50BM8超三結アンプ(2004/01/19)

【1】12AU7PPQRPアンプの製作

【2】50BM8超三結アンプの製作

【3】2A3プッシュプルアンプの製作

【3】6V6GTシングルアンプの製作

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外観写真
50BM8超三結アンプ
マジックアイによるレベルメータ付き。
 

50BM8について

今から20年以上前の高校生の時、50BM8PPアルテック型ステレオアンプを組んだことがあります。トランジスタアンプ用の電源トランスを倍電圧整流で使った小型でなかなか格好の良い物でしたが当時すでに何か一昔前の音という感じで、音質的にはいまいちだった記憶があります。そんなわけで6BM8系の球はあまりいい印象はありませんが、超三結の標準アンプと言うことで作ってみました。


50BM8超三結アンプ概要

予算を2万円以内と決めて、6BM8の代わりに50BM8を使いヒータートランスを省きました。
出力トランスは小さな物を複数個使っている作例が多いのですが、シンコー(春日無線変圧器)のOUT-54B-57(定格5W)の一発にしました。
内部写真 端子が剥き出しになっているので、安全の為にテープを貼って絶縁しています。入手は困難ですが、電話ケーブルの外皮接続に使われているNTT仕様の「2保護Vテープ」を使いました。通常の電気用ビニル絶縁テープは数ヶ月もするとベトベトになるのですが、このテープだとその心配はまったくありません。何年経ってもほとんど劣化しない優れ物です。
電源トランスには6.3V端子があるので、マジックアイのヒーターに使って出力レベルメータを付けました。マジックアイはアメリカのAntique Electronic Supplyから6FG6と6DA5を購入しましたがソケットの取り付けねじを横一列にしたとき表示面が前面になる6FG6を採用しました。構造的には6DA5がアンテックです。
初段のFETはランクのみの指定でIDSSが不明でしたので、通販で10個購入したFETをデジタルテスターで測定してみました。2SK30-Yランク10個のIDSSは最小1.35mA、最大1.92mAでばらつきは意外に少ないようです。1.88mAが2個あったのでアンプにはこれを使うことにしました。
初段とレベルメータの部分は、穴あきプリント基板を切断して作りました。基盤に卵ラグを半田付けして真空管ソケットのねじで固定してあります。
シャーシーは前作(12AU7PP)と同じシリーズで大きさは10cm×25cmですが、やはり小さすぎて配線に苦労しました。(手が入りません。ピンセット必須です。)
配線用のラグは立て型ではうまく収まらない為、サトーのモールド型端子板をエポキシ接着剤で固定して使っています。部品配置を何度も絵に描いて何とか押し込みました。
電源のコンデンサーはレンズ付きフィルムからのリサイクル品です。カソードのバイパスコンデンサはチューブラ(アキシャルリード)型を使いました。これもスペースの関係からです。
FETのバイパスコンデンサは手持ちのブラックゲートを使いました。

マジックアイ お遊びのマジックアイは音量をやや上げると上下から緑色の光が派手に点滅し、なかなかユニークで楽しめます。
レベルメータの整流回路は、当初半波整流でしたが光具合が足りないので倍電圧整流にしました。

音質ですが、一日ほどエージングすると低音がよく出るようになりました。スピーカーがややビンテージ物(リチャードアレン12インチフルレンジ)なので、真空管と相性がいいのかもしれませんが、とても2400円のトランスとは思えない立派な低音です。測定上は高域があまり延びていませんが、非常に明るい高域で、中高域に多少ピークがあるような鳴り方です。好き嫌いがあるかもしれません、私はもう少し落ち着いた感じの音が好きです。総額2万円のアンプとしてはコストパフォーマンスは非常に高いと思います。メインのシステムとして使っています。


