H2Oタイトル

当社も加入している三条金物卸商協同組合で発行されている 
H2O(エッチツーオー)という広報の金物ニュースのNo.419に
「削ろう会in与板」についておもしろい記事が掲載されていましたので
筆者の方の了解を得て紹介させていただきます。
(文章は原文どおりです。)

 削ろう会 与板大会が、平成12年9月23〜24日に新潟県三島郡与板町の町民体育館で開催されました。削ろう会は、1997年2月に50名からスタート、現在は、九州の佐世保から仙台まで約600名が会員に登録しているそうです。削ろう会は、年2回開かれ、今回の与板大会が第8回目になります。
 削ろう会は、カンナを使い、削ることを楽しむ会とのことです。
 参加者が、自分のカンナを使って出した削り華を1000分の1ミリの1ミクロンまで測れるマイクロゲージを使って測ります。カンナ刃の仕込み、カンナ台の調整、カンナ刃の研ぎ出し、選りすぐった砥石、そしてそれらを統合する人の技が調和して初めて数ミクロンに削り出すことが出来るとのことです。
鋼の粒子が1ミクロン程度と考えると、カンナの持てる力を最大限まで引き出しており、ここまでの精度を出す刃物は、世界にはなく日本が飛びぬけています。しかし、木の細胞1個をあまりに薄くスライスすると、ヒノキでは削り華が紙状にまとまらずに、繊維にバラけてしまい、厚みを調べることが困難になる様です。その為、細胞が小さく細胞同士が離れにくいベイヒバがありました。参加者は思い思いの木を削って長い長い削り華を生み出していました。
 アメリカから今回の削ろう会に5名の参加があると聞きました。
 アメリカにおいても8月に削ろう会が開催されたそうです。アメリカでは日本建築の人気はたかく、日本のそれとは正反対になっています。
 全国から集まる流儀の異なる大工さんや削る技に関心のある人達、それに道具を製作している職人さん、使う人と造る人が集まり、生きた情報交換がおこなわれていると感じました。
 削ろう会の参加者には若手が多く、将来へカンナを含む大工道具を継承していく役割も果たしていると思います。
 全盛の電動工具に押されて、従来の大工道具の技術そのものが失われない様に、大工道具の良さを見なおす場として削ろう会は機能している様ですが、それよりなによりスタッフの方が「薄く削ってあそぶ会」と称されていたのが印象にのこっています。  (H)
 削ろう会は、4年程前「たたら製鉄」で知られる島根県吉田村で鉄のシンポジュームがあった際、それに参加した岡山の技術課の教員で造る「鉋塾」メンバーと、宮大工達が夜酒えお飲みながら話しているうち、少しでも薄い鉋クズを出す技を、競い合ったら面白いだろうなどと話し合い、大いに盛り上がってその日は別れたそうです。
 数ケ月たって、名古屋の宮大工、杉村さんの作業場で最初の削ろう会が開催され、以後年に二回集まって、酒を飲み、話し合い、技を競い合っているそうです。
 今回の与板大会を見に行きました。午前9時半から始まり、参加者はそれぞれ誰よりも薄い鉋クズを出そうと準備し、腕ならしを始めます。腕ならしと言っても私から見ると、薄くて向こうが透けて見えます。一枚貰って厚さを測って見ますと、『6ミクロン』これは薄いと、削り出した大工さんに伝えると、「まだまだ厚いな」と一言、ちなみに今まで一番の薄さは、『4ミクロン』との事、そこでどうしたらこんなに薄い鉋クズを出す事が出来るのか、削ろう会与板大会で頂いた資料《平台鉋の研ぎの削り》の一部を紹介します。
 鉋は、鉋刃と鉋台で出来ています。『切れ味』は鉋刃が受け持ち、『削り味』は鉋台が受け持ちます。これでおわかりの様に鉋は刃と台双方が良く出来ていて初めて薄く美しい鉋クズを出す事が出来ます。
 まず鉋刃ですが使われている鋼と地金、その熱処理が良く出来ている事を前提として、全体の造り、形状によじれ歪み、左右厚みの狂い、表に凹凸のない鉋刃を選びます。
 そして一番大事なのは研ぎです。鉋刃の研ぎの良し悪しを左右するのは砥石です。砥石を真平らにする事がまず最初の仕事です。荒砥、中砥、仕上砥を真平らにし、それぞれの砥石を使う時は必ず新しい水を使う事、荒砥、中砥に使った水は荒い砥粒が残っている為、絶対仕上げ研ぎには使わない。仕上砥で研ぐ時間も通常で10分間は研ぐ必要があり、10ミクロン以下の削りクズを出すには、熟練者が良質な仕上砥を使っても20分〜25分の時間が必要との事、削ろう会の人達が、鉋クズを『削り華』と呼ぶのもわかる気がします。
 次に鉋台は鉋刃の表がピタリと当たる様にシッカリ仕込みます。しかし強すぎると、台の表なじみが鉋刃に押されて下端の台頭側に膨れ出ます。刃を多めに出しても削れない時は、だいたいこの状態です。この様な時は鉋刃の表が当たっている。表なじみをヤスリなどで少しずつ削り落として調整し、その後鉋台の下端の台頭の膨らんでいる所を削り取り、下端定規を使って台頭側が紙一枚分位、透く様に調整します。10ミクロン以下の鉋クズを出すには、もっと色々調整をする事が有りますが、又の機会に致します。
 砥石を真平らにするには、コンクリートブロックなどを使う人も多いと思いますが、厚板ガラスと耐水ペーパーを使うのが最も確実な方法との事、耐水ペーパーの粒度は、荒砥で80番、中砥で150番、仕上砥には240番が適当です。
 刃を研ぐ場合ストローク(手の前後の動き)は短くし、砥石全体を移動しながら砥石の平面を保つ様に研ぐ事、研ぎ終えた砥石は、流水を使って砥汁を良く洗い落とし、名倉砥をかけて砥石に食い込んだ鋼や地金の微粒子を落としておく事、鉋台は、その日の気温や湿度によって、微妙に歪みが出ます。チョットおかしかったら、こまめに調整が必要と言う事です。10ミクロン以下の『削り華』を出すには、相当な苦労と努力そして忍耐力が必要と感じました。 (桜花)