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‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐【教育コミニュケーションエクササイズ研究会】‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


Gameを使ったグループカウンセリング

はじめに
 文化の中のGameとか、教育的側面から捕らえたGameとかいう面を深く考えていくと、「競争原理」という問題にぶつかります。本稿ではGameを単なる「他人との競争」という観点から開放して、仲間とのふれあいや協力、協調性・協同性を培う教育の材料や自己を見つめ直す機会として提案したいと思います。即ちそれは「自分自身への挑戦と問いかけ」であり、「過去の自分との競争」と言い換えても良いと思います。
 P・J・ホイジンガは、名著「ホモ・ルーデンス(遊ぶ人間)」という本の中で、「文化は遊びの中に、遊ばれるものとして生まれた」と言っています。一見たわいもない遊びは、こうした面からとらえるとなかなかに奥深いものです。例えば言葉の問題を取り上げてみましょう。欧米で言うGameの邦訳は「試合」や「遊び」です。「Play a Game」ですから、Gameの上位概念をPlayとすると、Playの邦訳は「遊び」になり、全く分けが分からなくなってしまいます。つまり日本には欧米で言うGameやPlayに完全に合致する概念が存在しないのです。これはどういうことでしょうか。名著「甘えの構造」の著者である土居健郎氏や日本の心理学の重鎮である河合隼雄氏や国分康孝氏などの研究で、日本の「遊び」や「ゲーム」のルーツは諸外国と大きく異なり、「遊び=酒席」という図式があることが分かっています。つまり「遊びと酒席の密接なつながり」という国際標準から見ると珍しい日本の遊び文化は、遊びが宴会での盛り上げという役割によって主に存在していたことによるというのです。昔は「幇間」(ほうかん)という宴会での職業的遊ばせ屋や、接待やご機嫌伺い専門の「下江」(かえ)といういわゆる宴会課係員の侍などが、珍妙な仕草や服装で人を笑わせるために、自らを道化役として卑下したりするものでした。相対的にお客や上司の地位が上がり自意識が満足されるというもので、「身分の上下関係で遊ぶ」というような民主主義とはどうも遠い文化のようです。これが、諸外国から「日本人は遊び下手な国民」と評価される背景の一つといわれています。実際「ゲーム」と呼ばれるものの大半は現在でもなお宴会ゲームであり、こうした日本の伝統的な「遊び」や古い身分の人間関係が生きているものが多いのです。
 ここに紹介する「Game」(”ゲーム”ではない)は、自由で平等で、近代的な人間関係を前提としたものばかりです。どんな人も一個の人間として尊重され、対等な資格を持った存在です。これからの本格的国際化社会をむかえて日本の様々な基準も国際基準にシフトする必要に迫られています。旧態然とした遊びやゲームも同様に国際標準のGameやPlayにする必要があります。ホイジンガは「ホモ・ルーデンス(遊ぶ人間)」の中で「遊び上手であるかどうかは社会の文化の高さを表す指標である」としています。こうした前提のもと、新たな出会いや平等の人間関係の構成やネットワーク化を楽しむ媒介としての価値に焦点化したGameの世界に一人でも興味を持つ人が増えることを願っています。
 本稿は「その1〜グループカウンセリングの方法〜」でに、グループカウンセリングの基本的な流れを説明します。特に話し合いの場面では自己概念のセルフチェックを行いそれをもとに進めるのですが、そのフォーマットについては紙面の関係で、特にここでは挙げず別の機会に紹介したいと思います。次に「その2〜アクティビティの種類〜」活動例を紹介します。活動例は野外で行うことを前提としたものを集めました。キャンプなどでも利用できるように配慮したつもりです。また、活動は概ね青少年を対象とし、体力的には負担の多いものも幾つか含まれます。最後に「その3〜エンカウンターグループのやり方〜」で、グループカウンセリングの中で自己概念の統合(自己同一性)に主眼をおき、話し合い活動中心に実施されるロジャース型エンカウンターグループ(出会いのグループ、Encounter Group)について説明します。

その1〜グループカウンセリングの方法〜
 ここで述べるグループカウンセリングとは、主にスキナーの行動学的カウンセリングの理論に基づいたものです。また、10人前後グループを単位として、身体活動を話し合いでサンドイッチするように構成します。単独の身体活動をいちいち話し合いでサンドイッチする形と、最初に話し合い活動を行った後に様々な身体活動を連続して行い、最後のまとめで再び話し合いに戻る形とに大別されます。小学校低学年の場合は同一の活動を繰り返し行った方がよい場合が多いことも確かめられています。進める場合に守るべき2つの原則があります。一つに目はチャレンジバイチョイスと呼ばれています。これは、その活動に挑戦するかどうかはその人個人の勇気によって決められるべきものであり、決して他人に強要されるものではないということです。二つ目にはフルバリューコントラクトと呼ばれています。その人の持つ全ての価値を尊重する契約というものです。特に安全という面には注意が必要です。もちろん物理的安全は含まれますが、もっと重要なのは心理的安全です。ここでは何を言っても、失敗しても、笑っても笑われても全てが認められるのだという価値尊重の契約です。この2つの原則を破った場合には即座に活動を中断してそのことを指摘すべきです。
 話し合いそのものの名称ですがブリーフィング、シェアリング、ディスカッション、フリートーキングなど各研究分野によって呼び分けられています。個人的にはブリーフィングとディ・ブリーフィングという名称を使用しています。どの名称であっても共通で含まれる要素は 1,活動目的や内容の指示と説明 2,自己表出を中心としたお互いの気持ちや思いの分かち合い 3,活動の追体験 の3つであり、どの部分を強調するかによって名称が異なっているようです。一般的にブリーフィングでは活動目的を説明し活動のやり方を指示します。ディ・ブリーフィングでは活動を思い返して追体験し、お互いの思いを分かち合います。
 指導者ですが、カウンセラー、ファシリテーター、リーダーなど、やはり研究分野によって呼び分けられていますが、個人的にはカウンセラーという名称を用いています。カウンセラーの役割は1,必要な情報を必要に応じて提供する 2,観察し自身を見つめる引き金となる言葉を提供する 3,安全を確保する にまとめられます。但し来談式カウンセリングの場合と違って非指示的態度にこだわらず、必要に応じて適宜発言し介入します。
 活動は、エクササイズ、アクティビティ、プレイサブスタンス、などと呼ばれます。個人的にはアクティビティの用語を使用しています。アクティビティには、緊張の緩和のためのレクリエーションゲーム、グループの協調性や凝集性を高めるためのイニシアティブゲーム、グループトレーニングのために討議を中心においたグループワーク、自然とのふれあいをするためのネイチャーゲーム、治療や個別カウンセリングの手法としてのゲーム、自己啓発や自己概念の変容に主眼をおいたアドベンチャーゲーム、などがあります。このそれぞれはについて専門的な指導理論や研究が展開され、若干の私見も持っておりますがここで詳しく解説する事は紙面の都合で行いません。アクティビティを連続させる場合、いわゆる「起承転結」、あるいは「前段、本論、後段」といたメリハリをつけることが必要です。一般に 1,個人で活動量の大きいアクティビティにより緊張を緩和したり心の防衛壁を下げる 2,自己紹介等でグループの枠組(フレーミング)を構成する 3,運動量の大きいグループ毎の活動 4,話し合い活動の大きいグループ毎の活動 という流れに構成します。また、アクティビティを独立させる場合は、サーキュレーションプログラムとかウエーブプログラム、フィードバックプログラムなどといって、最初のアクティビティのディ・ブリーフィングが次のアクティビティのブリーフィングになるようにします。
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