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<歴史を学ぶことの意味>
歴史とは暗記する学問と思われがちです。確かに現在の学校での教え方やその試験の方式からはそう考えざるを得ないかもしれません。
しかし、歴史とは、「過去の出来事を掘り起こし、常に新しいものへと事実を改めながら、そこから普遍的といえる理論を見つけ出す」ものであり、実証を求められる科学に限りなく近い学問と考えるべきです。特に近代の歴史は、新しい事実が明らかになることも多く、そのたびに書き換えられ続けています。政府の機密書類が公開されたり、政権交代や革命により過去の隠蔽された事実が明らかになるなど、歴史の書き換えはこれからも続くでしょう。2009年にNHKで放映された「海軍の元軍人たちによる太平洋戦争の反省会400時間の証言」のように証言者が高齢になりやっと公開される重要な証言もあります。
しかし、そうした変化し続ける近代の歴史は学校でほとんど教えられていません。過去から順に教えてゆくと近代まで来るまでに時間なくなってしまうという時間数の問題が直接的な原因かもしれません。「大化の改新」と「ベルリンの壁」、どちらが我々の社会に大きな影響を与えているのか?それを簡単に比較するのは難しいのですが、僕は「ベルリンの壁」がなぜ崩壊したのか?そのことがどれだけ世界を変えたのか、それを知ることは「大化の改新」の年号を覚えることよりもずっと重要なことだと思います。
「ベルリンの壁崩壊」は、共産圏の地図を書き換えるきっかけとなった重要な事件でした。そして、それは腐りきっていた独裁的共産主義国家体制を崩壊させ民主化を進めるという素晴らしい結果を生み出しました。しかし、それは好結果だけを生んだわけではありませんでした。共産圏の民主化は、それまでかろうじて安定していた米ソ対立の世界構造を崩すことになります。そして、その歪により、イスラム圏と西欧資本主義圏との対立という新しい問題が生まれることになりました。
「ベルリンの壁崩壊で何が変わったのか?」
「ソ連はなぜあんなにも簡単に崩壊してしまったのか?」
「なぜアメリカはヴェトナム戦争の泥沼にはまってしまったのか?」
「なぜ日本はアメリカという巨大な国に勝てもしない戦争を挑んだのか?」
先ずは、こうした近代の歴史の重要な事件から始めて、より奥深くへと進んでみようと思います。
<歴史を学ぶことの大切さ>
北海道新聞(2008年12月14日)にTBSアメリカ総局長、金平茂紀さんの講演についての記事が載っていました。そこで彼は、歴史を学ぶことの大切さについてこう語っています。
「『言葉じゃないよ』という人がいます。でも言葉は大事です。バラク・オバマが米大統領選に勝って、シカゴで勝利演説をした。その中に「モンゴメリーのバス」「バーミンガムのホース」「テルマの橋」という言葉が出てくる。
モンゴメリーのバスは、公民権運動の発端となったモンゴメリー市営バスの出来事です。白人は前、黒人は後ろと席が違う。勇気ある黒人女性が前の席に座ったまま白人に席を譲らなかった。逮捕に怒った黒人がバスのボイコット運動を始め、差別反対の火がついた。
バーミンガムのホースは、放水です。黒人の集まる教会を人種差別主義者が爆破し少女が死んだ。黒人の抗議集会に警官が出動し、黒人に消防の高圧水をかけ続けた。
テルマの橋は、アトランタ州の小さな橋です。参政権を求める黒人のデモ隊がこの橋を渡ったところで、警察隊が襲いかかり流血の惨事になった。オバマが演説でこれらの言葉を語ったとき、米国民は涙を浮かべながら聞いた。言葉が意味する歴史の重みを共有しているからです。でもわれわれ日本人、特に若者は現代史の知識が恐ろしく欠如している。米国と戦争したのを知らなかったり、ヒロシマ、ナガサキ、日米安保を知らなかったり。
なぜか・・・試験に出ないから。なぜか・・・怖がっているから。政治的色彩を帯びたことをイデオロギーといって怖がっている。樺美智子さんが警察との衝突で死んだことも、全学連が国会に突入したことも知らない。四、五十年前のことが分からなくて、今起きていることの意味が分かるわけがない。米では公民権運動を学校で教えているのに。・・・」
そして、こんな言葉もありました。
「歴史とは現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話である」
E・H・カー「歴史とは何か」より
