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Architecture Now! file no.4
シックハウス対策、今… 2002 ■

建築の世界で今何が起きているか、何が話題になっている?





シックハウス対策、今… 2002

建物の高気密化に伴って、シックハウスをめぐるトラブルは年々広がりを見せている。社会的緊急性の高い問題として、建築基準法による規制の動きも出てきた。シックハウス対策の今はどうなっている?

「様々な対策」が商品化
シックハウス対策の基本
検討されている建築基準法の規制

念願の新居に移り住んだのはいいが、化学物質のにおいが気になって仕方がない_。このような相談が、住まいに関する苦情を受け付けている公的機関でもここ数年急増傾向にある。


●「様々な対策」が商品化 

専門家がシックハウス対策として効果があると挙げるものに「換気」がある。計画的な換気でなくとも、例えば2方向に間口がとれていればダメージはかなり軽減される。

室温を上げて建材に含まれている化学物質を強制的に揮発させる「バークアウト」と言う方法もある。ただその効果は、専門家の間でも評価が分かれる。バークアウト後の化学物質の揮発量が、バークアウト前のそれを上回ることもあるからだ。

結露対策などで35年の実績があるA社では、シックハウス対策として室内のホルムアルデヒドなどの化学物質の濃度を低減させる工事も手がけている。
同社は以前、ベークアウト作業を30件で実施したが、いずれもホルムアルデヒド濃度を厚生労働省の室内濃度指針値(0.08ppm)まで低減させることができなかった。


独自に開発した化学物質の濃度低減工事ではまず、住宅全体の表面温度を5時間40℃に暖めて温度の均質化を図ったうえで、建材に含まれているホルムアルデヒドをはじめとする揮発性化学物質を強制的に放出させる。化学物質やにおいを吸着する装置を各室に配置して処理するのが特徴だ。

施工期間は、工事前と工事後の室内化学物質濃度の調査を含め、4日間かかる。

建築条件付きの戸建て住宅を取得したある家族が、入居前の家でこの工事を実施した。
夫婦で完成間近の我が家を見学に行ったとき、有機溶剤のにおいで婦人が体調を崩してしまったことがきっかけだ。3人の子供のうち2人にアレルギー症状があったので、子供への影響を考えて一度は引っ越しの延期も検討したという。そんな折りに、A社の話を聞き、工事を依頼した。

ホルムアルデヒドは、工事前に0.22ppmと濃度の高かった3階の和室で0.04ppmとなるなど、各室の工事後濃度の低減率は平均で7割を超えた。

このほか、珪藻土など、調湿機能のある物質の中には、化学物質を吸着する働きがあると言われているものがある。ウール製品や木質系の材料、光触媒などを仕上げ面に使って、化学物質やにおいを吸着したり、分解したりする性能をうたう製品も市場に出回っている。

ただ、ホルムアルデヒドなどの除去効果については、各社が独自の基準で評価しているのが実状である。


●シックハウス対策の基本

シックハウス対策の基本
人体に有害な化学物質を含む建材の使用をできる限り抑えることにある。

廃棄物の問題と同じように、出たものをどう処理するのかという議論の前に、

いかに出さないようにするか、という議論の方が先決である。

 以下、シックハウス対策のポイントをまとめると、

 1.設計段階
  ・有害な揮発性化学物質を含まない建材の選択。
  ・通風に配慮した間取りや計画換気を採用。
  ・リフォームの場合は、既存建物の使用材料も確認。
   工事によって有害な化学物質が発生するおそれがないか検討する。

 2.施工段階
  ・現場にかかわる職人全てに、建材に含まれる化学物質が住み手にどんな影響を与えるのかに
   ついて理解してもらう。
  ・リフォームの場合は、既存建物に使用されている材料が工事によって揮発しないように養生
   する。

 3.引き渡し後
  ・においなどが気になる場合、換気などで屋外に化学物質を排出する。
  ・化学物質を吸着する製品や、強制的に排出する工法を検討する。


●検討されている建築基準法の規制

建築基準法による規制が必要だとする理由には、社会的緊急性が高いこと、つまりシックハウスが社会問題化し、トラブル件数が急激に増加していることが挙げられている。

国土交通省は緊急性が高いと見て、法案の実現を急いでいる。1月中にも社会資本整備審議会の承認を受け、2002年1月からの通常国会に法案を提出。順調にいけば初夏にも公布、1年間の猶予期間を経て、2003年初夏から厳しい建材規制がスタートするというスケジュールも考えられる。法案の国会提出を前に、1月中にも建築基準法による規制の原案が「審議会報告」などの形で公開される可能性がある。



建築基準法による規制の最大の目的は、

ホルムアルデヒドなどの有害物質を発生する建材を使えなくすること


これによって0.08ppmに代表される室内濃度基準をクリアする建築づくりを後押しする。

化学物質による室内汚染が懸念される建材は、合板、ビニールクロス、塗料、シロアリ駆除剤などである。合板はホルムアルデヒド、塗料は溶剤のトルエンやキシレン、シロアリ駆除剤は有機リン系殺虫剤、クロスは防かび剤などの添加剤が問題視されている。
そのため、ムク剤、土壁、亜麻仁油などの自然素材が見直されている。

ただ、耐久性や施工性など、化学物質なしでは成り立たないほど建材は変わった。
 

方法としては、有機物質の発生源である建材の規制を行う一方、室内濃度を下げるために有効な換気設備の設置を促す。このため建材の使用制限と換気設備の設置が二本柱として検討されている。


規制対象は住宅だけではない

住宅や学校など特定の用途に限らず、原則として全ての建築物の居室を「規制すべき空間」に含む方向で検討がなされている。だからオフィスや病院、集会施設などで法違反に問われる事態も起こり得る。
 

規制の対象は当面、ホルムアルデヒドと防蟻剤のクロルビリホスの二つ。

クロルビリホスについては使用禁止という形になりそうだ。規制に必要な知見が整い次第、トルエンなど優先順位の高い物質を追加していく予定のようである。

-建築誌抜粋-

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