相続実務の内訳B                         財産評価・相続税申告

9. 被相続人の所得税準確定申告及び納付 (4ヶ月以内)

・ 所得税の準確定申告書は被相続人の住所地を管轄する税務署に提出します

忘れずに申告納付しましょう

10. 相続財産の評価

土地(宅地)の評価がその中心となります

・ 相続税を計算する場合は固定資産税評価額ではなく相続税評価額で評価します

宅地の評価には「路線価方式」と「倍率方式」があります (税務署の資産税課で調べます)

・ 路線価とは相続税や贈与税を算出する時に基準となるもので公示価格の約8割が目安です

・ 国税庁が毎年7月頃1平方メートル当たりの路線価を発表しています

財産評価基準書 (土地の路線価図・評価倍率表)

・ 小規模宅地や事業用の土地については評価の減額措置があります(住民票と戸籍の附表が必要)

・ 宅地評価の調整計算には次のようなものがあります

@奥行価格補正 A側方路線影響加算 B二方路線影響加算 C三方又は四方路線影響加算

D不整形地補正 E無道路地補正 F間口狭小地等補正 G崖地等補正

・ 借地権の評価は国税局長の定める借地権割合を自用地評価額に乗じて計算します

・ 貸家建付地(アパート等の立つ土地)は上記算出額に借家権割合を乗じて計算します

・ 建物の評価は固定資産税評価額で評価します

・ 預貯金等の金融資産は株式を除いては評価するまでもありません

・ 株式等の評価については「財産評価基本通達」を見て研究してみましょう

11. 相続税の申告及び納付 (10ヶ月以内)

・ 相続税の申告書は被相続人の住所地を管轄する税務署に相続人が共同して提出します

・ 相続税の申告にも相続人の戸籍謄本、戸籍の附票、遺産分割協議書等が必要です

・ 今までに収集した戸籍や印鑑証明書等、相続関係説明図、遺産分割協議書は全て使えます

日本の税法は大変良くできているので目先の節税ばかりに気を取られないようにしましょう

相続税の計算

・ 相続財産が基礎控除以下なら相続税はかかりませんが心配な方は税務署で確認して下さい

◎ 相続税の基礎控除額

   5000万円+1000万円×法定相続人の数

   (注) 相続放棄があった場合もなかったものとして相続人の数に含めます

・ 生命保険金や退職手当金も「みなし相続財産」として相続財産に含まれます

・ 生命保険金や退職手当金にも非課税部分があります

・ 無制限納税義務者が葬式費用を負担した場合は相続財産から控除されます

・ 被相続人に借入金や未払金等の債務がある場合は相続財産から控除されます

・ 相続債務は民法と税法では取扱いが異なります

・ 法定相続人が法定分割をしたものとして「相続税の総額」を計算します

 (注) 相続放棄があった場合もなかったものとして法定相続人に含めて計算します

・ 相続税の総額を各相続人の取り分で案分し「各人の納付する相続税額」を算出します

配偶者には法定相続分か1億6000万円かのいずれか多い金額までは税額の軽減があります

配偶者の税額軽減を受けるには相続税の申告期限までに遺産分割が確定している必要があります

・ 遺産分割の確定には登記までは要求されません

・ 被相続人の一親等の血族及び配偶者以外は算出相続税額の20%が加算されます (代襲相続は除く)

・ 相続人が未成年者や障害者に該当する場合にはそれぞれ一定額の税額控除があります

財産の散逸を防ぐため相続税の補完税として贈与税が設けられています

「前3年以内の贈与加算」や「相続時清算課税制度」にも注意しましょう

・ 相続税には延納や物納制度があります

・ 相続税法第34条第1項には「相続税の連帯納付義務」があることに注意しましょう

☆ 民法と税法では相続の取り扱いが異なる部分があるので注意が必要です

相続税申告には税理士報酬及び相続税がかかります

   

特別受益  民法第903条1項

相続人の中に、被相続人から遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けたものがあるときは、その遺贈・贈与を考慮して相続分を決めます。

相続登記上「相続分不存在証明書」を添付することができます。(近年の利用は減少傾向)

寄与分  民法第904条2項

被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは 寄与分制度(昭和55年新設)によって利益を受けることができます。寄与分は、まず、共同相続人間の協議で決め、その協議が調わないか、協議ができないときは、家庭裁判所で決めてもらいます。

(注) 相続人に限ります。

遺留分減殺請求権  民法第1028条〜民法第1044条

相続人には遺言があっても侵害することのできない権利として、法定相続分の2分の1が遺留分として認められています。

(注) 相続人が兄弟姉妹の場合は遺留分はありません。

遺留分減殺請求権は1年の短期消滅時効に服します。 (除斥期間は10年です)

遺留分減殺請求権の行使は、受遺者や受贈者に対する権利者の一方的な意思表示であり、裁判外でもできます。

遺留分減殺請求権は良好な親族関係を壊す恐れもありますので良く考えてから行使しましょう