このサイトでは20世紀を動かした英雄や作品の数々を紹介しています。しかし、本当に時代を変えたのは、自分たちの手によって時代や社会を変えようと闘った無名の人々たちが起こした社会的な変革の流れだったのだと僕は思います。もちろん、その努力のすべてが報われたわけではなく、悲劇に終わったものがほとんどだったのかもしれません。そのうえ、社会を悲劇的方向へと変えてしまった事件も数多く存在します。その代表的な存在が「戦争」だったといえます。
このコーナーでは、そんな時代と社会を変えることなった数々の大事件にスポットを当ててみようと思います。
| 年代 | 事件名 | 概要 | |
| 1894年〜1931年 | 悲劇の戦争、太平洋戦争へと至る道(前編) | 日本 | なぜ、日本は超大国アメリカに負け戦を挑んだのか? 日清戦争、日露戦争から満州事変まで |
| 1915年〜1947年 | インド独立運動と近代日本のアジア主義 | インド、日本 | インド独立運動と日本のアジア主義はこうつながっていた! |
| 1933年〜1945年 | サラリーマン軍団の大いなる誤算(後編) | 日本 | 日本軍を指揮するエリート軍団はなぜ道を踏み誤ったのか? 組織で動く日本人が陥った致命的なミス |
| 1917年 | ロシア革命 | ソ連 | 20世紀を変えたロシア革命はいかにして起きたのか? |
| 1919年〜 | 人類が生み出した恐るべき殺人兵器 | フランス | 第一次世界大戦を終わらせたスペイン風邪はどこから来たのか? |
| 1947年 8日15日 | インド・パキスタン分離独立 | インド | ガンジーによる非暴力不服従運動の勝利と敗北 |
| 1947年〜 | マッカーシズムと赤狩り | アメリカ | 赤狩りは誰が何のために、マッカーシズムとアメリカ |
| 1946年〜1948年 | 東宝争議 | 日本 | 戦後日本の映画界の構造を変えた労働争議 |
| 1952年11月1日 | 核開発競争の始まりとなった水爆の誕生 | アメリカ | 原爆を超える兵器「水爆」はなぜ生まれたのか? |
| 1955年 | エメット・ティル殺害事件 | アメリカ | 公民権運動のきっかけとなった少年殺害事件と裁判 |
| 1954年 | ブラウン判決 | アメリカ | 公民権運動の原点となった判決はどうして実現したのか? |
| 1955年12月〜1957年12月 | モントゴメリー・バス・ボイコット運動 | アメリカ | 人種差別の撤廃を目指した公民権運動における重要な事件 |
| 1957年〜 | リトルロック暴動 | アメリカ | リトルロック高校に入学した9人の黒人学生苦難の物語 |
| 1962年 | 「沈黙の春」出版 | アメリカ | R・カーソン女史による環境破壊への警告 |
| 1963年 | ワシントン大行進でのキング牧師の演説 | アメリカ | キング牧師の歴史的な名演説 |
| 1965年 2月21日 | マルコムX暗殺とその人生 | アメリカ | 黒人解放運動過激化のヒーローは心の平安を得られたか? |
| 1967年10月 8日 | チェ・ゲバラ暗殺とその人生 | 中米 | 中南米の共産化と革命の時代を象徴するカリスマ・ヒーロー |
| 1968年 4月 4日 | キング牧師暗殺とその人生 | アメリカ | 公民権運動最大の盛り上がりとその終焉 |
| 1969年 8月15日〜17日 | ウッドストック・フェスティバル(開催まで) ウッドストック・フェスティバル(本番にて) |
アメリカ | 伝説のロック・イベントはいかにして開催にこぎつけたのか? 天国の日々に登場したアーティストたちと様々な出来事 |
| 1979年 | イラン・イスラム革命 | イラン | 世界を帰ることになるイランでのイスラム革命 |
| 1986年 4月26日 | チェルノブイリ原子力発電所爆発事故 | ソ連 | 事故の大きさだけでなくソ連と東欧の崩壊を早めた出来事 |
| 1989年 | ライプチヒ大行進とベルリンの壁崩壊 | ドイツ | 東西ドイツの分断を終わらせた市民革命 |
| 1991年 | ゴルバチョフ-エリツィン革命とソ連崩壊 | ソ連 | ソ連を崩壊させ世界を変えた民主主義革命 |
| 1995年 | オウム真理教による地下鉄サリン事件など | 日本 | オウム真理教とは何だったのか?今再び振り返ります |
| 2008年11月 6日(特別編) | バラク・オバマ大統領選勝利演説 | アメリカ | アメリカ初の黒人大統領の誕生と彼を選んだアメリカ民主主義 |
| 1945年〜2011年 | 日本を変えた事件とその影響 | 日本 | 1945、1960,1970、1995、2001、そして2011 |
| 20世紀を知るための基礎知識 | |
| 原子力関連のページ | 2011年、再び日本を襲った「原子力の恐怖」。禁断のパワー「原子力関連のページ」紹介 |
