相続実務の内訳A                  遺産分割・預金凍結解除・相続登記

6. 遺産分割協議書の作成

遺産分割協議書の作成は相続人調査と相続財産調査の集大成ですので慎重に作成しましょう

遺産分割基準  民法第906条

「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状況

その他一切の事情を考慮してこれをする。」

・ 遺産分割協議は相続人全員が参加して遺産分割の合意点を見つけます

・ 行政書士は公正中立な立場で民法等の解説をさせて頂きます

・ 遺産分割協議に参加できるのは「相続人のみ」です

・ 遺言書のある場合は遺言の内容が優先しますのでそれに従って手続きをして下さい

・ 遺言書があっても遺産分割協議書で相続人全員が合意すれば協議書が優先します

・ 遺産分割協議はお互いに歩み寄る努力がないとなかなかまとまりません

・ 親族間でお互いに感謝の気持ちが存在する限り争いになることはまずありません

・ 遺産分割は「法律より常識で判断」した方がうまくいく場合もあります

・ 遺産分割協議で確定した内容はほとんど覆せないのでよく考えて作成しましょう

・ 相続人が未成年者の場合は家庭裁判所で特別代理人を選任してもらいます

・ 相続人が未成年者の場合の親で子どもと利益相反しない場合は親権者として参加できます

・ 相続人が未成年者の場合の親が子どもの「相続分不存在証明書」を親権者として提出できます

・ 相続人の意識が明瞭でない場合は家庭裁判所で成年後見人を選任してもらいます

上手に預貯金解約手続きを行う為に「代表相続人がする旨」を記載しておくと良いでしょう

・ 相続人全員の意見が納得がいくものにまとまれば「遺産分割協議書 」を作成します

誰がどの財産を取得するのか明記し各相続人が署名し実印を押し印鑑証明書を添付します

・ 相続人が各地に散らばっている場合は同一の遺産分割協議書を郵送して回収する方法もあります

・ 関係の薄い相続人に押印等をお願いする場合は心をこめた依頼文にしましょう

・ 相続人が海外在住のときは印鑑証明書の代わりに日本領事館で「サイン証明」をもらいます

・ アメリカ合衆国の場合は現地公証役場の証明でも良い場合があります (法務局で確認)

・ 相続人間で話し合いがつかない場合は家庭裁判所へ調停の申立てをします

・ 調停が不成立となった場合は自動的に審判手続が開始されます

「遺産分割協議書」は預貯金の凍結解除や相続登記、相続税の申告に必要となります

代償分割とは

特定の相続人が他の相続人に対してその代償分を特定の相続人固有の現金等で支払います

土地や建物を分割せずに特定の相続人に継がせたい場合に利用します

・ 代償に充てる財産は死亡保険金でも可能です (相続対策として有効です)

遺産分割協議書にそのことを記載しておきます

代償分割の課税関係は少し複雑になるので注意が必要です

   

7. 預貯金等の凍結解除

被相続人の口座のある金融機関等の窓口に申請します

誤った預金の払戻し手続きをすると銀行等の責任問題にもなるので厳格な取扱いになります

各銀行等所定の申請用紙がありますので手続き内容をよく聞いて漏れのないようにしましょう

相続人全員で作成した「遺産分割協議書」でも預金の凍結解除は可能です。

・ 今までに収集した戸籍や印鑑証明書等、相続関係説明図、遺産分割協議書は全て使えます

戸籍等の証明書類は各金融機関でコピーしてもらい原本は還付してもらいます

・ 被相続人の預金通帳や印鑑・カード、証券会社からの郵便物 も持参しましょう

相続人代表者は1度は銀行窓口へ出向く必要があります

相続人代表者の印鑑証明書及び実印と解約した預金を振り込む通帳も持参しましょう

・ 本人確認の為に窓口に来た人の運転免許証等が必要です

預貯金等の凍結解除は考えている以上に時間を取られます

・ 金融機関によっては凍結解除になるまで数週間かかることもあります

・ 葬式費用は先取特権として場合によっては融通してもらえる金融機関もあります

8. 相続登記 (土地・建物)

・ 相続登記は相続不動産を管轄する法務局に所定の書類を揃えて申請します

・ 今までに収集した戸籍や印鑑証明書等、相続関係説明図、遺産分割協議書は全て使えます

相続登記終了後に戸籍等の書類の原本は還付してもらえます

・ 相続する土地・建物の登記簿謄本と固定資産評価証明書を各1通用意して下さい

・ 相続登記にも相続人の戸籍謄本、戸籍の附票、遺産分割協議書等が必要です

・ 相続登記には期限はありませんが早めにしておいたほうが後々トラブルが少なくて済みます

・ 相続登記は通常の場合問題がなければ申請してから1週間程度で終了します

・ 相続不動産が遠方にある場合は通常よりも時間がかかります

相続の登録免許税は固定資産税評価額の1000分の4です

・ 相続による所有権移転の登録免許税は売買 (税率1000分の13 ) に比べると優遇されています

・ 不動産取得税 (課税価格の3%) は相続による所有権移転の場合はかかりません

・ 不動産を取得された相続人は取得後固定資産税がかかります

・ 固定資産税は固定資産税評価額の1000分の14です

☆ 民法と登記実務では相続の取り扱いが異なる部分があるので注意が必要です

相続登記には司法書士報酬及び登録免許税がかかります

   

遺産分割の効力  民法第909条

遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を侵害することはできない。

相続放棄 民法第938条〜民法第940条

・ 相続財産が借入金等と相殺してマイナスになるようなら相続放棄の手続きをしましょう

・ 相続放棄した者はその相続に関しては初めから相続人でなかったものとみなされます

・ 相続放棄の申述は相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内にします

・ 相続放棄は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます

・ 相続放棄のような身分行為は詐害行為取消権の対象にはなりません

・ 相続放棄の申し立ては被相続人の死亡後でないと認められません

・ 相続放棄には死亡、欠格、廃除と異なり代襲相続はありません

※ 被相続人の預貯金を引き出して使う等の処分行為があると認められないので注意しましょう