調整と測定

FETのソースの可変抵抗を0Ωにし、50BM8のカソード抵抗にデジタルテスターを繋ぎます。電源を入れると電圧が上がってきます。しばらくして電圧が落ち着いた所でソース抵抗を調整しカソード電圧を35Vにしてからいったん電源を切り、スピーカーを繋いで音を出しました。
音楽を聴きながら一日エージングした後で調整をかねて特性を測りました。周波数特性は10Hzから50kHzが-3dBになりました。意外と高域が延びていません。300kHz付近にわずかなピークがあります。出力は丁度2Wです。ダンピングファクターは約4です。
低周波発信器で1KHzの正弦波を入力し、オシロスコープで波形を観測すると、波形の上側が先にクリップするので、カソード電流を再調整しました。最終的にはプレート損失とのかねあいで40V(40mA)にしました。このときの抵抗値は約1.5kΩになりました。
さらに、1kHzの方形波を入力して、波形を観測すると、無負荷ではリンキングが発生しますが発振はしません、このとき1μFのコンデンサを入れて容量負荷にしても、波形は崩れますが発振はしません。かなり安定です。負荷抵抗(8Ω)を繋いだ状態ではリンキングは生じません。コンデンサを並列に入れても同様です。したがって、補正用のCRはどこにも付けませんでした。
残留雑音はドリフトがあり、多少多めですが真空管を左右入れ替えると雑音電圧も入れ替わるので真空管自体の雑音のようです。平滑回路にさらに100μFを加えると、0.2mV程雑音電圧が下がるのですが、取り付けるスペースがないのでそのままにしています。

・周波数特性:10Hz〜50kHz(-3db)
(1Vを0dbとして測定)
・DF:4(1kHz)
(ON/OFF法)
・残留雑音:左 => 0.9mV 右 => 0.6mV
(入力ショート、ボリューム最大、8Ω負荷 0.3mVフルスケール交流電圧計で測定)



回路図

電源のデカップリングを共通にしないで左右別々にしました。ここを共通にするとクローストークが増し低音の切れが悪くなります。出力トランスは、一次側7KΩ、二次側は16Ωに8Ωを負荷して一次3.5K相当で使っています。その他は標準回路通りです。


部品について

部品は手持ち(デッドストック)+通信販売で入手しました。総費用は2万円弱です。
全て新品を購入しても2万円以内で収まります。
50BM8はフィリップス製のマッチドペアで1800円でした。6FG6はウエスティングハウス製です。精密な作りです。

主要部品

メーカー、品名

入手先等

真空管

50BM8,6GF6

クラシックコンポーネンツAntique Electronic Supply

電源トランス

シンコー 7Z40WCD

秋葉原ラジオモール

出力トランス

シンコー OUT-54B-57

秋葉原ラジオモール

シャシー

タカチ CH 4-10-25GS

秋葉原ラジオモール

FET

東芝 2SK30ATM (Y)

サトー電気

CR類

金属皮膜抵抗、セメント抵抗等

サトー電気

電解コンデンサ

100μF330V

レンズ付きフィルムより取り外し



今回得られたノウハウ等

・配線作業は数日に分けて時間をかけてゆっくりやった方が間違いが無く良いと思います。
・配線は電源部分から始めるのが定石です。ヒーターの配線が出来たところで、一度電源を入れて、点灯するのを確認して次の行程に進みました。
・プリント基板の半田付けには、直径1mm以内の細い半田を使った方がきれいに仕上がります。
・カソード電流の調整はかなりクリティカルです。FETのソース抵抗は5kΩよりは3KΩの方が調整がやりやすいと思います。あるいは5kΩの固定抵抗を並列に入れても良いかと思います。


その後
・パワーサーミスタ追加
スイッチを入れた瞬間に50BM8のヒーターがぱぁーっと光るのが気になったのでパワーサーミスタ(石塚電子5D-11)を電源の一次側、ヒューズのすぐ後に入れました。発光現象は少しは収まるのですが完全には無くなりません。サーミスタの初期抵抗は5Ωですがもう少し大きいものが良いと思います。サーミスタの発熱はほとんど無く、両端の電圧降下は0.7V程度です。
・スパークキラー追加
電源スイッチを切るときにわずかにぷちっと音がするので手持ちのスパークキラーを付けました。
・プレート電流再調整
数時間以上連続で使うと電源トランスがすごく熱くなるのでプレート電流を再調整し35mAにしました。これで発熱はかなり少なくなりました。