| アイルランド紛争の歴史 | イギリスによるアイルランド侵略と北アイルランド紛争の歴史、IRAとオレンジメンの対立など |
| イスラム原理主義とアルカイダ | イスラム原理主義の誕生からアルカイダの誕生、そして危機的状況の21世紀へ |
| 第三世界における紛争とアメリカ | ニカラグア、インドネシア、パナマ、グアテマラ、ドミニカなどにおける対共産主義紛争の仕掛け人 |
| 赤狩り(映画界編) | 赤狩りの標的となったハリウッドの映画人たちの苦悩を追います |
| 世界を動かす四大宗教 | ユダヤ教、キリスト教(カトリック、プロテスタント)、イスラム教、仏教、その他の宗教lについて |
| テロリズムの歴史 | 「恐怖政治」から日本赤軍まで、テロリズムの歴史からその本質に迫ります |
| ラスタファリニズム | レゲエの原点でもあり、アフリカ回帰を目指す運動の基礎でもある宗教、文化について |
| シュルレアリスム | 1920年代から始まった芸術運動、美術、ロックなどあらゆるジャンルに影響を与え続けている |
| デュポン社 | 「死の商人」として世界に君臨したアメリカの巨大化学企業(ダイナマイトからフロンガスまで) |
| 力道山 | 戦後日本と朝鮮半島の関係。その架け橋になろうとした伝説の英雄 |
| 20世紀の歴史をより深く理解するための資料 | ||
| 「20世紀」(上)(下) | 橋本治(著) | 20世紀を捕らえ直した著者入魂の歴史エッセイ |
| 「ザ・フィフティーズ The Fofties」 | デヴィッド・ハルバースタム(著) | アメリカの1950年代を深く捕らえた素晴らしい作品 3部作と大作ながらいっきに読ませます! |
| 「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」 | 加藤陽子(著) | なぜ日本はアメリカという大国に負け戦を挑んだのか? |
<想像することと愛すること>
このサイトは、、もとはといえば僕がもっているレコード・コレクションを整理するところから始まりました。整理しながらリストを作り、簡単な分析を行っているうちに、時代を映し出す鏡ともいえるポピュラー音楽の歴史から「20世紀」を振り返ることが可能ではないか。そう考えたのが、すべてのスタートでした。今や、このサイトは音楽だけでなく、小説や映画にまでジャンルの枠を越えるようになり、タイトルも「ロック世代のポピュラー音楽史」から「ポップの世紀」となりました。もちろん、ジャンルの幅は広がっても制作するスタンスは変わっていないつもりです。様々な情報から時代の空気を描き出したい。そのために、無数に存在する情報の中から何を選び出すか?それは実はいいかげんな部分です。行き当たりばったり、基本は「好きなこと」「好きなもの」「好きな人」を取上げています。しかし、それだけでは同じパターンに陥る可能性が高くつまらなくなります。図書館、本屋、テレビ、映画館、ラジオ、誰かの紹介、様々な偶然の出会いの中に運命的とも思える出会いがあり、驚かされることもあります。当然、出会いがないため、情報が不足しているためにまだこのサイトに登場していないものもまだまだあります。
歴史とは、すべて誰かがその人なりの考えに基づいて記録した架空の物語の集合体です。
「・・・ジャーナリスティックな視座からは「情感」を排除すべきと主張する人がいる。ならば何も見通せない。断言する。オウムを解析するうえで、「情感」は何よりも重要だ。たまたまオウムと社会との接点に僕は立った。見渡せば前も後も見事に同じ光景だった。オウムにも警察もメディアも市民社会も、「自己の情」と「他者の情への想像力」を喪失していることは、鏡面のように共通している。」
森達也(著)「世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい」より
僕は1960年生まれなので、体験者として時代を語るのは1970年代以降にならざるをえません。20世紀全体のわずか3分の1です。それでも、その30年を中心としてそこから過去を類推しながら、20世紀100年の全体像にできる限り迫りたいと思っています。
「体験者が非体験者に語るということには、積極的な側面がある。
第一には、ひとつの時代を支配している、全体的な雰囲気、第二には、その時代のなかで生起した、ときには重要な、ときには平凡なディテールについての感覚である。この全体性とディテールの感覚を持っているということは、体験者の特権である。・・・」
日高六郎(著)「戦後思想を考える」より
