『木の話あれこれ』は、日本建設新聞に連載されたものです

○.木の誕生(1) ○.森林は生きている (1)
○.木の誕生(2) ○.森林は生きている(2)
○.木と人のかかわり ○.森林と人間の文化(1)
○.日本は木の国(1) ○.森林と人間の文化(2)
○.日本は木の国(2) ○.森林と人間の文化(3)
○.更新できる資源木の育成(1)  ○.森林と人間の文化(4)船
○.更新できる資源木の育成(2) ○.森林と人間の文化(5)古代の家具
○.更新できる資源木の育成(3) ○.森林と人間の文化(6)東洋の家具
○.更新できる資源木の育成(4) ○.森林と人間の文化(7)古代の住居
○.針葉樹と広葉樹(1) ○.森林と人間の文化(8)日本の木造建築(1)
○.針葉樹と広葉樹(2) ○.森林と人間の文化(9)日本の木造建築(2)
○.針葉樹と広葉樹(3) ○.森林と人間の文化(10)日本の木造建築(3)
○.針葉樹と広葉樹(4) ○.木の工芸と文化 楽器(1)弦楽器
○.針葉樹と広葉樹(5) ○.木の工芸と文化 楽器(2)管楽器
○.優良樹を産出する日本列島(1) ○.木の工芸と文化 楽器(3)打楽器
○.優良樹を産出する日本列島(2) ○.木の工芸と文化 木彫刻
○.北海道の優良樹(1) ○.木の工芸と文化 木版木
○.北海道の優良樹(2) ○.木の工芸と文化 木製民具
○.北海道の優良樹(3) ○.木の工芸と文化 木製運動具
○.北海道の優良樹(4) ○.木の工芸と文化 木製玩具
○.北海道の優良樹(5) ○.木の工芸と文化 弓と矢
○.センは日本を代表する広葉樹 ○.木の活用 分類(1)北海道の有用木
○.北海道の主要材カラマツ(1) ○.木の活用 分類(2)北海道の有用木
○.北海道の主要材カラマツ(2) ○.木の活用 分類(3)北海道の有用木(カバ)
○.北海道の主要材カラマツ(3) ○.木の活用 分類(4)北海道の有用木(クルミ)
○.北海道の主要材カラマツ(4) ○.木の活用 分類(5)北海道の有用木(ミズナラ)
○.北海道の主要材カラマツ(5) ○.木の活用 分類(6)北海道の有用木(イチイ)
○.北海道の主要材カラマツ(6)
○.北海道の主要材カラマツ(7)  
○.北海道の主要材カラマツ(8)
   


◎ 木のはなし あれこれ

はじめに

 木材は人類にとって必須の資源である。木材はあらゆる原料の中で、人類が古くから用いてきた最も親しみ深い天然資源である。 木は人々に燃料を、道具を、食物を、そして住居を太古から提供している。文化が進むに連れて、建物大工、家具建具職人、彫刻家、楽器製作者、 工芸技術者、漆器木地師、寺社建立技術者、船大工、曳きもの師などにとって、木材はこの上なく、用途の広い材料であり、これほど愛された素材 はない。
 現代では、良い木も少なくなっているが、建築、内装、合板、積層、集成材、クラフト、フローリング、ログハウス、ヨットなどに、木程 広く使用される素材は少ない。ところが、木材の性質ということになると、その特質や可能性の固有の領域は、いまだに秘密のヴェールに包まれて いる。その自然の中で生まれた美しさや、有用性から木材の良さを認めることは容易である。だがしかし、木材がいかに、れぞれの分野で使われて いるかを知ることは難しい、例えば、船、ボート、槍、銃床、農具、高級家具、彫刻素材、漆器などについても、どんな木がどのように使用されて いたのか、という問題になってくると、詳細に理解している人は少ない。またそのような知識と経験を持っている技術者が、いかに修業を重ねて 色々な知識と技術を身に付けていったか、またその人たちが社会的にどのような地位を得ていたか、などを学び知ることは誠に難しい。

 現代の 工業技術、化学の力で木材に変る物質も数多く生まれたが、経年の中でわかる代物弁済問題もあり、改めて自然の素材の素晴らしさが理解される。 自然の驚異を知り、年月をかけた技能の素晴らしさを尊敬することを、謙虚に理解することによって、ものごとの価値判断ができる基準が確立する ともいえる。

 ◎自然の偉大な恩恵である更新できる資源木材は、まだまだ有効活用しているとは言い難く、解決しなければならない問題は沢山 残っている。ただ単に木材の活用の世界を広げるだけではなく、木材を更新できる素材として認識、木の育成、バランスの採れたの森の復元など、 更に他の生物との共生をも考えている姿勢は、砂漠のなかの一筋の清水を連想させる行動であり、この壮大な理想と目的は、今私たちが未来に 向かって成し遂げなければならない一つを道を示しています。木は化学製品万能の世界でただ一つの安心できる自然の素材として、これからます ます使用される頻度は高くなることは必至であります。現在25%程度しか有効活用されていない木の世界を拡大して、自然のサイクルを壊さない 輪を実現できればこれはまさに今世紀における一大発見といえる快挙になるでしょう。私たちは心を合わせて協力し実現していこうと思います。

      1997.6.1   木と生活文化の研究会(ウッディワールド代表) 斎藤 明男