし、強制執行の根拠となる証書で下記のもの

   1. 確定判決が最も代表的なもの  2. 仮執行宣言を付した支払督促 

   3. 執行受諾文書記載のある公正証書

        

■ 連帯保証

   保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担する旨合意した保証で、格別な様式

    はなく保証契約書に連帯保証である旨が書かれていればよい。主たる債務者の商

    行為または保証が商行為であるときは常に連帯保証となります。

■ 抵当権

 目的物を占有を移転しない非占有担保物権です。

登記・登録による公示が可能なものに限ります。(典型は不動産)

抵当権設定者と抵当権者の間の設定契約によって設定されます。

実行の段階では優先弁済権を発揮します。

民事執行法に基づき執行裁判所の監督のもと実行されます。

抵当不動産の競売によって抵当権者が優先弁済を受けます。

物上代位

    抵当目的物が賠償請求権や火災保険金請求権に姿を変えた場合には、これらの請

    求権に抵当権が及ぶこと。

■ 訴 訟

  強制力を持って債権の現実的実現を達成するためには、「民事訴訟法」による

   裁判手続きが必要です。「民事保全法」「民事執行法」の理解も必要です。

民事訴訟の流れ      保全 ⇒ 訴訟 ⇒ 執行

    法律適用の裏付けとなる「証拠」を基に事実を立証します。