この言葉にある3つのポイントについては、常に心にとめておこうと思います。さらに、「戦後思想を考える」には、非体験者に興味をもたせるために重要なポイントについても指摘されています。
(1)体験者が強く感じたことは、非体験者にも感動を与えるはず。
ただただ情報を垂れ流すのではなく、そこに何かの熱い思いがこめられればと思います。
(2)出来事どうしの連関に気づくことで、非体験者も自らの実体験から未知の体験を理解することが可能になるかもしれない。
どんな事件にもその現代版といえるような出来事があります。そして、その二つの出来事の同じ点と異なる点について知ることで時代そのものも見えてくるかもしれません。
(3)大きな視点から見た事件。例えば、「太平洋戦争」と自分の間に何か具体的なつながりがあることを知ることは間違いなく歴史に対する興味を生むことになります。祖父が戦場で危うく死にかけたとか、祖父の家族が戦時中、田舎の村に疎開していたとか、祖父が住んでいた街には長崎の後、原子爆弾が落とされる計画があったとか、祖母と祖父が出会うきっかけは、疎開先の村だったとか、どの家族にも戦争を潜り抜けてきた物語が必ずあるはずです。
そうした戦争との関わりについては、こんな言葉もあります。
「たとえば、戦前、戦中、中国にわたった日本人のひとりびとりが中国人に対してどのような姿勢で接触していたのか、家庭で使っている中国人をどう待遇したのか。そうしたことは、けっして戦争と無関係だったとはいえない。・・・」
日高六郎(著)「戦後思想を考える」より
こうした発想は、中国にわたり中国人と関わった人だけではなく、すべての日本人にあてはまることのはずです。戦争中、人々はどこまで戦争相手のことを考えていたのか?この「想像力」こそ、人類が今最も必要としている能力だと僕は思います。ちょっとした「想像力」を働かせることで、世界はまったく違うものに見えてくるはず。そして、人が旅に出るべきなのも、「実体験」することで、不足しがちな「想像力」を補うことができるからなのです。
人は「想像力」をもつことで初めて、他人の幸せを願うようになるし、そのことで自分自身も幸せになれることを知ることができるのです。
「人はひとりでは生きてゆけない。周囲が不幸なままでは、おそらく僕も幸せになれない。食事は大勢で食べたほうが美味しい。僕はたった一度のこの生を豊かに過ごしたい。だからみんなにも、もっと幸せになって欲しい。視点をほんの少し変えるだけで、人の優しさや世界の豊かさを、僕らは強く実感できるはずなのだ。」
森達也(著)「世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい」より
やっぱりジョン・レノンは偉大だった!
それにキング牧師のあの言葉も!
友よ、私は今日皆さんに申し上げたい。
今日も、明日も我々は多くの困難に直面するでしょう、しかし、私には夢みています。それはアメリカン・ドリームに深く根ざした夢です。
私は夢みています。
いつの日か、この国が立ち上がり、次の信条に本当の意味で基づくような国となることを、「我々は、全ての人間が平等に創造されたという真理を自明のことと考えます」
私は夢みています。
いつの日か、ジョージアの赤い丘の上で、かつて奴隷だった者の子孫たちと、かつて奴隷主だった者の子孫たちとが兄弟愛をもって同じテーブルにつくことができることを。
私は夢みています。
いつの日か、ミシシッピー州のように不正義と抑圧に満ちた州でさえも自由と正義のオアシスに変えられることを。
私は夢みています。
いつの日か、私の幼い子供たちが肌の色によって評価されるのではなく、人間性によって評価されるような国で暮らすことができることを。
私は夢みています。
いつの日か、悪徳に満ちた差別主義者に牛耳られ、連邦の決定に対して「不当な干渉だ」とか「取り消しする」という言葉しか出てこないアラバマ州においても、幼い黒人の少年少女たちが幼い白人の少年少女たちとまるで兄弟姉妹のように手を取り合う日が来ることを。
私は夢見ています!
「いつの日か、すべての谷が高められ、すべての丘と山々は低められ、高低のある土地は平らにされ、いびつな土地は真っ直ぐにされる。こうして、主の栄光があらわれ、人はみなこれを見るであろう」ことを。(旧約聖書イザヤ書40章4〜5)
これが我々の希望なのです。
1963年8月28日「ワシントン大行進」のスピーチより
優れたアーティスト、思想家とは人々に「想像」の素晴らしさを伝える伝道師でなければならないのです。
もしかすると、「愛」とは相手のことを「想像」することの喜びと同義なのかもしれません。
このサイトは僕が愛する人々を紹介する場であり、ここが彼らのことを「想像する」きっかけになればと思います。