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〈脱原発移行期〉の政治課題は何か
『プランB』33号(2011.6.1)に掲載

 「いよいよ『脱原発』への道が動き出した」──私が主観的願望の吐露として発言したわけでも脱原発団体のニュースからの引用でもない。毎日新聞社発行の週刊誌『エコノミスト』の特集記事からの引用である。この号の特集はずばり「脱原発」。6センチ角の大字だ(5月24日号)。
 『週刊現代』は「さらば原発 これでいいのだ」と大見出し。「【全国民必読】21世紀日本の選択 浜岡停止の次は敦賀、玄海、伊方……。この国の原発はすべて止める」と表紙に大書してある(5月28日号)。
 これより前、「朝日新聞」は「脱・依存にかじを切る」なる半分意味不明の見出しを経て「脱・原発依存」を「社説」の見出しにするところまで進んだ(5月12日号)。
 日本学術会議も脱原発にむけて動き出した(「科学新聞」4月29日号)。
 一挙的に進展することはないだろうが、今や〈脱原発〉は不可逆な動向である。事態の急展開に驚く。3・11の衝撃はかくも巨大なのである。「一つになろう日本」なる空疎な宣伝とは逆に、まさに〈脱原発〉か否かをめぐって国論は二分され、大勢は「脱原発」となる。「脱原発」と書けずにさまざまに別な言葉によって独自性を表現しようするいっさいの傾向は、時代の流れに取り残されるだけである。
 問題は大きくは二つある。一つは
〈脱原発〉の内実をどこまで拡げていけるのかであり、もう一つはこの〈脱原発移行期〉においていかなる政治課題が問われているのか、である。「脱原発イコール脱資本主義」ではないことは明白である。こういう言葉は使われていないが「脱原発資本主義」も大いにありうる(ドイツや孫正義氏を見よ)。しかし、〈脱原発〉は「脱新自由主義」の志向性を強く孕むことは明確であり、強欲な資本主義と対立する。〈被災生存権所得〉が分岐をなす論点となるが、この問題は別論することにして、後者の課題について略記しておきたい。
 日本の政治は、3・11以前から菅直人民主党政権が2009年9月の政権交代にもかかわらず、その期待を大きく裏切り、低迷していた。3・11の突発によって、政治の混迷はさらに拍車がかかっている。文字通り未曾有の〈民難〉(姜尚中氏)に直面して、後手にもたつく政権や政治への信頼はさらに低下している。菅首相の代わりに誰かが変われば何とかなる問題ではない。
 その混迷とどさくさの中で、何兆円になるか分からない災害補償や復興の資金の捻出をめぐって
税制の改革が必須となっている。累進性を強化した制度への改革が求められている。とても「消費税増税反対」だけでは対抗できない(33頁、参照)。
 「この局面でまさか」という認識も少なくないが、
選挙制度の改悪が執拗に狙われている。3の最高裁判決(衆議院選挙は「違憲状態」)をテコに一票の格差是正を御旗に、加えて「議員が身を削る」というウソによって、比例部分の削減が民主党からも自民党からも出されている。1994年の小選挙区制導入の際がそうであったように、アッという間に悪法がペテン的に国会通過となる例は少なくない。
 第三に
TPP問題がある。3・11によってそれどころではなくなり、結論先送りとなったが、参加推進論が消えたわけではない。
 第四は、
沖縄基地問題であり、第5は9条改憲である(説明省略)。
 政界再編は、「大連立」だの、小沢一郎氏の思惑などという政局話ではなく、以上の五つの争点をめぐる政策的選択と調整を軸に手探りされることになる。
 何よりも重視しなくてはいけないのは、若者の政党離れである。NHKの世論調査ではついに政党支持無しは45%と過去最高となった(5月中旬)。4月のいっせい地方選挙では民主党の惨敗の印象が強いが、共産党も社民党も地方中心の緑の勢力も大きく後退した。既成政党離れが進んでいる。どの政治勢力も根本的な反省を迫られているのだ。(村岡 到/『プランB』編集長)

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